Keiさんの日記 「Alice is Missing をファシリテートするお話」

Kei
Kei日記

2025/05/12 17:54

[web全体で公開]
😶 Alice is Missing をファシリテートするお話
ご機嫌よう。

Alice is Missing(以下アリミス)を遊ぶと、だいたいいつもファシリが大変そうと言われるのですが、実はアリミスのファシリは難しくありませんの。
現実的に日本語でアリミスをオンラインで遊ぶ手段は Discord 一択と思われます。他に Roll20 版と PixelTable 版がありますが、わたくしは Roll20 は使ったことがないのと、PixelTable には英語版しかないため、このエントリでは Discord で遊ぶ場合を対象にします。PixelTable は面倒な手続きを全部自動でやってくれるので日本語化されたら嬉しいのですけれど……それはさておき。
そこで、オンライン(Discord)で遊ぶ際にわたくしがどうしているかをお話しましょう。前提として全文(カード等を含む)を日本語訳している必要があります。ですが、アリミスはルール自体が単純で軽量、それでいてプレイ中に登場する要素は概ねルールに書かれています。

■ 事前の準備
プレイに必要なルール等を訳しておくのはもちろんですが、訳自体は機械翻訳を調整する程度でなんとかなります。ルールにはゲームの進め方はもちろん、PL への説明の仕方などが全て書かれています。実際に読み上げてみて、PL がどんな反応をするか想像しておくと良いでしょう。またアリミスは時間でやることが決まっており、カウントダウンタイマー付き BGM 動画が用意されています。実際に動画を再生しながら、何をするのかリハーサルしておくと良いでしょう。後でも触れますが、アリミスのゲーム本編では時間で手掛かりを出すということが非常に重要です。どうしたら良いかはキチンと確認しておくことをお勧めします。
また、Discord のチャンネルを準備しておきます。プレイ中に全員が見えるチャンネル(キャラクター外、手がかり、グループチャット)、各 PC がそれぞれ自分だけ見える solo チャンネル、各 PC が他の誰かと一対一で DM で話すための個別チャンネルを用意し、適切に権限をつけます。ファシリには全てのチャンネルが見えます。
もう一つ重要なのが録音の確認です。アリミスでは PL それぞれがゲーム開始時にメッセージを録音し、後で再生する必要があります。わたくしの卓では録音を調整してひとまとめにしていますが、PL の環境によって録音レベルが全く異なったり、モノラルだったり、ステレオ扱いでも左チャンネルにしか音が入っていなかったり、中には再生できなかったり調整や結合すると壊れてしまうということもございました。こうしたトラブルを防ぐためには、事前にテスト録音をお願いして、再生や加工ができるかを確認する必要があります。場合によってはノイズ軽減も必要かもしれません。また、実際のプレイではゲームが進行している最中に、裏で録音ファイルを調整し結合する必要がありますので、スムーズな手順を確立しておく必要があります。正直いうとこれが一番大変で、難しいようなら録音を加工しない、あるいは録音しないで遊ぶ方法を考えた方が良いかもしれません。

■ プレイ中(ゲームの準備)
アリミスでは、実プレイの前半は全員で協力して行うゲームの準備です。ゲームの説明、安全についての注意、キャラクターの選択(これは事前に行っておいても良いでしょう)、それぞれの動機や関係の決定(カードを使用します)、アリスがどんな子なのかを描写(ランダムで選んだ行方不明ポスターと選んだ PC に割り当てられた質問に答えることで決めます)、全員がアリスに電話してメッセージを残す(ここで録音します。内容は他の PL には分からないようにします)、怪しい容疑者と場所について決める(それぞれ5つの候補があり、なぜ怪しいと思うのかを簡潔に答えます)、ゲームの進め方の説明といった手順があります。必要なことは全てルールに記載されていますが、卓に合わせて話しやすいようにまとめておくと良いかもしれません。
ともあれ鍵になるのはカードの配布でしょう。カードデッキを自作し、ココフォリアなどのツールを併用しても良いでしょうが、カード配布は本編プレイ中にも行う必要があります。わたくしは Discord にできるだけ集中して欲しいので、ダイスで割り当てています。また、本編中のカードを割り当てる順番も、この段階でダイスで決めます。

■ プレイ中(ゲーム本編)
アリミスのゲーム本編は延長なし90分のテキセ(ボイス不可ですので全員にボイスチャットから抜けていただき、それが確認できたら本編を開始します。ゲームの進行が不可能にならない限りゲームが中断することはなく、基本的に PL としての相談もできません)で、残り時間(あるいは経過時間)で物事が進行します。先にも書きましたがカウントダウンタイマー付きの BGM 動画が公式にあります。このタイマーが全員一致している必要がありますので、わたくしの卓では SyncTube を使用しています。
本編中でのファシリの役割は大きく二つあり、一つは時間に合わせて進行すること、もう一つは自分の PC を使ってゲームを適切に誘導することです。
まず前者ですが、本編中は一度に一人、時間経過で手がかりと容疑者または場所の組み合わせが与えられます。この組み合わせが基本ルール(拡張なし)で38億通りほどあってプレイするたびに違う体験をもたらす仕組みになっています。ともあれファシリとして行うことは、この組み合わせをランダムに選び、PC に与えることです。この時に PC を恣意的に選ぶ必要はありません。誰がどのタイミングで手掛かりを受け取るかはゲームの準備をした時点で決まっています。そして最終的に38億通りにもなる膨大な組み合わせも、一回で選ぶのはたかだか15通りに過ぎません(拡張を入れても、たかだか25通りです)。これを PL に分からないようにダイスで決めて、渡すだけです。一方で、これには時間で渡すという強い制約があります。時間が破られるとゲームそのものの体験も変わってしまいます。ですから、何よりも最優先で行わなければなりません。わたくしはタイマーをセットした上で動画のカウントダウンとも睨めっこしています。一方で PC は渡された情報を何らかの形で公開しなければなりません。ですので、時間(というのはせいぜい数分ですが)が経っても渡した手がかりに関する情報が出ない場合は、手を差し伸べる必要があります。また、時には何分経ったら、残り何分で、という指示がある場合もありますので、そうした時間の指示をする必要もあります。
蛇足ですが、それならファシリは自分が望むお話にするために恣意的に情報を選ぶこともできるのではないかと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。わたくしはお勧めしませんし、そうしてしまったらもはやアリミスの体験ではないと思いますが、そうすることはできますし、そうしたところで PL には区別ができません。
さて、後者の誘導について。これは PC の言動を通じて行うことですが、アリミスにはいくつかの制約があり、他の PC/PL がそこから外れるような言動をすることがあります。最もありそうな例として、舞台となる町から出ようとするかもしれません。そのような場合に、ファシリ用のキャラクターを通じてゲームがルール(今後配られうる手掛かりの内容を含みます)の範囲内に収まるようにしなければなりません。実際にプレイしてみると自然にそのようなことは起こりにくいと思いますけれど、ともあれ、PC がゲームの範囲を越えようとした時には止めなければなりません。これは臨機応変に対処しなければならないことで、事前に準備できることではありません。

■ プレイ後(振り返り)
ルールに書いてある通りですし、ここまで来たらアリミスに特有の特別なことはありません。

こうして書いてみると大変そうな感じがしてしまうのですが、アリミスのファシリは大変ではありません。基本となることはルールに書いてありますし、オンセ(Discord)でプレイするにあたって、どうしたら実現できるかということしかありません。アリミスでは鍵となる時間が決まっていますし、その時間に関連することはたかだか2,3程度しかありません。その管理が全てと言ってもいいでしょう。もちろん、わたくしとは異なるやり方で実現している方もいらっしゃるかもしれません。結局のところ良いプレイ体験になれば良いのであって、アリミスの場合はルールに書いてあることを実現するのがベストな方法かと存じます。

ともあれ。わたくし以外にアリミスの募集があるとファシリ用以外のキャラクターで遊ぶことができるので、アリミスもっと広まって欲しいですし、簡単ですわよ。
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