2020年代後半からそれまで世界中に蔓延っていた”平和”への幻想は、その悉くが惨く打ち砕かれていた。 領土・資源・民族・思想・エトセトラ…相互無理解の果てに人類が互いを「外敵」として認識し合う、醜い戦争(アグリー・ウォー)。当時の”平和の象徴”とも言うべき日本でそれは、押し寄せる無軌道な経済難民と密輸された雑多な兵器群による内乱という形で発生した。 ぬるま湯に肩まで浸かりきった怠惰な政府は早々に機能不全を起こし、治安組織による懸命な努力も虚しく、各地で連日の様に変わらず破壊と略奪は繰り返される。ただ一つ変わっていったのは…怒れる極東の地の民衆は、前の大戦後に抜かれた嘗ての牙を徐々に取り戻し始めていたということだ。 民間人有志による義勇兵の反抗開始、それと同時期に発生した、難民集団へ兵站供給を行っていた某国の内乱がこの紛争の趨勢を決した。 壊すだけで何ら生産性もなく、紛争の長期化で肝心の士気さえも失いつつある食い詰め者ばかりの大集団が突如として後ろ盾を失った結果、瞬く間に四分五裂の内部崩壊。弱小化した所を各個撃破された事でようやく8年に及ぶ紛争の終結と相成った。
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