滝 震一郎(ﾌﾞﾗﾐﾄ)（ブラインド・ミトス用キャラクターシート）

元どんなものでも売ってみせると豪語するフリーランスのセールスマン。

現在は禁書取締官を本業としているが、
モノを売ることは自らのサガだとして、
金に困っていないにも関わらず、
隙あらば副業に励む。

所有する禁書は『無門関』の江戸時代の注釈付き写本。

広く知られる禅の公案集だが、
書かれた注釈の方が量が多く内容がおかしい。

無とは何かに焦点が当てられているのだが、
狂気に満ちた考察は仏教とは程遠い奇怪な思想に彩られている。

売りたいという人物からこの無門関を受け取った時、
無とは何かについて一瞬覚知した。

ただ事ではない感覚に恐怖を感じながらも惹かれ、
ひとまず自分が買い取ることにして夢中で読み耽った。

現代語に置き換えながら崩し字を読み解くことには骨が折れたが
読み終わった時、自分の周囲に
玉虫色の無数の球体が存在していることに気付く。

自分が世界の裏側に足を踏み入れたのだと悟った。

その後、禁書事件に巻き込まれ、
TBファイラーと出会って人生が変わることになる。


【セールスマン滝、かく語りき】

どうもどうもこんにちは、私、セールスマンの滝と申します。
いえいえ、本日はお客様にモノを売りに来たわけではないのです。

もちろん無駄話をしにきたわけでもございません。
私、フリーランスのセールスマンをしておりまして。

ええ、フリーランスです、フリーターではありませんよ、フリーランスです。
会社に所属せず、個人で仕事を請け負って何かを売るというセールスマン。

何かとは何か、はい、なんでもです。
売りたいお客様と買いたいお客様がいれば、
なんでもお売りいたします。

そうですね、例えば良い商品を作る方全員が全員、
ご自身の作品のプレゼンが上手いわけではない、
というのはご理解いただけると思います。

また、良い商品を作る企業でも新規顧客の開拓に悩む、
そんなケースも多々ございます。

そんな時、広告を打つ、というのが常套手段ではございますが、
情報過多なこの現代、広告というだけで拒否反応を示す方も少なくありません。

では、何を頼りに商品を探すかと言えば、原始的な方法、そう口コミです。

ですが、この口コミというのもやはり情報の洪水おびただしい今の時代、
見知らぬ誰かの言葉など信じられるものではありません。

そこで、狙った客層ではなく、狙ったお客、ひとりひとりに確実に商品をお届けし、
その親しい方々に良さを伝えていただくのが新しい時代のセールスとなります。

現実的ではない。そう、企業がそこまでする余裕はありません。
だから、私のようなフリーランスのセールスマンがいるのです。
扱う商品は文字通りなんでも。売りたい方がいる限り、どんなものでもお売りします。

ボールペンにフィギュアに本、パンに野菜に家に土地。
有価証券から写真に落書きまで、なんでもです。
もちろん形あるものに限りません。

そう、例えば夢。
大きな志を持ちながら資金が足りず実現できない才能あふれる若者。
彼らの夢をお金に変えることができる企業やパトロンに才能を売り込むことができます。

おわかりですか？　お金を出す人がいる限り、どんなものでも売れるのです。
あなたにとってガラクタでも、誰かにとっては宝となるかもしれません。
世間一般ではゴミ扱いでも、人によっては探し求めた逸品となります。

さて、私が何者か、おわかりいただけたところでお客様、
私ははじめにモノを売りに来たのではないと申し上げました。
何を隠そう、本日は私の信用を売りに参った次第です。

お客様の売りたいモノを言ってください。
私が責任を持って欲しい人の元にお届けいたします。
その結果をもって私を信用するかどうか決めていただきたいのです。

ええ、初回はお代は結構です。
これは私の信用を買っていただくための初期投資ですから。
そして、次回からは商品の性質に基づいて手数料をいただきます。

どうでしょう、お客様、
このプロのセールスマンに何かを売るようお申し付けください。
どんなモノでも売ってご覧に入れましょう。

このチャンス、買い時でございますよ？