柏木さんがいいね!した日記/コメント
柏木さんがいいね!した日記/コメントの一覧です。
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りちゃ | |
2020/12/03 23:36[web全体で公開] |
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あささ | |
2020/11/27 00:47[web全体で公開] |
😊 慟哭の山(二週目)KPをして どうもどうも、日記芸人のあささです。 こいつ暇なの?と思ったあなた、正解です。いや、正解ではないです。まともに日々の生活を送っていますよ。 さて、余談は火星の果てにおいておいて。 11/25~26にかけて「慟哭の山」の二回目KPをやりました。 PL2名は以前別の卓で一緒にPLをやった「イート全て表示するどうもどうも、日記芸人のあささです。 こいつ暇なの?と思ったあなた、正解です。いや、正解ではないです。まともに日々の生活を送っていますよ。 さて、余談は火星の果てにおいておいて。 11/25~26にかけて「慟哭の山」の二回目KPをやりました。 PL2名は以前別の卓で一緒にPLをやった「イート」さんと「柏木」さんでした。 一言いうならば最適な行動過ぎた。PLの二名のリアルINTが高いためまさかの無血での終了。(ファンブル除く) キーパリングのバランスへの課題が見えるとともに、PLの能力の高さを見せつけられたセッションでした。 誤解を生まないよう明言しますが、セッション自体はしっかりと前に進み、ロールプレイも素晴らしく楽しいセッションでした。中の人が強かっただけで、悪意のある行動は全くなくPLの二人には感謝ばかりです。 キーパーをやっていてとても楽しかったし、またお二人とは別の卓でご一緒したいなぁと思える内容でした。 しかしこれはクトゥルフ神話TRPG、黒くて蠢く何かを持ち帰ってしまうPCもおりましたね…
りちゃ | |
2020/09/30 03:53[web全体で公開] |
😶 知らず、悟らず、されど見澄ます それから (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 規則正しい呼吸のリズム、額から後方に流れ飛ぶ汗。 風が髪をなびかせ、巻き上げる。 この河川敷は陸上部の現役時代によく走りに来ていたコースだった。 まっすぐに続く道の先に、青空が嫌になるくらい深く広がっている。 あれからさ、時々考えんだ。 あんたがなんであんなもんに頼っちゃったのか。 センセイから図書館で猛特訓を受けて、暗号みたいだと思っていた数式の言っていることがなんとなくわかってくる度に。 家庭の問題っていうやつが、どんなにややこしくてやっかいな法律や手続きに絡めとられているか知らされる度に。 働くってこと、家に住むってこと、食べてくこと、その本当の難しさに触れる度に。 子どもでいんのに耐えらんないで、大人にだってそんな急にはなれないで。 心細くって、怖くって。 知られたくなくって、巻き込みたくなくって。 どうしようもなくなっちゃんたんだよね。 そんなあんたの笑顔の後ろの泣き声にもしも気づけていたらって。 あのいつものパン屋の角を曲がる度に、そう思う。 喉に何かが詰まりそうになって、気をとられて絡まりそうなった両脚を突っ張った。 膝に手をついて息を整える。 でもまだ、どこか繋がっている予感はするんだ。 手は、届いたから。 笑顔、見せてくれたから。 だから。 まずは知ろうと思った。考えよって思った。 回り道だって、なんだってさ。 あんたの心に追いつくために必要で、あたしらが知らないでいいことなんて一個もない。 だよね。 顔を上げると太陽の光が六角形に連なって、白く降り注いできた。 ねえ、知ってる? うちのばっちゃんの生まれた町だとさ、雨が白く糸みたいに降ってさ、縁を繋ぐんだって。昔話っていうの?なんかいいよね。 白雨のこと見てて、ちょっとそんなこと思い出した。 最近はさ、ちょいちょい一緒にご飯食べてんだ。 ほっとくと肉とかしか食べないじゃん。あの年頃の子って。 クリーミーフルーツサンドを齧る姉と、トーストを頬張る弟の姿が、妙に真剣な顔つきがだぶって浮かんで思わず噴き出した。 この際言っちゃうけど、悪い姉ちゃんだよ、あんたは。 でもどうせさ、納得するまでやるつもりなんでしょ。 頑固で、身勝手で、思い込み激しくって。 色んなあんたを見せてくれたよね。あたしらが知らなかったあんたのこと。 ちょっとびっくりはしたけどさ、いいんじゃない。 あたしはさ、嫌いじゃないよ、そういうの。 身体を起こして大きく息を吐く。道の先を見ると、車止めの柵が目に留まった。 一歩、踏み出して、駆けだした。 近づくほど柵はぐんぐん高くなっていくように感じる。 でも、そうね。 隣の席が空いたまんまの教室って、やっぱ寂しいからさ。 顔見に行くよ。 あんたが根をあげてくれるか、あたしらが本当にあんたに追いつけるまで。 何回だってさ。 空を蹴って、よく視て識って。縁を手繰って。 柵の三歩手前、勢いをつけて踏み切ると、飛び越えたつま先に土が舞った。 自然と笑みがこぼれるのを感じて、その光景を、その先をみつめた。 『さよなら泣き虫、ただいま歌姫』。 センセイの小説に誰かさんがつけたタイトルを思い出す。 自分で言っちゃうかな、そゆこと。 ほんとにもう。ほんとに、もう。 ーーーーーーーー 先日、時雨様キーパーで時雨作の「知らず、悟らず、されど見澄ます」に、高校生探索者、空蹴 貴子(そらけり たかこ)で参加させていただきました。 青春でした。アオハルでした。圧倒的な。ガラスみたいな脆い透き通った何かを抱えて駆け抜けた2日間でした。今回、キーパーの時雨さんが本編に入る前に日常編を2時間くらいやりましょうってしてくれて、それがまたよかったんです。ダウナーな体育会系の空蹴と、夜更かし趣味人な文系のセンセイこと高視、ゆるふわ小動物な冬音。クラスの隅でいつも固まってるみたいな3人がとても懐かしくて、愛おしくてたまんなかったです。テーマソングの「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がまたマッチしてて、切なくて、セッションの合間にはずっとリピートしてました。空蹴がセッション中3回組みつかれたこと、マーシャルキックを5回クリティカルしたこと。センセイがちょっと格好よかったり格好悪かったりしたこと。最後に奇跡の製作:小説をクリティカルしてエピローグを増築してしまったこと。新作パンを頬張ったり、お弁当をカンパしあったり。挙げだしたらきりがないほど心に残るシーンがたくさんでした。学生探索者いいなあ。 というわけで後日譚妄想です。 最後に格好いいこと言ったけど、やっぱり学生なので、進めば進むほど壁に当たったり世界の広さを思い知ったりするんだろうなあ、でもそれも確かな未来への一歩と受け止めるだけの信頼と予感は持っていたいなという気持ちでまとめてみました。高天原市キャンペーンの入口とのことでしたので、この先が楽しみです。これからどんなお話が続いていくのかわかりませんが、冬音のことを追いかけて、冬音の心に寄り添う旅にできたらと思います。 改めまして、マダラさん、キーパー兼シナリオ作者の時雨さん楽しい時間をありがとうございました。 続きもぜひ一緒に遊んでください。
りちゃ | |
2020/09/12 14:10[web全体で公開] |
😶 知ラナイ家 それから 朝倉太郎丸の病室を訪れると、部屋の主はいつもと変わらず虚空に視線を遊ばせたまま黙って来客を出迎えた。 こちらも勝手知ったもので窓際に向かうと一瞬の逡巡の後、カーテンを開いた。 窓の外には夕暮れの街が広がっている。 ビルの群れは暗がりに息をひそめながら所々を雲母のように煌めかせ、沈み全て表示する 朝倉太郎丸の病室を訪れると、部屋の主はいつもと変わらず虚空に視線を遊ばせたまま黙って来客を出迎えた。 こちらも勝手知ったもので窓際に向かうと一瞬の逡巡の後、カーテンを開いた。 窓の外には夕暮れの街が広がっている。 ビルの群れは暗がりに息をひそめながら所々を雲母のように煌めかせ、沈みかけた夕日は秋空を橙に灯しながら、たなびく雲を薄紫に染め上げていた。 時が止まったような錯覚を覚えて身じろぎすると、窓ガラスに反射した自分の姿がその所作を真似た。 その表情を注視するが、特に変化は見られない。 平凡な見慣れた冴えない男の顔だ。 そう、もうすっかり片付いた案件なのだ、あれは。 頭を振って窓に背を向けると朝倉は視線だけこちらに向けてきた。 やたら陽気な看護婦さんの言う通り、最初に比べると徐々に回復してきている。 LINEを開くと数日前の朝倉からの着信に目を落とした。 そして思い出す。あの知らない家での一件を。 だいたいずるいんだよ。 俺のせいだ、なんて。 あんな言い方されたらこっちだって怒れないじゃないか。 どうせこいつのことだ。一人でなんとかしようとしたのだろう。 こいつのたすきを継いだ形の俺たちは、最後に報われたような気がするけれど、こいつはどうなんだろう。 あまり気にしないような気もする。そういうやつだった。 持ってきた飲み物を仕舞おうと冷蔵庫を開けてみると、カットされたりんごと日持ちしそうな惣菜がひっそりと収まっていた。 少し迷った後、そのまま扉を閉じた。 これはこれで祈りの一種なのだという気がしたからだ。 あの娘たち、また見舞いに来てたみたいだぞ、と朝倉に声をかけた。 物静かな、けれど妙な説得力のあった縦坂さん。 てっきり本屋かと勝手に思っていたけれど、ティーショップで働いているのを窓越しに見かけて驚いた。 行動的で、泣いて笑って忙しそうだった南ちゃん。 保母さんだったとかでこちらはそう意外ではなかった。彼女の料理からは時折季節外れの花の香りがするような気がした。 どちらも美人で、朝倉がどこでどうやって彼女たちと知り合ったのか聞き出してやりたくなった。 早くよくなって起きて来いよ。 そうしてまた飲みに行こうぜ、学生の頃みたいにさ。 そこで俺らがどんだけ格好良くお前の後始末したか聞かせてやるよ。 ーーーーーーーー 先日、時雨様キーパーで八重樫アキノ様作の「知ラナイ家」に、事務員の仁井谷 円治(にいたに のぶはる)参加させていただきました。 21時に突然クトゥルフしたい、というわがままから実現した卓でしたけど、和製ホラー的な怖さがあって楽しかったです。描写やギミックは洋風な展開が多かった気がしますけど、舞台が日本の一般的な家屋ってだけで勝手に脳みそが和風ホラーフィルターをかけてしまうものなんですね。加えて迫りくる恐怖とちりばめられた罠がどこに潜んでいるかというどきどき感が終始あって、3人でお互いフォローし合いながら進められたのはチームとはいかないまでも仲間感あってよかったです。 というわけで後日譚妄想です。 キーパーの時雨さんがいつもやられていることだそうですが、NPCとの間の親密度を1d100で決めるのが面白かったです。マダラさんちの藍生さんが73とまずまずだったり、柏木さんとこの南ちゃんが32と、それって本当に仲よいの?という数字だったりする中、仁井谷は96を引いて、親友ポジションいただいちゃいました。そういう訳で、導入NPCだった朝倉が、プレイ中ずっと頭の片隅に居ついていて、あいつのためにも生きて帰らないとなあ責任感じそうだしというプレッシャーがあってそれもまた楽しでした。 改めまして、マダラさん、柏木さん、そしてキーパーの時雨さん楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者の八重樫アキノ様にも感謝です。 またよければ一緒に遊んでください。
りちゃ | |
2020/09/08 01:19[web全体で公開] |
😶 夜華 それから 私はその日、いつものように喫茶ヴェローナで昼下がりを楽しんでいた。 足元には大きな紙袋。 買ったばかりの浴衣が包みの中に淑やかに収まっている。 夏も終盤に差し掛かっており、いささか時期を逸した感もあったが、沸きあがる高揚感を押しとどめるものではなかった。 そして、その勢いで翻全て表示する 私はその日、いつものように喫茶ヴェローナで昼下がりを楽しんでいた。 足元には大きな紙袋。 買ったばかりの浴衣が包みの中に淑やかに収まっている。 夏も終盤に差し掛かっており、いささか時期を逸した感もあったが、沸きあがる高揚感を押しとどめるものではなかった。 そして、その勢いで翻訳の練習を兼ねて先日のことを文字に起こそうと考えてしまった。 これがいけなかった。 1時間もしないうちに私はテーブルに突っ伏していた。 何かの記憶違いではないかと、手帳をそっと開いて書きかけの手記に目を落とした。 最初は何もおかしくなかったはずだ。 舞台は夏祭りで、思いがけず美少年と二人きりになるくらいは青春ドラマの範疇だ。 まあ、美少年ではなく実際は年上だったのだけれど。 そのとてつもなく整った顔立ちの、背丈が私の頭二つ分くらい小さい男性と不思議な夜店を巡ることになった。 これもまだいい。不可思議な舞台のせいかそのギャップは好ましく映ったほどだ。 日本に来てからはついぞ聞く機会のなかった詩的な誉め言葉も、声を合わせた讃美歌も夏の熱気に中てられた素敵な思い出と言っていい。 けれど――。 その先を読み返すのに耐えきれず手帳を閉じて再びテーブルに突っ伏した。 さすがにこれは、何というかマニアックに過ぎると思う。 相手が美青年というのがまた背徳感を煽った。 両手で顔を覆っても、頭の中には鮮明にシーンの数々が止めどなく再生されていく。 思わず首筋に触れるとまだほんのり熱を持っているようだった。 とたんに彼の澄ました顔つきと言葉が蘇ってきた。 なんだか無性に悔しくなった私は、勘定を済ませると店を出てスマホを取り出した。 勢いのままに、そらで番号を入力して通話ボタンを押す。 どこからか祭り囃子が聞こえてくる。 今日が近所の神社の夏祭りだったことを思い出して、浴衣姿で彼の前に立つ私を想像した。 少しは驚かせられるだろうか。 そうなるといいなと思いながら、鳴り続くコール音に耳を澄ませた。 翻訳家とは情熱を伝える作業だと思う。 そしてそれはきっと人生においては特別なことではないのだろう。 ーーーーーーーー 先日、柏木様キーパーで草村英雄様作の「夜華」に、アメリカ人翻訳家Angelina Sullivan(アンジェリーナ サリバン)参加させていただきました。 不思議な祭りでわいきゃいしてきた訳です。途中から悪ノリ全開で楽しんじゃってましたけど、これはまずいですよ、まずかったですよね。アンジーはフットワークは軽いけど真面目寄りな子のはずだったんだけどなあ。こんなに日記を書きづらかったのは久しぶりです。楽しかったけどね!終盤の乱ちきの責任割合はキーパーに9割、相方だった天地志乃君のキャラ性能に1割といったところだと思います。願わくば同じ境遇を嘆きあえる被害者が増えてほしいところです。 という訳で後日譚妄想です。 と言っても完全な負け戦というか、終始振り回されてたアンジーに対して志乃君は全くと言っていいほど動じていなかったので、逆襲を試みますという話なんですけど、これがまた勝てる気がしません。絶対無理でしょう。かわいそう!キーパーにはシナリオ概要を伏せて始めたためのマッチングということで責任がありありなので、次回クリチケを5枚くらいいただかないといけないなと思いました。 改めまして、時雨さん、そしてキーパーの柏木さん楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者の草村英雄様にも感謝です。 またよければ一緒に遊んでください。
マダラ | |
2020/09/02 15:23[web全体で公開] |
😶 白夜の歌 ちょっとあとのこと (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)『当店の惣菜は清潔な環境で調理しています』 スーパーマーケットの惣菜売り場。そんな文言の記されたパネルが私の目に留まった。ごちゃごちゃとした色彩と目を覆いたくなるようなフォントの暴力に眉を顰め、私は口の中でぼそぼそと単語を並べ立てる。 清潔、浄化、無菌室。 そのとき、私の目の前を、小さな少年が通り過ぎる。いかにも躾のなっていない様子と、いかにも清潔さを保っていない指で、彼はべたべたと惣菜に指を触れた。顔をしかめ、私は踵を返して惣菜売りから立ち去る。 ああ、でも、本当にただ清潔な世界に比べれば、何倍かマシだな。食べたくはないけど。 頭の中を、あの砂漠がよぎり、それと同時に喉の奥から言葉があふれる。三つのセンテンス。ボキャブラリーの訓練。脈絡なんて考えちゃいけない。だって世界には脈絡なんてない、あるのは気まぐれな共通項だけ。 月の砂漠を、はるばると。旅の駱駝が行きました。 月、砂漠。 「月の砂漠。月、十五夜、兎。砂漠、……サバ、味噌煮」 ぶつぶつとつぶやいて、私は鯖の缶詰を手に取った。脈絡のない言葉の結びつけも、たまにはなにかの役に立つ。特に夕食を決めるような場合には。 脈絡のない出会いも、きっとそういうものなのだ。 ***** 小さなアパートの一室の玄関に足を踏み入れ、私は大きくため息をついた。 別に大して疲れてはいないのだけれど、これはあくまで一つの儀式だ。フリーのネットライターなんてしていると、オンとオフの概念があやふやになる。仕事がない時は休みで、仕事がある時は休みじゃない。普通の勤め人がそうするように、夜に家に帰ってきて疲れたように息をつくポーズを取らないと、生活からメリハリが失われてしまう。 買い物袋をテーブルに置き、缶詰と缶ビールを取り出す。麦酒の泡立つ小気味よい音に耳を傾けながら、最近新調したノートPCを操作して、メールの着信を確かめる。 マッチングサイトで知り合って多少話したものの、急な取材のためにデートの約束を守れなかった相手からの奥ゆかしい非難が一件。別に元々たいして好きじゃなかった。別に。 とある企業からの訴訟で世話になった弁護士からの法律用語で美しく飾られた心配と忠告が一件。君が最近個人的に興味を持っている研究機関に、警察に過去にあったある組織。どちらも正気の人間なら目をつむるべきだ。頼むから訴訟漬けになるより前に、地元中学のマーチングバンドとかなにかそういう平和なモノを取材しろとか何とか。 そして、記事を書いているサイトの担当者からの着信が一件。壱岐島における君の取材と記事には、端的に言って失望した。文章や筋立てがどんなに良くても、新聞とは違ってうちには日々の小説欄はないのだ。この原稿は出版社の文芸部に持っていった方がいい云々。 デート相手や仕事の担当には少しも謝る気は起きなかったが、弁護士には悪いと言わざるを得ない。でも私にはあの団体の動きを監視する使命があるような気がした。また連中が何かしでかすとなったら、危険を覚悟で告発しないといけないのだ。まあ、いざとなれば日本有数の財閥も味方してくれるかもしれないし、命の心配だけはして、あとはこれまで通りにやるだけだ。誰かさん曰く、死なない限りはなんとかなる。 とにかく、そんなすべてをゴミ箱に放り込んで、私は鯖の味噌煮を箸でほぐす。目をあげると、壁に掛けられたクリップボードが眼に入る。普段は進行中の取材に関するメモや写真を張り付けているその場所には、今は四枚の写真と、いくつものメモがあった。 喉を鳴らしてビールを飲むと、私は目をつむる。それから小さく十秒数えて、私は思い切り目を開いた。素早く唇を動かす。いつものトレーニング。まずは左から。 「ガイド、バギー、自衛官、行動力」 彼にはきっとまた会うことになるだろう。今度はバカンスにでも行きたいものだ。そう、きっと近いうちに、今度は観光地とか、おいしい店とか、そういう場所を教えてもらわなくては。きっとあのぶっきらぼうな口調で、何かとはっきりしない私を引っ張りまわしてくれるはずだ。 「アイドル、財閥の娘、マフラー、秘めたやさしさ」 彼女には嫌われてしまったかも。でもまあ、ライブのチケットは送られてきた。大音響にはまだトラウマがあるけれど、響くのが綺麗な歌なら、きっと怖がる必要はない。 「研究者、元刑事、理屈っぽい、……あの人の友達」 新聞社時代に世話になった、女性記者の先輩。あの人は彼のことも随分評価していたっけ。彼はあの人から聞いていて想像していたヒーローより、なんというか、こう、うん、だいぶ人間らしかったと言っておこう。彼とは会う約束を取り付けている。露骨に嫌な顔をされたが、放っておくと死にそうなのだから仕方がない。彼には是非とも、研究を成し遂げてもらわないといけないのだ。 「メカニック、名匠の弟子、修理、約束」 彼の師匠を探すのは容易かった。専門外の私でも名前を耳に挟んだことがあるほどのメカニックだ。彼はぶっきらぼうに、弟子の伝言を伝えた私に礼を述べてくれた。彼のことは幾分毒のある口調で責めていたが、それでもその言葉にあふれる愛を聞き逃す私ではない。 トレーニングを終え、私は満足した顔でもう一度ボード全体を見渡す。うん、奇妙な共通項しかなくても、そこには確かな物語がある。 PCをもう一度開き、映画のサイトを開く。出会いのない仕事で、夜はビールとつまみと古いフランス映画で過ごしてたんじゃ、当分恋人は望めないだろうな。まあでも、これが心地いいんだから仕方ない。 ジャン・コクトー監督、『オルフェ』。 死者と生者の叶わぬ恋の物語。もう何度も観たお気に入りのその物語が展開されるのをぼおっと眺める。 「砂漠の女の子、歌、駱駝、変な野菜、水、チョコレート、月、丘、赤い花」 また唇が勝手にセンテンスを刻んでいることに気づき、私は思わず唇の端を引き上げる。本当に悪い癖だ。でも癖なんだから仕方がない。 それに、覚えておかなくてはいけないことがある。守らなければいけない約束がある。 心に留めておかなければいけない“またね”がある。 そのために私は言葉を刻む。今日も明日も、これから先も、ずっと。脈絡のない出会いと、奇妙な一夜を、伝え続ける。 だから、私はもう一度目をつむった。 浮かぶのは月夜の砂漠の風景。風変わりな動物にまたがって進む、二つの影。 「……大切な友達」 私の唇が再び、頭に浮かんだ言葉を勝手に紡ぐ。その感触を何度も味わいながら、私はすっかりぬるくなったビールを一息に飲みほした。 はい、というわけで9/1に完走した「白夜の歌」(KP:瑠奈様 PL:時雨様 じゃが様 りちゃ様 柏木様 マダラ)に参加したマダラのPC:青桐静葉の後日譚妄想でした。 いやーよかった! もうずっとずっと、CoC始める前から行きたかったシナリオなんですよ。 辿り着いたエンドはA-1、全員生還(一人は帰らないことを選んだかたち)となりました。憧れの物語を素敵なメンバーと一緒に頑張って走り抜けて、素敵なエンドにゴールインできてほんとによかった。 PC、NPC、舞台、描写、全部がとてもいい雰囲気にあふれていて、ワンシーンワンシーンを絵として切り取ってみてみたくなるような、そんなセッションでした。 いやまあセッション中はドキドキだったんですけどね。発狂でみんな揃って死にかけたり、最終戦闘もほんとにギリギリだったり。最後の最後、このラウンドで倒さないとというタイミングでみんなが行動を終え、非戦闘員の青桐にお鉢が回ってきたときは本当に息が止まるかと思いました。「人の特ダネ邪魔すんなパンチ」でとどめを刺せた時は、ジャーナリスト魂ここにありって感じしましたね。 NPCのシンちゃん(かわいい)となかよくしたりオルフェに名前つけたりして、会話の一つ一つを楽しめたと思います。コクトー、また会えるといいね。 青桐の連想ゲームじみた単語ならべロールプレイも楽しかったな。FチームのFから連想広げた時に、「Forte」なんじゃないかっていう発言をしたら、それがチーム名みたいになってラストのロールプレイに組み込んでもらえたのはちょっとうれしはずかしって感じですね。最後にみんなでおっきな声で歌えてよかった。 全体的にバラバラなんだけど、なんか妙にまとまりのあるチームだったと思います。それは青桐にとっては日ごろ並べ立ててる言葉たちのように見えるんじゃないかと思って、こういう感じの後日譚になりました。帰ってきたあと、とある関係者に自分たちの旅を語る役目を任された時の彼女の語り出しが「私たちのチームは、そもそもの最初から、全員が時間通りには集まらなかったんです」だったのは我ながらお気に入り。 ではこのあたりで。同卓してくださった時雨様、じゃが様、りちゃ様、柏木様。そしてKPの瑠奈様。ありがとうございました。また、次の悪夢で会いましょう。
りちゃ | |
2020/09/02 00:53[web全体で公開] |
😶 白夜の歌 それから (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) ぎゅっ、ぎゅっと砂を踏みしめる音を残しながら二頭のオルフェが白夜の砂丘を行く。 その背に跨るのはフードを被ったひとりの少女とひとりの男。 オルフェが鼻を鳴らすと立ち止まって頭を垂れる。 どちらからともなく二人はオルフェから降りてその鼻先に屈みこんだ。 そこには一輪の花が小さく咲いていた。 ささやかに、けれど胸を張るように、空に向かってその手を差し伸ばしている。 少女は笑い、男もまた笑った。 砂丘は白く、静かで、月の表面のような寂しい光景ではあったけれど。 その地平線には今やカーテンの裾からこぼれる様に薄白い灯りが引かれている。 男が両手の指で四角を作ってその風景を切り取った。 それはいつものことなのだろう、その小さな窓をのぞき込む少女の表情は真剣で、けれどその瞳は輝きに溢れている。 二人は再びオルフェに跨るとフードを被りなおした。 少女が彼方を指さすと男は頷いた。 二頭のオルフェが白夜の砂丘を行く。 ゆっくりと歩き始めたオルフェの背で、男の口からメロディーが漏れ出た。 それは愛についての歌だったろうか。 少女も追いかけるように旋律を紡いだ。 あるいは旅人の歌、あるいは家族の歌、勲の歌に、絆の紡ぎ歌。 尽きることのない会話のように二人は調べを交わし合う。 世界の目覚めを促すように、生命の芽吹きを祈るように。 その唄は空にほどけて、大地に染み渡っていく。 二頭のオルフェが白夜の砂丘を行く。 それは世界の欠片を拾い集める旅であり、世界を調律する旅だった。 たとえ果ては見えなくても胸を張って、信じたままに。 再会を夢見て。 ーーーーーーーー 先日、瑠奈様キーパーでチーム朔様作の「白夜の歌」に、伝説のメカニックの弟子、南波 成美(なんば なるみ)で参加させていただきました。 旅情溢れる3日間の砂丘の旅でした。旅を通して信頼を築き上げていった仲間たち。はらはらしたり、どきどきしたり、悔しかったり、嬉しかったりの末に、みなでたどり着いたゴールの余韻に浸りながら記録を残せる幸せを噛みしめています。ネタバレ回避で畳んだので思う存分叫んじゃいます。オルフェかわいい!シンちゃんかわいい!! 調査チームのメンバーも個性派揃いで、ぶっきらぼうだけど男気溢れるガイドに、超超高飛車お嬢なアイドル、凄惨な過去を滲ませる研究者に、三単語表現が癖のネットジャーナリスト、そして軽ーいメカニック。最初はどうなることかと思いましたが、喧嘩したり助け合ったりはげましあったり、オルフェやシンちゃんも含めて最高のチームになりました。チームForteは最高だ! というわけで後日譚妄想です。 師匠から預かった工具セットは修理にも戦闘にも危ないところを助けてもらいました。そんな大恩あり尊敬してやまない師匠の元に戻るのではなく、シンちゃんと砂丘に残る選択をしたのは、シンちゃんのこの世界の手助けをしたいという言葉でした。それって世界をメンテナンスするってことでもあるんじゃないか、伝説の整備士の弟子として恥じない仕事なんじゃないかと感じたためでした。もちろんシンちゃんを支えたいというのも8割9割ありましたが。師匠は毒つきながらも許してくれるんじゃないかなと思います。 利巧さんが佐古さんと帰り道の研究を始めてくれるみたいですし、もたもたしてるとこちらが仕事を終わらせる前に呼ばれてしまうので、南波には愛オルフェのパジェロと共に楽しくも気を緩めず、慎太郎君の言葉や日和ちゃんの歌を胸に頑張ってほしいところです。 研究所をベースキャンプにはするでしょうから、皆のオルフェのお世話も任されました(静葉さんのカーディガンのメンテ含む)。 改めまして、じゃーがさん、柏木さん、時雨さん、マダラさん、そしてキーパーの瑠奈さん楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者のチーム朔様にも感謝です。 また次回、監獄で皆と一緒に遊べるのを楽しみにしてます。
マダラ | |
2020/07/11 01:17[友達まで公開] |
😭 Dropout despair ちょっとあとのこと (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)(先日のCoCセッション、『Dropout despair』(KP:koruku様 PL:柏木様)のマダラのPC:古川美澄の後日談です。正直今回はKP、PL,見学者にしか向けてないです。それ以外の方は読んでも長い上何が何だかって感じなのでその時間でこのシナリオをプレイしてください。クソエモです ───── 『よお、死神』 自室でボールペンを手に取っていた私に、デスクの向こうから、男の声が不意にそう呼びかけてきた。 「俺が神様に見えるとはな」 明日のわが身も知れない仕事をしているのだから、近くで聞きなれない声がしたらすぐにでも引き出しの中の拳銃に手を伸ばすべきなのだが、私はそんな風に気のない返事を軽く返して、あとは相手の顔を見ようともしなかった。良くない習慣であるとは思うが、こういう“声”が聞こえるのはいつものことなのだ。このくらいの慣れと油断は許されてもいいだろう。 “遺書屋”の名前が独り歩きした結果、私のことを“死神”呼ばわりする連中がいることは、私も小耳にはさんでいた。この自動販売機よりも高い背丈で、真っ黒いスーツをきて遺書を届けるのだから、まあ親しい者の遺書を受け取る側からしたら確かにそんな風に見えるのかもしれない。受胎告知を務める天使ガブリエルの反対。〈届人〉である私が告げるのはそこにいない誰かの死というわけだ。 もっとも、私の目の前で直接そんな異名を使う者はいない。だから、勝手知ったる口調で私のことをそう呼ぶ目の前の声の主はやはり──。 『おいおい、つれないな』 「ただの幻に割く時間はないんでね」 『ひどいな。そのマボロシを見てるのは、他ならぬあんただろ』 その言葉に私はため息をついて、しぶしぶ顔を上げる。今日の幻は、つい先日殺したばかりの、やくざの下っ端だった。心の交流の暇もなく表情を失ったその顔にはいかなる感情も持ちようがないが、組の親分に弟分の遺書を直接届けて、その上で生きて帰るのにどれほど苦労したかを思い出し、私は思わず眉を顰める。 「お前か」 『そういうこった。あんたのマボロシの中じゃ新入りって感じかな』 「新入りなら、少しでも目新しいことを言ってくれると助かるんだが」 『そいつは無理な相談だぜ。だって俺の言葉は、あんたのコトバなんだから』 男の言葉に、私の口から特大のため息が漏れる。 こういう幻を見るようになったのはいつからだったろうか。私たちの殺してきた人物の姿かたちをした彼らは、こうやってたまに現れて、どうしようもない世間話を仕掛けてくる。 『なあ、あんた、俺を殺した後、散々な目にあったんだって?』 「死人に関係あるのか」 『あるだろ。あんたがいよいよ、俺たちの仲間になりかけたっていうんだからな』 まあ、言われてみれば彼の言うとおりだ。これまで死にかけたことがないなんて口が裂けても言えはしないが、今回の件はこれまでのどれよりも酷かった。化け物に好き勝手に騙され、巻き込まれたアンフェア極まるゲームの中で父親の遺書を届けるべき娘に届け損ね、まるで何かのおまけのように一回殺され、極めつけには──これが一番悪いのだが──少しの儲けにもならなかった。いくらこの街の夜が堕落と罪の匂いに満たされていると言っても、あれだけの最悪を煮詰めた一晩は、後にも先にもきっとないだろう。 『そんな災難があったってのに、あなたは何してるんですか?』 気が付けば、目の前の幻は眼鏡をかけた青年に姿を変えている。彼の遺書は確か母親に宛てたものだった。彼女は、もうずっと昔に息子が死んでいたような、とっくに諦めていたような顔をして、彼の遺書に涙の一滴も流さなかった。 「何をって……」 『あのねえ、そんな目にあったら、いい加減懲りて仕事を畳むなりなんなりするでしょ、普通』 そう言ってくるのはぼさぼさの髪の中年女だ。彼女には遺書を届けたい相手は一人としていなかった。一言『まだ死にたくない』とだけ書かれたその紙は、今も私のデスクの中にある。 「……辞めるつもりはない」 『お前ひとりならそれでいいかもしれないが、あの子はどうするんだ。お前が死んだときの彼女を見たろう。ひどい狼狽えぶりだった。この仕事を続けていたら、いつかまた、彼女に同じ思いを味合わせることになる』 威厳に満ちた言葉の主は製薬会社の重役だった男だ。彼が遺書を届けようとした妻が、他ならぬ殺しの依頼人であったことを、彼はついぞ知ることがなかった。 「楓にもやめる気はないさ」 『そりゃああの子はあんたの言うことなら何でも聞くからな。なあ、分かるだろ。あんたは気づいてるはずだ。このまま殺し屋なんてやってたら、そう長生きはできない。よしんば死ななかったとしても、お前かあの子か、どっちかの心が壊れるのは時間の問題さ』 気が付けば、目の前の男はまた、先ほどのチンピラに戻っていた。彼はまるで私を糾弾するように、手のひらを前に伸ばす。 『そんな先のない螺旋への旅に、あの子を付きあわせるのか? あの子がベアトリーチェみたいに、いつかあんたを天国に連れて行ってくれるとでも? いいや、無理だね。だって───』 刹那、男の開いた手のひらに真っ赤な裂け目が現れ、下卑た笑いのように歪んだソレから、長い舌が覗いた。 『──あの子は、体の芯まで血で汚れているもの。あんたのせいだよ。宅配便ちゃん』 「言いたいことは、それだけか?」 目の前で繰り広げられるそんなショウに耐えかねて、私は頬杖をついたまま退屈そうな声を漏らした。まったく、あんな事件があったていうのに、変わり映えのしないのはお前らの方じゃないか。 幻たちはいつも決まって、楓に仕事を教え込んだ私のことを責めてくる。彼らが私の見るマボロシだというのなら、そのコトバもまた、私の罪の意識の表れなのだろう。 だってそうじゃないか。私にはもっとまっとうな形で楓を救うことだってできたはずなのに。結局娘同然に育て上げた彼女を仕事の相棒にして、今は汚れ仕事のほとんどをやらせている。その横で私は死ぬ寸前の標的に遺書なんてものを書かせ、それが自分たちの流儀だなんだとのたまっているのだ。楓が私の言うことを聞くのを良いことに、自己耽溺の道具にしていると非難されてもおかしくはない。 これまで私は幻たちの非難を甘んじて受け入れてきた。彼らの言い分はある程度は──というか殆どが正しいと思っていたし、自責の念からこんな幻を見るのが、自分がまだ堕ちきっていない証のように思えて、かえって安心していたのだ。 けれど、ああ、けれど今日は──もう、うんざりだ。 「──それだけなら、俺からも言っておくことがある」 私は幻の手に浮かぶ不気味な口を見据える。 「俺がそこまで自分の道に自信があるように見えたなら残念だけどな、そんなわけはないさ。光を浴びながらじゃまるで生きてられない。夜の世界でも、一人じゃ立ってられない。弱い男さ」 情けない話だよ、私は首を振る。 「俺が生きていられるのは、楓が信じてくれるからだ。まっすぐに、何があっても、俺についてきてくれる、楓がいるからだよ」 『それは君がそう仕向けただけ……』 「おい、あまりバカにするな」 自分の見ている幻相手に冗談みたいな話だが、私は強い怒りを覚えていた。目の前の男を睨みつけ、声を絞り出す。 『あの子の思いを、俺がどうにかできるって? 冗談じゃない。あんなに澄んだ、まっすぐで綺麗な心が、俺にどうにかできるもんか』 あの夜、命がかかったあの場で、あれだけ逃げるように言っても、楓はノーの一点張りだったじゃないか。 「だから、もう一回言うぞ。あまり楓を、バカにするな」 『冗談じゃないね。あの子は──コロちゃんは化け物すれすれさ』 けらけらと笑う幻に、私は息をつく。手元に目を落とすと、持っていたはずのペンの代わりに、よく手に馴染んだ四十五口径が握られていた。気が利くじゃないか。私は殺し屋だ。忠告を無視した相手をどうするかは決まっている。 『君、あの子を綺麗って言った? あんな刃物と夜の匂いしかしない子が……』 「刃物と夜、ね」 幻の男の言葉を遮り、私は思わず唇を吊り上げる。刃物と夜、刃物と夜か。 「──いいね、どっちも大好きだ」 そう呟いて、私は思い切り引き金を引いた。 ***** そのまま、私は目の前に入れ替わり立ち代わり現れる幻たちを、次々に撃ち抜いていった。 私の四十五口径の弾丸は、几帳面に彼らの頭の真ん中に吸い込まれ、血と脳髄が壁に無数の遺書を散らす。 そうしてかつての標的たちを皆殺し終え、壁も床も真っ赤に染まった部屋で、私は目の前に現れた一人の男に笑いかける。 「誰かと思えば、お前が最後か」 『そういうことらしいな』 私の言葉に、無表情で長身の男──古川美澄の幻は、ぶっきらぼうな口調で答える。その姿は今の私よりもずっと若く見えるが、顔にはどこか影が差していて、救われない男というのはこういう顔をするのかと思う。そんな顔のまま、その男は気まずそうに頭を掻いた。 『あー、何て呼べばいい? 未来の俺、か?』 「好きに呼べよ」 『そうか。じゃあ、未来の俺。お前は俺を撃つのか?』 「どうもそういうことになりそうだ」 『俺を殺したら、後戻りできなくなるとしても? 狂った世界と、泥の中でのたうつ日々しか、お前には残らないとしても?』 「今の俺にそれしかないと思っているなら、やっぱりお前のことは殺さなくちゃな」 『……そうかい、じゃあ、一つ教えろよ』 その言葉と共にもう一人の私は、落ち窪んだ目で私を見据える。 『お前は今、胸を張れるか? 奪ったすべての命に。救えなかったあの女の子に』 「さあ?」 私はくすりと笑って、拳銃を構える。 「生きてくだけで精一杯で、そこまで考えが回らないな」 その答えに満足したのかどうかわからないが、もう一人の私は気が抜けたように肩を落とす。 『じゃあ、撃てよ、遺書屋。俺の遺書の宛先はあんただ。確かに届けろよ』 「承った」 銃声が一発、真っ赤な部屋に響いた。 ***** その瞬間に、私の意識は元の自室に戻る。手に握られているのはただのボールペンで、壁は一面無機質な灰色だ。 けれど、ふっと、私は手元の便せんに気づく。そこには、他ならぬ私の字で綴られた一続きの手紙──遺書だった。手のひらについているインクの黒いしみからして、先ほどの狂気じみた昼日中の夢の間中、現実の私はこの遺書を書きなぐっていたということらしい。 「……書けたのか?」 書き手が過去の私の幻想だとしても、それは明らかな進歩だ。そんなちょっとした期待と共に、私はその文章に目を落とす。 けれど、それは読めば読むほど、ぴんとくる内容ではなくて。確かに昔の自分にとってはそれで完璧な遺書だったのだろうと思えはしたが、けれど、何かが、決定的に足りなくて。私は思わず首をひねってしまった。 と、玄関の方でドアが開く音と共に、スミ、と私を呼ぶ声がする。その声に、ふっと頭の霧が晴れた気がした。 遺書。死後も残り続ける言葉。それがあるべき場所に届いたとき、時に書き手のすべてを合わせたよりも強く、美しい光を放つ言葉。何より綺麗で、愛しい言葉。 ああ、だから俺には、遺書は書けない。いらないんだ。楓の声に返事を返しながら、私は笑みを浮かべる。 だって、なによりきれいで、いとしいものは、もう私のそばにあるんだから。 あの夜、相棒と共に死の縁に立って、私が考えていたのは、気の利いた遺書の内容なんかじゃない。 死にたくない、と 生きたい、と。 明日の朝日を、二人で見たい、と だから、その願いに気づいたから、遺書屋は今日も自分の遺書を書けないまま。 いつ死ぬとも知れない血塗られた夜の街に生きながら、でも、せめて、明日は死にたくないなあ、なんてことを、ぼんやりと、毎日のように思いながら。 確かに私は、その眼で、次の夜明けを、眩しい朝日を、祈って、見据えているのだ。 〈とりあえず、おわり〉
こるめ | |
2020/06/29 01:16[web全体で公開] |
😶 TRPG充 今日もセッション楽しかった!って気づいたら登録1ヶ月なので記念に オンセン登録1ヶ月になり、予想していたよりいい回数セッションに参加させていただいてます。 あまり意識してなかったですが、カレンダー確認したら前週は2日に1回のペースで参加してました。 日程分割や身内卓KPも含めると、月に全て表示する今日もセッション楽しかった!って気づいたら登録1ヶ月なので記念に オンセン登録1ヶ月になり、予想していたよりいい回数セッションに参加させていただいてます。 あまり意識してなかったですが、カレンダー確認したら前週は2日に1回のペースで参加してました。 日程分割や身内卓KPも含めると、月に10日もCoCやってました。 いずれも楽しくプレイでき、よいKPさんPLさんに恵まれたと思ってます。本当にありがたいことです。 こんなに楽しいならもっと早く登録しておけばよかった! 甘えてご迷惑おかけしてないかいつも心配はありますが…。 一人でテレビゲームするか職場の飲み会に参加するくらいしかなくて灰色の世界にいたと思います。 自分がオンラインでいろんな人とワイワイ遊ぶなんて今でも不思議なのですが、コミュニケーションで世界に色がついていく気分はいいものです。 一人でやるテレビゲームも勿論いいんだけどね、お気に入りのタイトルもちゃんとありますし。難易度上げ目で土日潰れる勢いでプレイしますし。 でも、TRPGには、こう、言葉にしにくい尊いものがあるのです。間違いなく私の世界に彩を与えてくれています。 在宅勤務にはなり得ない仕事なのでやはり夜遅くや頻回にとはいかないですが、今後も行けるセッションにはできるだけ参加していきたいです。 コロナも自粛も関係なくあと3ヶ月したら今の純白のホワイト職場から異動するのが決まっているのがなぁ… まともに家にいられなくなる可能性が高くてつらい…まあ意地でも休み勝ち取りにいくけど! ペースは減っても月1〜2ぐらいはやりたいなー とにかくとにかく、今の充実した時間を大切にしていきたいです。 そういう意味でも、日記は今後も続けられたらと思います。 (セッションの感想たまってるけどもうちょっとしたらアップします)
マダラ | |
2020/06/28 13:07[web全体で公開] |
😊 また明日。ちょっとあとのこと (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 藍生ちゃん、あの時めちゃめちゃ動き早かったよね。すごい真顔だったし。 うん、明日香ちゃん。私もそう思う。正直自分でもびっくりしたし、なんなら少し引いた。 すべてが終わったことを知ったあの病室で、職場からの電話を告げるスマートフォンの電源を切ってSIMカードを抜き取り、ソレをそのままベッドスタンドに置かれたコップを満たす水に叩き込んだあの一連の動作は、多分私のこの四半世紀近い人生の中で一番素早かったのではないだろうか。仕事バックレ選手権の世界記録とか狙えるんじゃないかしら。私にはまだ私の知らない隠れた才能があるのかもしれない。 ……こんなバカな妄想ばかりして日々をやり過ごせたのならいいのだけれど、そんな甘い話はあるはずもない。友達と過ごす幸せな一日を終えた私を待っていたのは、職場に出向いて平謝りしつつ、社会人にとっては冗談みたいな時間にしかアポイントメントの取れない携帯電話店に行って、やたらと態度の大きな店員相手に事情の説明をする、そんな一日だった。まったく、ろくでもない。冗談抜きに、「ましろ先輩の方が数百倍は謝り倒してる」という確信がなければ正気を保っていられなかっただろう。 そう、現実は絶対に私たちに追いついてくる。 まっさらなスマートフォンを操作して、とりあえず復元した連絡先の中から、みんなを探してメッセージを送る。隆水くんはもうさっそく全国巡業を再開したらしく、いうまでもなく忙しいましろ先輩共々、既読の表示はすぐには出てこない。 明日香ちゃんは事件の後でまだ休みを取っているらしく、にこやかな返事が返ってくる。ミドリは一秒足らずで返事してきたけど、今授業中なんじゃないの。 メッセージ欄に並ぶみんなの名前を見て、私の唇から自然と笑みが漏れる。大丈夫、皆前を向いているけれど、それでいて皆のままだ。 彼ら彼女らと過ごした大学時代の日々は、多分もう戻ってこない。まがい物を作ろうとすることだって、きっとどんどん難しくなる。恐ろしいことに、皆と最後に遊んだ日も、この期に及んで「こんな日がずっと続けばいいのに」という思いは常に頭のどこかにあった。 私は、私たちは、きっと怖かったのだ。楽しい時間が遠ざかっていくのが、あの日の微熱がさめてしまうのが。あのへどの出るような拍手の主は、もしかしたら私たちのそんな思いを見抜いていて、嘲笑っていたのかもしれない。 でも大丈夫だ。今ならわかる。なにがあっても、皆は皆のままで、私は私のまま。何度だって私たちを助けようとしてくれた明日香ちゃんのことを私は絶対忘れない。そして何度だって彼女のことを庇った、私の知らない私がいたことも忘れない。 自宅のドアを開いて、いつもよりもずっと味気なく見える灰色の部屋を見渡し、いつもより幾分おざなりに靴を脱ぎ捨てる。まったく、本当にろくでもない日だった。 そして、きっとこれからも、今日みたいな日は増えていく。 でも大丈夫。今日も私は私のままで、ここにいる。 だから今は、ちゃんと私たちに現実が追いついてくれることに感謝して、明日がちゃんと明日であることを祈って。ねえ、みんな。また──。 私はくすりと笑って、その合言葉を、スマートフォンに打ち込んだ。 〈おしまい〉 はい、というわけで6月20日開催のセッション『また明日』(KP:りちゃ様)に参加したマダラのPC:縦坂藍生の後日談妄想でした。 この「ちょっとあとのこと」、最近書いてなかったのでぼちぼちまたやっていきたいですね。想像が膨らむセッションは他にもあったしお前藍生は前にも書いてたろと言われればそうなんですが、自分で演じるPCといえどかわいい女の子の方が筆は進むものなので(まっすぐなひとみ)。 そんなことよりセッション感想ですね。とても素敵なストーリーでした。 NPCの明日香さんを含めて、基本的には大学の天文学サークルをきっかけに知り合った友人たちが社会に出てから久しぶりに集まったメンバーということで、なんというか独特の、それでいて素敵な雰囲気に満たされたパーティだったと思います。こう、RPにも絶妙な大学の同期感出せてたらいいな。これまで藍生はあんまり砕けた口調ではやってなかったんですけど、今回はけっこうフランクに話してたかな。明日香さんの呼び方はずっとふわふわしてたけど、最後に「明日香ちゃん」「藍生ちゃん」で落ち着いたの良かったです。 途中ののんびりした会話やずっこけたシーンではすごく笑いましたし、最後に明日香さんの苦労と思いが真に迫って伝わる演出はほんとにつらくなってしまった。クソ拍手神格は許さない。ぜったい。 それではこのあたりで。読んでくれた皆様、同卓させていただいた小笠原ナカジさま、ガジンラさま、柏木さま、そしてKPのりちゃさま、ありがとうございました!
りちゃ | |
2020/06/28 07:53[web全体で公開] |
😶 洋館への招待状 それから 目の前の景色が霞んでいく。 一歩踏み出すたびに止まってしまいそうな体を叱りつけて足を踏み出した。 皆はどうなっただろう。 それを確かめる余裕すらなくなっていたけれど、誰かがここで何が起こったのか外に伝えなければ。 そのことだけが朦朧とする意識をかろうじて繋いでいた。 悔しい全て表示する 目の前の景色が霞んでいく。 一歩踏み出すたびに止まってしまいそうな体を叱りつけて足を踏み出した。 皆はどうなっただろう。 それを確かめる余裕すらなくなっていたけれど、誰かがここで何が起こったのか外に伝えなければ。 そのことだけが朦朧とする意識をかろうじて繋いでいた。 悔しい。悔しい。 本当なら自分がすべて成し遂げなくてはいけなかったのに。 皆を助けて、敵を打ち倒して、これが白峰なのだと、わたしだってそうなのだと見せつけなくてはいけなかったのに。 皆に、おじ様に、お父様たちに、お兄様たちに、そしてわたし自身に。 いったいどこで間違えてしまったのだろう。 三田さんは彼女ならではの視点を発揮してくれていたし、巨瀬さんは情報の整理と共有をこなしてくれていたし、阿瀬さんは適度に緊張をほぐしてくれていた。 相手のペースで戦ってしまったことだろうか。 ずっと感じていた違和感を、後でどうとでもなると高を括ってないがしろにしたことだろうか。 そしてその時が来てみれば、白峰の家名も小さい頃から叩き込まれた知識も技術も、一切が無力だった。 こんなにも自分が無力だと感じたのははじめてだった。 わたしのせいだ。 そんな思いに足元がぐずぐずと泥に飲まれていくように感じて、歯を食いしばった。 そんな過ぎたことを悔やんでいる場合じゃない。 今は一歩でも前へ、そのため以外のすべては無意味だ。 考えはまとまらず、口がからからに乾いて音も聞こえづらくなってきた。 引きずる足元が砂をこする感触だけがまだ前を向いていると教えてくれていた。 悔しい。悔しい。悔しい。 誰か、わたしを見つけて。 このままじゃ終われない。終わらせられるわけがない 誰でもいい、神様、どうか、どうか、 数日後、古びた洋館に続く山道で男女の衰弱死体が発見された。 ーーーーーーーー 本日、あひる様のキーパーであひる作の「洋館への招待状」に資産家の娘で大学生の白峰黒子で参加させていただきました。 ロスト率高めのリドル系シナリオで、4段階選べる難易度は上から二つ目のHardで遊ばせていただきました。 そして、そして、初ロスト。しかも全滅!これはくやしい、とてもくやしい! 終わった後で、あそこでもっとああしておけばということは言い出したら切りがないくらいぐるぐるするのですが、ちょっと頭硬かったなあというのが最大の反省点でした。でも、ああでもないこうでもないとみんなで会議しながら進めていくのはすごく楽しかったです。 某リアル脱出なゲームで失敗組にかけられる言葉として「脱出ゲームの悔しさは脱出ゲームでしか晴らせませんよね?」というものがあるのですが、ほんとその通りでリドル系の悔しさはリドル系で!またどこかでリベンジしたい、と皆で言い合っていました。 というわけで後日譚妄想でした。 ディレッタントベースのキャラクターやるのは初めてでしたけど楽しかったです。 隙あれば上流階級ムーブをつっこんでやろうと虎視眈々な導入パートから、本番に入ってからはさすがにRPする余裕が減ってしまいましたが、一番年若いのに一番偉そうなキャラクターだけはキープしたいと頑張りました。 一方で、実は優秀な家族の中で本当に自分に自信は持ち切れていないという辺りは出せず仕舞だったので、シナリオ終了からこと切れるまでの間に詰め込んでみました。 他のお3方を気にする余裕はさすがに出せず励ましあいながら進むでもなくなのが申し訳ないなと思いながら、失敗したあとの心情としてはこれかなあという妄想でした。ロスト描写もはじめてなので楽しかったです。 こるめさん、マダラさん、柏木さん、そしてキーパーのあひるさん、楽しい時間を本当にありがとうございました。 またよろしければ遊んでやってください。
マダラ | |
2020/06/08 18:53[web全体で公開] |
😶 ランタンの灯りは夜の明けない街に灯る ちょっとあとのこと (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 幼いころにシャーロック・ホームズに出会えたことが、僕の人生で一番の幸福だった。 そして、どう逆立ちしたって自分はシャーロック・ホームズではないというのが、僕の人生における一番の不幸だった。 今でもたまに夢に見る。鹿打ち帽を被って、靴音高くロンドンの街を歩く自分の姿。あるいはあの221-Bの椅子に妙な姿勢で腰かけてパイプをふかす自分の姿。僕はあの能無しのレストレードから事件のあらましを聞いて、少し目を瞑り、こう言うのだ(“エレメンタリー・マイ・ディア”? あれはナンセンスだよ。そもそも原典にそういう台詞はないんだ)。 「いいかい、ワトソン、どんなに──」 けれど、僕の意識はそこで暗転する。 次に目の前にあらわれるのは昔の記憶だ。小学校の頃、友人と組んだ探偵団という名前の何か、彼らは三日でその遊びに飽きて、虫メガネだけが今も僕の机の中に残っている。中学の修学旅行の新幹線の中、四人組の席で他の三人がトランプをする横で、僕はずっと本を読んでいたっけ。 高校生になって、好きな物語を語る僕から友人たちが離れていくのを見て、いい加減に現実を受け入れたけれど、あれは今思えばただの麻疹みたいなかっこつけ(所謂“高二病”ってやつだ)で、押し隠していた憧れが二十歳近い今になって悪化するという結果に終わった。 とにかく、物語みたいな探偵は世の中にはいないし、いたとしてもそれは自分じゃない。でもとにかく僕はいつまでも夢を見たままで……そんな僕だから、あんなことに巻き込まれたのかもしれない。 血で真っ赤に染まった部屋に佇む女。 積み重なる屍の上に咲いた真っ赤な花。 ごとりと落ちるぬいぐるみの首の赤黒い切り口。 彫像から滝のように流れ出す赤い液体。 そして、焦燥に駆られ飛び乗ったボートの上で見た、真っ黒な──。 そこで再びの暗転。通信のロスト。ブラック・アウト。サヨナラ。アデュー。グッド・バイ。 ──いいや、ちがう、それで終わりなもんか。 僕が見たものは、絶対に、きっとそんなものだけじゃなかった。 だって、皆にはとても言えなかったけれど、あの図書館で読んだ本は、そう、他ならぬ「渡会南」の物語は、掛け値なしのバッドエンドにもかかわらず、そう、あらゆる意味でろくでもないことばかりにも関わらず。今まで読んだどの物語よりも、シャーロックの冒険なんかよりも。 もっと、ずっと、面白かったから。 きっとそのほとんどは、僕の人生を彩った人々のおかげだろう。妙な警官、妙な種を持ち帰って以来追い掛け回されている生物学の教授、個性に満ちた大学の友人たち。棺桶を抱えたパフォーマー二人組。数え上げたらきりがない。 そう、そんな人々と出会って、僕は学んだ。そんな風に学んだことが、僕の物語をぐっと面白くしてくれた。僕を僕の人生の主人公にしてくれた。 「何がどうなるかなんて、やってみないと、分からないですよ」 あの日、骨董屋で自らの物語に怯える彼女に掛けた言葉も、朝の迫る街で皆を振り返ってかけた言葉も、彼らから学んだことだ。まったく情けないことに、こんな単純な事実に気づくのにだって、僕は鵜飼さんの言葉を聞かなければいけなかった。 奇妙奇天烈な事件を抜きにしたって、僕らの人生は何が起こるか分からない。でも、怯えていたら何も知ることはできない。だから、勇気と知恵を振り絞って、暗闇の中に踏み出す。その先で、何を見ることになっても。 きっと、天草さんや錦さんも、他の人々も、そして彼女も、そんな風にしてあの街にやってきたのだろう。だからこそ、僕はあの場所を壊したことを間違いだとは思わない。街を照らした美しいランタンの灯はいつだって、朝を、真実を目指していたから。 だから、みんな、どうもありがとうね。 でもごめん。格好悪いから、あの言葉が受け売りだってこと、彼女には絶対秘密だ。 「──ねぇ、ちょっと、起きて、南さん!」 隣の寝室から響く沙織の声に、僕は目を覚ます。窓の外はまだ朝日が昇る前で、気の早い小鳥の鳴き声が耳に突き刺さる。 とにかく、彼女はこの数日でもうすっかり明るくなった。僕の街にも、ついでに僕自身にもそれなりに慣れたらしい。問題なのは僕の方で、彼女を家に泊めて数日、ベッドを彼女にあけ渡し、リビングに毛布を敷いて寝ている。おかげで体中が痛い(お願いだから何も言わないでくれ。物事には順番っていうものがあるんだ。あるはずなんだ)。 沙織がもう一度僕のことを呼ぶ。大分前に目を覚まして、すっかり支度も済ませているらしい。まったく、近くの山の頂上から奇麗な朝日が見えるなんて教えなきゃよかった。そうじゃなくたって今日は社会的には宙ぶらりんになっているらしい彼女の身の振り方を考えるためにいろいろ忙しいというのに。まあ、また一緒に朝日を観たいなんて言われたら、断れないんだけどさ。 大きく一つあくびをして、僕は毛布をはねのける。その拍子に、机の上の不格好な彫刻が目に入った。彼女は彫刻が大好きらしいが、悲しいことに才能はないように見える(まったく、どこかの誰かみたいな話だ)。それでも、その彫刻は、今まで見たどの像よりも、僕の心の奥深くにまで、寄り添ってくれるように思えた。 そして僕の目は、隣に置かれた愛読書の表紙に向く。鹿打ち帽の男がこちらを見て、不敵な笑みを浮かべていた。 僕はその男に笑みを返し、指で作った鉄砲を向ける。 言わなかったけどさ、あんたも結構イカしてたよ。 だからさ、今度は僕の番だ。見ててよ。 そして、僕は指鉄砲で彼を撃ち抜く。 ばあん。 口の中の銃声の心地よい感覚を楽しみながら、僕は今行くよと沙織に声をかけた。 〈おわり〉 はい、というわけで昨日のセッション「ランタンの灯りは夜の明けない街に灯る」(KP:ゼロ様)のマダラのPC:渡会南の後日譚風妄想でした。マダラにとっては初のロスト救済シナリオでした。 自分、ロスト救済シナリオという文化は聞いたときからイマイチ馴染めていなくて、死んだキャラはそれっきりな方が性に合うなあみたいな突っ張ったことを考えていたのですが、ちょうどよく最近初ロストしたキャラもいるし、何事も経験だということで参加させていただきました。 いやあ、良かったです。死者が登場するシナリオならではの趣みたいなのもあって、思っていたよりもずっと自分好みの雰囲気のものでした。隣を歩くPCの歩いてきた知らない人生に思いを馳せながらのRPも楽しかったです。 こういうシナリオで救済したキャラクターを今後使い続けるかどうかはまだちょっと考えたいところですが、それでも食わず嫌いはいけないなと思いました。 さて、マダラのPCは渡会南、自分がCoCをはじめて最初に作ったキャラクターで、まあまあな数のセッションを通過したのち、「船上の恋」というシナリオでロストしました。 「船上の恋」通過者が卓にいたこともあって、陰キャ大学生が美少女とクルーズに行こうなんて思うからロストするんだぞなんて冗談をセッション前に言っていたのですが、そんなこいつ、このシナリオを通して、可愛らしくて素敵なNPCの女の子を死出の旅路から連れ帰るばかりか、同居を始めやがりました。 普段ならなんだこいつ幸せになりやがって許さねえってなるとこなんですが、結構なシナリオを共にしてロストまで見ている彼がこうして幸せを掴むのを見て、不覚にも感極まってしまいましたね。前半は(積極的に口説きに行くPCが他にいたのもあって)全然意識してなかったのに、大事なところで庇われたりしたら渡会もマダラも完璧に好きになっちゃうんだって!!! 感想の時間に参加者や見学者の方がこのカップルに尊い尊い言ってくれるのを聞きながらずうっとニヤニヤしてました。 さっきのロスト救済シナリオというものへの好み云々の話を別にしても、渡会は今後は使わないと思います。ここまで完璧なハッピー・エンドを見せられちゃうと、あとは僕の妄想の中で楽しい人生を送ってくれよという感じです。この日記は渡会と時間を共にしてくれた人々への、そんな妄想のおすそ分けの意味もあります。これまでのセッションで見たモノやご一緒したPCも拾いましたけど、全部は無理だった。ごめんなさい。 あと、他の方を真似して始めたこの後日譚妄想という日記形態、思ってる以上にいろんな方が読んでくれてると聞いてすっかり舞い上がっちゃいました。今後も参加したセッション全部について書くわけではない気まぐれな感じですが、もしセッションの終わりに一言言ってもらえれば嬉しくなって書くと思います。今回もあんまり自分のPCだけの話が長くなるのもなあと思っていたところをKPさんの「楽しみにしてます」の一言で調子に乗って書いちゃったみたいなとこありますしね。(もちろん、こういうのを書かれるのがお嫌な場合は言って下されば書きませんし、書いたものも取り下げます)。 それでは読んでくれた皆様、同卓させていただいた瑠奈さま、コルクさま、時雨さま、そしてKPのゼロさま、ありがとうございました!
りちゃ | |
2020/05/31 00:25[web全体で公開] |
😶 初キーパーを終えて とうとうKPデビューということで、唯様作の「最奥の底庭」を回させていただきました。 何度ココフォリアをいじっても、何度シナリオを読み返しても緊張して緊張して、当日なんとかまわしきれてほっとしつつ、集まってくださったお二人の人柄に助けてもらったなあと感謝してもしきれないです。 芯のぶれないお嬢全て表示するとうとうKPデビューということで、唯様作の「最奥の底庭」を回させていただきました。 何度ココフォリアをいじっても、何度シナリオを読み返しても緊張して緊張して、当日なんとかまわしきれてほっとしつつ、集まってくださったお二人の人柄に助けてもらったなあと感謝してもしきれないです。 芯のぶれないお嬢様と天才少女の組み合わせは、噛みあいばっちりでずっとほっこりさせてもらえました。 情報量の多いシナリオで心配だったですけれど無事脱出してもらえてわがことのようにうれしかったです。 改めてありがとうございました。また機会があれば遊んでください。 また、準備するにあたって、ハウスルールとココフォリアのデザインを参考にさせていただいたあひるさん、読みスピードについてアドバイスいただいたそばうどんさんにも感謝いたします。
マダラ | |
2020/05/24 15:54[web全体で公開] |
😶 五月雨屋敷の走馬灯 それから 三村桐野の場合 (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 以下は5月22日に開催されたセッション「五月雨屋敷の走馬灯」(KP:ダイン様)にさんかしたマダラのPC「三村桐野」の、シナリオ後のアフターストーリー的なものです。同セッションで同卓させていただいたりちゃ様の感想形式に触発されて書いたものとなります。ネタバレ注意です! 隣町に向かう鉄道の路線には、一瞬だけ海が見える場所がある。晩夏の陽を浴びて、蒼い海面がきらきらと光る、その光に目を刺され、僕は思わず目を細めて、視線を手元の古びた本に落とした。 救いのない話だ。最初に読んだときは単にそう思った。戦争の悲惨さを描いた、辛いけどよくある話。小学生の頃に国語の教科書で読んで、それきりあとは目を背けるような話。今までもこれからも、世界から消えることはきっとない、悲しいけどありきたりな話だと。 けれど、今はもうそんなこと言えない。 見てしまったから。 聞いてしまったから。 そう、僕は触れることさえしたのだ。 藍川の後に図書館であの本を借りて、一晩かけて読んだ。塩辛い水に頭の先まで使って悶えるような、そんな苦しい物語だったけれど、それでも、そこには想いがあった。決して忘れないという。誰かから誰かへの、波の音のように微かだけれど消えることのない、誓いがあった。 忘れないことが、想い続けることが、あんな風に誰かを救うなら。救えるなら。 そうだ。それが僕の目指したことだったじゃないか。 ***** 新聞部で隣町の無名の作家について特集記事を組みたい。そんな僕の提案を聞いた部長の顔には明らかな侮蔑が浮かんでいた。 入部して以来、この人とは徹底的にうまが合わない。僕の書く記事や取ってくる話題は、彼に言わせればいささかロマンチックで非現実的に過ぎるらしく、そのおかげで僕は春からずっと、部内での孤立を強いられていた。一丁前に異端児を気取ることができればいいのだけれど、僕はこの男の視線の前では委縮してしまって、目を伏せながらしどろもどろになってしまう。 「ゆきやま……聞いたことないな。桐野くん、なんでまた、これを書こうと思ったんだい?」 苦笑いと共に部長が投げた問いに、呼吸が詰まるのが自分でもわかった。心は既に背を向けかかっている。 逃げてしまえよ。 いいや、お断りだね。 そんな風に自答して、僕は息を吸う。 頭の裏側で、凛とした唄が響く。 それは古い御伽噺。誰かの誓いの物語。 「……正直、理由はわかりません」 その目を真っ直ぐに見据え、僕が放った言葉に、部長は眉をあげる。 「ただ。書かないといけないと思ったんです」 知ったなら、見たなら、それはもう誰かの誓いじゃない。僕らの祈りだ。 その後のことは、正直緊張のせいでよく覚えていない。部長が僕の目を見返して、重々しくうなずいたことは、なんとなく覚えている。 案外やるじゃない。そんな言葉と共に、誰かが背中をとんとんと叩いた気がした。 ***** 透明な潮風が頬を撫でる。あの時とおんなじ夕方の海岸で、僕は額に浮かんだ汗を拭い、お気に入りのスポーツ・ドリンクに口をつけた。 一日をかけて街を歩き回っての取材は、情けないことに自分の未熟さを痛感する結果となった。あの時にやっていたみたいにうまく頭も働かず、求めるものを見つけるための糸口も見えない。 そんなわけで、僕は小さな失望感と共に海を眺めていたのだけれど、そのうちに、軽い笑いが口から漏れた。 「まあ、そりゃそうか」 この海だって、一人で来てたら、飛び込もうとか、泳ごうとか、思いつかないもんな。いや、思いつかないよな。普通。 そう呟いた瞬間に、背中に鈍い衝撃が走った。ぐえ、とかそういう言葉にならない呻きをあげながら前のめりに転んだ僕の頭上で、賑やかな声がする。僕はため息をついて、痛む腰をさすりながら、立ち上がると、声の方向を睨みつけた。 「……なんでいるのさ」 というか挨拶代わりにスーツケースで突っ込んでくるなよ。そう抗議する僕の言葉も彼らは意に介さない。抜け駆けはズルいとか何とか言ってくる阿良川の横で、秋を前に細々と営業している数少ない海の家を見つけた小守が早速鴎にたかっている。藍川は海に目を向けているけど、今日はちゃんと水着持ってきてるんだろうな。 そんなことをあれこれと言いながら、僕は小さく微笑む。 友達と海なんて、ほんの半年前の自分には想像もつかなかったけど、案外悪くない、そんなことを思う。 いや、そんなことを思っている暇もないか。こうやって気を逸らしているうちに皆の話はまた明後日の方向に向かっている。海まで来ておいて結局いつものファミレスに行くのか。まあ、別にいいけど。 と、一瞬夕日を受けた海面がきらりと光って、僕らは皆ふっと黙って、そちらに目を向けた。 そう、一瞬だって油断がならない、息を吐く暇もない、やりたいことがいっぱいのそんな日々の中で、僕らはたまに海を見る。あの夕暮れのことを思い出す。 それが僕たちの──いや、わざわざこんな言葉を使うのは気恥ずかしいけれど、まあ、ほかにふさわしい言葉も思いつかない。それなら、きっとその言葉は、僕たちの為に、この瞬間の為にあるということなのだろう。 だから、これがきっと、ちょっと風変わりな、それでも眩しくてあたたかい──僕たちの青春のかたちなのだ。 〈おわり〉 以上となります。長々と読んでくれた皆様、ありがとうございました。三村はきっと今回の件で新聞部員として目指す理想と、大事な友人を見つけられたことでしょう。 切ないけれど爽やかな、青春って言葉以外で言い表せないような素敵な物語でした……終わった後もしばらくモチーフソングだという曲を聞きながらしみじみしていた。 最後の方、PCの三村の目を通して見るNPCのことが物凄くいとおしく感じられてしまって……その気持ちの何パーセントかでもRPに乗せられてたらいいなあっておもいます。自信はないですが。 この形式の振り返りとても楽しいな……これからも、全部とはいかないかもですが。気が向いたらちょこちょことやっていくかもしれません。 そして改めて、木枯らしさん、りちゃさん、柏木@さん、そしてキーパーのダインさん、ありがとうございました!
マダラ | |
2020/05/23 18:07[web全体で公開] |
😆 昨日今日と 初めてCoCのシティシナリオに(しかも二つ!)参加させていただきました。 時間もかかるし一種特別な疲れがあるけれど、とても楽しかった……どちらも毛色の違う高校生探索者だったので完全に気分がハイスクールスチューデントだったあの頃にトリップしている。 そして先ほどまで参加全て表示する初めてCoCのシティシナリオに(しかも二つ!)参加させていただきました。 時間もかかるし一種特別な疲れがあるけれど、とても楽しかった……どちらも毛色の違う高校生探索者だったので完全に気分がハイスクールスチューデントだったあの頃にトリップしている。 そして先ほどまで参加していたセッションが終わって一息ついたところに昨夜同卓した方のキャラのショートストーリー式エピローグが上がってて嬉しくなってしまった。文章書くの好きだし自分もやってみようかな……
りちゃ | |
2020/05/23 14:15[web全体で公開] |
😶 五月雨屋敷の走馬灯 それから 秋も深まるころ、わたしは絶賛引きこもり生活を送っていた。 寝て、起きて、ぼんやりと時計を見やる。 時計の針が10時を指していても、カーテンはしっかりと閉め切っていたから、いまがいったい朝なのか夕方なのかもわからない。 部屋の外に物音がしないことを確認してそっとドアを開ける。 ドアのすぐ外に置全て表示する秋も深まるころ、わたしは絶賛引きこもり生活を送っていた。 寝て、起きて、ぼんやりと時計を見やる。 時計の針が10時を指していても、カーテンはしっかりと閉め切っていたから、いまがいったい朝なのか夕方なのかもわからない。 部屋の外に物音がしないことを確認してそっとドアを開ける。 ドアのすぐ外に置かれているトレイの中にトーストとサラダと牛乳が並べられているのを見ていまは朝なんだとやっとわかった。そんなどうしようもない生活をかれこれ3か月は続けていた。 昔から他人の笑い声が気になってしまう性格だったけれど、あの不思議な体験をしてからは人目のないところでも、誰かがわたしを指さして笑っているような錯覚が止められないでいた。 夏休みの間は笑って放任していた両親も、新学期になっても頑として登校を拒否するわたしを心配たのか、何人ものカウンセラーか何かが入れ代わり立ち代わり家にやってくるようになった。 でも、あの恐怖を知らない人がわたしの何をわかれるっていうんだろう。 最初はにこにこと質問をしてきた彼らも最後には結局ありきたりなことを言ってあきらめ顔で帰っていった。 誰かがいつもわたしを見張っている。 誰かがいつもわたしをなじっている。 誰かがいつもわたしを哄笑っている。 そして昏い、寒い、どこか遠くに連れて行こうとしている。 本当は何かあったかい、きらきらした何かがあったはずの夏の日々。 何とか自分を奮い立たせようとそういった思い出をかき集めようとしても、ふと雑念がよぎって気がそれた瞬間にそれらは幻のように立ち消えてしまって、どんなに目を凝らしても見つけられなくなってしまうのだった。 玄関のチャイムが鳴った。 この時間は最近はお祖母ちゃんもパートに出ているはずだ。 どうしたらいいものか右往左往していると携帯からLINEの着信音が鳴った。 翠からのスタンプが3つ並んでいたのをみてほっと胸をなでおろした。 翠はこんな風に家に誰もいない頃合いを見計らって時々様子を見に来てくれていて、わたしも彼女らと居るときだけは不安を和らげることができていた。 玄関の扉を開けるなり、するりと入ってきた翠に飛び掛かられて目の前が真っ暗になった。アイマスクのようなものをかけられて、続けて耳当てで何も聞こえなくなった。 動転しているわたしの両手を誰かが握ってきて、わたしは捕獲されたリトルグレイみたいな恰好でのそのそと廊下を引きずられていった。 最初は体中から汗が噴き出してきたけれど、ゆっくり確かめるように連れられていくうちに繋いだ両手に懐かしさがあふれてきて、温かいトンネルを丸まった自分がどこかへ押し出されていくようなそんな気持ちになっていった。 歩みが止まり、両手が離された。 続いて視界が開けて、耳に音が戻ってきた。 突然の明るさに、二度、三度まばたきをすると居間に知った顔がずらりと並んでいた。 手を引いてくれていたのはやっぱり阿良川と鴎だった。 翠がアイマスクと耳当てを持って笑っていた。 三村が指さしたテーブルの上には、山盛りのお菓子にジュース、そしてホールのケーキが並べられていた。 そこでようやく今日が自分の誕生日だったと気づいた。 胸に言いようのない感情が込み上げてきた。 みんなで確かに何かを共有したあの夏の日々が鮮明に蘇ってくる。 だれからともなくあの唄を口ずさんでいた。 日差しの強い坂道で、潮の香りのただよう木立で、夕暮れの浜で、確かに聞いたあの唄を。 空気がどんどん軽くなるのを感じた。 明日の終業式来られそう?と聞かれて、我ながらぎこちない笑顔でハーゲンダッツおごってくれるなら、と答えた。 ーーーーーーーー 先日、ダイン様キーパーでJACK.Z 野生の無貌の神様作の「五月雨屋敷の走馬灯」に参加させていただきました。 すごい、これはすごいあおはるですよ。 プレイヤー全員友人で16才で夏休み、不思議なうわさの真相を探るシティもの。これ絶対面白い奴だーと思っていましたが、期待以上のとうとさでした。 PC4人が揃いもそろってインドア派で、屋内シーンのダイスロールにはめっぽう強いのに屋外にでるとポンコツになっていくのも笑えましたし、オカルト部に新聞部というマイナー路線の集団が、探索を続けていくうちにうちとけてガードが崩れていく感じはほんとよいものでした。 というわけで後日譚妄想です。 ほんとうなら圧倒的にハッピーな日記になるはずだったのですが、ふとした油断とダイス神のいたずらで発狂、3か月の一時的偏執症を引き当ててしまったのでした。どうしてこうなった(笑) そんなこんなで、同卓したPCさまたちのお力を勝手にお借りしてしまいました。妄想話と思って流していただければ幸いです。これは小守文乃一生頭あがんないな。 堅物に見えてお茶目な一面もみせてくれた阿良川、何故か対人交渉の一番の矢面にたたされていた三村、破天荒ながらセラピストでもあった翠、リーダーだったはずだったはずの鴎、天に愛された美少女ゲーム実況投稿者の四葉杏様、みんな大好きでした。 サイゼリアでだべったり、LINEタブでしょうもないことを発言しあったり、謎の唐突な〇〇回が発生したり。この面子だったからあの夏の日を体験できたのだなーと思います。 あと翠は絶体絶命のときに精神分析してくれてほんとありがとう。アフター的におおげさでなく一命をとりとめました。 改めまして、木枯らしさん、マダラさん、柏木@さん、そしてキーパーのダインさん、楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者のJACK.Z 野生の無貌の神様にも感謝です。 またよければ一緒に遊んでください。
空鮫 | |
2020/05/19 23:26[web全体で公開] |
😶 本日のセッション感想~「はんにんは」 ネタバレにならないような日記を心掛けている空鮫です。 今回のセッションは「はんにんは」というシナリオで、アンスさんKPの下、まだらさん、じゃばさん、柏木さんのお三方と同卓させていただきました。推理・謎解き重視のシナリオで、非常に考察が面白かったです。 というわけでここからセッション自体の感想全て表示するネタバレにならないような日記を心掛けている空鮫です。 今回のセッションは「はんにんは」というシナリオで、アンスさんKPの下、まだらさん、じゃばさん、柏木さんのお三方と同卓させていただきました。推理・謎解き重視のシナリオで、非常に考察が面白かったです。 というわけでここからセッション自体の感想。ネタバレにならないようにサクッと。 ・SANを減らしに行く行動をとったつもりが裏目に出て全然減らない ・ファンブラー空鮫はどこへやら(今回のファンブル数0) ・奇跡の苗字被り、W相沢コンビ結成 ・MA組み付きでノックアウトを狙うも無事死亡 ・完璧で幸福なKPは致命的な情報読み間違いなどを犯しません いやー笑った。本当に楽しかったです。 つか今回私何もしなかったな?????
りちゃ | |
2020/05/19 14:46[web全体で公開] |
😶 瑠璃色絵画 それから 日傘をずらして空を仰ぐと雲一つない空が広がっている。 陽気も強くなってきた。 額の汗をハンカチで押さえて辺りを見渡す。 往来には半そで姿が増えてきたが、わたしはまだ衣替えするふんぎりが付けられなかった。 右襟が気になって引っ張り上げてから、癖になってきているなと、苦笑した。 家と家全て表示する日傘をずらして空を仰ぐと雲一つない空が広がっている。 陽気も強くなってきた。 額の汗をハンカチで押さえて辺りを見渡す。 往来には半そで姿が増えてきたが、わたしはまだ衣替えするふんぎりが付けられなかった。 右襟が気になって引っ張り上げてから、癖になってきているなと、苦笑した。 家と家の間を縫ってしばらく歩くと目的の看板が目に留まった。 個人宅を使ったささやかな絵画教室で、あまり繁盛はしていないようだった。 研修先の大先生の古くからの知り合いでアートセラピーも行っているそうで、勉強になることがあるかもしれないね、と紹介してもらったのだ。 講師は温和な雰囲気の初老の女性だった。 最初だから何でも好きなものを描いてみてくださいと言われて、スケッチブックと画材を渡されると自然と青色に手が伸びた。 やっぱりここが引っ掛かりどころなんだろう。 絵具を溶きながら描くものを決めようとしたが思い浮かばず、とりあえず平筆で横線を引いてみた。これは空だろうか、それとも海なんだろうか。続いてすぐ下にもう一本。水を都度含ませながら引いたせいで自然とグラデーションが生まれていく。 瑠璃色。ラピスラズリ。青金石(ラズライト)を主成分とした半貴石。複数の鉱物を含むため深い青色から藍色までその色合いには幅がある。しばしば黄鉄鉱の粒を含んで夜空の様な輝きを持つ。 かなり古い時代から見出されていた石で、宝石としてのほかに顔料ウルトラマリンの原料として用いられてきた。有名どころでいうとフェルメールの「青いターバンの女」だ。フェルメール・ブルーなんて呼ばれ方もしているそうだ。とにかく高価で聖マリアやキリストのローブを塗るために使うとっておきの顔料だったらしい。 そんな蘊蓄を思い出しながら、ゆっくりと線を重ねていく。 下半分を塗り終えてしまうと今度は上に向かって同じように青を広げていく。 やがて紙いっぱいに線を引き終えると体を反らして眺めてみた。 これは一体何だろう。と考えても思いつけずにただ濃い青に目が吸い込まれた。 そこに隠された何かを掬い上げようとする。 それは無垢な深淵であり、穏やかな信頼でもあり、秘めた孤独でもあるように感じた。 わたしが描き上げた様子を見て先生がやってきて、いいですね、とうなずいた。 意味はわからなかったが、その落ち着いた笑顔と声の調子からはそれが心からのもののように思えた。 先生に礼をして教室を後にした。 喫茶店に入ってスマホを眺めていると占いページが目に留まった。 ラピスラズリ。パワーストーンとしては自他の邪心を取り除き、良い方向に導く。長期的な視野での試練を与える。 隣の席では大学生らしき男女が遊びの相談をしている。 そうか、そろそろ大学も夏休みか、と思い出して先日追加されたばかりの連絡先に指を伸ばした。 ーーーーーーーー 先日、そばうどん様キーパー紅音様作の「瑠璃色絵画」に参加させていただきました。 いやあ、「袋の人間」でも思いましたけどタイムリミットものはどきどきしますね。 わいわいやりながらも終始残り時間が気になっていました。 導入の壁紙がとてもおしゃれで、セッション中ずっと色彩豊かなイメージがついてまわっていたのも印象的でした。 で、このセッションの募集要項にもシナリオ製作者様のコメントにも、ロストはあるにはある、発狂もほぼない、とのことだったのですが、当パーティでは1名重症、1名不定という謎の現象が起きていしまいました。ダイスって怖いですね。 かく言う自キャラの河雲聖来が重症者でした(笑) しかもアイデンティティと言っていい精神分析をしくじって同行者の不定を解除できなかったのも、実は河雲聖来だったのでした。本当にダイスって怖いですね(笑) というわけで後日譚妄想です。 無事に揃って脱出でき、目立った後遺症もなかったハッピーエンドだったので爪痕をどうしようかなと悩んだのですが、未熟さを痛感しながらも支えを受けての再スタートといった心持にしてみました。 信頼できる上司に、天真爛漫な蛍ちゃんや、気配りのできる年下の智也君、頼れる貫禄の己斐さんと周囲が盤石の布陣なのできっと明るい未来に続いていけるのではと思っています。 また、今回のセッションでは、「ピース・メイカー」でご一緒させていただいた物部さんとの再同卓でき、「クレイジーガーデン」でご一緒させていただいたしまさんに来ていらして、縁はこうやって広がっては繫がっていくんだなあと4戦目にして感慨深くもありました。 改めて、すぬさん、物部皐さん、柏木@さん、そしてキーパーのそばうどんさん、楽しい時間をありがとうございました。シナリオ製作者の紅音様にも感謝です。 またよければ一緒に遊んでくださいね。
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