温森おかゆ(まんじゅう)さんの日記 「ケダモノオペラ【少年と絵】感想」

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温森おかゆ(まんじゅう)
温森おかゆ(まんじゅう)日記
2023/12/11 23:37[web全体で公開]
😶 ケダモノオペラ【少年と絵】感想
 ついこの間までは「ナラティブ系TRPGシステムか……難しそうだし時間かかりそうで嫌だな……」と思いっきり食わず嫌いを起こしていたのだが、マモノスクランブルによってその認識も変化が起き、興味が出てきたところでご縁があって、ケダモノオペラの体験セッションをさせていただいた。

 物語の落ちつきどころが自由なゲームのため、内容を言ってもそれほどネタバレにならない可能性はあるが、逆に内容を一つでもバラすと筋道の大体の所が予想できてしまいそうなので詳しくは説明しないことにする。
 代わりに1回体験したところでケダモノオペラというシステムに対する感想を述べていく。
 内容は「暗黒童話を紡いでいくTRPG」といったもの。プレイヤーキャラクターは人喰いのケダモノとなり、登場人物と関わって物語を紡いでいくゲームだ。その世界観が世界観だけに、物悲しい設定やシナリオが多い。ただ、選ぶケダモノの能力をうまくこじつければ、ハッピーエンド……私の場合はメリーバッドエンドのようなものだったが……に辿り着くことも可能ではあると思う。
 重要なのは、シナリオで提示された物語の筋道やプレイヤーキャラクターたるケダモノの意志など関係なく、物語を紡ぐプレイヤー自身が望む結末に物語を落とし込むことである。そこがナラティブ系の難しさでもあり、楽しさとも言えよう。
 物悲しいのは嫌だな、という人や、ナラティブ系は苦手だな、と言う人にはあまりお勧めできない。ハッピーエンドにするもバッドエンドにするもすべてGMとプレイヤーの胸先三寸で決まる、逆に言えば、自らのプレイヤーキャラクターであるケダモノをどう物語の中で動かし、エンディングを自分の望むものにするかは、GMとプレイヤーの想像力と構成力次第であるため、そのあたりに自信がないと難しい、という印象を受けた。まあ、この辺りはナラティブ系ならではで、このゲームの欠点というわけではない。ただ、状況やシーンの大体の指針が決まっている【マモノスクランブル】とくらべ、こちらはさらに難しく感じた。シーンのエンドは決して定型があるわけではなく、ケダモノオペラに関しては寧ろ【シーンやシナリオの流れを自分の望む方向に動かすために〈予言〉と呼ばれる、ロールプレイの指針となるものを選抜する】という作業になるのだ。
 自由度はさることながら、と言う感じだが、言うなれば「何でもいいが一番困る」という状況に陥ることが何度かあった。
 初めからシナリオ概要を見たうえで、そのシナリオをどういうところに落ち着かせたいか、方針を自分で決めたうえで臨むと良いだろう。

 さて、大量の文で序盤を流したところで、シナリオの感想に入っていこうと思う。
 シナリオの概要は「とある有名な絵を見に来た少年が、その絵が失われていることを知って途方に暮れていた。そこに出逢ったケダモノ。ケダモノは失われた絵のありかを知っていた。どういう風の吹き回しか、ケダモノはその少年に、その絵を見せることにした」というもの。
 私のケダモノはヤミオオカミ。月を喰らい、時を操る能力を持つ巨大なオオカミのケダモノで、人間と関わり合うための仮初の姿である人間形態「疑似餌」は、髪を隠した修道女の姿である。
 私はあまりブッソウなことが好きではないので、ケダモノの性格は「なんだかんだ言いつつ人間に憧れがあり、人間を飼うことで永劫の時間に慰めを得ている」と言う設定になった。ただの世話焼きオオカミで、修道女の姿も相まって少年に対する行動は非常に母性溢れるものになった。少年は人間なので、ケダモノからしてみれば食べ物なわけだが、反面人間に興味があったり、憧れたり、面白く思うこともあるようだ。
 GM操る敵のケダモノのお陰でヤミオオカミのキャラクターが際立っていた。
「『また』昔のように、人の子を『飼って』、永遠の退屈を慰めるか? くだらん……嗚呼、実にくだらんッッ!」
「貴様は、いつになったら『学習』するのだ? なんど情を移し、なんど孤独を味わえば気が済むのか」
「この、“ままごと好き”め!!」
 などの迫真のライバルロールプレイによって度々舌を巻いた。

 そのうえ、幕間シーンで〈予言〉の確認と、エンディングをどのような結末に導くかの相談を密にしてくださったため、エンディングは私の希望通りで、とても味わい深いものにしていただいた。NPCの少年の母親のロールプレイを預けて下さったことも、楽しかった。
 手間のかかる初心者の体験セッションにお付き合いいただき、密な相談と素晴らしいロールプレイでストーリーを盛り上げて頂いたGMのつぎのさんに多大なる感謝を申し上げる。
 ハイレベルな楽しいセッションをさせていただいた。
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