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😶 アフターストーリー①:『或る教師の手記』 (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) かつて灰色の空を見た。その表現はとても抽象的で、実際には青いかもしれないが少なくとも俺には灰色に見えた。そう見えた理由は、きっと世界が『無』に覆われていたことに他ならないのであろう。派手に脚色された色、喧騒な街、気安く喋れる友人、痛みや暖かさ。そのいずれの個性もなかったそんな世界。俺たちは囚人のようにルーティングを行う。起きる、食べる、寝る。その繰り返し。勿論、そんな世界に楽しいだとか、悲しいだとかそんな感情もなく、全てが無秩序だった。まるで、地球という名の牢獄に閉じこまれているかのようだった。 しかし、そんな俺は今。駆け抜けるような青さが満ちた空が広がるそんな世界で生きている。 その世界に広がる景色は、不もなく、されど無もない。色が付いたそんな世界。四季の移り替わりを感じる蒸し暑さと、それによる汗のべとべととした気持ち悪い感触を感じるそんな世界。一歩歩けば知らない人同士が喋っていて、どれだけ話しても話題が尽きないそんな世界。そして、大切な『家族』と呼べる人がすぐそばにいるそんな世界に俺はいま生きている。 あの世界にはなかったものが多くて初めは驚いたし、戸惑った。何より、あの世界ではすべてが『他人』であったから、友人関係にはとても苦労した。そして、 苦労する度に、汗を流す度にあの事を思い出す。あの日、俺たちは……世界を変えたのだとあの希望もなく、夢もない【絶望】に満ちた世界を変えたのだと。絶望から希望へ、そんなくそっ、たれた世界から変わったのだとそう思うのだ。 俺は過去何度も絶望し、嘆き、悔やんできた。きっと、俺の物語はここからが始まりなのだろう。 『待て。しかして希望せよ』。どこかの小説の登場人物が言った言葉だが、俺はこの言葉の通り俺は生きていこうと思う。 ―――『始まりの絶望』水無瀬 コウ
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