サーラさんの日記 「生きたキャラクター」

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サーラ
サーラ日記
2020/01/08 16:12[web全体で公開]
😶 生きたキャラクター
あなたは、キャラクターが生きている、と言われてピンと来るだろうか。
これはもののたとえで、スピリチュアルな意味ではない。
要するに、そのキャラクターの在りように説得力がある、ということだ。
キャラクターにはPC(プレイヤーキャラクター)とNPC(ノンプレイヤーキャラクター)があり、どちらにも同じことが言えるが、今回はPCを焦点に当てる。

生きたキャラクターとは一体どのようにして作られるのか、順を追って考える。
PCを作る時、データ的な側面は勿論、誰しも性格を決めるだろう。
そして、その性格を軸にしてRP(ロールプレイ)する。
これだけで、一期一会の単発セッションに用いるPCとしては完成といえる。
なんやかんやあって依頼を引き受け、なんやかんやあって完遂させる。
単純なシナリオの流れに思想や信条の入り込む余地は皆無と言って良い。
最終的には断れないし、わざと失敗することもない。
だから、これだけで十分なのだ。

しかし言い換えてみれば、全員、シナリオを進めるためにその依頼を引き受けている。
PCの都合ではなく、GM(ゲームマスター)とPL(プレイヤー)の都合が第一にある。
ということは、軸となる性格もまた、シナリオとPLの都合により生み出されたものとなりかねない。
そう考えると、軸となる性格だけでは、PCが生きていると感じることは些か困難だった。

軸となる性格は、所謂ステレオタイプだ。
例として3つ挙げるならば、情に厚い、極端に暗い、機械のよう、といった具合だろう。
思い当たるキャラが一人以下、ということはないはずだ。
つまり、それだけでは一人のPCとして確立し得ない。

だが、その性格を作り上げた背景を考えると、どうだろうか。
例えば、元々は冷たい(無口な)人間だったが、そのせいで想いを伝えられずに大切な人を亡くした過去があるとすれば。
次は伝えられないことがないように、情に厚い性格になった。
二度とそんな経験をするなら、大切な人など要らないと、極端に暗くなってしまった。
そもそもそんな事態が起こらないように最善を尽くすと努力を積み重ねた結果、苦労知らずの機械のような性格になった。

同じ背景を挙げた例でも、それぞれに違った、その人の本質ともいうべき個性と、人生を感じられないだろうか?
これでも既存のキャラクターと被ることはあるが、それが個人の歩んできた人生だというのなら、一概に比較出来るものでは無くなったのではないだろうか?

余談だが、背景を増やすほど、そのPCの人生は波乱万丈なものとなる。
最低一つは誰にでも持ち得る以上持っておくと良いだろうが、増やしすぎるのも考えものだ。
そのキャラクターの本質を知るための背景が、却って本質を見えづらくさせてしまうし、
それほどの背景を経た性格はもはや誰かと関わって関係を深める段階になく、手遅れの状態にもなってしまう可能性がある。

こうして、背景を持ったPCが作られたものの、まだ生きたキャラクターとは呼べない。
背景を得たとしても、PC達の舞台となる現実に何も不都合が生じていないのであれば、それは意味を持たない。
背景を共有するきっかけがない以上、その背景は存在しないのと同じなのだ。

背景を共有するきっかけは、所謂一般人と比較しても普段のPCと比較しても普通でない行動にある。
突然取り乱す。普段温厚な人が冷徹になる。普段は手を差し伸べるような人間が、あっさりと人を切り捨てる。
そういったわずかなひずみは、そのPCの背景に至る呼び水となるし、そのPC固有の振る舞いとなる。

さて、背景を共有するきっかけを作ったが、それでもまだ生きたキャラクターとはならないだろう。
それについて踏み込んだことを聞かれない、それどころか反応もされない場合、それは時々へんになることもあるけど普通の人、以上の意味を持たなくなってしまう。
また、例えばあなたが、知り合いではあるが特にこれといった交流のない人物から、自分自身の恥ずかしいクセについて踏み込まれて、実はこういうことがあったのだと赤裸々に語るだろうか?語るとして、それはその場しのぎの嘘だったり、さもどうでもいいように取り繕ったりはしないだろうか?
PCも、きっと同じような反応を返すはずだ。

つまり、それらの細かい設定を用意してなお、最後にPCを生きたキャラクターたらしめるのは、他者との交流、それも小さな信頼の積み重ねに他ならないと考える。

シナリオに関係のない、本来は全く作る必要のない細かな部分。
神は細部に宿るというが、PCの設定と交流の積み重ね、という細部に宿ったのは、それらに裏打ちされたブレようもない強固な人格だ。
人によれば、それを生きていると形容することもあるだろう。

あるPCがその性格を作り上げた背景を、細かな交流の果てに見つけることで、漸く、そのPCの在りように納得出来る。
そのPCを、個人と認識できる。
だからわたしは、それを見つけることが好きだ。
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レスポンス

しょーちゃん
しょーちゃんサーラ
2020/01/09 03:03[web全体で公開]
> 日記:生きたキャラクター
一気に読ませて頂きました。
背景は触れられなければ意味を持たない。
なるほど…と思いました…深いですね…確かに…

私は(クトゥルフの)、キーパーをやる時
出来る限り、そのPCの特徴や背景に触れる様に、
導入やエンディングを適宜、改変しています。
(写真好きPCには、カメラを使える場面を用意したり…などなど)

特に意識してやっていたわけではなく、
その方が物語が厚くなるから、という感覚のようなものでやっていましたが、
日記を拝見し、納得した次第であります。
PCさんが生き生きするから、
そこに紡がれる物語に厚みが出るのですね…。

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