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😶 知らず、悟らず、されど見澄ます それから (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) 規則正しい呼吸のリズム、額から後方に流れ飛ぶ汗。 風が髪をなびかせ、巻き上げる。 この河川敷は陸上部の現役時代によく走りに来ていたコースだった。 まっすぐに続く道の先に、青空が嫌になるくらい深く広がっている。 あれからさ、時々考えんだ。 あんたがなんであんなもんに頼っちゃったのか。 センセイから図書館で猛特訓を受けて、暗号みたいだと思っていた数式の言っていることがなんとなくわかってくる度に。 家庭の問題っていうやつが、どんなにややこしくてやっかいな法律や手続きに絡めとられているか知らされる度に。 働くってこと、家に住むってこと、食べてくこと、その本当の難しさに触れる度に。 子どもでいんのに耐えらんないで、大人にだってそんな急にはなれないで。 心細くって、怖くって。 知られたくなくって、巻き込みたくなくって。 どうしようもなくなっちゃんたんだよね。 そんなあんたの笑顔の後ろの泣き声にもしも気づけていたらって。 あのいつものパン屋の角を曲がる度に、そう思う。 喉に何かが詰まりそうになって、気をとられて絡まりそうなった両脚を突っ張った。 膝に手をついて息を整える。 でもまだ、どこか繋がっている予感はするんだ。 手は、届いたから。 笑顔、見せてくれたから。 だから。 まずは知ろうと思った。考えよって思った。 回り道だって、なんだってさ。 あんたの心に追いつくために必要で、あたしらが知らないでいいことなんて一個もない。 だよね。 顔を上げると太陽の光が六角形に連なって、白く降り注いできた。 ねえ、知ってる? うちのばっちゃんの生まれた町だとさ、雨が白く糸みたいに降ってさ、縁を繋ぐんだって。昔話っていうの?なんかいいよね。 白雨のこと見てて、ちょっとそんなこと思い出した。 最近はさ、ちょいちょい一緒にご飯食べてんだ。 ほっとくと肉とかしか食べないじゃん。あの年頃の子って。 クリーミーフルーツサンドを齧る姉と、トーストを頬張る弟の姿が、妙に真剣な顔つきがだぶって浮かんで思わず噴き出した。 この際言っちゃうけど、悪い姉ちゃんだよ、あんたは。 でもどうせさ、納得するまでやるつもりなんでしょ。 頑固で、身勝手で、思い込み激しくって。 色んなあんたを見せてくれたよね。あたしらが知らなかったあんたのこと。 ちょっとびっくりはしたけどさ、いいんじゃない。 あたしはさ、嫌いじゃないよ、そういうの。 身体を起こして大きく息を吐く。道の先を見ると、車止めの柵が目に留まった。 一歩、踏み出して、駆けだした。 近づくほど柵はぐんぐん高くなっていくように感じる。 でも、そうね。 隣の席が空いたまんまの教室って、やっぱ寂しいからさ。 顔見に行くよ。 あんたが根をあげてくれるか、あたしらが本当にあんたに追いつけるまで。 何回だってさ。 空を蹴って、よく視て識って。縁を手繰って。 柵の三歩手前、勢いをつけて踏み切ると、飛び越えたつま先に土が舞った。 自然と笑みがこぼれるのを感じて、その光景を、その先をみつめた。 『さよなら泣き虫、ただいま歌姫』。 センセイの小説に誰かさんがつけたタイトルを思い出す。 自分で言っちゃうかな、そゆこと。 ほんとにもう。ほんとに、もう。 ーーーーーーーー 先日、時雨様キーパーで時雨作の「知らず、悟らず、されど見澄ます」に、高校生探索者、空蹴 貴子(そらけり たかこ)で参加させていただきました。 青春でした。アオハルでした。圧倒的な。ガラスみたいな脆い透き通った何かを抱えて駆け抜けた2日間でした。今回、キーパーの時雨さんが本編に入る前に日常編を2時間くらいやりましょうってしてくれて、それがまたよかったんです。ダウナーな体育会系の空蹴と、夜更かし趣味人な文系のセンセイこと高視、ゆるふわ小動物な冬音。クラスの隅でいつも固まってるみたいな3人がとても懐かしくて、愛おしくてたまんなかったです。テーマソングの「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がまたマッチしてて、切なくて、セッションの合間にはずっとリピートしてました。空蹴がセッション中3回組みつかれたこと、マーシャルキックを5回クリティカルしたこと。センセイがちょっと格好よかったり格好悪かったりしたこと。最後に奇跡の製作:小説をクリティカルしてエピローグを増築してしまったこと。新作パンを頬張ったり、お弁当をカンパしあったり。挙げだしたらきりがないほど心に残るシーンがたくさんでした。学生探索者いいなあ。 というわけで後日譚妄想です。 最後に格好いいこと言ったけど、やっぱり学生なので、進めば進むほど壁に当たったり世界の広さを思い知ったりするんだろうなあ、でもそれも確かな未来への一歩と受け止めるだけの信頼と予感は持っていたいなという気持ちでまとめてみました。高天原市キャンペーンの入口とのことでしたので、この先が楽しみです。これからどんなお話が続いていくのかわかりませんが、冬音のことを追いかけて、冬音の心に寄り添う旅にできたらと思います。 改めまして、マダラさん、キーパー兼シナリオ作者の時雨さん楽しい時間をありがとうございました。 続きもぜひ一緒に遊んでください。
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