温森おかゆ(まんじゅう)さんの日記 「ケダオペ【英雄は負け知らず】」

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温森おかゆ(まんじゅう)
温森おかゆ(まんじゅう)日記
2024/07/08 21:20[web全体で公開]
😶 ケダオペ【英雄は負け知らず】
 ケダモノ少女が全力でヒロインおじさまを幸せにするハートフルなろうストーリー。おじロリというか、押しの強いロリとおじさまのロリおじ。
 【英雄は負け知らず】を幾度もGMされてきた、つぎのさんにお誘いを頂き、ありがたいことに第4陣目に参加させていただいた。
 これまでのエイユウたちを並べた一枚絵を見せていただいたのだが、なかなかにビジュアルが強いエイユウたちが並んでおり、壮観だった。

 とつぜん関係ない話になるが、ついこの間、家の車庫の片隅で古いクモの巣に尻尾を引っかけ、手足をバタバタさせていた子トカゲを発見した。助け出し、まだ色鮮やかな青のしっぽをひとしきり眺め、持って遊んで庭に放した。子トカゲは必死に逃げ出そうとして、指を思いっきり噛んできたが、ちょっとつねられた程度で痛みにすらならない。
 可愛くてつい好きなだけ弄んでから放したが、今思えば、小さい動物を気まぐれに助けて弄ぶ時の気分は、ケダモノオペラをプレイしている時の感情と似ている気がしなくもない。
 強大な捕食者が食うわけでもない小動物の命を好き勝手助けたり弄んだりする。そのとき小さな動物は翻弄されるだけで、その真意を推し量ることすらも、難しいことである。その縮図をプレイできるのが、ケダモノオペラなのかもしれない。……いや、弄ぶばかりがケダモノオペラでもないが。

 閑話休題。

◆ケダモノオペラとは
 プレイヤーは強大な生物、人喰いの“ケダモノ”となり、人間との関わりを描いていくナラティブ系TRPG。暗黒童話TRPGと銘打たれているが、意地悪な継母や魔女に残酷な方法で報いを受けさせるためだけのシステムではない。ナラティブ系なので、やろうと思えば残酷なバッドエンドからお砂糖吐き出すような甘ったるいハッピーエンドまでできる。
 ケダモノといえど万能というわけではなく、セッションの中で増えていく〈予言〉をロールプレイに取り入れつつ、縛りの中で自分の描きたい結末を描いていく。

◆イグニス PL:おかゆ
ケダモノ種:ドラゴン
「おじさまがこれから魔王を倒しに行く、その冒険譚を間近で見られるというのですか!? そんな! 願ってもないことです!」
「私は……あなたの、おじさまの、その魂が欲しい。それは、永遠に続くからっぽの時間の中で、あなたと共にありたいから」
 亡国の守護竜として君臨していた強大なケダモノ。当の王国はすでにウロボロスの流れの氾濫に巻き込まれ滅びて久しく、イグニス自身もその王国を守っていたころのことはすでに忘れている。
 しかし、記憶のどこかに人と共存していたころのことは残っているようで、人喰いのケダモノのなかで、比較的人の願いを聞き入れる事にも抵抗がないタイプ。
 おままごとと、人間の世界のお芝居、物語が好きで、寂しがり屋。並みのケダモノすらも寄せ付けない力を持っているがゆえに長いこと孤独に身を置いており、疑似餌で一人遊びに興じて紛らわせていたところに、エイユウが訪れ、共に旅をすることになった。
 光の主の聖剣を旅の道中で見つけ、「これオペラの【竜融合】で直せませんかね?」とGMに提案したらなんと通ってしまったので、自ら飲み込んで聖なる斧として作り変え、かけられるだけの魔法をかけてエイユウに授ける。エイユウのおじさまのためなら聖剣飲み込んでお腹を壊すし、100年王国に縛られる代わりにその自由も買う。ケダモノとしては異例の献身かもしれない。

 だが私の中では、あくまでイグニスは「エイユウのため」というよりも「契約のため、人間全体の利益のため、ひいてはケダモノのため」という超壮大な合理主義で動いている。
 エイユウと違って目前で人が死のうが別に構わないし、国ひとつ滅びることを厭わない。
 契約だから人間を助け、貴重な食糧である人間全体の利益のためにエイユウを活かし、その自由を贖っただけなのだ。すべて、全体にとって、強い力を有するエイユウが自由に生きている状態が利益となると確信した上の行動ではある。
 このあたり、ケダモノのロールプレイとして今回こだわった点だ。だから、道中でエイユウ以外の人間を助けることを進んではしなかったし、国を滅ぼすと本気で脅した。
 たったひとつ、純粋に自分のためだった言動と言えば、エイユウに対して言った「生き尽くして、喰われてもいいなら、戻ってきて」というお願いだ。

 総括すると、一見めちゃくちゃ人間に優しいように見えて、事実めちゃくちゃ自分勝手な判断で動いているのが、結果的に人間視点で利益になっただけ、という、ケダモノの「気まぐれ」に視点を置いた回だと思っている。あ、それはそれとしてプレイヤー的には全力でおじさま幸せにしましたとも。

◆エイユウ GM:つぎの
ケダモノ種:二エ
「待たせたな! もう大丈夫だ! 俺たちで、1匹残らずやっつけてやる!!」
「人間たちを守れる力がある。……それだけで最高だ。ああ、それだけで十分だ」
 北の果て、ボレアの国からやってきた、人喰いのケダモノすらも凌駕する戦闘力をもった男。
 4陣目にして記念すべき男性キャラクターでのエイユウとなったそうだ。しかもあご髭を蓄え、シワとほりの深いおじさま。逞しい胸元の胸毛がセクシー。キレイめの歴代エイユウの中でも、異色と鬼強めのビジュアルを持つ。
 現実は全力でバッドエンドに引っ張られていく囚われのヒロイン。
 いやー、精悍なおじさま成分がたっぷりで非常に嬉しかったです。何も言わずともあご髭と胸毛が立派な男の人出力していただけるとは思っていなかったもので、すごくうれしい。ケダモノを倒すくらい強いって聞いてたから、最終的に正統派ヒロイン化するとは思ってなかったがそれもまたいい。良いじゃないですか。美少女に全力で幸せにされる正統派ヒロインおじさま。
 聖なる斧を貢がれ、自由を貰って、人生の最後に会いに来てと美少女から熱烈逆プロポーズを受けるおじさまなんて最高属性てんこ盛りパフェに決まってるだろう。
 出目が戦闘以外ではやる気がなかったり、人間の裏切りに対する絶望が出目に現れたり、ロールプレイに出目が良い意味でも悪い意味でも応えてくれるのはいつものつぎのさんクオリティだった。いいロールプレイをすると輝き始める。たぶん、このGMはダイスの女神さまに愛されている。

◆英雄は負け知らず あらすじ(ネタバレ注意)
 永遠を生きるドラゴン、イグニス。少女の姿をした疑似餌(人型の器官)を持つそれは、永い孤独の時間の中で、ひとり遊びに興じていた。
 そこへ突然、深緑の服に身を包んだ男が現れ、ケダモノであるイグニスを倒しに来たと言った。イグニスは、久方ぶりの知的生命体との会話と、男との戦いに舞い上がった。
 男はイグニスを叩き伏せ、こう言った。「俺はこれから、魔王を倒しに行かなくちゃならない。ここでお前の命はとらないでおいてやろう。その代わり、俺の手足にならないか」──。あらゆるケダモノが、「身の程知らず」と唾棄するであろう、その提案に、イグニスは顔を輝かせ、ふたつ返事で答えた。「願ってもないことです!」
 かくして、イグニスと男……「エイユウ」の冒険は始まった。ひとりと1匹は互いに協力し合い、時に腹を探りながら、魔王の城へと着実に歩を進める。
 魔王の城は、多くの罠が待ち受ける危険な場所だった。待ち受ける多くの試練を乗り越えても、その先には魔物を率い、破壊を繰り返した魔王が鎮座している。エイユウの身を慮ったイグニスは、道中拾った聖剣を自らの力で聖なる斧へと作り変え、エイユウに授けた。エイユウは聖斧と、イグニスの力を借り、魔王を打ち破ることに成功した。
 一件落着……と思われた矢先。エイユウは王国の使者に捕らえられてしまう。使者を率いる宰相は汚い手を使い、「エイユウの処遇を国に一任する」ことをエイユウとの契約に書き加えてしまった。
 エイユウの自由が奪われたことにイグニスは怒り、抵抗するが、宰相の命令ひとつでエイユウはイグニスに刃を向けた。消耗していたイグニスにとって十分な痛手となり、動けなくなったところで、エイユウは使者に引っ立てられてしまう。
 数日眠り続けていたイグニスが目を覚ましたころには、エイユウはすでにいなくなっていた。イグニスは痕跡を辿ってエイユウの後を追うことを決意した。
 イグニスが王国に到着すると、目前には雁字搦めに縛られたエイユウ。なんと彼は、「真なる魔王」として処刑されるというのだ。
 エイユウを助け出すため、イグニスは、宰相の元からエイユウの聖斧と契約書を盗み出した。そして、エイユウが処刑される、その直前に降り立つと、こう言った。
「この王国は、間もなくこの私の手によって、罰を受けることでしょう。しかし、それが嫌なら……私と厳正なる契約を交わすことです。
 この私が、この王国を守護し、向こう百年の安寧を約束しましょう。その代わり、私は国の一部として、まつりごとにおける決定権を有することとします」
 イグニスはこの契約を人間たちに飲ませ、百年、自分が王国に縛られる代わりに、「国」として自分がエイユウの処遇を決定することで、彼の自由をあがなったのだ。
 自由を手に入れたエイユウに、イグニスはこう頼んだ。
「もし、十分生きて、最期に私とあると決めてくれたなら……その時は、私の元に帰ってきてください」
 エイユウは旅だった。戦乱の後、その力で、平和を作るために。人間たちを守るために。
 イグニスは王国に残り、治世と守護で王国を栄えさせた。
 ──最後にこのひとりと1匹がどうなったのかは、百年経った今、イグニスしか知らない。
 ただ、イグニスは百年王国を鎮守し、ふたたび闇の森に去っていった。それだけは、確かな話である……。
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