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😭 ミコトの手記 (前編) [※蠢く島ネタバレ] (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼) ※この日記はPC目線でセッションの振り返りをしたものです ※他参加者のPCのお名前もたくさん出てきます ※PCの過去、詳細設定なども大きく反映されています ※またネタバレを多分に含みますのでご注意ください ----------------------------------------- 8月× × 日 東海林の知人が離島での宿泊体験のチケットを当てたらしい。東海林は「海は好きじゃない」とのことで、私を紹介したみたいだ。 誘ってくれたのは京極 花凛ちゃん。まだ大学生らしいけれど、随分と大人びた方だったなぁ。 行先はどうやら海がとてもきれいな離島らしい。旅行の時期も、丁度休暇を貰おうと思っていた辺りだったから良かった! --船内にて-- 偶然ってこんなにも重なるものなのね。ビックリした。 今回の体験宿泊のメンバーはわたしを含めて5人。 宮下さんは花凛ちゃんの知り合いらしい。東海林のことも知ってるみたいで、すごく会いたがってたなぁ。ますます東海林、来ればよかったのに。あ、でも超常現象探偵事務所、とか何とか、ちょっと胡散臭い名前だし不安かも。 小玉さん……宙ちゃんは宮下さんの仕事仲間だそう。探偵さんってやっぱり人脈広いのねぇ。 それから皐月さん。ジャーナリストだそう。ひどく船酔いしてたから心配だけど、大丈夫かしら?一応できる限りのことはしたけど…… そして、一番驚いたのは、やっぱりアレンがいたこと。まさかロースクールの頃の同級生にこんなところで会えるなんて!今は一体何をしてるのか、随分と怪我の痕があったけれど、やんちゃしてないか心配。 --1日目-- 宿泊所の使用人の日下部さんに連れられ、きれいな洋館に案内された。今回この宿泊体験を企画された社長さんの別荘を改築したものらしい。展示室に飾ってあった絵はあまりわたしの趣味ではないし、骨董品とかは興味無いからサッパリなんだけど、花凛ちゃんや宮下さんは詳しいみたいで、なんだか熱心に展示品の一つの羊皮紙を読もうとしてた。アレンも意外だけど、骨董品の目利きができるみたい。ダイバーだって言ってたけど、本当に一体今何をしてるのやら……。 海は聞いていたとおりとっても綺麗で気持ちよかった!浜辺では社長さんの妹の野枝ちゃんが砂遊びをしていたから、一緒に砂の城を作って遊んだりした。大人しそうだけど、お兄さんのことが好きないい子みたい。でもなんだか、妙な感じがしたのはどうしてだろう。 それにしても使用人の日下部さん。中性的で、男性に使うのはどうかと思うけど、綺麗な方だったなぁ。宙ちゃんは「絶対女性だ!」って言い張ってたので、賭けをすることにした。男性だったらわたしの勝ち、女性だったら宙ちゃんの勝ち。掛けたのはジュースだし、このくらいなら賭博にはならないよね? 今回の旅行は役員さんの慰安旅行も兼ねてるらしく、何名か役員の方もいらっしゃった。鎌柄ご夫妻の馴れ初めは、聞いてるこっちがにやけちゃうくらい。幸せってきっとこういうことを言うのでしょうね。 五木田社長は腹違いの妹さんの野枝ちゃんのことを「本当に家族だと思ってくれているのか……」って心配してたけど杞憂ね。 わたしもアキちゃんとは血が繋がってないけれど実の弟だと思っているし、お義母さんも、わたしのことを家族だって言ってくれた。血が繋がって無くても、一緒に暮らしていれば、家族として思う気持ちさえあれば、それだけで十分。 夜、食事会の後にアレンと海を見に行った。昼間の海も綺麗だったけれど、夜も夜で静かで、穏やかな海で、アレンのハーモニカの音色が心地よかったから、ついつい気が緩んでしまったみたい。アメリカにいた頃の話でしばらく話し込んでしまった。 『井浦 美琴 』として生きていた、何も知らなかった平穏な日々を知ってるのは、ロースクールの同級生くらいだから。 歌を歌ったこと、自分の背より大きいヒマワリを見たこと、トウモロコシ畑でかくれんぼをしたこと、トランプでは絶対にアレンに勝てなかったこと。そんな無邪気で他愛ない、何も知らないわたしの過去を知ってるのは、もう、きっと彼くらいしかいない。でも、あの頃の記憶を、一緒の思い出を辿るなんて、もう二度と出来ないと思っていたから、本当に嬉しかった。 -- 中学生になる少し前のこと。お兄ちゃんと家で隠れんぼをしていた時、屋根裏部屋に隠れてたまま、いつまで経ってもお兄ちゃんが探しに来ないから寝てしまった。次に声をかけてくれたのは、お兄ちゃんでも、お母さんでも、お父さんでも無かった。青い服。警察官。 そこで気化ガスを使った一家心中を計ってわたし以外の家族が死んでしまったことを、初めて聞かされた。 嘘だ。そんなことあるはずない。だって、わたしが最後に見たお父さんは笑っていたし、今度の休みにニューヨークに連れていってくれるって言ってた。お母さんも楽しそうに料理をしてたし、お兄ちゃんもわたしと一緒に遊んでた。そんな最中に、みんなが死のうとしたなんて、ありえない。ありえるわけない。 でも、お父さんは医学者だったから、そういう毒物にも詳しいし、入手ルートも見つかったから、警察の人は間違いないって言ったけど、どうしても信じられなかった。何度も何度も調べて欲しいってお願いしたけれど、警察の人は聞いてくれなかった。 その時、『もし遺体の声が聞けたら、きっと訳を聞けるのに』って。それが法医学を学ぼうと思ったきっかけだった。きっとそれがわたしが生き残ってしまった理由なんだって、そう思って、日本に帰ったあとはひたすらに勉強した。 このことはアレンにもまだ流石に話せなかったけど、いつか話せたらいいな。 -- お風呂から上がって、せっかくだからベッドをくっつけて、宙ちゃんと花凛ちゃんと一緒の部屋で寝ることにした。女子会ですね!って花凛ちゃんも嬉しそうだし、宙ちゃんはやっぱり年頃なのか、ぐいぐい恋愛トークに持ってこうとしてたなぁ。そんな雰囲気が懐かしくて、ついつい話し込んでしまった。初対面だったけど、二人ともいい子で良かった。もう日付も回りそうな頃になって、流石に寝たけど、学生の頃ならもしかしたら朝まで喋ってたのかもね。 -- 変な夢を見た。妙に恐ろしくて飛び起きたら、丁度花凛ちゃんも起きていた。どうやら同じ夢を見たらしい。鳥に襲われる夢。しかも外は酷い嵐で、ごうごうと館が軋む音がした。不意に何か大きな音がしたから、不安になって外に出てみたら、アレンと、皐月さんも目が覚めたみたいで、もし窓とか扉が開いてたら危ないから、と一緒に館を見て回ることにした。道中聞けば、やっぱり二人も鳥の夢を見たらしい。こんな偶然ある?何か変。そんなことを思いながら階段を降りていると、花凛ちゃんが男の人影を見たらしい。急いでそっちの方向に向かったけど、わたしたちが行った頃にはもう誰もいなかった。窓も扉もみんな閉まってるし、外の天気の他におかしなところは何も無かった。 思い違いなのかもしれない。嵐の音が激しすぎて、何か聞き間違えたのかもしれない。そう思って、その日はみんな寝室に戻っていった。 明日も海が見たいから、朝には嵐が収まってるといいんだけど。 --2日目-- 五木田社長が遺体で見つかった。 第一発見者は鎌柄十郎さん。朝食会場にいつまで経っても現れないから不安になって見に行ったら、ベッドの上に遺体があったとのこと。 遺体は酷い有様だった。何かに切り裂かれたような、……例えば鋭い爪とか、牙とかで。 取り急ぎ、念の為持ってきていた鑑定器具で遺体を調べたところ、頭部に打撃痕が見つかった。それに遺体には失血によるショック反応は無く、頭を激しく打ち付けたことによる脳挫傷が死因だと推測された。頭部の傷跡は社長室にあった彫像の台座の大きさとほぼ同サイズ。念の為、遺体と彫像それぞれに付着した血液を採取し、鑑定溶液に入れて置いた。特定までは出来ないけれど、血液型を絞ることくらいは出来るだろうし、凶器の特定の際には役に立つだろう。 死亡推定時刻は昨晩深夜。 ただ、遺体に何かの唾液のような粘性のある液体が付着していたことが気になった。 人為的な殺害の高い遺体だけれども、どうにもひっかかる。それに嵐はまだ止んでおらず、外部との通信手段も途絶えてしまった。そんな閉鎖空間で疑心暗鬼を煽るのはよくないと判断し、獣に襲われた可能性があることをひとまず全体説明で話すことにした。 それでも五木田会長はじめ、多くの方がひどく怯えていたようで、中には部屋を飛び出して行ってしまう人もいた。無理もないけれど、出来ればこういう時こそ冷静に……なるべく単独行動は避けるように提案したけれど……。 --- 夜になっても嵐は止まない。救援が来ないことに痺れを切らした会長が外へ出ていってしまった。宮下さんと花凛ちゃん、それから皐月さんが急いで追いかけていった。そんな矢先、日下部さんが過労で倒てしまった。無理もない、精神的に参ってる状況でずっと働き詰めだったんだもの。どうにか休んでもらうよう説得したけれど、大丈夫かしら。 --- あとで聞いた話だけど、五木田会長は戻ってこなかったらしい。遺体も見つかっていない。ますます訳がわからない。 今晩はもう警察も救助も来なさそうだから、どうにか社長の遺体だけでも安置したい。まだ聞けてないことが多すぎる。このまま不自然を残したまま消えてしまったらどうしようもなくなってしまう。ワインセラーか冷蔵庫なら、まだ損傷を抑えることが出来るだろう。けれど、鎌柄さんは「明日まで待って欲しい」との一点張り。アレンも「遺族に見せる時に綺麗な方がいいだろう」って説得を手伝ってくれたけれどダメだった。悔しい。一応冷房は付けてあるから多少はマシだと思うけど、どうにか持ってくれることを祈るばかり。 --3日目-- また夢を見た。今度はハッキリと、鳥が社長と会長を喰らっているのを見た。 花凛ちゃんはどうやらこういったオカルト的な事象に詳しいらしく、「根本的に解決しないと帰れない」って言ってた。確かにタイムスリップした夢を見た時も、似たような状況だったっけ……。 食堂に着くと、宙ちゃんと日下部さんが慌てて飛び出してきた。野枝ちゃんがいなくなったのだという。食事もそこそこに、みんなで別れて探したけれど、結局見つからなかった。どうしようかと考えていると、不意に階段の方から大声が聞こえた。 それが嵐の前兆だった。 ハナさんを人質に、十郎さんを恫喝する高足さん。離すよう説得する十郎さんとアレン。丁度2階を探していた花凛ちゃんと合流出来たから、アレンが叫んで気を引いてくれている間に包丁を奪い取ろうとしたけど、わたしと花凛ちゃんの力じゃ適わなかった。遅れてアレンが駆けつけてくれたけれど、そんな矢先、視界が急に暗くなった。何か大きな影がシャンデリアの光源を遮ったのだと気づいたのは、花凛ちゃんとわたしと、そしてハナさんの目の前に黒くて大きな鳥が、夢で見たあの不気味な一本足の鳥が現れてからだった。 鳥は明らかにハナさんを狙っていた。騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれた宮下さんと皐月さん、宙ちゃんと、急いで逃げたけど、鳥はずっと追いかけてくる。何度も何度も逃げようとした。 けれど、だめだった。 目の前でハナさんの体はへし折られ、近くにいた宮下さんも、心臓をえぐり取られて、亡くなってしまった。 あの得体の知れない存在の前に、必死に手を尽くしても、わたしたちは無力だった。 それでもやらないといけないことがある。まだ事件はおわっていない。法医解剖医として、この事件に関わった者として、彼らの思いを受け継いで、解明しないと。 --- 後半に続く……
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