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😶 初めてのTRPGに向けてキャラ作成(&願掛けの小説化) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)■キャラクターシート https://trpgsession.click/character-detail.php?c=157023481948akak46ek&s=akak46ek ■初めてのTRPG 今度参加させていただくTRPG(SW2.5)で使う予定の賢神キルヒアのもやしプリースト。生死や依頼成功失敗はともかく、GMや他のプレイヤーさんに不快な思いをさせず、楽しい冒険にしようという願掛けも兼ねてPCの個人的な導入を小説化。 【初めての冒険】 「冒険に出る理由、ですか?」 「ああ、冒険者なら誰だって持っているもんだろ」 夜。焚き火越しに先輩冒険者に問われた。 身の上話になるので少し迷ったものの、話すべきだろう。この人には恩がある。ハーヴェスに向かおうとしていた私を護衛してくれているんだから。 「人探しです」 「嬢ちゃんと同じ、エルフか?」 「いえ、コボルドです」 「人じゃねえな……」 「私にとっては恩人なんですよ」 私は故郷を蛮族に滅ぼされました。この世界ではありふれた話ですが、昔の私にとって蛮族とは顕在化した恐怖に他なりませんでした。 「避難した先にも蛮族が……人里で働いているコボルドがいました。当時に私にとってはコボルドですら、憎悪と恐怖の対象でした」 恐怖を募らせる日々の中、私は病に倒れました。里に流行り病がやってきたのです。今も昔も丈夫とは言い難い身体だった私は、間近に迫る死の恐怖にも怯えました。 「その死の恐怖を癒やしてくれたのが、コボルドだったんです。あの子は私を献身的に看病してくれて、不安で泣いている私によく声をかけてくれました」 「なるほどね。……で、そいつは何でいなくなったんだ?」 「実は流行り病の原因、その子だったんです」 可愛いけどちょっと不衛生な子だったので、媒介になっていたわけです。もちろん本人に悪気は無かったものの、それで許されるわけもなく――。 「原因発覚後、里の人々を恐れて逃げてしまって」 「恩人、とは言い難くないか?」 「私にとっては恩人です。世界を……というか、認識を変えてくれた相手なので」 私は蛮族が大嫌いでした。ですが、あの子みたいに恐れずに済む相手がいる事を知り、蛮族に対しても知的好奇心がくすぐられていったのです。 人族の「敵」を知る事が、私の故郷のような場所を作らずに済む近道と信じて。 「せめて私はあの子の味方になってあげたくて、探しているんです」 「だからハーヴェスに向かってるのか。あそこにいる確証はあるのか?」 「まったく無いですね」 「おいおい……」 「最寄りの大都市がハーヴェスとグランゼールの二択だったので、ハーヴェスの方を選んだだけです。あの子の境遇を考えたら都会にいる可能性が高いので」 あの子はコボルド。か弱いので1人、森で生きていくのも難しい。 今まで人族の里で暮らしてきた子でもあるので、里から逃げた後も人族の集落に身を寄せざるを得ないでしょう。そして、そこで職を得たいと考えるはずです。 「生きていくには働いて、糧を得なければいけません。余所者が仕事を見つけるとしたら小さな村落ではなく、大都市の方が可能性は高いはずです」 「確かにハーヴェスは『一旗揚げよう』ってやってくる子は多いな。近頃は鉄道建設で労働者募集盛んだし、それ抜きにしても栄えている港町だ」 「大きな図書館もあると聞いています。いいですよね、図書館!」 「人探し目的なんだよな……? だが、都会か否かで言うと、グランゼールだって栄えているだろ? 雑多で混沌としたところもあるが、十分デカい国だ」 「ですが、人口はハーヴェスの方が上です」 人口が多ければ多いほど様々な需要があります。 職も……良いものがあるとは限りませんが、あの子は根は良いコボルドなので身なりさえキチンとしておけばどこでも受け入れてもらえるはずです。多分。 「あと、グランゼールの発展は目覚ましいのですが、急速な発展には歪みが付き物です。その歪みが治安に響いているはずです」 「確かに……あそこは冒険者だらけだから、元気が有り余っている奴が多いな」 「あの子、臆病な子なので治安の悪い場所……怖いところは出来るだけ避けるはずです。まあ、あくまで比較論ですけどね」 ハーヴェスの治安も諸手を上げて「良い」と言えるものでは無いはずです。 人口多いって事は、揉め事も多くなりがちでしょうし。 「嬢ちゃんの考えはわかったが、そのコボルド、そこまで考えて動く奴なのか?」 「そこはちょっと自信ないんですよね……」 ただ、あの子1人で遠くまでは行けないはずです。里からハーヴェスに向かう事すら、あの子にとっては大冒険。ひ弱な私も同じようなものですけどね。 そう言うと、冒険者さんはニヤリと笑って意地の悪い事を言いました。 「奴隷商に攫われていたら、それもわからんな」 「心配になる事を言わないでください。コボルド達がまとめて檻に入れられ、きゅ~んきゅ~んと鳴きながら売られていく……。ふつーに可愛らしい光景ですね」 「頭は大丈夫か? 実際、この辺にも奴隷商や人買はいるぞ。随分前の話ではあるが……俺も商人に丸め込まれて売り飛ばされかけた事もある」 先輩はダイケホーン出身だそうです。 少しでも家計を楽にするために家を出て、冒険者になって働きつつ仕送りする。そういうつもりで旅立った後、あやうく売り飛ばされかけたんだとか。 「大変でしたね。……ちなみに、この辺りで活動している奴隷商の取引先って、どこなのでしょうか? あの子が売られた可能性を考えると知りたいです」 「俺も専門家じゃねえから噂程度しか知らんぞ」 ハーヴェスについたら裏付けを取れよ、と前置きしつつ、教えてくれました。 「例えばランドール地方だ。俺が売られかけたのもそこだ。ハーヴェスで船に乗せられて、海路で……って感じだったみたいだな」 「戦争用の奴隷ですか。コボルドでも需要があるものですか?」 「あるさ。戦力として頼りなかろうと、雑用はあるからな。あるいは爆発物を抱えさせられて、敵陣に突っ込まされたりとか……そういう事も有り得る」 「…………」 「まあ……海経由のランドール交易路に関しては、ハーヴェス王国が厳しく目を光らせている……はずだ。王家がそこの奴隷貿易に一枚噛んでいるっていう噂も聞くが、今の王様はそういう事を嬉々としてやるタチには見えん。したたかにやっているかもしれんし、王以外が裏でやっている可能性も無きにしもあらず、だ」 人族奴隷の売買は禁じられている場所が多いです。が、需要はあるのでしょう。 それに、あの子はコボルドです。一応は蛮族という事もあり、人族よりは公式に流通する可能性が高いでしょう。……それこそ家畜扱いです。 「他には蛮族と取引している奴もいるな」 「命知らずですね」 「そう。だが、需要はあるんだろう。商人にとっちゃ、それが冒険する動機になりうる。同胞である人族を騙し、穢れようと、手段を選ばん奴もいるのさ」 恐ろしい話です。……が、個人的には興味をそそられるところもあります。 「奴隷商絡みの話になると、相当危険だ。首を突っ込むのは止めておきな」 「十分気をつけ探ります」 「わかってねえな。嬢ちゃんみたいな女エルフ、需要あるぞ、きっと」 「ひ弱なので肉体労働ではお役に立てませんよ。もやしっ子です」 「バカ、ひ弱でも出来る肉体労働はあるんだよ。ミノタウロス辺りに売っぱらわれたら悲惨だぞ。……まあ、ひ弱だとアイツらは好まないだろうが」 何にせよ、危ない橋を渡るのはやめろと言われました。 「そもそも冒険者になるのも止めておけ。向いてねえぞ、その体つきは。ハーヴェスについたら何か……普通の職でも探して、幸せになりな。神殿とかに頼ってさ」 「向いてない自覚はあるのですが、冒険者の方が色々都合が良さそうで……」 お金も必要です。働かないと生きていけないのはあの子だけではありません。 「わからんな。そこまで拘るような相手か? 自分の命を大事にしろよ」 「自分のやりたい事は大事にしていますよ」 その1つがあの子を探し、無事を確かめる事。 冒険者になりたい理由は他にもあります。 「冒険者になって、争いの火種……人族と蛮族の争いを止める事が出来たらいいな、と思っているんです。それも1つの理由です」 「大きくでたな、そりゃ」 「非現実的な目標ですけどね。人探しより格段に」 「冒険者になって蛮族と戦って……滅ぼされた故郷の復讐する、って事なのか」 それこそ向いてないだろ――と言いたげな顔で問われる。 私は首を横に振り、詳しく話す事にしました。 「滅ぼすのではなく、蛮族を知るためです。書物や口伝で得られる情報には限界があるので、自分の目と耳で彼らについて知っていきたいんです」 「知ってどうする」 「争いを止める方法を模索するんです。絶滅戦争以外で」 「それは……無理だろ? コボルドみたいな奴はともかく、フッドやボルグ……ドレイクみたいな野蛮な奴らは根絶やしにするしかない」 「根絶やしに出来ますか?」 「やるしかねえのさ。勝って勝って、駆除し続けるしかない」 「私達より遥かに高度な力を持つ魔動機文明。彼らでさえ出来なかったのに?」 「む……」 かなり「良いところ」までいったのは確かです。 良いところまでいっても蛮族を駆逐しきれず、<大破局>によって文明は崩壊。逆に人族の方が滅ぼされかねない状態にまで持っていかれました。 「魔動機文明時代の優位性ですら、覆されたんです。かつての技術を取り戻す事が出来たとしても、また同じ事が起こるだけかもしれません」 「…………」 「蛮族相手でも会話は可能です。何かしらの方法で『戦った方が損だ』とお互いに考える状態になれば、いまより戦争は減るのではないでしょうか」 「……減るかねぇ。蛮族共が平和を選ぶとは思えんよ」 「所詮、私の言は夢物語です。実際の戦場や本物の蛮族を深く知る冒険者さんから見たら……鼻で笑いたくなるような話でしょうね」 「まあな。だが、魔動機文明ですら根絶やしに失敗したのは事実だ」 先輩冒険者さんが焚き火に木の枝を足す。火の粉がちりちりと舞った。 「お花畑思考でも……いや、夢物語だからこそ、そういう考えが蛮族の中でも蔓延するようになりゃ、何かが変わるかもしれないな」 「そう、それです! 私は蛮族について知るだけではなく、蛮族に自分の考えを伝え、感化させていきたいとも考えているんです」 そのために奴隷になるのも手かもしれません。 蛮族領に売られ、向こうで私塾の先生になるとか……。まあ、農業用の奴隷にされるとか、食べられるとか、慰み者にされる可能性の方が高いでしょうけどね。 それでも今の世界情勢が変われば、私の故郷のように滅ぶ場所も減るはずです。 あの時は、本当に怖かった。最終的に助かったとはいえ、一時捕まり、地面に押さえつけられ、耳を半ばまで削がれた時の痛みと恐怖。未だに忘れられません。面白半分に削いだ者達が小躍りしつつ、耳で出来た首飾りを作っている光景も――。 「…………。蛮族知るために冒険者になるのは茨の道だぞ。冒険者は蛮族相手に殺し合うのも仕事だ。刃を向けられりゃ、話し合いで解決する可能性は低い」 「そうでしょうね。私も死にたくないので、戦います。相手を殺しながらも相手を知り、模索し、次の世代が少しでも幸せになればいいな、と思っています」 矛盾した考えですけどね。 交渉のテーブルにつくことすら出来ないかもしれない。初めての冒険で無残に死ぬかもしれない。だけど、それでも、ひとまずは冒険者になろうと思います。 「冒険しつつ、あの子も探し、蛮族を知り……勉強も続けます」 「勉強ねえ。大人になっても勉強続けるとか、俺にとっちゃ悪夢だ。熱心だな」 「勉強しないと交渉すら難しいんですよ。……実は、言語苦手で……」 「は?」 「私、会話は出来るのですが、蛮族汎用後の読文できな……いえ、苦手で」 「…………」 「…………」 「包んで言うが、頭は大丈夫か?」 「返す言葉もございません」
> 日記:初めてのTRPGに向けてキャラ作成(&願掛けの小説化) 先輩かっけぇ…(^q^) キャラクター既に固まってるんですね♪ ストーリーは作るんですけど、数がかさむと結構簡易になりがちなので……素晴らしい(*・∀・*)ノ
> 日記:初めてのTRPGに向けてキャラ作成(&願掛けの小説化) 何という行き当たりバッタリw
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