😢 エモクロアシナリオ、WANNABEをPLにてプレイさせていただきました!
(▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)
哲学的ゾンビという哲学用語があるが、ご存知だろうか。一言でまとめるならば、他人の意識というのは感知ができないため、自分以外の人間は意識があるように振舞っているだけなのではないか、という考え方である。今回のシナリオでは、常にその考え方を信じざるを得ない状況が続いた。
さて、今回ぽろ様にDLをして頂き、念願のシナリオ『WANNABE』を回ることができた。マジで楽しかったよ。本当にありがとうございました。稚拙なRPや手描きイラストも温かい評価を頂いたし、何より素晴らしいキーパリング(エモクロアで適切なワードなのか?)に終始胸が締め付けられた。終わった後は、まるで友達の葬式を終えたかのような虚無感を味わうことができた。これぞTRPG。本当に最高だ。
ここからはネタバレを含む内容になる。自分用に書いているので見苦しいことこの上ないのでご容赦をば。
シナリオの始まりは、一人の少年に出会うところから始まる。親方!空から男の子が!とばかりに陸橋から落ちる少年を、共鳴者は華麗に受け止めた。僕の使うキャラクターの名は「堂下 忍」。善行を重ねることに憂いが一切なく、友達のことを何より信じている。堂下とは広辞苑曰く「昇殿を許されず、堂の下にいる身分の人」だ。即ち出世が許されない人、ってことだね。
忍はなんやかんやで少年を見送り、その後出社。帰りにお隣に住む早川さんが酔っ払いに絡まれているところを目撃。忍が助けた後、自宅飲みすることに。この早川さんってキャラが、ギャルみのあるキャラかと思ってたんだけど、全然違くってゆるふわ系の性格が狸みたいな女性だったんだ。想定と違ったから、ちょっとここでテンパってたのがばれてないといいが。
話していくうちに、「ああ、この子はきっと忍のことを慕ってくれているんだ」と思って愛おしくなった。のに。それから一か月、彼女と会うことはできなかった。唖然としたよ。もっと料理とか教えてよ。悩みもあるなら聞かせてよ。とか思った。
久しぶりに顔を合わせたが、そこに彼女の面影はなかった。ただ盲目的に忍のことを「忍様」と呼んだ。彼女曰く、どうやら忍は、完璧で究極の善人らしい。 ~♪「アイドル」がちらついた。
その時プレイの方針が決まった。彼女を取り戻さねばと。友達以外には多少の犠牲が出ても致し方ないだろう。あの夜、自分の人生に悩みながらも懸命に生きようとしていた彼女を取り戻さねばと思った。
忍には正義が分からぬ。忍は、一介のOLである。上司に頭を下げ、雑務をこなして暮してきた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
早川の協力もあって、彼らの根城と思しき場所には到達したがいかんせん人が多い。皆忍をまるで神のように崇め奉る。だが、忍は自らがどんな生き方をしてきたか自覚していた。地元を飛び出るようにこの町で一人暮らしを始め、社会のためを思い働いてきた。それ故、どんな状況に置かれても目的を見失うことはなかった。たった一度を除いて。
忍は極力目立たないよう探索を行い、ついには彼らの教祖と相対する。しかし彼は何も知らなかった。(ほんとは部分的に知ってたっぽいけど)
だが無駄骨ではない。吐き気を催す邪悪が渦巻くなか、重要人物との出会いを果たす。冒頭で助けた男の子の母親がいたのだ。正直PC的にもPL的にもこの異端者たちの集まる空間から一刻も早く出たいという不快感があったが情報に背に腹は代えられない。後日、男の子と再会すべく連絡交換を行い、その場を後にした。
翌日、男の子の家にて彼から様々な言葉を浴びた。「あなた様のよう人に優しくできるになりたい」「あなた様に近づけば、より幸福になれる」だから忍は問いかけた。「もし、もしもだよ。私が君のお母さんを〇そうとしたとき、君はどっちの味方になるのかな。」
彼が自分のことを大事にしてくれているなら、本当の私のことを見てくれるなら、母親を助けようとするはずだと。
勿論そう答えてくれるなら忍は男の子を助けるつもりでいた。だが違った。
男の子は忍の側についた。もうあの子は人間であって人間ではない、そう確信した忍は踵を返した。
しかし一瞬男の子は自意識を取り戻す。それと同時に黒幕が姿を現す。
男の子は黒幕に意識を上塗りされているだけだった。忍は悩む。男の子は今、人間なのか。それとも哲学的ゾンビなのか。結果、忍は彼を救うことを選ぶことにした。堂下忍はは良い人だ。困っている人を見ると助けずにはいられない。からだ。
狂気の駆け引きの後、男の子を抱きかかえることに成功した忍は黒幕から離れる。忍は黒幕に恐怖したからである。
その後、必ず戻ると言い放ち駆けだした忍だったが、その脇に抱えられる男の子は哲学的ゾンビに戻りつつあるのであった。
僕はとても後悔したよ。自分を探すことをあきらめるなとか、自分を見失ってるなら私が探してあげるとか大口叩いたやつが、恐怖で自分を見失うなんて、と。
そこからは崩れるようにバッドエンド。町中で誰もが忍の知らない忍を褒め称える。気づけば忍は、皆の期待の渦へと飲まれてしまった。もはや忍は人間ではない。大切な人の事さえ思い出せないのだから。
最後の描写を任されたとき、喉に餅でもつっかえたのかってくらい言葉が出なくて声を振り絞ったのが、今文字を打ち込んでいるときにも鮮明に思い出される。
最後に、描写の内容を意訳し〆る。
「あれ…この写真…誰だっけ…。まぁいいか。私はもう私だけのものじゃない。私にはたくさんの人を幸せにしなくちゃいけないんだから。私は誰でもない誰かの為にあるんだから」