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😲 周縁から終焉への収斂、あるいは終焉から周縁への展延(ネタバレ長文) (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)※セッションを受けて書きましたがセッションレポではありません。 ※Delta Green : Impossible Landscapeのネタバレしかない感想です。 書き出しからマジでネタバレしかないのでちょっとでも興味持った人は見るの止めておきなさい。 一応20行ほど空けておきますね。 すげえものを見てしまいました。 確かにセッション最後で王様が仮面を外して御尊顔を拝見しましたがそういう話じゃないです。 あと20行空けておきますね。 世界は黄衣の王が書かせた劇であり、我々は皆その劇の登場人物でしかなかった。 50時間遊びましたがあらすじは↑の一文に尽きます。 話の構造は割とびっくりしました。最初は蜘蛛の巣を渡る話だと思ってたんです。 中心に蜘蛛がいて、横糸を辿って行くと縦糸に当たるから、それを繰り返して中心に行く話なんだな、そんで蜘蛛が王様なんだな、と。ところが気付いたら王様は蜘蛛の巣を上から見下ろしてるだけで、自分たちが蜘蛛だと思ってたのは自分たち自身で、蜘蛛の巣自体も捻じれたメビウスの輪みたいになってました。 とはいえこれも話の構造自体は「マトリックス」+「セブン」みたいな感じですごく目新しい、というものでもありません。昨今は特にループ物流行ってますし(←も古い認識かも)、PLもすんなり受け入れていた感じでした。 このキャンペーンでは正気度は「我々が現実だと思っている幻想にしがみついている強さ、真実を否定する頑なさ」を示します。真実を理解し受け入れることで、現実にしがみついている我々には異世界のように感じられる異形の時空間でより自由に行動できるようになります。クトゥルフ神話における正気ってまさにこういう概念で、だから非常に基本に忠実なつくりではあるんですね。 ここから本題。 このキャンペーンが本当に凄いのは、↑みたいな神の視座からの説明を一切せずに、PCから見えるものの描写だけで世界観を表現しようとしているところです。「『この世界』がつくりものだった」という恐怖を描くのに、『この世界』自体につくりもの感を感じさせてはいけない(少なくとも真実の一端に触れるまでは)わけですから、アプローチとしては王道なんですが、実際やろうとはなかなか思いませんし、思っても実現までは届きません。しかも映画や小説みたいなリニアなメディアじゃなくてTRPGですよ? なのにこのキャンペーンはそれを600年余に及ぶ年表を含む360ページにも渡る膨大な量の情報の洪水で実現させてしまっている。 KPのokomeさんからは「1話が出来てから長いこと止まってて、20年越しに完成したキャンペーンなんですよ」と聞きましたがさもありなん。なんというか「この世界の真実をTRPGキャンペーンのかたちで世に出さなければ」みたいな狂気の執念を感じます。物語自体が捻じれた入れ子構造になっているだけでなく、その捻じれが現実世界(と書いてしまいますが)にまでキャンペーンを通じて滲出して来るような、このキャンペーン自体が「黄衣の王」の一形態みたいになってしまっているような、そんな感覚にすら囚われました。 プレイ中の地に足がつかない浮遊感がずっと続く感じも凄かったですし、真相分かり始めてからの狂気がゲームから滲出して来るような感覚も初めてでした。いやあ、これは恐ろしいものを見てしまった。アメリカ人はなんつうものを作るんだ。
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