【ロストロイヤル】ギフト:その1

Mustang
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登録日:2021/05/05 18:00最終更新日:2021/05/05 18:00

本作は、「うらべ壱鉄、冒険企画局、新紀元社」が権利を有する「ロストロイヤル」の二次創作物です。

【ロストロイヤル】ギフト:その1

 前回に続きオンセンの片隅でロストロイヤルのリプレイを書くことに。筆者はテキセ主体だからこれでRPの練習になると良いなぁと思ってます。

 前回のセッション「白き指、血で濡らさば」で早速難しい決断をすることになった4人。今回はどのような選択肢がまっているのでしょうか。

◆オープニング
 ロンズデール領を発ったエゼク王子と円卓の騎士たちはアヴァロン王国領土を脱するべく北東へ進路を取り、エイルーカ大森林を目指す。

 エイルーカ大森林は遥か昔から手付かずで残された広大な森で、多くの不可思議(ニミュエ)たちが棲んでいると言われる。

 かつて枯れた不浄の地だったアヴァロンにおいて唯一青々とした緑を萌えさせていた一帯でもあり、「アヴァロンの恵み」とも呼ばれる場所。大自然の恵みを存分に享受でき、豊かな果実や野草、それに木材などなど、周辺に住まう多くの人々が資源を活用してきた。

 しかし一方で、人々が立ち入るのは森の外縁ばかりであり、奥地にまで立ち入る者は滅多にいない。

 というのも、不可思議は古来よりいたずら好きで親しみやすい存在であると同時に、強い権能を持つ者は悪魔的とも言える力を発揮するとも伝えられているためである。

 エイルーカ大森林の奥地に暮らすのは不可思議の中でも特に年月を重ねた純粋な存在であり、彼らに魅入られたら二度と帰れない……などというのは、〝取り替え子〟と並んでアヴァロンにおいて頻繁に語られる寝物語の題材の一つであった。

 しかし人々の立ち寄らぬ土地は、魔王軍の目を避けて遍歴せねばならない現在、行路としてうってつけでもあった。

 夢の中に現れた不思議な女性のお告げもあり、円卓の騎士一行は道中で合流した新たな仲間を加え、エイルーカ大森林へと立ち入ってゆく。

 ——不可思議が示す不可思議な宝。欲をかけば両取らず。

 さて、我らが主君はいずれを選ぶだろうか。

◆開幕フェイズ
 木漏れ日が差し込む静かな森の中、一行は歩みを進める。彼らは獣たち以上にひしひしと目に見えない『何か』の視線を感じていた。
 それが不可思議と呼ばれるものなのだろう、と数日に渡る探索の末に慣れつつある4人。

ギデオン : 「……そこらの果実で食糧を自足できるってのはいいが、またすっ転ばされたりなぞするのは勘弁願いてえな」

 ロンズデール領を出た後旅の仲間として加わったギデオンがぼやく。魚人族特有の2mを超える巨体を持つ彼は、入り組んだ森では実に歩きづらそうだった。

リリ : 「蔦たちもいたずら好きですから、転ばないようにお気を付けて。そのままつるんと足を取られて、ふもとまでそのまま落っこっちゃうかもしれませんよ」

トリンシック : 「歩くのも結構苦労するんすけど、幸か不幸か果物はとっても美味しいんすよねぇ」

リリ : 「トリンシック!!美味しいものがあったら絶対に教えるのですわ!!!共有知識ですのよ!!!!!!」

ノエル : 「それにしても、もうずいぶんと歩いたがあとどれくらいかかるものかのぉ」

 森に対する感想は三者三様だったが、まだ余裕はありそうだった。というか、君たち結構楽しんでないか?

エゼク : 「不可思議も悪い子たちばかりではないよ。彼らの道案内のおかげで、迷わずに進めてもいるんだ」

 不可思議が見える王子のおかげで一行はこれまで迷うことなく森を進めていた。こころなしか、王子の表情もロンズデール領にいた頃より明るさを取り戻していた。

ギデオン : 「ガハハッ、殿下を見てるとウチに置いてった娘を思い出しまさァ。年頃も同じだし、男より元気に森の探索に出やがる蓮っ葉で……」

 ギデオンが口癖のように娘自慢を初めたその時。

ギデオン : 「……うおっ!?」
 
 何かを踏みそうになって、彼が突然足を止める。

5人 : 「カエル?」

 カエルだった。体長15cmほどの翠緑色のカエルが明るい立て襟の服とマントを着て、一行の前に二足歩行で立っていた。

ライオネル : 「これは失敬。驚かせてしまいましたな。我輩はライオネル。『翠玉の騎士』ライオネルと申す者です」

 ライオネルいわく、騎士たちの夢に現れた『朔日の賢者』デネトワからの助力をエイルーカの森に住む不可思議たちは受けており、彼女の言に従って一同を支援したいとのこと。

 若干不思議に思いつつも、立ったクエストフラグは回収する主義の騎士3人はライオネルの案内に従い、エイルーカの不可思議たちを束ねる長に出会うのだった。

仙魚 : 「よくぞ。よくぞご無事で、王子、それに円卓の騎士の皆様がた。私はこのエイルーカの不可思議を束ねる、当代の長。名はございませぬが……人口には、仙魚などと大層な名で膾炙しておりますじゃ」

 人語を解する黒い鱗の大魚は語る。

仙魚 : 「……前置きはさておき。皆様をこれに呼び立てたのは、我らエイルーカの不可思議より、贈り物をするためですじゃ」
 
 英雄王の血を引き、不可思議にとっても存在そのものが重大な意味を持つエゼク王子。彼に森が蓄えてきた力をもつ贈り物をしたいと言う。

リリ : 「彼らは安全ですの?」

 と不安になったのかひそひそ聞くリリ。

エゼク : 「うん。いやな音は聞こえない。でも、なんだろう。この場所はなんだか、懐かしい感じがする」

 リリの問いかけに、王子自身も不思議そうに答える。

 騎士と王子が承諾すると、仙魚の合図に従いカエルの不可思議たちが二つの物体を運んでくる。

 かたや、赤子のこぶし大ほどの大きさをした黒い球体。かたや、古風な作りをした美しい片刃の剣。

 黒い球体は『森の卵』。月影を浴びせた夜の明ける頃、大地へ埋めることで周囲一帯を森に生まれ変わらせるほどの恵みをもたらす。

 古風な名刀は『万(よろず)の歌』。振るえば勇ましき唸りを上げて歌う剣。その歌は戦さ場に立つ勇士に絶大な力を与え、あらゆる困難を突破させる。

 いずれも貴重な逸品。しかし、不可思議たちが力を吹き込むことによって機能するため、どちらももらうということはできないらしい。

 すなわち、豊穣か力か。今回の旅の命題は二者択一の『ギフト』を選ぶことである。

(その2へ続く)

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