かもらいふさんの日記 「「リアルリアリティ」と「ビリーバビリティ」」

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かもらいふ日記
2019/05/22 17:11[web全体で公開]
😶 「リアルリアリティ」と「ビリーバビリティ」
ひとくちに「リアリティ」といって、本来異なる要素を混同するといろいろ問題が起こる気がする。
思いつくのをあげると、「(狭義の)リアリティ」と「ビリーバビリティ」。
もっとあるかもしれないけど、とりあえずこの2つについて少し語ってみる。

【リアリティ】
それは「現実(real)と照らしてどれくらい整合しているか」ということ。
我々は現実に生きているので、感じ方には良くも悪くも現実の知識がダイレクトに反映される。
例を挙げるなら、「中世欧州風ファンタジーにジャガイモが出てきたときどう思うか」とか。
現実の中世欧州にジャガイモは伝来しておらず、それを知っている人にとって先述の描写は「リアリティを損ねる」ものと受け止められるだろう。

【ビリーバビリティ】
現実を基準に整合性を評価していたリアリティとは異なり、こちらは「作品世界において、どれくらいもっともらしい(believable)」かを評価する。
たとえば、先述のジャガイモに関して「実はあの世界、現実世界と似たような高度文明が一度滅んで再興したものなので、欧州にジャガイモが存在する状態で”ニューゲーム”してるのだ」と言われれば、まあ納得してくれる人も少なくないはず。
或いは「実際の名前で呼んでもピンとこないであろうあなたのために、現実世界における似た性質、似た立ち位置のものの名前を借りて”翻訳”したのです!」というトールキンメソッドでも、「おめーそれ17世紀に核戦争始まるのが日常茶飯事のシド星で言えんの?」っていうCivメソッドでも構わない。

とにかく、言い訳はたくさん思いつくし、何を出してもだいたいの反論に打ち勝って(その世界における)「真実」の座を勝ち取れる。なぜなら、評価基準である「その世界における理(ことわり)」まで表現者(シナリオ作者)側に任されているから。反論者が「いかなる前提においても絶対に起こりえない」ことを証明しきれない限り、何を出してもほぼ自動的に正解になるのは当然といえる。何このチートなワンサイドゲーム。

…で、TRPGにおいては、殆どのシステム・シナリオで少なからず非現実的な要素が存在している以上、ビリーバビリティが設定整合性の評価基準となるし、そうあるべきだと思うんですね。現実やそのシミュレーションでない以上、リアリティによる評価は(完全にとは言い切らないがほぼ)無意味なので。

上記踏まえて、提言。
PL諸氏は、シナリオの描写や設定が現実と照らして食い違っていても「リアルじゃない」と批判しない方がいいでしょう。実際、現実ではないのですから批判になっていません。何をどう考えても絶対あり得ないことを証明できないのであれば、批判は時間の無駄でしかないので「GMがそう言うならそうなんだろう。このシナリオの中ではな」と、広い心で受け入れてあげましょう。
一方、シナリオ作者諸氏、GM諸氏におかれましては、だいたい「そういうものだ」と言い張れるとはいえ、それになるべく甘えず「その世界における理」を前提に論理的に説明できるよう設定を練っておきましょう。どうやってもリアリティに固執する相手でもなければ、受け手自身がそれなりに「ビリーバブル」な仮説を立てて「起こりうるのだからおかしくない」と論理的に受け入れてくれるはず。それだけで無用なトラブルはかなり避けられるでしょう。

それでも相互に納得いかないごく一部の例外ケースは……もうTRPG性の違い、ってことで、距離を置くしかないんじゃないですかね…(無責任
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