温森おかゆ(まんじゅう)さんの日記 「シナリオの作り方」

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温森おかゆ(まんじゅう)
温森おかゆ(まんじゅう)日記
2024/03/25 19:12[web全体で公開]
😶 シナリオの作り方
 シナリオを考えているとだんだんと煮詰まってきて、それまで考えていたことと考えていることがどんどん頭の中で混沌と化してきたので、一旦筆をおいて、シナリオの作り方について備忘録をまとめておくことにする。
 シナリオを作るのは才能だとか、限られた人にしかできない芸当のように言われるがそんなことはない。「俺の考えたスゲー面白いシナリオ」さえ頭の中にあるのなら、誰でも作れる。
 逆に、まず「俺の考えたスゲー面白いシナリオ」はすべからくあなたしか思いつかないし、したがってあなたしか作れないので、「思いつく」という段階から、もう世界でたったひとつのシナリオが始まっていると言えるのだ。そこでシナリオ作りを「才能」で片づけ、ダイヤの原石を埋もれさせてしまうのは、あまりに勿体ないことだと思えないだろうか。

◆思い付く
 まず「思いつく」ことからシナリオは始まる。思いついた「ネタ」というのは、言うなればシナリオの原石だ。これから思いついた当人が磨き、形にしていかなければならない。
 そこで「どうせ私がシナリオなんて書けない」と思い付いたネタをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱にダンクするのはあまりにも勿体ない。この世界でそのネタを思いついたのは、間違いなくあなたひとりで、それをシナリオにできるのも世界であなたひとりなのだ。それを忘れてはいけない。
 文才とか発想力とかそういう問題ではない。ネタを思いついた。そこからもう、ペンを握っていようがなかろうが「シナリオ」は始まっている。これから始まるのは、あなたがシナリオのネタを思いついてから、エモい、面白い、楽しいシナリオに仕上げるまでのシナリオなのだ。それは寂しいソロセッションだが、途中で降りてはいけない。

◆書いておく
 それはともかくとして、思いついたネタはそのままにしてはならない。とにかくレシートの裏でもメモでも、後ですぐ見返せる場所にそのネタを書く。
 私であれば「吸血鬼」。これだ。吸血鬼をテーマにしたシナリオをやりたい。
 さあ、もうこれでシナリオのテーマが決まった。あるいは、プレイヤーキャラクター同士の関係などが思いつくかもしれない。恋人関係とか、友人関係とか。あるいは、シナリオの中に登場させたいキャラクターか、アイテム。
 なんにせよ、まずそのひとつができた時点で、あなたはシナリオ執筆の第一歩を踏み出したのだ。あとはそこにたった今書いたテーマから、枝を生やし根を生やし葉っぱをつけていけば一本のシナリオになるのである。

◆書き連ねる
 だが「吸血鬼」と書いただけじゃシナリオは完成しない。忘れてはならない、たった今一歩を踏み出しただけで、実際のところ、完成にはほど遠い。ここで満足してはいられない。

 さて、そこでやるのが『連想ゲーム』だ。あるいは現代のカッコイイ言い方をすれば、『マインドマップ』である。まず「吸血鬼」から連想できるワードを、周りにどんどん書き出していく。「夜」「満月」「木の杭」「銀の銃弾」……さあもうシナリオに登場する要素の一部が出てきてしまった。吸血鬼が関係しているとプレイヤーに連想させるために、これらの要素をシナリオテキストのどこかにぶっこんじまえばいいのだ。
 背景になることも、NPCの描写になることもあるだろう。思いついた端から書き連ねていく。そしてそれを、シナリオの使えそうなところに入れていけば、雰囲気はバッチリだ。

◆あらすじを書く
 ある程度シナリオのイメージが出来上がったところで、シナリオがどのような場面から始まり、そしてどのような雰囲気で始まるのか、あらすじを書いておく。あらすじは、シナリオのネタバレを極力踏まないようにしたいプレイヤーが、それでもシナリオの雰囲気や自分に合ったシナリオなのかを知るために注視するところだ。ここはしっかりと、どのような雰囲気で、どのようなシナリオで、何がテーマなのかを分かりやすく書いておくのが良い。

 いや、どんな感じで書けばいいんだよ、そう思った人はとりあえず映画館にでも行って、無料で配られている映画のチラシで「面白そうだな」と思ったものを幾つか取ってくると良い。たいていのチラシには映画のあらかたのあらすじが書かれているだろう。あれを参考に書きあげるのだ。
 外に出るのが面倒ならば、ルールブックが手元にあるだろう。公式シナリオがあって、公式シナリオにご丁寧にあらすじなるものが書かれているのなら、それと自分の中にあるシナリオの導入部分の説明を混ぜて作ればいい。
 おすすめは、続いていくことを感じさせる「引き」のあるあらすじだ。「どうなる、○○!」とか「○○の命運は、あなたたちに託された!」とかそういうやつだ。

◆シナリオ概要を書く
 だいたいどのくらいの長さで、何人で遊ぶのを想定したシナリオで、シナリオの中にはどんな要素が含まれていて、シナリオを作るのに使用したルールブック、あるいは関連サプリメントは何なのか(時折、基本ルールブックに加えて、サプリメントというデータブックなどを追加で使用しているシナリオを見たことがないだろうか)……そのあたりを、あらすじの近くに書いておく。
 これはシナリオをプレイする人が、シナリオの概要が自分のニーズに合っているのか、プレイできそうかを確かめるために見る。
 例えば、ほんの1時間程度で終わるような短いシナリオを求めている人もいるだろう。そんな人は概要を見て、大体自分の希望に合っているか、許容範囲であれば手に取るはずだ。
 あるいは、人数。2、3人ならプレイヤーのアテがあるが、シナリオのプレイヤー想定人数が10人とか書いてあったら流石に断念するだろう。
 この辺りは、シナリオを本当に楽しんでくれる人と巡り合わせるために必要な情報だから、必ず書いておくことをお勧めする。

◆シナリオを書き始める
 順番を後にしてあるが、別にあらすじやシナリオ概要を作る前にシナリオを書き始めても構わない。
 それぞれの場面が切り替わるようなシーン制を導入しているシステムなら、まずシナリオの題名(とりあえず暫定で構わない)の下に、入れる予定の各シーン名を、縦に十分な間を開けて記入する。物語のプロットで言う起承転結だ。「導入シーン」「ミドルシーン1、ミドルシーン2…」「クライマックスシーン」「エンディングシーン」といったふうに。
 そして、あらすじに書いた導入部分をそのままシナリオの「導入」シーンと「ミドルシーン1」の間の空白に書く。その後、巻き込まれてからどうなるかをその後のシーンに埋めていけば、シナリオの大体の形ができていく。

 シーン制ではないクトゥルフ神話TRPGも、ぶっちゃけ構成自体は「起承転結」だ。探索者が何かに巻き込まれ、すったもんだし、なんとか危険な状況を覆して、生き残る、あるいは死ぬ、発狂する。
 だからCoCのシナリオもとりあえず、小説のプロットを書くのと同じで「起」「承」「転」「結」と間を開けて並べて、「起」に探索者が事件に巻き込まれるまでを書き、「承」に探索者が事件に関する情報収集をするところを書き、「転」に探索者が生き残るための戦いに身を投じるところを書き、「結」に「承」と「転」での探索者の動きを受けてどのような結末になったのかを書けばいい。
「転」が思い浮かばない? 何もおかしいことではない。「承」から「結」に繋げられるのではないだろうか? それなら全く問題ないのだ。

 そしてこの段階では、「○○が○○した」「ここで○○を登場させる」といった、簡素な文で構わない。これは後の段階で文章を整えてそれっぽくすればいい。

◆整える
 ある程度出来上がったら、今度は文章の形を整えていく。よくあるような語り口調で、場面の描写を入れ、探索できる場所の描写を入れる。公式シナリオがあるのなら、それを参考に書きあげれば大体正解だろう。公式シナリオは、システムの雰囲気や判定形式などに合わせて整えられている。それを真似しておけば、勝手に「読みやすい」シナリオになるはずだ。……ある程度は。

◆シナリオ完成
 シナリオが完成したら、できれば自分でGMをやって、ミスや修正した方がいい箇所がないかを確かめる。
 何度か読み返して直していくのも大事だが、シナリオの難易度なんかはやはりテストプレイしてみなくては分からない。

【シナリオを作る上でのマインドセット】
◆奇を衒うな
 何度も言いたいが、「オリジナル」と「ただ奇を衒っただけ」は違う。他のシナリオにはない魅力を入れようとし過ぎて、シナリオ作者にしか分からないネタを入れてはいけない。
 一般教養として分かるような(小学生でもだいたい理解できるような)ネタを入れるのであればいいが、例えば歴史ネタの新説など、なかなか知られないリアル知識を要求するようなシロモノを、シナリオの進行に関わる重要な箇所に入れてはいけない。せいぜい「ついでにシナリオ進行とは関係ないけどシナリオの世界観やら雰囲気が分かる程度の情報が手に入る」程度の使い方にとどめておくのが無難である。入れるなら入れるで、シナリオ作者の脳内にあるそのリアル知識が、シナリオの中で手に入るようにしておくのをお勧めする。
 なぜかって、セッションの停滞の原因になるし、プレイヤーたちが悩みに悩んだ末、GMがおもむろに「実は……」と説明したシナリオ作者の中にしかないリアルウンチクを聞かされて、シナリオをクリアしても、実際面白くはないからである。
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レスポンス

れすぽん
れすぽん温森おかゆ(まんじゅう)
2024/03/25 22:37[web全体で公開]
> 日記:シナリオの作り方
「奇を衒うな」
正しくその通りですね!
はるるん
はるるん温森おかゆ(まんじゅう)
2024/03/25 22:29[web全体で公開]
> 日記:シナリオの作り方
僕の日記にも書いたけど、ジャンル?遊ぶゲームによってシナリオの難易度が変わりそうだね?
CoCなんかはシナリオやRP重視だけど、SWは戦闘重視だったりするので、わりと楽ちん?

僕はお気楽極楽なので…「思い付く」→「書き連ねる」→「シナリオ完成」だったりしちゃうけど(苦笑
なんにせよ…新たなGMの誕生を望むひとりでした♡
つぎの
つぎの温森おかゆ(まんじゅう)
2024/03/25 20:03[web全体で公開]
> 日記:シナリオの作り方
温森おかゆさん、こんばんは〜。
良い日記をありがとうございます、参考に…なります…!

提示頂いた手順を踏めば自分にも書けるような…気が…気が……?

何かをはじめるのに才能は要らないし、手順を少しずつ踏めば作る事ができる。

けれど、最後まで「コレを誰かに届けよう!」「書こう!」という気持ちを持ち続ける必要がある。
ある意味、それを「才能」って言うのかな?
…って、思ったり。

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