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😶 参加卓の妄想SSを垂れ流す日記です。(たたみました) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)注意点! この日記は私が主に土曜の昼夜に参加しているソードワールド2.5のリレーキャンペーン卓のファンSSというか、自分のPCの妄想書き殴りなんやらかんやらです。なんやらかんやらです。 なんやらかんやらなので興味ねー!って方はここで画面閉じましょう。 5行くらい改行したら始まります。 卓メンへ。 ただの妄想! 妄想です!! ゆるして!! ------------------------------------ そろそろ言い逃れが難しい。 先日の依頼で立ち寄ったマーマンの集落の経過を見るために数日ほどギルドを空けた帰り道で、雑貨店に立ち寄った。『冒険者御用達!』と店頭に堂々と銘打ったその雑貨店は、確かにその宣伝の通り、冒険者にとって必要な装飾品が所狭しと陳列されている。 (なかなか、なかなかだな。さすが都会) この街ーードーデン地方最南端、キングスレイ第四の都市フェルカフォードに来てもう一年が過ぎたものの、未だにこう言った発見はある。移り変わりの激しい都会は、二百七十年生きていてもなかなか飽きることがなかった。 (去年はここ、茶屋だった気がするんだがな……) 移り変わりの激しさに若干のもの寂しさを覚えつつも、店内をぐるりと回ってみる。知力が如何に低くとも見てすぐに分かるようにという配慮をしているのだろう、色と文字看板でしっかりとカテゴリー分けされた棚には、薬草、ポーション、武器の手入れ用品、文房具などが様々な種族向けに展開されている。 『スマルティエシリーズ、ラル=ヴェイネシリーズをお求めの方は二階へ!』 天井に吊られた看板を頼りに二階へと昇る。かつてラクシアで繁栄した二つの文明で人気を博したと言われているブランド。どちらも製造過程において生命力や精神力を活性化させる呪いが込められているとかで、発掘、修復することで現在でもなお冒険者に人気の装飾品として名を馳せている。 (後衛のおれはどちらかといやぁ〈ラル=ヴェイネ〉を身につけるべきなんだろうが……) そう思いつつも、スマルティエシリーズの棚を見上げる。神官であり森羅魔法の使い手である自分の仕事は、戦う味方のサポートである。攻撃にはてんで向かないため、常に後ろで戦場を把握し、都度都度必要な補助を取捨選択するのが役目だ。 “奈落の盾神”イーヴの神官として異端な方である自覚はある。自分のやり方は、どちらかと言えば妹神ハルーラの者に多い。だがまぁ、受けた神託はイーヴのものなのだ。致し方なかろう。まずエルフである自分に重装備で前に出るなんて芸当、よほど無理矢理に鍛えないと無理な話である。 だがしかし、だがしかしと、今の仲間たちとのこれまでの冒険を振り返る。年長者ではあるものの、生命力としてのタフさについては自分がドベである。常に若者たちが前で構え、こちらに攻撃が飛ばないようにしてくれている。パーティーとしての作戦は間違っちゃいないが、常に申し訳ない気持ちは付き纏っていた。 (せめて毒程度は受け切れると、胸を張って言いたいものだしな) 小さくため息を漏らしながら、装飾品を眺める。指輪にブーツ、ネックレスなどは見知っていたが、東洋の端の文化である和装小物が揃っているのは驚きだった。なんで半襟や足袋なんぞ取り揃えてるのだ。アル・メナス期のデザイナー、いくらなんでも手当たり次第すぎやしないか。いやしかし、和装がメインの自分にはありがたい。ちょうど〈巧みの指輪〉は既に買っていたので、あと一品は買いたいと更に歩を進めてみる。 (組み紐か……) 目に止まったのは、ずらりと並べられた組み紐の棚だ。鮮やかな彩色の施された組み紐が並ぶ様は圧巻の一言である。 そろそろ髪も伸びてきた。切り揃えようかと思っていたが、これで結うのも悪くはないかもしれない。仲間のナイトメアの青年も、最近お洒落なんかに気を使い始めたし、歌い手の少年や孫娘は元から身なりを丁寧にしている。リカントの女は……まぁあれはあれであの出立ちが似合っているのだし、冒険作家に追い回されるほどだ。需要はあるんだろう。なれば、自分もある程度は身なりに気を遣っておくべきかもしれない。 (何色にするかな……) いちいち手に取るのは気が引けて、とにかく組み紐を凝視する。朱、青、黄、橙。緑に桃色。本当に様々な色がある。染料が気になる。どうやって、どんなものを使って過去の者はこの色を染めたのだろうか。 「お悩みですか?」 いつの間にか、女性の店員がそばにいた。びっくりして後退ってしまい、後ろの棚に後頭部を強かに打ちつける。謝る店員に手で問題ないことを示すと、彼女はホッとしたように微笑んだ。 「もし宜しければ、お色、一緒に選びましょうか」 そう提案してくる店員の身なりは、見た目に無頓着な自分でも、彼女の柔らかな雰囲気によく似合っていると思えた。一人で悩むよりは悪くないかもしれない。こちらからも頼むと答えると、彼女は楽しそうに笑った。 「お客様の髪は少し濃いめの緑ですし、落ち着いた色味が合いそうですね」 店員は気合の入った表情で何本かの組み紐を手に取ってはこちらに近づけてくる。たまに甘い匂いが漂って心臓に悪い。 「お着物の色味とも合わせた方が良いかもですね〜」 どうやらこういう作業が好きらしい店員は、組み紐を徐々に厳選していく。やがて残ったのは、朱色、梔子色の二本だった。 「あとはお客様の方でお好きなものを選んでいただいた方がいいと思われます!」 だいぶ選び抜いてもらった。顎に手を添えて、組み紐を見比べてみる。 朱色を見て、脳裏に仲間の姿が過った。赤毛の女リカントの戦士。常に明るく豪快なじゃじゃ馬。たまに殊勝な顔も見せたり、頼り甲斐のあることを言ったりする、なんというか、見ていて飽きない女。 「……こちらをもらおうか」 朱色の組み紐を指さすと、店員は「やっぱり」と言った。 「実は、最初からこれを選ばれるのかなと思ってました」 「お客様、最初に目を止めてから、ずっとこれと他の色の見比べをされてたんですよ。お好きな色なのですね」 支払いを終えて、店を出る。「付けていきましょう! ぜひ、今すぐ! お客様に似合う結び目をレクチャーしますから!!」とあの後もせがまれてしまい、髪の毛はうなじのところで一つに結えられている。時折組み紐が揺れるのを感じる。 (……言い逃れができない) 店員に指摘されるまで、朱色に目を泳がせていた自分に気づかなかった。朱色に視線を移すたびに思い出していた顔が誰だったかを思い出してしまった。 さて、仲間にほぼ無断で数日ギルドを空けていた言い訳をどうしようか。土産でも買って誤魔化そうか。いや、そんな金はそろそろない。真面目に貯金をせにゃならん。 思えば、この街で冒険者稼業を再開して一年が過ぎている。普段は半年も同じ場所に留まらない自分としては長い方……というか長すぎる方だ。 (覚えられないために去っていたはずなのになぁ) 自分にはやりたいことがある。それは、人を巻き込んでまでやっていいことではなく、一人でやるべきことだ。魔法使いである自分が一人だけでなんて馬/鹿げた話かもしれないが、少なくとも“大切な者”を巻き込みたくはない。 ……今の仲間たちは、大切だ。大切になってしまった。感情を寄せやすい性質だからこそ、それを悟られる前に逃げるように離れてきたというのに、未だ彼らと離れていないのは、何故だろうか。 (……もう少し、あれらの行く末を眺めていたいものだ) みな、明るい未来へと歩いてほしい。自分がそこに行くことはないだろうと思っているが、彼らには光ある場所を歩いてほしいと思う。 ふと、少し前の仕事のことを思い出す。船の護衛で、赤毛の女リカントと交わした会話。 この先で見るものは、濁ったものにとどまらないと保証された。 何かあれば相談しろと言われた。 悔しいが、嬉しいと思ってしまった。過去しか見ていない自分でも、前を見ていいのかと錯覚するほどに。 頭を振る。あの女のことを考えると心臓が速くなる。言い逃れができない。ため息をつくと、朱色の組み紐が小さく揺れた。 (聞かれた時の言い訳も考えておくか……) ため息を一つついて、帰り道をまた歩き始めた。 今帰る場所へと、歩を進めた。 ------------------------------------ Q.おう、エピトレにもない半襟とか足袋とか作るんじゃあないよ。 A.だってこのPC、私の趣味で和装だから……ネックレスとか似合わなかったんや……!! こういう時入力不可の言葉あると大変やな(どこにあるのか数分探したぞ……
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