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😶 Powered by the Apocalypse についてのお話 ご機嫌よう。 最近、個人的にPbtAに触れることが多くなりましたので、軽くご紹介しますわ。現時点では日本語で遊べるPbtAタイトルはありませんが、近日、あのハロウ・ヒルさんから Dungeon World というファンタジー系のPbtAタイトルが発売される予定だそうです。 PbtAはもともと、Apocalypse World というTRPGのルールでした。ポストアポカリプスの世界を舞台にしたナラティブ系TRPGで、判定は2d6上方、PCはクラスとスキルを選ぶ形式です。そう、これだけですと、一見何の特徴もなさそうに聞こえますね。 一方で、このルールは再利用もハックも自由とされていました。そうして海外インディーズシーンでは多くのタイトルに使われることになりました。 とまれ、PbtAはGMありシナリオなしのナラティブ系TRPGです。シナリオはありませんし、不要です。 まずはPbtAのキャラクターについて簡単におさらいしましょう。PCには以下の要素があります。 - プレイブック(いわゆるクラス。選択式です。ない場合もあります) - ムーブ(いわゆるスキル。選択式です。ない場合もあります) - 能力値(またはステータス。3〜5個くらいあります) - PCへの質問と答え(答えは自由記述または選択式、GMによる追加の質問がある場合もあります) - 他のPCやNPCとの絆(自由記述) - ダメージなどの状態 - 加えて、ゲーム中のメカニズムに関する状態がある場合があります プレイブックは可能な限りPC間で重複しないように選ぶという原則ですが、これは物語とどう関わるか、物語中どんな役割を担うかを表すもので、有利不利とかは一切ありません。データ量も少なくシンプルです。NPCにはプレイブックはありません。 ムーブは基本的にプレイブックで指示されたものから選択します。皆さんがおそらくよくプレイされているようなものと異なり、これは多くても10個はないくらいの選択肢から選びます。更に、ムーブはいわゆる「探索技能」や「戦闘技能」のように問題に対処する能力を表すのではなく、どのように物語を進めるかを表すものです。NPCにムーブはありません。 また、PbtA系システムといっても、いろいろなものがあり、中には Wise Women のようにプレイブックもムーブもないものがあります。Blackout のようにサブクラス的なものがあり、プレイブックを二種類から一つずつ選ぶものもあります。ムーブも、タイトルによって固定だったり、選べる数が違っていたりいます。Girl Underground は選択したプレイブックのムーブは全て利用可能ですが、青髭の花嫁なら3つから1つを選びますし、Dungeon Bitchesなら6つから2つに加えて別の2つから1つを選びます。 ステータスの数や種類もタイトルによってまちまちなら、表現される数値の範囲もまちまちですが、大抵の場合は -1〜+2の範囲です。NPCにはステータスはありません。 そして、そのPCがどんな人物かは、質問とその答えによって決まります(もちろん、プレイブックにもこんな背景または性格の人物ですという指示があります)。 例えば Dungeon Bitches の「灯火の少女」なら、こんな質問をされます。「あなたは何から逃げているのですか?」「あなたの人生に欠けているものはなんですか?」「あなたが最も恐れるものはなんですか?」 例えば青髭の花嫁の「妖女」なら、「あなたの口元はどのような感じですか?」「あなたを黙らせたい時、他の人はどうしますか?」 といった具合です。 絆は、他のPC(NPCを含む場合もあります)2人とどのような関係かを表すもので、RPの指針として使うだけの場合もありますし、プレイ中に絆を得たり消費したりする場合もあります。 たいていのキャラ作成の順番は、プレイブックを選ぶ → 質問に答える → 2人との絆を決める → ステータスを決める → ムーブを選ぶという順番でしょうか。 とはいえ、ここまでだと、他のTRPGとそんなに変わらないようにも思えますね。 判定は2d6で、7〜9で部分成功(代償を伴う成功)、10以上で成功です。基本的には。 そしてまた特徴的な部分ですが、基本的に、判定するのは「判定を伴うムーブを行った時だけ」です。それ以外に判定することはありません。NPCは判定しません。 ところで、この判定は、確率的にはかなり渋い気がしますね。完全成功はたったの16.7%です。というか失敗確率が41.7%もあります。判定には関連するステータスを足すことができますし、それ以前にどんなムーブを使っていたかによって更にプラスの修正があることもあります。プラス2されたとしても完全成功は41.7%、失敗は16.7%です。 一方失敗は、どんな厄介ごとが起こって目標を達成できなかったのかを語ります。再挑戦できるかどうかは物語上の要請によって決まりまが、大抵は別のチャレンジにスムーズに移行します。いずれにしても物語はスタックしません。 また一方、ムーブによっては失敗/部分成功/成功のそれぞれに選択肢が示されていて、そこから選ぶことでお話が進むという仕組みになっています。 例えば、Dungeon Bitches の「灯火の少女」の「第六感」ムーブに成功した場合なら、「一番危険なのは誰ですか?」「最も安全な逃げ道はどこですか?」「脅威はどこからやって来ますか?」「敵は何に対して弱いですか?」「なぜこのようなことが起こるのですか?」「私たちが何もしなければどうなりますか?」といった質問のどれかを行うことができます。 これが Girl Underground の「ビースティ」の「知恵を授ける」ムーブに失敗した場合だと、「私の助言はどのように問題を引き起こしますか?」といった質問に答えることになります。 この簡単な例ですと、そんな質問なんか普段からするって思うかもしれませんが、PbtAにおけるムーブは確かにスキルのようなものなので、スキルと同じように使うのですが(条件を満たせば自動発動という場合もあります)、それでもスキルとは違い、物語を前進させるための仕組みです。 もちろん、ムーブを使った結果、自分の次のムーブにプラスの修正を得たり、他のPCのムーブにプラスの修正を与えたりすることもあります。また、これもタイトルによりますが、絆を消費することで判定時のダイスを増やす(その場合、上位2つの出目を使います)ことができる場合もあります。 そして。 初めにお話ししたように、シナリオはありません。ルールブックにはゲームの進め方の説明が書いてありますが、PbtAは(わたくしがこれまで読んだ範囲では、ですが)特定のテーマに結びついた特定の状況を演出することの連続で物語が進みます。そして、テーマはプレイブックやムーブで表現されています。物語とどう関わるか(プレイブック)と、物語をどう進めるか(ムーブ)は既に決まっているので、あとはキーとなる状況さえ描けばよく、それはプレイヤーに質問して決めても構いません。「あなたのプレイブックには○○と書いてありますが、これのせいで厄介ごとが起こるとしたら、どんなことですか?」のように。そうして初めのシーンさえ駆動してしまえば、あとは適切な質問を続けることで、何度でも違った物語を生み出すことができます。 初めのシーンを駆動できればって、それが難しいんじゃないか、適切な質問って、それが難しいんじゃないかと思われる方もいらっしゃるでしょう。そこで、PbtAでは、GMが何をすべきか、どのようなシーンを描くか、どのように質問するか、全て掲載されています。 例えば、青髭の花嫁では、「花嫁の人生を恐怖で満たすこと」のような要点、「花嫁の不安を掘り下げること」「暴力の気配を感じさせること」のような原則、「恐怖を仄めかすこと」「前の花嫁の苦しみを描くこと」「花嫁に自分の肉体的・社会的限界を思い知らせること」といった具体的指針が書かれています。 もちろん、これは見方を変えれば、システムとシナリオ(あるいはシナリオネタ)が一体になっていると考えることもできるかもしれません。 さて、こう読み返してみますと、この拙い文章では、わたくしがPbtAに感じている魅力を全く伝えることができていないように感じるのですが、興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたら存外の喜びですの。
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