ポール・ブリッツさんの日記 「戦闘がスリリングだったTRPGについて思いだしてみる」

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ポール・ブリッツ
ポール・ブリッツ日記
2020/06/08 21:07[web全体で公開]
😶 戦闘がスリリングだったTRPGについて思いだしてみる
GMではあったが、いちばんスリリングだったのはなんといっても、「ルーンクエスト」だった。ちょっとでもダイスの目が偏れば、簡単に腕とか脚とかちぎれてしまうのだ。そのバランスが実にいい塩梅で設定されており、PCたちを五体満足で勝たせるために、どれだけGMが気をもんだか、その楽しさといったらあれ以上のものはそうはない。武器は簡単に壊れるわ盾はもっと簡単に壊れるわ。最新版はクイックスタートルールしかないのが惜しまれる。ルルブ出たら絶対買うゲームのひとつ。

「アドバンスド・ファイティング・ファンタジー第二版」もスリリングだった。なんといっても、スリルを増しているのは、HPとなる体力点を、1点、2点のレベルでじわじわ削っていくシステムである。体力点が8点くらい残っている時はまったく怖くないルールだが、技術点で上回っている相手に、体力点3で立ち向かう、などとなったときのスリルときたらこれ以上のものはない。戦闘後に飲んだ体力点のポーションのうまさといったらもう格別であった。

「ジェームズボンド007」もスリリングだった。このゲームにはいわゆるHPの概念が存在せず、ダメージを受けると軽傷、中傷、重症、瀕死、となって死にいたるのだが(もちろん、各負傷段階で行為成功値にペナルティがくる)、銃で撃たれると、無傷からいきなり重症、とかもしょっちゅうあるのである。PCがそうころころ重症になってしまってはゲームにならないので、このゲームでは、ヒーローポイントという、ヒーローならではの「偶然の運の強さ」でそれを回避できるわけだ。で、敵のボスやその用心棒との一騎打ちになった時、このゲームの恐ろしさがわかった。ボスレベルになると、相手もヒーローポイントのように使える「サバイバル・ポイント」というものを持っていて、互いにそれを1点2点のレベルでじりじり削り合う展開になるのだ。それがヒットポイントの代わりをしていて、尽きたら撃たれて即死、というゲームだったのだ。あれもどきどきした。

ワースブレイドは、ルールを把握してなかったのと、バランスの配分がよくわかってなくてスリリングだったゲームである。そのときわたしはGMだった。巨大ロボ、操兵に乗って大暴れするファンタジーゲームで、PCに操兵を渡し、ルルブには「操兵がいれば楽勝」と書いてあったモンスターを出したのだが、PCに与えた操兵がオンボロすぎた。その結果、モンスターに的確にダメージを与えていった操兵も、動いたり敵の攻撃を受けたりするたびに装甲はぶち抜かれるわ駆動系は悲鳴を上げるわ、最終的にはPCの操兵は勝利目前にして煙を上げて動かなくなってしまった。しかたがないのでこんなときのために設定しておいたデウス・エクス・マキナを投入してその場を収めたが、GMのわたしが冷や汗かいた以上にPLのほうはもっと冷や汗かいていただろう。

昔雑誌の付録についていて、ソロシナリオをやったとき、次第に悲鳴を上げそうになったのが「ファンタジー・トリップ」である。「デス・テスト」というシナリオをやったのだが、そこで提供される金の延べ棒をひょいひょいと持っていたら、1本ごとに移動力にペナルティがつき、最後のほうになると、敏捷に迫る敵の前で、重さに苦しみながらじりじり身をよじるしかないという、ジョジョの第一部の、ウィンドナイツ・ロットの騎士特訓を地で味わえるゲームだったのだ。デザイナーが「ガープス」をデザインしたスティーブ・ジャクソンで、そのゲームの延長上に「ガープス」があったので移植して走らせてみたが、参加したプレイヤーはそういう苦労よりも、ルルブの穴を突くチートプレイで無双する方が好みだったようで、まあ、そういうゲームが好きなら仕方ない、と、そのまま最後までGMしたが、一度もとの「ファンタジー・トリップ」のルールのままでしみじみプレイしてみたいものである。

SFTRPGのトラベラーは、戦闘がスリリングだと聞いていたが、そうはあまり感じなかった。スリルを感じるにはあまりにもブラッディで、双方がライフルなりレーザーガンなりを構えて向かい合ったら、いっせいのせで撃ちまくって両方死亡、とまあ、こういうゲームだったのである。運良く外れたらラッキー、というやつだ。とある研究基地を訪れて、警備ロボットと向き合った時には、「恐怖」を感じる前に「死」を覚悟してしまったので、戦闘の醍醐味は薄かった。もちろん、即逃げである。ラオウとケンシロウに向き合った野性の虎みたいであるな。

D&D関連ではベテランのGMのかたのゴブスレのシナリオに参加した時は、圧倒的に優勢な敵に囲まれて、スリルよりも「悲壮感」と「絶望感」により強く襲われたのもいい思い出である。その時はゴブスレではベテランのPLのかたに助けてもらって、何とか命は拾ったが、おっかない体験であった。思わず「遥かなるアラモ」が口を突いて出てしまったくらいである。ほんとのアラモだったら総員玉砕していたところであるなあ……。

さて、これから、凝った戦闘システムでは最右翼の、アドバンスド・ファンタズム・アドベンチャーというゲームのGMに行くところである。このゲームの戦闘、まだちょっとふわふわしていて、自分でもまだ感覚がよくつかめていないのだ。まあ、今回のシナリオが終わるまでに、たっぷりとスリルを味わい、PLにも思い切りスリルを味わわせてやりたいと思う。ひひひひ。とかいっている時間が一番楽しい。実際は、ルールに追われてひいひいいわされるのはこっちのほうだと思うので……。
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