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😶 洞窟燻製問題への一考察(また、PC-PL論) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 今回は少しだけ真面目な話で、「日記を適当に漁ってる時にそんなの長々と見たくない!」というのは私自身の想いでもあるのでネタバレモードで隠しときます。 表題の『 洞窟燻製問題』……つまり、「洞窟があって、PCが洞窟に入らず火をつけて敵を燻り出す」やつですね。これは一例で、単に洞窟を燻すだけでなく、「邪悪な魔術師のいる塔を発破解体する」とか、「やばそうな館を焼き捨てる」とか、「無限の水差しを逆さにして地下迷宮を水没させ黒幕を始末する」とか、そういった行為全般です。 「みんな得しないからやめようぜ!」というのが一般的な回答でしょう。実際、GMは用意したダンジョンをふいにされるし、PLは起伏もなければカタルシスもない面白みのないシナリオを遊ぶことになるわけで、確かに誰も得しません。 ……本当に? 本当に誰も得しないのでしょうか。 いいえ、得する人物はいるのです。PCは得をします。冒険者がいくら冒険をするものとはいえ、進んで危険な洞窟の中にいく冒険者はそういません。いえ、むしろ冒険者だからこそ、避けられる危険は避けようとするでしょう。敵の罠をかわす最も有効な手段は罠のあるところに立ち入らないことです。それに、敵の本拠地で戦うより敵を誘い出すほうがはるかに利口でしょう。 ゴブリンは頭が悪いから洞窟に入っても大丈夫? そういう油断をした奴からあわれ後ろに隠れていた狡猾な魔族だとかなんだとかの策謀にかかって死んでしまうのです。 洞窟には敵の隠し財産があるかも? あなたは価値もそもそも存在するかもわからない宝のために同輩を危険にさらしますか。 GMが用意したダンジョンだからクリアできるようにできている? はて、その情報を彼らはどこから知りましたか。 そう。PLやGMにとってダンジョンに入ることが正しい行いでも、PCにとっては多くの場合入らない方が正しいでしょう。役割演技の観点からすれば、ダンジョンを焼いて問題がないならそうするのが妥当なRPです。ましてあなたがもっと戦いを望まない人間で、相手が脅威なら尚のこと。理知的な人物をPCとして扱うなら、それが正しい行為になるときは存在します。 ……ここまで語っておいて私は別にダンジョンを焼くことが正しいといいたいわけではありませんし、焼きたいとも思いません。率直に言ってしまえば私のPCのだいたいは戦闘狂か狂人、そうでなくてもどこか危機に対して破綻している人物ばかりですし、彼女らが戦わないという選択肢を取ることもそうないでしょう。閑話休題。 洞窟燻製問題における問題は、「洞窟を燻す行為自体は物語上必ずしも正しくない行いではないこと」だというのが私の主張です。 ダンジョンを焼いてはならないというのはそうですが、その解消をPLの倫理や道徳に頼るのは良くないと考えます。それはPCを蔑ろにする行いだからです。 PLもGMもメタ的な存在であるがために、PCはメタ世界の住人であるあなたたちを認識できません。洞窟を燻すことが最有力の手段であることを気付いたPCが自発的にそれを改めることは不自然です。理由が必ずしも理屈に叶う必要はありませんが、PLの道徳はPCの行動の理由にはなりません。 一番良いのは、設定上問題のない理由をつけることです。「君たちはそういった行いをしようとしないだろう。なぜなら不用意に洞窟などの自然物を焼くことは地精霊《ノーム》の怒りを買うことになるという摂理を冒険者である君たちは当然知っているからだ。」とかなんとかあることないこと言ってやってください。このとき、デメリットを提示する場合はなるべく強くしましょう。実現可能な領域ならば実現させようとするはずです。基本的には「敵わない相手と対立する」とか「そもそもできない・効果がない」とか実現不可能なレベルの理由を与えましょう。 逆に出来るとしたいならばそれでもかまいません。燻製にされたダンジョンは別のどこかで使いまわせばいいのです。その場合、ダンジョンを燻製にしたとき用のシナリオを用意しておきましょう。想定に含んでおけばなんという事もありません。「依頼帰りに賊(魔族)に襲われる」なんてシナリオが汎用性が高いでしょう。準備に時間がかかるとするなら、途中で計画に気づいた相手が襲撃戦を起こすのもありです。必ずしも元のシナリオのエネミーだけで構成する必要はなく、近くを見回っていた敵に友好的な第三者が首魁に知らせて合流したとするのもいいでしょう。初めから構えておけば取れる手段はいろいろあります。 次に良いのは、PLに聞くことです。「正直洞窟に入ってもらえないと困るんだけど、なんとか入る理由つけられない?」と素直に聞いてみましょう。そこまで言われて考慮しないPLはまれでしょう。そのまれなケースの場合、そもそもPLが敵対的なのでどうにもなりません。諦めてそのPLを追放して続きを進めてしまいなさい。ただし、考慮したうえで無理というのは敵対的なPLではないので注意してください。 どうにもならなければ神託や未来視による介入もありです。いわゆるデウスエクスマキナです。 そうでなくて、メタ的に干渉するにしても、「そちらのルートは想定していないから存在しない。洞窟に入れ。」ぐらいのことはいうべきです。そうすれば、「悪い予感がした」とか「なんとなく気が向いた」とか「後々を考えてそうしておくのも悪くない」とか言えるでしょう。神も悪魔もいるのです。そういう強引な転換は起こり得ます。どうにもならなくて、それでもどうしてもそうして欲しくないなら、GMはデウスエクスマキナを切らせるための発言をしなければなりません。 PCとPLは完全に同じではない、と私は考えます。もちろん、PCとPLは同一であると主張する人もいるでしょう。 ですが、この場合重要なのはPC-PLが同一であるとする人と同一でないとする人がいることです。思想の多様性であり、どちらも正しいことです。きのこの方がおいしい人とたけのこの方がおいしい人がいるのと同じことで、ビアンカ派とフローラ派と最近はデボラ派がいるのと同じことです。私はフローラ派です。 たしかに、PCの人格性を認めない立場からすれば、GMが丹精込めて手がけた洞窟を燻製にするPC(=PL)は人の気持ちを考えない絶対悪なのかもしれません。でも、PCにとってはそれが合理的だからそれを選択する行為をふとした瞬間自然に選んでしまう場合も、そもそもいっぱいいっぱいでそこまで気が回らない場合もあると思うのです。 自身にとってはわからない行いでも、当人が必ず悪意の人であるとは限らない……そう考えます。 GMはそれらを等しく受け止めるべきです。願わくばPLもそうすべきです。平等とは平滑でなく多様の上に成り立つものです。誰かを悪いとする前に、本当にそうか、立ち返って一度考えねばなりません。正せという前に歩みよるべきです。悪意のあるPLというものは想像以上に少なく、地獄への道は善意によって舗装されているのです。 結論として自分に合わない人を拒むことも一つの選択ですが、そうした背面を少し考える前に、直情で弾劾してはいませんか? あなたは、その人のことを考えましたか? そうでなければ、それはきっと悲しいことです。人に腹を立て弾劾する前に、少しだけ歩み寄る方法を考えてみませんか。 なんだか長々と説教じみたことを言って失礼しました。 普段はこういった話はしないので、この手の話が好きな人は教会かどっかで勝手に聞いてきてください。
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