【ロストロイヤル】白き指、血で濡らさば:その3【TRPGリプレイ】

Mustang

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登録:2020/10/18 21:22

更新:2020/10/18 21:22


騎士たち3人が各々の意見を表明したあとは日常パートが続いた。このゲームは王子を導くほかにも、PCが酒を飲んで英気を養ったり他PCに決闘を申し込んで技量のほどを推し量ったりとやれることが色々ある。

葉巻を吸って一服するトリンシック。煙を吐くと宙に白い線を残し、胸中の不安とともに消えていった。
この世界に葉巻があるか中の人が心配になったが「公式リプレイでも出てるしまぁいいか!」と脳内ファンタジー警察はガバガバ裁定を下した。


軽めのRPで済ませた筆者をよそに

「自分がどちらかに決闘、でも良いでしょうか・・?」

とおずおず宣言するリリの中の人。卓の空気に動揺と期待が走ったのは筆者の気のせいではあるまい。
ちなみに剣での決闘だけでなく、カードや一気飲みなどで決着をつけてもいいので「ギスギスやめてください><;」という優しいPLも安心である。

初春の香りがする庭園の中で向かい合うリリとノエル。「ゲーム・オブ・スローンズ」めいた緊張感が漂う。

「エゼク王子が、ウィルフレッド卿を討つことに関して、肯定的なのは何故でして?」

「ウィルフレッド殿は王子の従兄弟ということじゃ。ここで許すとなると王子は肉親には甘い、とみられることになる」
「つまり、王子の下では法よりも情を優先することが許されるということになってしまうのじゃ」

その優しさ故にエゼク王子が肉親に当たるウィルフレッド卿を討つことを容認しないリリ。しかし、ノエルは飽くまで王子の未来のため、来たるべき第二のアヴァロン王国のために節を唱えるのであった。

二人の考えは相似形でありながら相容れない。日と月のような互いの違いを前に決着をつけるべく抜刀するリリ。

「では、罰を優先する王は統率を、情を優先する王は和平を、それぞれ法を作れば良いのですわ!」

ここで双方対抗判定を行い、ノエルが戦いを制することとなった。

「王子が同行してるから四六時中殿中だし、次抜刀したら『殿中であるぞ』って言えるんじゃね?」とどうでもいいことを考える筆者をよそにシリアスな展開が構築された。


シーンプレイヤーはノエルへと変わる。謀反の罪により地下に幽閉されたウィルフレッド卿と対話することを彼は選んだ。

長きに渡って使われていなかった地下牢。冷たい鉄格子を挟み両者は語り始めた。

「お主はなぜ、あの時僕たちに襲い掛かったのじゃ?王子から聖杯を奪い、害するだけなら、後々僕らが王子から離れたタイミングの方がよかったじゃろうに」

「……俺とて武人の端くれだ。野兎よりか弱い姫王子を闇討ちなどと、磨いてきた剣が泣くわ」

縄についたとしても仏頂面を崩さないウィルフレッド卿。

「英雄王より聖杯を継ごうという者が、つまらん手段で聖杯を手にして、かの至宝に認められるとは思えなかった。それだけだ」

「そうか……。それならば、ほかに方法もあったろうに」

ここで未来を占うべくダイスは転がる。1、1、3の数値が示す意味は一つ。

「ファンブルですね……」

神妙につぶやくGM、ファンブルの恐怖に怯えるPLたち。
このゲームのファンブルはやばい。分岐フェイズで出せば漬物石の如く重いペナルティによりセッション中判定が不利となり、戦闘中に出せば時に致命傷となりうる。

しかし、ハウスルールによってリソースの消費と引き換えに振り直しとなり難を逃れたのだった。安堵する一同。

ウィルフレッド卿は表情を崩さないものの、アヴァロン王国建国の成り行きと王子の生まれに対する疑問と不信を語る。

「……生まれた王子が育ってみれば、どうだ。人ならざる不可思議と相思相愛。時には俺の目に見えない何かと会話していることすらあった」
「……俺はあれが、人ならざる何かに見えてならんのだ」

「じゃが、それがそんなに重要なことかの?」
「王子は確かに王が子供として育て、王が聖杯を託したのじゃ。彼が人であれ、そうでなくとも、それがすべてじゃよ」
「じゃから、僕ら円卓の騎士は王子に従っているのじゃ」

ノエルが示した確かな忠誠を前に、ウィルフレッド卿は嘲笑を浮かべつつも警告するのだった。

「……ログレスの民は。騎士は。これより得体のしれぬ何かに、その心をかき乱され続けるかもしれんぞ」

「……忠告、感謝する。ウィルフレッド殿。それではの」

淹れたてのブラックコーヒーのようなシリアス感漂う展開が繰り広げられた一日。終了時間が迫り先の展開が気になる中、その日のセッションは終わりとなった。

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本作は、「うらべ壱鉄、冒険企画局、新紀元社」が権利を有する「ロストロイヤル」の二次創作物です。