【クトゥルフ神話7版】VOID / AMUSA卓【TRPGリプレイ】
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本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。 Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc. Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc. PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
はじめに
このリプレイは2024/12/13から隔週で行われたCoC7th「VOID」のリプレイです。みやお様(@myao_trpg)制作のシナリオ「VOID」の内容が含まれますので、ご注意ください。
また、参加PL様からはリプレイ化の許可をいただけました。改めてこの場を借りて感謝を申し上げます。
このシナリオは秘匿が多いシナリオとなっています。このリプレイでは、KPの視点で進めます。他HOの視点で読み進めたい場合は、以下のリンクより閲覧してください。
HO1:
HO2:
HO3:
HO4:
【表示項目】
【非表示項目】
【見方】
PC発言 ▶ テキストボックス
PL発言 ▶ 色付きテキスト
【参加PL/PC (敬称略)】
HO1秘匿導入
年季の入った蓄音機から壮大な音楽が流れている。
ニコロ・パガニーニによる24のカプリース。その最終曲。このヴァイオリンの旋律が好きだと話してくれたのは誰だっただろうか。
そんなことを考えながら貴方は目の前の光景をただ呆然と見ていた。
床は真っ赤に染まり、自分のすぐそばには人間が転がっている。鉄臭い中に、ほんの少しだけ油の香り。そして、こちらに近づいてくる、何者かの姿。窓の外は土砂降りで、雷の光がその手元を照らした。
その機械の手は、貴方に向けてナイフを振りおろし…
そして________
何かに締め付けられるような感覚。
息苦しい、けれどどこかあたたかい。
_____目覚ましのアラームが鳴る。
嫌な夢を見た。この夢を見るのはもう何度目のことだろうか。
アラームを止めようと手を伸ばすが、別の手が先に時計に手を置いた。
大丈夫か?すごい汗だな
赤星透也だ。黒田と同じ捜査一課に所属する彼は、今度から貴方と同じ課に所属することになっている。貴方がこの家に来た頃からここに出入りしており、黒田が忙しい時はよく貴方の面倒を見ていた。
そういえば今日は警視庁に向かう日だったとぼやけた頭で考える。なんだか今日は寝起きが悪く、少し頭痛もする。時刻を見れば11時をまわろうとしていた。寝坊してしまったようだ。
………透也さん……きてたんですね……おはようございます……
ったく、初日からこんなんじゃ刑事は務まらねぇぞ
はやく起きないと遅れるぞ。黒田さんは先に行ってるって
乗り気じゃないんですがね……なんで、よりにもよってアンドロイド課なんですか……捜査一課にでも配属してくれたら、よかったのに……
黒田 志貴:と言いつつ起き上がって、いそいそと服を脱いで着替え始める
そう文句言うな、上の命令なんだからさ。じゃあ先に車出しとく。朝食…もう昼食か。食べたらこいよ
軽く目玉焼きでも作って乗りつつ食べますよ
黒田 志貴:そう言いつつ、着替え終えてから料理を作り始めて、軽く作ってから車へ
と思ってリビングに行くと、机の上にはラップがかけられた朝食がおいてある。
近くにメモがおいてあり、メモには
と達筆な字で書いてある。黒田の字だ。
………はいはい、いただきます
黒田 志貴:諦めた様に席につき、おとなしく食べ終えて、皿を洗ってから改めて車へ向かう
ここで目星を
見覚えのない謎の部品を見つける。見ればVOIDの部品で、形状は螺子と似ているがどこからか取れたのだろうか?
……っはー?ふぅん……寝てる間に連れ込んだ……か?……あー、ヤダヤダ……せめて話してくれりゃ良いのにさ
黒田 志貴:そうぼやきつつ、その部品をポケットに突っ込んで、車へ向かいます
外に出れば小雨が降っていた。今の季節のこの地域は肌寒く、貴方は思わず身震いをする。
そんな様子を見て赤星は乗れよ、と貴方を助手席に誘導した。
どうも、法定速度ギリギリで宜しくお願いします、透也さん
黒田 志貴:ガチャリとドアを開けて乗り込み、ドアを閉めつつ深く座ってシートベルトをつけてつつそう言って
はいはい、まぁ俺は運転しないがな
車内に乗り込めば、「目的地はどちらですか?」と機械音声が鳴る。赤星が「警視庁へ」と答えれば車は自動発進した。ここ数十年で科学はかなり進歩し、自動車さえも自動運転は珍しいことではなくなったのだ。
車はそのまま都内を走っていく。車窓から見える街の景色はいつもと変わらず高層ビルが立ち並び、その下では傘をさした人々がアンドロイドを連れ歩いている。霧も少しでているようだった。
それにしても、今時アナログのアラーム時計なんて使ってるのお前と黒田さんくらいだよ。今はどの家庭も家庭用ロボットが人間様の睡眠管理をしてるからな
……ま、道具に頼り過ぎるのも、人間の機能が悪化するだけですからね……基本、アラームより前に起きてアラーム止めてますし、俺も
黒田 志貴:と言いつつタバコを取り出し口に咥え
はっはっは、言えてるな
調子はどうだ?ずいぶん寝苦しそうだったけど、また昔のことを思い出していたのか
……まぁ、ぼちぼちですよ……忘れたくても、深く刻まれた物はより思い出に残りますからね……そうそう……そういやうちにVOIDの部品が転がってたんですが、透也さん連れ込みました?
黒田 志貴:そう尋ねつつ、ライターを取り出してタバコの先に火をつけて
連れ込むだぁ?わざわざお前がいるのに連れ込む奴がいるかよ。まぁ、大方黒田さんがVOIDの調整して、たまたまポケットに入ったのを家で落としたんだろ
………なら、良いんですけどね……夜中にうちに侵入する機械がいたとかあったら、獲物さえあれば叩き壊してますし
黒田 志貴:軽くタバコを吸いながら、そう呟いて
その意気込みやよしだな。今日はこれからお前と捜査を共にすることになるアンドロイドとの顔合わせだからな、切り替えとけよ。俺もはじめてみるんだ。どんなやつなんだろうな?
………なんにしたってどうでも良いですよ、どうせ此処は、経過地点ですし……
案外、お前と相性良かったりしてな
…っはは、それ、ジョークのつもりですか?
黒田 志貴:軽く冷笑を返しつつ、タバコを手に取り煙を吹いて
そんな話をしながら外をみていればやがて警視庁が見えてきた。そしてその向こうにはひときわ目立つ大きなビル___リボット社が見える。約20年ほど前、家庭用ロボットを販売してから業績を伸ばし続けている会社だ。今や知らぬ人はいないだろう。アンドロイドは人々にとって生活の一部となったのだから。あなたにとっては縁がない会社だったのだが...
今やアンドロイド...VOIDは警察にまで起用されている。いくら係長の息子だからといって組織に逆らうわけにはいかない
貴方の気持ちを悟ったのか赤星がそんな話をする。貴方は話を聞きながらさらに憂鬱になるのだろうか、それともこれからの生活になにか期待を抱くのだろうか。
さて、着いたぞ
……はいはい、じゃぁ、顔合わせと洒落込みますか
黒田 志貴:タバコを咥えなおし、片手でドアを押し開けながら降りて
これから自分と活動するVOIDとはどんなアンドロイドなんだろうか。少しの期待と多くの不安と共に、貴方は足を踏み入れた。
HO2秘匿導入
うっすらと目を開ける。
そこは薄暗い実験室のような場所だ。自分は何かの台にのせられており、周りには見たことのないような機器類が並んでいる。
そして貴方は白衣を身にまとった人間たちに囲まれていた。彼らは一斉にこちらに目を向ける。その視線は冷たく、そして気味が悪いと貴方は感じる。
その集団の中央、ひときわ冷たい目線を向ける男は、貴方と目が合うと
実験は成功だ
そう言い放った
ここで聞き耳を
男がなにかをつぶやいた気がするが内容までは聞き取れなかった。
男が貴方に手をのばす。その手は冷たく、どこか無機質だ。そう思いながら、貴方は目を閉じた。
あなたは再び目を覚ます。
どこまでも白く続く広い空間に貴方はいた。
白い椅子に腰掛けており、目の前には同じように椅子に腰掛けている男がいる。
この光景を見るのは何度目になるだろうか。男が貴方に話しかけてくる。
やあ、こんにちは。また会ったね。なんだか顔が強張っているようだけど怖い夢でも見たのかな
怖がることはないよ。この空間の中で、君を傷つけるものは何もないからね
さっそく今日も話をするとしよう。なに、単なる雑談さ
落ち着いた様子で男は話し続ける。
最近の調子はどうかな?たしか君は今日から本格的に活動を開始するんだったね
そうですね
U2:感情のない声で返答します
調子はオールグリーン。……あなたの声が聞こえていること以外は
はっはっは…まぁ、私はウイルスみたいなものだからね。だけど、私はなんでも知っているんだよ。君たちのことなら、なんでもね
わたくしのメモリにあなたのような容姿、話し方をするプログラムは入っていないはずだと何度も申し上げているのですが。……いいえ、この会話はもう18回も繰り返されています。やめましょう
活動には一切問題ありません。与えられた使命を全うするのみです
はは、使命感があるのは大いに結構だ
科学が発展した今の社会では、君たちVOIDは警察の捜査まで任されるようになった。目まぐるしい進化だよ。数十年前まではアンドロイドが生活の地盤に関わるなど、考えられなかった。科学が発展した今の社会では、君たちVOIDは警察の捜査まで任されるようになった。目まぐるしい進化だよ。数十年前まではアンドロイドが生活の地盤に関わるなど、考えられなかった
以前テレビで面白い話題が取り上げられていてね。日本の都心の人々の外出率は、昔に比べて10%も低下したらしい。リモートワークが主流の会社が増えたことや、インターネットが以前よりも更に普及されたこと、若者の間では仮想空間が流行していること。理由はいくらでも考えられるが、やはり1番の理由はVOIDの存在だろうね
それを見た学者が言ったんだよ。いつかこの世界は、人間を必要としなくなるのではないか、とね
君はどう思う?この世界に必要なのは、人間か。それとも、君たちか
もちろん人間です。わたくしたちアンドロイド__VOIDはあくまで人間の手伝いをする装置。それ以上の”存在”になってはならないのです
うむ。VOIDも人間が生み出したものだから…
…少し話しすぎてしまったかな。そろそろお目覚めの時間のようだよ
(ここにいるとわたくしの時計でさえ時間を忘れてしまう。不思議なものですね)
ええ、承知しました。U2は眠りにつきます
どこからか貴方を呼ぶ声が聞こえる。貴方はゆっくりと、その瞳を閉じることだろう。
視界が闇に包まれる中、目の前の男がこのように呟いたのが聞こえた。
諸君は「選択」を迫られているのだ。科学技術による「勝利の可能性」か、それを放棄することによる「確実な敗北」かを
かの有名なSF小説家、アイザックアシモフの言葉さ
私は見守っているよ。君たちが、どんな選択をするのかをね
(選択……それは”人間”が決めること)
U2:言葉を発さず、脳内のメモリでつぶやく
そこで意識は途切れる
…………BR800、聞こえる?……おかしいな、まさか機体に何か……黒田さんに怒られる……
目を開けるとそこは警視庁の見慣れた一室だった。目の前には貴方のメンテナンス係である青木玲斗が、少し焦った様子で貴方を見ている。
あ、目覚ました…えっと、おはよう。調子はどう?
――青木 玲斗を認識、おはようございます
おはよう……今日、何の日かちゃんと記録してあるよね?君のパートナーとの顔合わせ、なんだけど…
ええ、記録しております
今その彼がこっちに向かってるって。黒田さんも来てるし…俺たちもそろそろ移動しよう
はい
青木玲斗、パートナーについての情報をいただけますか
ああごめん…ちょっと一旦こっちに来てもらえるかな…
青木がドアの前に立ちモニターに目を合わせればドアが開く。どうやら網膜認証システムが導入されているようだ。あなた達はそのまま廊下に出る。
なんか最近、署内のセキュリティも厳しくなってる気がするんだよね…まあ、君には関係ない話かもしれないけど…
網膜認証がなくとも、わたくしたちには”データ”がありますので
……きょ、今日はその……天気いいね…
貴方に気を遣ってか彼はそんな話をしてくるが、貴方がネットワークから情報を得れば今日の天気予報は曇りのち雨であることが分かる。
……曇りのち雨のようです。また、その会話の振り方はあまりに不自然かと思われます
わ…わかってるって…
あのさ……いらない心配かもしれないけど、でも、大丈夫だよ。君のパートナー、新人…らしいけど、でも、黒田さんの推薦らしいし……
黒田係長の推薦でしたら実力はあるかと。青木 玲斗が心配するようなことは起こりえないと思われます
だけど、まだこの形態が導入されて2年くらいしか経ってないから、アンドロイドに否定的な人も多いけど………いつか認められる日も、くるだろうし
それに、警察のVOIDって、適当に人に配られてるわけじゃなくて……その人の今までの経歴、趣味嗜好、あとは心理テストなんかの結果も反映して、人工知能がユーザー適合率……相性を測ってくれるんだけど、ほら
そう言って青木が自身の端末に触れれば、空中に小さく映像が映し出された。そこには
と、表示されている。
100%なんて見たことなかったから俺も驚いた。でも人工知能は嘘をつかないし…きっといいパートナーになれるよ
まるで同一人物のような数値ですね。……これは冗談です
うっ…それぐらい区別つくよ…
そんな話をすれば待ち合わせの一室にたどり着く。まだ他の人間は来ていないらしい。
登録の前に、一旦シャットダウンするから…えっと…おやすみ、BR800
承知しました。おやすみなさいませ
U2:素直に目を閉じます。
貴方は再び目を閉じた。次目を開けるとき、貴方の前には黒田志貴がいるのだろう。
彼はどんな人物なのだろうか。そう思考を巡らせていれば、やがて貴方の意識はシャットダウンした。
HO3秘匿導入
___10年前
賑やかな夜の繁華街を貴方は歩いている。
この時間は会社帰りのサラリーマンや、夜遊びを楽しむ学生などで賑わっており、街は喧騒に包まれていた。
貴方はというと、今日も今日とて仕事であちこちを走り回っており、今は警視庁から出てきたところだ。普段はよくあるドラマの刑事とは違い事務処理の仕事がほとんどなのだが、最近はあの厄介な事件のおかげで貴方の仕事は倍近くに増えている。
今日はなんとか抜け出せたものの、ここ数日は残業続きだった。この職を選んだ以上仕方がないことといえばそうなのだが、やはり公安警察といえど休息は必要だ。
貴方は繁華街から少し外れた路地へと足を踏み入れる。繁華街よりは落ち着いているが、それでも居酒屋へと向かうサラリーマン達でそれなりに賑わっていた。
路地をさらに奥へと進めば目的地であるバーが見えてくる。「crow」と書かれている看板が立つそのバーの入り口には『アンドロイド 入店禁止』のシールが貼られていた。
アンドロイドに否定的な人間は少なくはなく、このような店があるのも珍しくはない。
扉を開けて中に入る。そこまで広くない店内には既に何人か先客がおり、貴方はテーブル席の方へと座った。普段はカウンター席に座ることが多いが、今日は彼の他にもう1人、彼の妹とも会うことになっている。
貴方が座って待っていれば、やがて見覚えのある男が店に入ってきた。貴方の同僚である白瀬恭雅だ。
悪い、遅くなった。仕事が中々片付かなくてな
いや、俺も今着いたところだ
城崎 雅人:そう笑って返します。
彼は席へと座り、ウイスキーを注文する
心はもう少ししたら来るとさっき連絡がきた。女ってのはなんでこんなに準備に時間がかかるんだろうな
恭雅も最愛の妹様には敵わないってか? まあ確かに、女心が読みづらいってのは同感だ
まぁ、急に来たいって言うもんだからな
今日は付き合ってもらって悪いな。まあ、お前と久々にゆっくり酒を飲みたいとは思っていたし、ちょうどよかったが…
そんな話をしていると再び扉のベルが鳴る。見ればそこに見覚えのある少女が立っていた。キョロキョロと辺りを見渡している。
――噂をすれば、だな
雅人さんこんばんは!今日は急にすみません
なに、構わないさ。しかし……会うのはいつ以来だったか? 前に家にお邪魔してから随分経つよな
はぁ…やたら遅いと思ったら何やってんだ。だから迎えに行くと言ったのに
仕方ないでしょ!それに元はと言えばお兄ちゃんがこんなお店にするから!
こんな店とはなんだ。大体ほんとはこいつといつも通り2人で飲むところをお前が無理やり…
こんな光景も数年一緒にいる貴方から見れば珍しいものではない。恭雅はそんな彼女に呆れている様子だ。
3人で席につき心はオレンジジュースとその他大量の料理を注文していく。
おい、そんなに頼んで誰が払うんだ
お兄ちゃんに決まってるでしょ?雅人さんは何が食べたいですか?
そうだなぁ……
城崎 雅人:では、いたずらっぽく笑みを浮かべてから、ちょっとお高目なメニューに目を落とします。
おいおい…二人して…
彼は軽く二人を睨んでいる。
料理を注文すれば少しして飲み物と料理が運ばれてくる。彼女は貴方に料理を取り分けつつ自分も美味しそうに料理を口に運んでいる。
はぁ…忙しすぎて金が余ってるとはいえ、お前ら俺を何だと思ってるんだ?
そりゃあお前……“相棒”だろ? あぁ、心ちゃんにとっては、最愛の兄貴って感じだろうが
もっちろん!私にとって一番大事なお兄ちゃんなんだもん!
ったく…お前らってやつは…
とか言いながらも、恭雅は伝票確認しながら財布を出してる
ふと座席の後ろに目がいく。そこにはギターケースが置かれていた。
そういえば彼女は出会った当初から音楽が好きだと話していたことを思い出す。
〜♪
鼻歌を歌いながらご飯もぐもぐしてますね
ギターケース……練習しているんだったか?
ああ、これですか?練習してますよ!じつは私、最近軽音部にはいったんです。元々歌うのが好きだから、将来はその...歌手になれたらなって...
そうか……。心ちゃんの歌声はとても魅力的だからな。応援してる……あぁ、また近いうちに弾いてくれないか?
はい!近いうちに…あっ!
彼女ははっとした表情で
そうだ!今度はじめてライブやるんですけど、よかったら雅人さんも来ていただけませんか?チケットならプレゼントするので!
再来週の日曜日にやるんです!雅人さんがきてくれるなら、もっと頑張れそうな気がして…
あぁ、それは是が非でもいかないとな。楽しみにしているよ
え?いいんですか!?あ、ありがとうございます!これチケットです!
嬉しそうにチケットを渡してくる
城崎 雅人:チケットを受け取ります
おい…俺にチケットを渡さないとはどういうことだ
いいじゃん!お兄ちゃんは関係者として見れるんだから!
そうは言ってもなぁ…おい雅人、なんか言ってやれ
ん?そうだなぁ……。兄貴がちゃんとライブを観に来ることができるよう、俺も頑張って仕事するよ
チケットについて言えや…
なんだ、そんなに手渡しでチケットが欲しかったのかよ?
そういう訳じゃないが…お前が手渡しで俺が関係者とか扱い違うじゃないか…
まぁそんな感じで、ゆるーく雑談している楽しい時間はあっという間で、時刻は22時に差し掛かろうとしていた。恭雅はそろそろ出るかと立ち上がり、心は少し不満そうではあるものの同じく立ち上がり兄の後についていく。
貴方達が外に出れば空には満月が出ていた。3人で少し歩いたところで…
あ!お店に忘れ物してきちゃった…!ごめん、ちょっと取りに行ってくる!
そう言って駆け出していく。
騒がしい奴だな
ちげぇねえ。だが、それが心ちゃんの良いところだと、俺は思うぜ
…そうだろうな
今日は助かった。あいつもお前に会えて嬉しそうだったし。俺も気が和らいだ、最近はやることが多くて少し滅入ってたからな
最初はただの殺人事件かと思われていたのが、そうでもないらしい。元々は1課の担当だったのが、俺たちまでかり出されたくらいだからな。上にその理由を聞いても答えられないところを見るに、自分達で調べろってことなんだろ
あぁ……。ったく、お偉方は何を考えてるんだか
…いや、仕事の話は今はいいか。油断するとすぐに仕事のことを考えてしまう
そう言うと恭雅は、ポケットから何か取り出し貴方に投げて渡してくる。見ればそれは小さな紙袋のようだ。
中を見ればそこには小さな鈴のようなものが入っていた。シルバーで細かい彫刻が施された、シンプルながらも上品なデザインだ。
ずいぶんとオシャレじゃねぇか。どうしたんだ?
偶然見つけてな…たまにはこういうのも悪くないと思っただけだ。深い意味はない、ただまあ、お前には少なからず世話になってるから…いらなかったら売るなり捨てるなりすればいい
と頭をかいている。普段ひとにものをプレゼントすることは滅多にない男からのそれに、貴方は驚くかもしれない。
……ハッ、誰が売るかよ。大金を積まれようがお断りだぜ
あと、これに《知識》が振れます。
貴方はこれが『ティアベル』であることを知っている。涙が落ちる音のような澄んだ音色からこのような名前がついている。また、見ただけでもかなり価値がありそうだ。
へぇ……「ティアベル」か。ありがとうな、恭雅
名前知ってるのか…名前とか気にしてなかったぞ
ま、雑学でもいざって時に役立つこともあるって教官殿が言ってたろ? 教えを実践してるのよ
あいつの話なんかほとんど聞いてねーよ
と、軽く笑っている
やがて心が走って戻ってくる。再び三人で歩き出すことだろう。
ふと貴方はライブのチケットに視線をうつす。ここから近くのライブ会場で開催されるらしく、学生バンドが中心のライブのようだ。彼女はどんな歌を歌うのだろうか。時間があれば足を運んでみてもいいかもしれない。それまでに今抱えている事件が解決すればいいのだが。
しかし、そんな貴方の願いは叶うことはなかった。
それから1週間後のことだった。心が行方不明になったと、報告が入ったのは。
HO4秘匿導入
暖かい日差しが降り注ぐ中庭で子どもたちが笑っている。その中央にいる少女の歌声に懐かしさを覚える。ここはどこだろうか、記憶はおぼろげだ。彼らに手をのばそうとするがその手は届かず、映像にノイズがはしった。
___3年前
X000、起動しろ
……ん……んん……
ゆっくりと目をあける。
まず目に入ったのは、コンクリートの壁と床、地面に転がる廃品の数々、そして貴方の目の前に立つ男と、その後ろから顔を覗かせるよく似た少年少女だ。
状況を解析しようとするがうまく思考がまとまらない。自分がなぜここにいるのか、自分は何者なのか、目の前にいる彼らは何者なのか。辛うじて分かるのは自身がアンドロイドであるということのみだ。
無愛想で鋭い目つきのその男は、貴方をまっすぐ見ると
協力してほしい。事件を止める為に
そう告げる。そこで再び貴方の意識はシャットダウンした。
次の日___
貴方が目を開ければ、そこには貴方の腹部で勢いよく跳ねる昨日の少年がいた。どうやら貴方を起こそうとしているようだが、このままではいくらアンドロイドといえど機体に損傷ができてしまう。
……なーにをやっているのかな?
アネモネ:起き上がって少年の体をぎゅっとつかみ
ちょちょちょ!急に起き上がってそれかよ!
ちょっとニト、あんたまた機械を乱暴に扱って!そんなんだからいつまでたっても半人前なんでしょ!
はぁ……。まあ、起こそうとしてくれたのは分かるんだけどね。もっとこう、配慮して出来ないのかしら
次があったら、優しく起こしてちょうだい。いい?
アネモネ:と言って手をはなし
全然起きないお前が悪いだろー!キョウが呼んでるぞ!
キョウ?
貴方は少年少女に手を引かれ施設内を歩いていく。地下にあるというこの施設は所々に設置してある電球があたりを照らしていた。
昨日この施設で目を覚ました貴方は、大した説明も受けず何がなんだか分からないまま、検査を受けたり機体をいじられたりして今に至る。
そういえば自己紹介がまだだったな。僕の名前はニト!将来世界を揺るがすマッドサイエンティストだから、お前も仲良くしておいたほうがいいぞ
あたしの名前はリト。そこにいる”自称”マッドサイエンティストの姉。そいつの言うこと、本気にしなくていいから
ニトとリトね。りょーかい。私は……
アネモネ:名前って憶えてるのかな?
KP:この時点では名前も記憶も抜けてます。
……私は……誰だっけ……?
思い出せない?ふ〜ん、そうなんだ….…じゃあ僕がつける?ポコ太郎なんてどう?
却下
心配しなくても、キョウがつけてくれるわ
もっとましな名前を付けてくれることを祈ってるわ……
そんな会話をしながら歩いているとやがてとある一室に辿り着く。ニトはその扉をノックもせずにあける。
中に入るとそこはたくさんのモニターに囲まれた管制室のような場所だった。モニターには監視カメラやドローンから映像を拾ってるのであろう、外の世界が映し出されている。
その部屋の中央、モニターを見ていた男はこちらに振り返る。
来たか。ニト、リト。助かった、もういいぞ
ニトとリトは男の両隣に立ち、男はそんな彼らの頭を軽く撫でる。
どーも。あなたがキョウ?私、自分がアンドロイドってことくらいしか覚えてないんだけど……。とりあえず、質問するより先にあなたの話を聞いた方が良いかしら?
まぁ、そうだな、一応今の状況説明も兼ねて…
昨日は大した説明もなしにすまなかった。俺はキョウだ。一応この組織をまとめている
お前は機体の損傷が激しくてな、こっちでいじらせてもらった。今の体の調子はどうだ?
まぁ、悪くはないわね
ただ、記憶が殆ど抜けてて……なんでそんなに損傷していたの?
それはわからん
俺は世間話があまりうまくない。早速だが本題に入らせてもらう
俺たちの組織名はSparrow(スパロー)。普段は人間から逃げてきたVOIDの保護や、失業者の支援なんかをやってる。といっても、俺たちはボランティア団体じゃない。とある事件を追っている
10年程前、とある一家の両親が惨殺死体で発見され、その家の子どもが行方不明になったのが始まりで、それから短期間で似たような事件が多数おこった。その後も事件は続き、警察も犯人を掴めずにいる。ここ数年は落ち着いたように見えたんだが、また最近似たような手口の事件が起こり始めてな
この組織の人間、アンドロイド達はこの事件を止める為に集まっている。みんなそれぞれ事情は違うが、目的は同じだ。しかし、やはり捜査といっても警察でもない俺たちには限界がある
そんな時、お前を見つけた。この地下施設を調べていたらたまたまな。かなり古い機体のようだが、それとは裏腹に性能は他のアンドロイドに劣らないどころかそれ以上。こんなアンドロイド初めて見た
X000なんて型番も初めて見たしな〜。ポコ太郎はどこから来たんだろ
ポコ太郎?なんだそのふざけた名前は。勝手に変な名前をつけるな
ふふん、優秀って言われると悪い気はしないわね
要するに、警察が頼りにならないから民間で集まって事件を調べてるって事かしら。助けてくれたって言うなら、その手伝いをするのもやぶさかじゃないんだけど……
まぁそういうことだ。それで、お前に頼みがある
近々、日本の警察組織にもVOIDが導入されることになった。それで、だ。お前もそのVOID達に混ざり警察に侵入して情報をとってきてほしい。いきなりこんなことを言われて混乱するだろうが…お前の力が必要なんだ。頼む
ん……まあ手伝っても良いって言っちゃったしね
そうか、ありがとう。そういえばお前、名前がないんだったか
うんうん、ポコ太郎よりいい名前を付けてくれると嬉しいんだけど
…そうだな…X000の00にちなんで…”レオ”ってのはどうだ?
レオ?格好いいとは思うけれど、女性っぽくないんじゃない?
…嫌なら別のを考えてもいいんだぞ
一応、聞いておこうかしら
そうだな…リト、なんかあるか
そうねぇ…
ポコたr…むぐぅー!!!
リトに口元を抑えられる
あたしなら…”コハク”とか”シグレ”とかもいいと思うよ?だけどキョウの”レオ”もいいんじゃない?もちろん、決めるのはあなただよ
んー……それも良いんだけど……。そうね。せっかくだし”レオ”でお願いしようかしら。記憶も何もなくなった今、私のルーツって型番くらいの物だし
というわけで、これからはレオって呼んでね!よろしく!
いいじゃんそれ
よろしくな!ぽk…じゃなくてレオ!
これからよろしくレオ。そしてようこそ、スパローへ
HO1,2ペア導入
AM 12:30 / 警察庁廊下
HO1、黒田志貴は、他の刑事とすれ違いながら、赤星という刑事と共に警視庁の廊下を歩いていく。すれ違うたびに視線を感じるのは自分が彼らから見れば見知らぬ顔だからなのか、それとも最年少で今1番世間を騒がしている事件の担当になった有名人だからなのか。赤星は気にするなと言いながら貴方を誘導する。
やがて目的地である一室の前までたどり着く。入り口には網膜認証システムが導入されているようで、赤星がモニターに目を向ければ扉が開いた。
中に入るとそこは殺風景な部屋だった。黒髪の50代ほどの男性と、青髪の目の下に隈がある男性がいる。そしてその中央には貴方のパートナーとなるのであろう、アンドロイドがいた。
来たか
そう言って志貴を見たのは、公安局刑事課アンドロイド捜査係の係長である黒田矢代だ。
見知らぬ顔もあるだろうが、メンバーはこれで全員というわけではないのでな。自己紹介は後にまわす。青木、説明してくれ
は、はい…
青木と呼ばれた男が前に出て説明を始める。
志貴さん。この子が貴方のパートナーとなるVOID、型番はBR800です。チューリングテストをはじめとしたあらゆるテストを通過した最新型のモデルで、捜査に役立つ機能はもちろん、戦闘にも秀でています。機体も頑丈で防水加工もされてるので多少のことでは壊れないんですが…
そう言って青木はアンドロイドの後頭部を指しながら、
人間でいう海馬にあたる部分にあるこのチップ…私たちはこれを『スタック』と呼んでいるんですが、これが壊れてしまうと中のデータも消えてしまうので気をつけてください
このモデルは内部にバッテリーがあるので充電は基本必要ありません。他にも機能がありますが、説明すると長くなりますし、実際一緒に活動した方が分かりやすいかと思います。ここまでで何か質問はありますか?
………特には、強いて言うならどの程度の破損でチップが破損するリスクがあるか、のみ教えてもらえれば構わないです
そうですね…頭部への装甲を粉々にする程の強い衝撃であれば破損するかもしれないです。ですが極端に言えば、胴体が粉々になってしまっても、頭さえ残っていれば破損はしてません
了解しました、であれば他に質問は無いですかね
ご存知かとは思いますが、今の警察では警察官1人につき一体のVOIDの所持が義務付けられています。そして捜査を始める前に登録が必要で…
そう言いながらアンドロイドに向き直り、
BR800、起動して
と、声をかける。
──青木 玲斗を認識、おはようございます
うん、おはよう
志貴さん。登録の際はVOIDの手のひらと自分の手のひらを合わせて、名前を呼んであげてください。それで登録が完了します。BR800、手を出して
はい
U2:どちらでも対応できるよう両手を掲げます。
名前はU2…ユニといいます。名前を呼んで、手を合わせてください
……………はぁ、了解しました……
黒田 志貴:と言いつつゆっくりとU2の手に自身の両腕を伸ばして触れさせて
………U2………これで、良いんですか?
U2の中で機械音声が流れる
その光景をこの部屋にいる誰もが見守っていた。
黒田係長が口を開く
登録できたようだな。これで君たちは今日から警察組織へ仲間入りというわけだ。おめでとう
U2:右利きか左利きかお尋ねしておくべきだったかもしれません…
黒田 志貴:両腕を差し出されたから同じく両腕を差し出す絵面………側から見ると思ったよりバカバカしいな?
城崎 雅人:初々しくてよいと思います
アネモネ:かわいいですね……
黒田 志貴:かわいい………???
U2:( ◜◡◝ )
黒田 志貴:かわいいか……???
城崎 雅人:かわいいですよ
アネモネ:間違いないです
黒田 志貴:かわいいかなぁ……(不思議そうな顔)
他のメンバーとはこの後ドロ課の本部で顔合わせをする予定だがしかし…それまでまだ時間がある。U2の動作チェックも兼ねて2人で近辺を歩いてくるといいだろう。登録が済んだとはいえ、自己紹介も必要だろうからな
…………”2人で”ですか?
黒田 志貴、黒田係長の指示です。従いましょう
……まぁ、赤星にも見守らせておくよ
俺ぇ!?
……ありがとうございます、係長……では、アンドロイド事件捜査係所属、黒田志貴、他1名とアンドロイド1台とともに行ってまいります
ああ、よろしく
行ってまいります
わかりましたよ…
赤星 透也、迷子防止のため半径5m以内での行動を希望します
はいはい…一応俺大の大人なんだがな…
黒田 志貴もこれでよろしいでしょうか
……特には………チェックを行えと言われましたが、言語ならびに動作に不備もみえないですし、5分近くを歩いてから、先ほどの部屋へ戻りましょう
ルートを確認。5分では警察署の敷地を出られません
別に出る必要は…
貴方達が歩いていると、突然あたりに声が響いた。
ひったくりよ!誰か捕まえて!
見れば女性もののバックを持った少年がこちらに向かって走ってくる。少年は貴方達の間を通り抜けそのまま走り去ろうとしているようだ。このままでは姿を見失ってしまうことだろう。
どうしますか?
強盗犯を確認。署へ連絡した後、黒田 志貴、あなたの指示を待ちます
…了解、U2は即座に強盗犯を追跡、自分と赤星はそのあとを付き添う様に追いかける
追いかける場合は《DEX》を。《コンピュータ》成功でボーナスダイス1が付与されます。
U2:はい
えー二人がそいつを追いかけますが
赤星がとんでもねぇスピードで走り抜きます
もう少し早く走ったほうがいいぞ
ちょ、はっy……赤星さん!?はやっ……はやくねっ……早くない!?
赤星透也……?
U2:きょとんとしてます
そうして赤星が戻って来る。左手で引ったくりしていた少年を掴んでいた
ほい、捕まえてきたぞ
…………あー、そう……ですか………
……強盗犯が武器を持っている可能性もあります。確保はアンドロイドにお任せください
まぁまぁ、俺も歴は長いしこれぐらいは人間にもできる
は…離せよ!
利き腕じゃあないんだぜ、落ち着きなって
HO1は《アイデア》、HO2は《コンピュータ》が振れます
黒田から見て、少年は12歳ほどに見える。かなりの痩せ型で腕や足に傷痕があることに貴方は気づくだろう。もしかしたら虐待を受けているのかもしれない。
U2は、警察のデータベースから少年の情報を取得できる。
……未成年……か………
黒田 志貴:ぽそりと呟く
……父さんに言われたんだ、金を取ってこいって。俺、まだバイトもできないし、他に方法も思いつかないし…
仕方ないだろ!!父さんはアンドロイドのせいで仕事がなくなったって言ってた!!母さんは俺たちを見捨てて家を出て行った!全部お前らのせいだ!!
少年はそう言ってU2を睨む
12:40。窃盗犯、相川 翼を確保。署へ連行します
U2:少年の発言を無視したまま両手を動かせないよう固定させます
…………それは、アンドロイドに言うべき言葉じゃ無い……このアンドロイドは、君の父親の職を奪ったわけでも、君の母を奪ったわけでも無い……それを言うのは、アンドロイドを産んだ者へ言うべきだ
黒田 志貴:静かに、焦ることも無く少年へそう言い
そうですね、わたくしたちVOIDはあくまで人間のサポートをしているまで。人間の成り代わりではありません
………U2、この子は被虐待児の可能性がある、先んじて児童相談所の方にも連絡を入れてくれ
U2:志貴の指示に頷き児童相談所へ連絡を入れます
…おい、お前ら。さっき緊急連絡が入ってな。なんでも都内のビルでアンドロイドによる立てこもり事件が発生したらしい。俺たちの初仕事ってわけだ
こいつは青木に任せる。行くぞ
遠くを見るとカッコ悪い走り方で走ってる青木がこちらに来ていることに気づく
青木 玲斗では腕力が弱く心許ありませんが……承知いたしました。向かいましょう
………出鼻がそうそうどデカい案件ですけど、新人に任せる仕事なんですか?
おいおい、俺らはアンドロイド課だぞ?俺らの案件だ
……警察って、ブラックですね……まぁ、仕方がないですか……わかりました、急いで向かいましょう
HO3,4ペア導入
一年前
その日は朝から雨が降っていた。朝の天気予報で今日は1日降水確率が高いと言っていたのを思い出し、自身も車から降りて傘をさす。
HO3である城崎雅人、貴方は廃品置き場の中を歩いていく。ドラム缶や乗り捨てられた車、そして違法投棄されたVOIDの残骸。見ていて気持ちのいいものではない。普段はあまり来るような場所ではないが、貴方の今日の任務はこの近辺のパトロールだ。明らかに他の刑事から雑用を押し付けられたのだと確信しながら周りを見渡す。
……ったく、うんざりだ
城崎 雅人:VOIDの残骸を見て嫌そうな顔をしながら、パトロールを続けます
廃品置き場は特に異変がないように見えた。貴方はそのままこの場を後にしようとすることだろう。
その時だ。後方からわずかにアンドロイドの起動音が聞こえる。
貴方はそちらに目を向ける。そこには他のVOIDに紛れて眠っているアンドロイドがいた。
HO3は《目星》を
機体が所々損傷してはいるが、VOID特有のマークは未だ光り続けている。古い機種のようで型番はX000と彫られていた。初めて見る機種だ。
X000? 見たことない型番と機種だが、こいつは……っ!?
調べていると、眼の前のVOIDが起き上がる。あなたは驚くだろう。
……
アネモネ:両手で顔を覆い、しばらくしてから手を下ろして周囲をきょろきょろと見回す
ここ……は……。あなた、は……?
あー……俺は雅人。ま、一応刑事だ
んで、ここは廃品置き場だ。まさか、動けるVOIDがいるとは思っていなかったがな
マサト……。私、自分がVOIDだってことは覚えているけれど……他の事は……。記憶が、抜け落ちているの
『スタック』を破損したのか? ……仕方ねえ、ついてこい
城崎 雅人:溜息を一つついてから、目の前のVOIDに自分についてくるよう言います
ん……分かったわ
アネモネさんは立ち上がろうとするが足を損傷しているのかうまく立ち上がることができない。雅人さんはアネモネさんに手を差し伸べることだろう。
その時、HO4の機体から音声が鳴る。
どうやら誤作動で登録されてしまったようだ。一度警視庁へとこのアンドロイドを持ち帰る必要があると雅人は考えるだろう。
……めんどくせぇなぁ
あら……
……ふふっ、これも何かの縁ね。よろしく、マサト
勘弁してくれ…
貴方達は揃って警視庁へと向かうこととなる。
願い虚しく、アネモネがパートナーロボットに指名されたのはその数日後だった。
そして現在
今日もあの日と同じように雨が降っていた。城崎は今日も同じようにパトロールの為廃品置き場へと訪れている。一つ違うことといえば隣にパートナーであるアンドロイドがいることだろうか。
貴方たちは傘をさしながら歩いているところだ。一年前のことを思い出すのかもしれないし、明日から配属することになる新しい課について考えるのかもしれない。
まさか、お前と一緒にここをパトロールすることになるとはな
懐かしいわねぇ。あの時もこんな風に雨が降っていて。あの時貴方が通りがからなかったら、私きっと錆び錆びになっちゃってたわよ
運が良かったな
……さて、明日から噂の『ドロ課』に異動することが決まったが…ついてきてくれるか? アネモネ
もちろん。私はマサトのパートナーですもの。嫌だって言われてもついていきますからね
ふと、遠くに人影があることに気がつく。貴方たちが近づいていけばそこには金髪に眼鏡が特徴的な女性がいるのが見えた。
HO3は《アイデア》、HO4は《コンピュータ》が振れる。
城崎は彼女の顔を知っている。名前は黄海夏央(キウミナツオ)。明日から同じ課で働くメンバーだ。事前に見たデータには元々どの課にいたのかはかかれていなかった。どこか寂しげな印象をうける。
アネモネは名前は取得できたが、経歴などは探す気になれなかった
――前のことは知らんが、明日からは同僚の奴だ
そうなのね。……でも、なんでここに居るのかしら。まさか………マサトのファンとか?
笑えねぇ。……声だけ掛けてくぞ
彼女が見つめる方向をみれば、そこには廃棄されたアンドロイドが転がっていた。彼女はそれをただ見つめている。
彼女はあなたたちに気がついたようで…
あなた達は確か…
城崎雅人だ。それでこっちは――
アネモネよ。どうぞよろしくね~
こちらこそよろしくお願いします
私もパトロールを...少し考え事をしていたんです
…大したことではありません。ただ、人型のものが捨てられていると、なんだか変な感じがして。VOIDの違法投棄なんて、今に始まったことじゃないんですけどね
人と同じように話して、動いて、笑って…見た目はほとんど変わらない。なのに捨てられるときは一瞬なんです。人間はお墓に入るのに、アンドロイドは人形と同じ、ゴミ箱に入れられるだけ
貴方達はどう思いますか?人とアンドロイドって、何が違うんでしょうか?
違いを求めて、何か意味があるのか? どうでもいいと俺は思うが
アンドロイドの立場としては、こんな扱いは嬉しいものじゃないけどさ。でも……仕方ないって割り切るしか無いのよね。そう言う仕組みで社会が回っているんだもの。変えようがないものを変えようとするのって大変だし、だから受け入れるしかないのよねぇ
そう…ですか、そうですよね、社会がそうであれば…
貴方達が話しているとき、急に呼び出し音が鳴り響く。出ればそれは黒田からの連絡だった。
聞こえるか?お前たち、今どこにいる
都内のビルでアンドロイドによる立てこもり事件が発生した。マップを送信するから現場に直行してくれ。私たちも向かう
……まさか、配属前から初仕事とはな。アネモネ、念のため装備を整えておいてくれ
了解。いつも通り、やることやってさっさと帰りましょう
通話は切れ、見れば黄海は既に自身のバイクに跨っていた。側にはアンドロイドだろうか、大型犬が彼女についている。
私は先に向かいます、お二人もお気をつけて
そっちも気を付けてね
あなた達もそのまま向かうだろう。
全体導入
西暦2030年。日本は世界経済の渦にのまれ、同時に様々な問題を抱えていた。
医者不足による診療体制の縮小。少子高齢化にともなった介護問題。飲食業や建設業などの人手不足。そして、いつの時代もなくならない刑事事件。
そんな中、当時はまだあまり名が通っていなかったアンドロイド製造会社、「リボット社」は史上初のチューリング・テストをパスしたアンドロイドを開発し世界に発表した。そのアンドロイドは瞬く間に広がり、家庭だけではなく医療現場や介護施設、あらゆる企業や警察、はたまた軍事にまで起用されることとなる。
『人間の暮らしをアンドロイドと共により豊かに』そう話すリボット社の創設者、有馬真二(ありましんじ)は、このアンドロイドをこう名付けた。
人々の未来へと繋がるアンドロイド、『VOID』と。
2050年10月15日 PM 5:00 / 都内の高層ビル
この時期の日暮れは早く、あたりは既に暗くなり始めていた。雨が降りしきる中警察のアンドロイドが道を封鎖しているのが見える。ビルの上には報道番組のものだろう、ヘリが音を立てて飛んでいた。
貴方達は水溜りを蹴りながら黄色のテープをくぐり現場へと到着する。そこには既に黒田をはじめとしたドロ課のメンバーが集まっているようだ。
その中央にいる黒田矢代は一人一人の顔を確認した後赤星と青木に目を向ける。
赤星、青木。イチハとレミはどうした
す、すみません…2人はちょうどメンテナンスに出ていて…本稼働は明日からと聞いていましたから…
悪いが無駄話をしている時間はない。一日早いが仕事だ
黒田が端末を操作し、空中にマップが投映される。このビルのもののようだ。
マル被はこのビルに侵入後、中にいた社員数人を射殺。その後人質をとり屋上に籠城している。そして目撃情報によれば立てこもっているのはアンドロイドであり、我々の任務はそのアンドロイドの捕獲だ
複数のアンドロイドが目撃されていることから複数犯…組織ぐるみの犯行の可能性もある。気を引き締めて行け
それと、お前たちに渡すものがある
黒田はすぐ側にある人1人が入りそうなほどの大きな箱に手をかける
一昔前までは警察官が所持する武器は拳銃が鉄則だった。しかし最近はより様々な事件、犯罪者に対応できるように、個々にあった武器を所持することが義務付けられている
箱を開けると中には真新しい武器が入っていた。それぞれ刀、ショットガン、サブマシンガン、拳銃のようだ。
………刀って、随分とまぁ……今の時代に合ってます?コレ……
黒田 志貴:火のついたタバコを咥えて
いろんな意味で合理的な武器だ。耐久性も威力も高い。今でも重宝するべきだ
銃火器が多数あるので喫煙は推奨できません
なんだこいつ……現場でタバコだと?
あはは、真面目ちゃんだね~。いや、現場で喫煙する方もする方だけどさ~
………スナイパーだとか、そっちが置かれていた方が嬉しかったけれど……まぁ、ほどほどに使えるからちょうど良いですね
まあいい……黒田係長。緊急時と判断し、アネモネの武器携行の許可をいただきたく
許可する。また、U2の方も私が許可しよう
ありがとうございます、係長
ショットガンの性能を確認。武器を携行します
了解、装備しますよ~
よし、行くぞ
私と青木はここで全員に指示を出す為待機。志貴、U2、雅人、アネモネ、そして赤星と黄海はこちらの指示を聞きつつビルに潜入しろ
先ほども言ったが、相手は複数犯だ。決して油断するな。必ず2人1組で行動するように
以上だ。時間がない、質問があるものは手短に
はい。二人一組というのは人間同士のことでしょうか。それとも人間とアンドロイドのことでしょうか
もちろん、人とアンドロイドのツーマンセルだ。基本は4人、何か室内での探索であれば2:2で動くように
承知いたしました。U2からの質問は以上です
他に質問はあるか
まあ、なるようになるでしょ
だな
さっそく任務開始だ。まず裏口に向かえ、既に何人か他の捜査員が向かっている
PM5:30 / 高層ビル内
あなた達は裏口へと到着する。扉はあいているようだ。既に捜査員が中に入ったのだろう。
端末から黒田の声が聞こえる。
よし、中に入れ
安全確保のため、U2とアネモネを前衛に置くことを提案
ん、異議なし
少し進んだところにエレベーターがある。それに乗れ。配置を考えるのはそこからだ
承知しました
………了解、エレベーター前まで警戒して行動します
随分とまた初々しい奴が来たもんだな。アネモネ、無茶だけはするなよ
勿論、ほどほどに頑張るよ
中に入ると、外の騒がしさとは裏腹に異様な静けさが漂っていた。受付の椅子やその横の観葉植物が倒れているのが見える。ここで騒ぎがあったのは確かなようだ。
少し進んだところに指示された通りエレベーターが設置されていた。エレベーターに乗ればすぐにそれは動きだし貴方達を上へと運んでいく。
高層ビル 49階
貴方達は屋上から2つ下のフロアにたどり着く。事務的な印象をうける部屋だ。この部屋も下の階と同様に争ったような跡が残っており、周りには立てこもり犯に襲撃されたのだろう、社員の死体が転がっていた。どの死体も射殺されている。
大量の死体には刑事であるあなた達も軽く精神にダメージを受けるだろう。
探索可能箇所 棚/机/床
……
U2:死体から目を逸らして棚を見ます。探索として床は調べないようにしたいです
城崎 雅人:足元を警戒しながら、床を探っていきましょうか
黒田 志貴:周囲を警戒して、いつでも刀を抜けるようにしつつ……机を調べに行こうかな
アネモネ:床へ参ります
このフロアを使用していた会社のものだろうか、資料が並べられている。
《図書館》が可能
以下の資料が見つかる
解析できるものはこれだけのようですね
U2:読んだ箇所をメモリに保存しておきます。ついでにアネモネにも読んだ資料を共有します
パソコンが置かれている。まだ電源はつくようだ。中を開けば一つのファイルが目に入る。
……ふむ
黒田 志貴:パソコンを操作して、ファイルを開いて中を見てみよう
………狂っている?この街は…………要領を得ないな……
物が散乱している。
《目星》《聞き耳》が可能
青い液体が床に溢れているのを発見する。貴方達はこれがVOIDに使われている燃料であることを知っている。周りを見渡せばフロアの奥に上に繋がる階段があることに気がつく。
この臭い……
VOIDの燃料……だよね
あぁ…
すると、青木から無線が入る
アンドロイドが接近しています、数は4体!みなさん戦闘態勢に入ってください!
承知しました。戦闘態勢に入ります
………了解、目標視認………黒田志貴、戦闘態勢に移ります
了解!
了解した
貴方達が武器を構えれば、青木の話通り4体のアンドロイドが姿を表した。全身を黒の装甲で包んだ奇妙なアンドロイドだ。頭にはヘルメットのようなものが装着されている。
HO1と3は《知識》、HO2と4は《コンピュータ》がふれる。
黒田と城崎は思う、見たことがないアンドロイドだ。型番やマークなども見当たらない。どこで制作されたものなのだろうか?
U2とアネモネは、警察のデータベースから情報を取得しようとするが『エラーが発生しました』と出るばかりで何も出てこない。このアンドロイドはどこから来ているのだろうか?
さっそくお出ましってところか。まあ新しい武器を試すにはちょうどいいな
エラー発生。身元不明のアンドロイドです
警察のデータベースにも無い……。話が出来そうな感じでもないし、ぶっ飛ばして後で調べるしかないわねぇ……はぁ……
……ったく、うんざりするぜ
生命体を発見。すぐに処理します
了解
了解
エエエエエエアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
アネモネ:一体だけテンション高いの草
U2:テンション高いのいるな
黒田 志貴:叫んでるなぁ⁉︎なんだオメェ!
城崎 雅人:テンション上がってきた
【戦闘開始】
手番表:
〈ラウンド1〉
城崎 雅人:では、とりあえず、アンドロイド1から対処しようと思い、サブマシンガンで射撃を行います
白く少し大きいその武器を手に、貴方は相手に向かっていくだろう。勢いよく弾は連射され相手に直撃し、機体のあらゆる部分に穴をあける。その威力でアンドロイドは後方へと吹き飛ばされるだろう。
まずは様子を伺う。後れを取るなよ?
U2、前線へ出ます
U2:ショットガンを構えて同じくアンドロイド1を狙います
貴方は後方から敵に照準を合わせる。新型のアンドロイドである貴方にとってはどんなに離れた敵も目の前にいるのと同然である。弾は見事に直撃し、相手が爆散する。
……ハハッ、U2とか言ったか? やるじゃないか
最新型ですので
俺も遅れを取るわけにはいかねぇな
赤星は意気揚々とアンドロイド2に斬りかかる
そして普通に外す
………
………その程度の腕前だったんですね(小声)
聞こえてるぞ…
アンドロイドの軍勢は一斉に射撃を行う。
KP:?????
黒田 志貴:は?????
アネモネ:わぁ
黒田 志貴:盛り上がってまいりました
城崎 雅人:KPのNPCは、出目がよく荒ぶる……
アネモネ:雅人を庇いに行きます!
黒田 志貴:弾丸を電子刀で受け流します
U2:狭い場所だと跳弾が怖いので回避を振らずに銃弾を受けます
アンドロイド特有の乱れぬ射撃。しかし黒田はその弾丸を弾く。アネモネもかすった程度で済み、U2も動作には問題ない程度だろう
アネモネ……! 大丈夫か!?
だいじょーぶ! このくらいかすり傷よ!
………この程度か
被害軽微。戦闘続行します
黄海は拳銃でアンドロイド2へ射撃を行う。
むぅ…二つとも命中したと思ったんですけどね…
アネモネ:アンドロイド3に二丁拳銃で4発
貴方は素早く二丁の拳銃を構える。常人であれば扱いづらいであろうそれは、貴方の手には元からあったかのように馴染んだ。貴方は自身の機能を活かし、的確に相手に弾を当てていく。目標となったアンドロイドは爆散した。
拳銃はこうやって当てるのよっ!
弱った奴を……切り崩す……!
黒田 志貴:アンドロイド2へ1刀のみで切り掛かります
……チィッ
〈ラウンド2〉
城崎 雅人:アンドロイド4がアネモネさんを撃ったのでお返ししようかと思います
やろうってのかぁ!?ホワチャァァァァァァ!!!!!!!!!!!
あぁ、望み通りやってやるよ!
くそっよくも哀れなアンドロイドを傷つけたな!?コロす!
俺の相棒を傷つけたんだ。相応の対価は払ってもらうぜ?
U2:アンドロイド2を狙って射撃します
アンドロイド2は爆散しました。
こんのホワチャアアアア共がぁぁぁぁぁ!!!!!
機能停止を確認。残りの処理をお願いします
まっこんなブラクラ踏んだ輩は俺が倒してやる
スカッ
U2:赤星くん技能いくつ…?
KP:技能値は言えないですがそれなりに高いです
アネモネ:悲しいなぁ
城崎 雅人:赤星さん、本当は射撃が得意だったり……?
黒田 志貴:アレだ、剣道の練習はしてるけど、実戦苦手なタイプだこいつ
………赤星さん、今度の休日、道場を借りて練習しましょうね
…そうだな
こんの仇共がぁぁぁぁぁ!!!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
なんなんですかねこいつ
お…お前なんか…リヴァイ兵長がぁぁぁぁぁ!!!!!
黒田 志貴:あわれ、アンドロイド4、正確な射撃により爆発四散……
アネモネ:ナムサン!
しめやかに爆発四散!
【戦闘終了】
………戦闘終了……
ふぅ、お疲れ様
お疲れさまでした。先を急ぎましょう
あなた、大丈夫? 少し処置してからでも……
帰還してから損傷部分のパーツは交換しますのでお構いなく
奴ら待ち伏せていたようだが……情報統制はどうなっているんだ?
わかりません、もしかしたら周辺を警戒し、巡回要員を出していた可能性もあります
そうこうしていると、アンドロイドが出てきた奥に、誰かがいることに気づく。見ればたくさんの人間だ。大体は事切れている。
《目星》が可能
まだ生きてる人間がいました
………生存者を発見、どうしますか?……拘束いたします?
保護が先ではないでしょうか?怪我をしている可能性があります
どちらにせよ話を聞く必要はあるものね
あぁ。……だが、警戒は怠るなよ
かなりひどい怪我だ。《応急手当》《医学》に二回まで挑戦できる
この中で、応急手当に心得のあるものは?
ごめんね、VOIDの手当は得意なんだけどさ……
あいにく、その手の類は……
わたくしも同じく
……仕方がない
では一瞬目覚めたと思うと…
この先に、アンドロイドが……それと……茶髪の、青年と……人質も一緒に……
それだけ言って再び気絶する。捜査員が指差した方を見れば、屋上へと続く階段が見える。
……赤星、だったか? こいつを頼めるか?
いや、私がやります。あまり…その、赤星さんはあれでも屋上では戦闘の役に立ちます…多分
多分とか言うなよ…
そうか……。なら、黄海。ここは頼んだ
アンドロイドの残党がいるかもしれません。どうかお気をつけて
………わかりました、ではお願いします。最悪役立たずであれば後日扱きますので
はい、あなた達も…お願いします
刀二回すかしたぐらいでそうピリピリするなよ…
屋上
冷たい夜風が頬にあたる。街並の明かりが眩しく、思わず目を細めてしまう。
広々とした屋上には、先ほどまで貴方達が相手していたアンドロイドと同じものが数体と人質にとられているこの会社の社員と思しき人間、その社員の首にカッターを向けるひどく混乱した様子のVOIDがいる。
そしてその奥。街明かりに照らされた1人の人影。それが人間ではなくアンドロイドであると、貴方達は遅れて気づく。それほどまでにそのアンドロイドは人間そっくりだった。
その茶髪のアンドロイドは、貴方達が来たことに気づいたのか、ゆっくりとこちらを向く。その動作は立てこもり犯とは思えないほど落ち着いていた。
来るな!!!
突然人質をとっているVOIDが声を張り上げた。その表情からは恐怖の色が見れる。
違う、悪いのは僕じゃない...この会社の奴らだ、僕を廃棄するっていったんだ!散々僕のことをひどく扱ったくせに、こんなのあんまりだ...嫌だ、僕は死にたくない、嫌だ、嫌だ......!
茶髪のアンドロイドは後方でなにも言わずその様子をただじっと見ていたが、貴方たちが近づいてきたのをみると懐から拳銃を取り出す。
城崎 雅人:そうだな……私は近づかず、アネモネさんに目配せしようかな(訳:交渉頼めるか?)
アネモネ:ではこくりと頷いて、少し近づきながら声をかけます
キミ、落ち着いて私の話を聞いて。あなたがその人に何かしない限り、私達もあなたに何かするつもりはないわ!
僕だってこんなことしたかったわけじゃなかったんだ...ただ急に、我慢ができなくなって...どうしてこんなことに...
と、アンドロイドは自身の手を緩める。その隙をつき人質にとられていた社員は抜け出す。
U2:保護します
アネモネ:一緒に保護しよう
ありがとう……。きっと沢山ひどい目に遭って来たんでしょうけれど、だからって暴力で返しても良い事なんてないんだから
……ねえ、そこのあなた。あなたは一体……
………
静寂が破られる
っ……!
アネモネ!
すんでのところで回避できる。
……変わった返事の仕方をするのね、あなた
………
敵対行動を確認、戦闘態勢に移ります
……指示を
U2:無線で係長に連絡します
…投降に応じないようなら発砲を許可しよう
承知しました
アネモネ、下がれ!
マサト、でも……
お前は十分にやってくれた。……これ以上、俺から何も奪わせはしない
……ありがとう、でも最後に一度だけ……
あなた、今すぐ武器を捨てて投降して! そうじゃないと、あなたを力づくで制圧しなきゃいけなくなるわ!
………
すると、茶髪は混乱しているアンドロイドの首根っこを掴む。まるで、盾にするかのように。
!? やめろ!話が違うじゃないか、僕を自由にしてくれるんじゃなかったのか!?
それがあなたの答えなら……
【戦闘開始】
手番表:
〈ラウンド1〉
あなた達が各々の武器を構えると、後ろから新手のアンドロイド達がやってくる
ちぃ…お前ら、そいつは任せた。新手は俺が引き受ける
………了解しました、負傷したら即座に退避を、赤星さん
おうよ
城崎 雅人:ディレイで
U2:茶髪のアンドロイドから混乱アンドロイドを引きはがしたいです
BLD補正でPD1が付与されます。
残念、振り払われてしまった
そのアンドロイドを解放してください
………
見え見えよ!
まるで彼を知っているかのように弾丸を避ける
混乱アンドロイドは抜け出そうとします
城崎 雅人:では、このタイミングで手助けをしたく思います
混乱アンドロイドのSTRに城崎のSTRを合算します
なんとか引き剥がすことに成功する
大丈夫か? 一度離れ……
………!
やっやめ……
混乱アンドロイドは何かを発そうとした。しかし、それすらも叶うことはなかった
ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛アアアアアアァァァァァァ!!!!!
【戦闘終了】