シルバーレインRPG

書籍説明

シルバーレインRPG システム:

シルバーレイン

明るい ☆★☆☆☆ ダーク
書籍種類: 基本ルルブ リアル ☆☆★☆☆ ファンタジー
発行年月: 2008-06 直感的 ☆☆★☆☆ 頭脳的
所持する人: 70人 短時間 ☆☆☆★☆ 長時間
コメント数: 1件 初心者向け ☆☆★☆☆ 玄人向け
出版社:トミーウォーカー

君に、死と隣り合わせの青春を――。
グループSNEの贈る最新のTRPG、それが『シルバーレインRPG』!
運命に導かれてゴーストと戦う≪能力者≫達! 唸るアクトワード、仲間との連携攻撃、戦略性・ロールプレイ・高速処理の三位一体を実現した革新的な判定システム、そして回転動力炉が暴走し、詠唱兵器が覚醒する!

シルバーレインRPGへのコメント一覧

アイコン未設定プレイヤー
1. yadorigi2110
2020/11/30 19:21
PBWが元となったシステムでジャンルとしては現代異能学園モノ。

世界結界の綻びによって現れた超常なる存在ゴースト、
それらに対抗し若き能力者の保護のために創設された銀誓館学園で
PC達は能力者兼そこの学生となり「死と隣り合わせの青春」を送るという……
いや、ルールブックにそう書いてあるし。

まあ学園モノとして青春しつつゴーストと戦う日常を送るのがシルバーレインRPGです。
若干、取り回しの重さが難点ではあるもののそのよく考えられた設計、遊び心地は
10年以上たった今でも色褪せないものであると私はかたく信じています。


【行為判定をするだけで面白い】
手札からカードを切って判定するシステムなのでランダマーには物足りないかもしれません。
しかしそれを補ってあまりあるのが「アシスト」と「アクトワード」のルール。

まずアクトワード、これは判定に用いるカードに書かれたキーワードであり
それをRP・演出することでヒーローポイント的なものを取得できるというもの。
ポイントはボス戦ではゴリゴリ使うのでそれまでにいっぱいRPや演出をしてもりもり貯めます。

そして他者の判定に自分のカードを切って援護するアシストルール。
こちらもアクトワードのルールが働くため、
ただひとつの判定に複数人が関わりRPのやりとりが行われるわけで。

メイン判定者:「(情報収集の判定で)その話、<ああ、聞いたことがある>」
アシスト者1:「また<適当>なこと言ってんでしょ」
アシスト者2:「それは<本当>か!?」

……という塩梅、<>で括られている語は言うまでもなくアクトワードです。

時には無理にアクトワードに絡めようとしてみょうちくりんでチグハグなやり取りになりますが
シルバーレインRPGではよくあること、ツッコミを入れたりその珍妙さに笑ったりするのも一つの楽しみ方でしょう。



【能力値と判定】
判定に用いる能力値は単なる筋力だ敏捷だ知力だではないのもシルバーレインRPGの特徴です。

力強さ以外に精神的な昂りや魂の熱さを表す「気魄」
器用さや敏捷さだけでなく冷静さや理知を表す「術式」
精神や徳、感覚的なものや幸運を表す「神秘」

この抽象的な能力値を用いて「どの能力値をどのように使うか」をGMにプレゼンすることで
本来は向きでない能力値でも(無理する形ではあるが)判定が行えてしまうのです。

気魄で「根気強く歩き回り」情報収集、術式で「冷静に相手を見極めて」NPCを説得
神秘で「みんなを守りたいという気持ちでがんばる」とカレー作り判定etc...

それゆえ判定はGMの許す限りにおいてはプレイヤーの発想次第(というか手札の都合でこじつけすることも多い)
そこに楽しみを見いだせるならシルバーレインRPGをきっと気に入ることかと思います。



【戦闘】
戦闘面においては「アビリティによって指定された能力値で命中判定」
そして「攻撃に使われた能力値と同じもので回避判定」をしなければならないため
判定のフレキシブルさは失われてしまいますが、
それでもアクトワードとアシストが飛び交うので熱い掛け合いがよく生まれます。

加えて、カードには「エフェクト」と呼ばれる特殊効果がありTCG的な挙動を見せるので
デッキの構成を覚えて「引き」の読みをしたり手札のカードを回したりと
ゲームとしての手触りの強い戦闘なのもシルバーレインRPGの特徴でしょう。

……そのルール処理ゆえに進行が遅めという問題もあるんですけどね。


【他にも色々】
サプリメントではパーティやグループに焦点をあてた「結社」ルール
そしてPC2人の攻撃をかけ合わせる「クロスアビリティ」
戦闘と同時進行で目的達成を必要とするギミック「クライシス判定」
ランダム要素の少ないこのシステムにガチランダムのカオスをもたらす「エレメント判定」など
意欲的で挑戦的なルールも多く、遊べば遊ぶほどその手触りに面白みを感じることでしょう。

また、世のTRPGの中ではかなり厚くサポートがなされていたことも特筆に値します。
公式サイトには山ほどシナリオが公開されており
デザイナーや監修による対談記事ではどう遊べば良いのかがことあるごとに提示されていました。
勿論、カードを使うので専用オンセツールも完備。

オンラインでここまで厚いサポートはそれまであまり例になく
このシステムがPBWの人のためのファンアイテムにとどまらないことをデザイナー陣は自負していたことでしょう。

ゆえに私はここにこう結びたいと思います。
シルバーレインRPGは、デザイナー陣が本気で作った挑戦的なTRPGシステムである、と。
いいね! いいね!1