愛善院さんの日記 「歌論」

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愛善院
愛善院日記
2020/07/14 02:08[web全体で公開]
😊 歌論
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去る7月7日のセッション、短歌を詠みまくったのだが

私のPCは俳句が専門の連歌俳諧師
私自身PLは、実は漢詩と川柳のが得意

短歌って、難しくね?
と、思いながらも、
勉強の機会、即興の練習の機会と思い
鼻息を荒くして挑んでしまった。

「歌論」とか偉そうに書いているが
要するに自分自身の歌を振り返ってみようという記事だ。


短歌は正岡子規以後の57577の定型詩をいう。

それ以前は和歌と分類するのだが
この他にも細分があって、
……とにかくややこしい。

57577ならば
とりあえず広義の『短歌』に含めてよい、
という感じになっているようなので、
とりあえずそのリズムさえ守れれば
形式としては『短歌』である。

私の実力というやつは、いわゆる「詩心」がなく
「技巧」に走りまくるものなので

和歌のワザである
掛詞、縁語、歌枕、枕言葉、とか
短歌のワザである
句またがり、三行詩、とか
そういうのを使い回して誤魔化すものが多い。

が、
これをやると、このセッションでは
「次の人がチェインしづらくなる」
という致命的な傷を残すことになるので
ほとんどの小技を封印することとなる。

とはいえ、
【雨ふって  乙姫彦星 会えたかな?  わからないまま  立ちさる君は】
と「猿」が戦闘対象であったために結句に
「立ちサル」などと多少の掛けちょんを含ませたり
ということはやったりしている。

さて、この歌は「わからないまま」を
前のかた(エバンさん)の歌からもらって詠んだもの。

答えの出ない問題は数多いのだが、
連歌の風情として「恋」めかしいものが続いたため
それに沿わせたほうがそこでは似つかわしかろうと

そこで絵柄をリアルからもってきて
「雨」の雰囲気にしたときに
七夕だ、夜空のカップルにはありがたくない状態

その雨の下でデートしていて
一生懸命話しかけて
一緒にいて楽しいと思ってもらおうと奮闘する人物と
ロマンチックのあてが外れて帰ってしまう人物と
を想像した。

どうやら、その雨の下での恋愛模様も、
未来がわからないままのようだ。


戦闘の攻撃としての短歌でないところでは
同音異義の掛詞づくしで遊んでみたものがある。

【キカザルに 攻撃効かざる 場合には ちょっと洋服 着飾るよぼく】
敵の一体に「キカザル」という名前の猿がいたために
何の気なしにやってみた。

着飾ってどうするんだ!?
サルサでも踊るのか?←


もうひとつ、戦闘中に。
【戦術の センスは風の ごとくなり 時に疾風  当たるが末路】
これは敵のHPの残量から
ほぼ戦闘終了であろうと
次のかた(ぞうさん)の詠みやすさは度外視して作ったもの。

前のかたから引き継いだのは「当たるが末路」
すさまじく良いパスを受けとり、
これがトドメの一撃となったので
文字通り、ということになった。

これは本当にうまくいって、
思い付いて40秒くらいであろうか。
「疾風」もハマった。

また、私のPCが「扇子」を携帯している、という
微妙な掛詞にもなっている。

チェインを狙う場合は
この「ごとくなり」などは邪魔でしかないのだが
(初句~ニ句で直喩にしなくては成り立たなくなるため)
倒せる確信があったので即詠みのままでいいや
と、なんの推敲もしなかったやつである。


推敲不足といえば
【旅をして 猿に会ったよ 私たち バナナ欲しがる したっぱ猿が】

なぜ最後を「主語止め」にしたのか、
いまいち自分のなかでもよくわからない。

「立ち去る君は」の場合は、
カメラワークとして、
去って行ったのを目で追いかけている悲しい風情のため
だったのだが、この「猿が」の場合は何だろう。

とりあえず言い訳をするならば
味方側のNPCが敵の標的になっており
その敵に対して「このしたっぱ猿が!!」
という煽りであったのかもなぁ
という気は、しないでもない。

前から引き継いだのは「私たち」


ともかく、前の歌から句を引き継ぐので
ある種の伝言ゲームのように
内容も前の歌にひきづられていることがある。
【曇り空   絶望の色  君の無言  平和の希望   無限に白し】

引き継いだのは「絶望の色」
前の歌が
難しいテストの解答が白紙、その色は絶望の色だ。
という意味の歌と解釈して
「白が絶望」というのは小気味がよいなぁと

でも「白」だと、こんなものも白いのではなかろうか、
と、体言(名詞)づくしにしてみた。

まず絵柄は、曇り。泣き出しそうな空という風情。
それはひょっとすると絶望の色なのかもしれない。
でも、君の無言の意味は?
なんで答えてくれないのだろう?
そこにある空白の時間は、どういうものだろう?
もしかして、そこには
平和の希望が隠されている?
それも、ひょっとしたら、考えている以上に
真っ白で、これから描くものなのかな?

3句を字余りにして破調させたのは
リズムを崩したときに4句が「!?」となる
効果を狙ったものであるが、
6音の句は、極めてチェインにむかない。

次の詠み手が
引き継ぐ句を選択できるスキル持ちであるので
そこに甘えた、という部分がある。

体言づくしは
行間を読ませる歌になってしまうので
読者側に解釈の面倒さを押し付けることになる。

ただ、これも言い訳すると
敵の一体に「イワザル」がいて
終始「無言」であったから、
折り込みしたかったのである。


縛りがある上で詠む歌は
普段使っていない頭を使うので難儀だ。

ただ、このセッションの序盤、戦闘ではなく
会話の流れで「もしこうだったら」と
仕事の依頼者に啖呵をきった短歌がある←

【飢え果てて  ピーマンひとつ   だけ盗む   16歳の   苦き涙は】
本当は盗みたかったわけじゃない、
という思いだけを『描写』した歌である。

ピーマンと苦いが縁語。

これは私の友人の話で、
上京して間もなく金があまりにもなくて
ひもじい思いをしながら、夜間高校に通ったという話を
ふと思い出して詠んだ。

しかも、そのピーマンを
公園のトイレにこもって、
生でガリガリかじったそうだ。



短歌の中には、作り手そのものの人間が住まう。
その人間がいかなるものを美とし苦とするのか。

自分自身を見つめ直すと、
自分自身の歌が陳腐であれ
その瞬間に感じ取っていたものが
改めて理解できるような気がするのである。
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レスポンス

セス
セス愛善院
2020/07/14 02:30[web全体で公開]
> 日記:歌論

 非常に面白くためにもなったリプレイ?でした!
 こういうものを参加した全PLs分読みたくなって
しまうのは、読み手の贅沢ですね!

 あえて追加要素としては、
「PL分とそのPC分に分けて」
書いてあったらほぼ完璧なTRPGリプレイって
ことだったでしょうか!

 今後のご活躍を楽しみにしております!

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