無狼さんの日記を全て見る
😶 後日談(PCその1) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)よくクトゥルフやろうず時代に書いていた後日談が、急にふと書きたくなったので、今回はネタバレアリの設定付きです。 https://trpgsession.click/character-detail.php?c=172649628683nonwolfTRPG&s=nonwolfTRPG 救命医 心石 海歌(女性/25歳) (「コーヒー一杯分の恐怖」/GM めぎどん様より) ______ コーヒーが飲みたい。お腹が空いた。完全に夜が明けて朝だ。 眠気の山を越えて軽くハイになっていた私は大病院を抜けて、家に帰る途中だった。 「あー、いいなぁ、バレンタイン……恋人別れてからご無沙汰だし、……さむっ」 手がかじかむ。息をほぉぅ……とすれば白くなる、まだまだこれから寒くなる。 2月。雪が降ったり降らなかったりで、お店のそこかしこから紅茶や珈琲の良い匂いが漂ってくる。 いつもみたいに適当に済ませて、さっさと寝よう。だけどお腹が空いた、何かを作る気力は無い。 だけどコンビニ弁当や菓子パンとかインスタントラーメンで済ませたくはない、そんな気分だった。 「……ちょっと違うかな、もうちょっと落ち着いた、もうちょっと静かな、うん、もう少し静かな場所」 よくあるチェーン店を通り過ぎて、商店街を適当に歩いていると……古そうな喫茶店が心惹かれた。 「あ~、こういうの、あんまり来た事ないな、ドラマでしか見た事ないや。ん-、いま朝って開いてるのか?」 中に入ると……最初はいい雰囲気のお店だった。コーヒーの香りもよかった。……あのドッキリを除けば。 少なくともシャレにならないドッキリだった。共に居たはずの二人はあれから見かけていないし、上に行く気は無い。 ううん、その気になれば行ける。だけどそれはしたらダメ、それにあの子はもう少し、お店の手伝いがしたいわけだし…… 「540円のブラックコーヒーをお願い。また飲みに来たよ」 あの日、来ないと決めていたのにまた来てしまった。そしてまた次の週も…またその次の週も同じのを頼んでいる。 たぶん、あの子はきっと人に喜ばれたくて今もこうして珈琲喫茶店を続けているんだと思う。 通うたびに、ある程度だけど言葉が聞き取れるようになってきた。「お客さん、コーヒー、飲んで」……って。 「うん、また来たよ。今日はあのコーヒーをお願い。」 ……苦い。だけど最初の時よりはだんだん飲みやすくなっている気がする。 「うーん、今日はいい感じだね。…ん?そうだよ、美味しい。うん、美味しいよ。」 ……だけどお店の様子に耳を傾けていると、だんだんとだが、異常さが目立つようになってきた。 今のところは1月だけ様子を見てみよう。だって、今はお父さんの真似事をして店を続けてみたい子供なのだから。 「……」「ん?あぁ、考え事だよ。大丈夫。……それでいいの?分かった、540円だね。」 そう、しばらく、もうしばらくだけは、あの子の様子を見守っていてもいいんじゃないかって、思ったんだ。 ___救命医は扉を開けて外に出る。また来週、あの苦いコーヒーを飲みに来よう。
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