【クトゥルフ神話TRPG】愚かな選択の内容【TRPGシナリオ・セット】
基本情報
アルファるふぁシナリオ・セット 0 | |
登録日:2018/09/25 15:14最終更新日:2018/09/30 00:22 |
タイトル: | 愚かな選択 |
TRPGシステム: | クトゥルフ神話TRPG |
適正プレイ人数: | 3~5人 |
適正レベル: | なし |
目次・解説など及びシーン情報
目次・解説など:
ネタバレには一切配慮しておりませんので、この中の情報はなるべくPLに見られないようにしてください {ゲームオーバー条件} ・PCのワンシーンにおける全滅 ・PC達が途中で仕事を放棄して帰宅する ・PC達が一般市民を攻撃する ・シーン3以前に雪菜が死亡する {用語解説} ・九頭龍市 人口17万人の海岸都市。物語の舞台。漁業が盛んだが、外国から過激派宗教組織が密航してくるケースも多々ある。中心部に九頭龍市警が存在する。 ・九頭龍市警 九頭龍市担当の警察署。神話生物を持ち出す過激派宗教組織の増加に伴い、強力な重火器及び刀剣の使用許可が「神話生物とそれを使役する人間」に対して全面的に許可されている。機動隊も存在。PCの所属は捜査一課の柳班」 ・インスマウスの子 かつて九頭龍市に存在していた、大いなるクトゥルフを崇める過激派宗教組織。非常に大きな影響力を持っていたが、九頭龍警察によって壊滅した。 ・ヒトガタ事件 インスマウスの子が起こした事件。拉致した少年の体に多くの神話生物の遺伝子を埋め込み、怪物にさせた。ディープワンを増やすことが目標だった、というのが通説。 ・九頭龍鬼事件 突如現れた神話生物によって引き起こされた、九頭龍死警察署襲撃事件。襲撃犯は殲滅されたが、その残党はわずかに生き残っているとされている。 ・黄衣教団 九頭龍市に本拠を置く、名状しがたきハスターを崇める過激派宗教組織。九頭龍市警と敵対している。信者たちは、「イエローサイン」を持つ。 ・イエローサイン 不可思議な文様の象嵌細工。黄衣教団の信者のみが持つことを許されており、逆説的に言えばこれを持つ人間は黄衣教団の人間と言える。 {名有りNPC} ・佐藤 雪菜 本シナリオの最重要人物。ショートカットの27歳巡査部長の婦警。明るく真面目。デスクワーク方面に移った柳警部に代わり、柳班の実質的な実働隊長として働く。 戦闘では、盾技能を積極的に使用し、ライオットシールドを使う。かばうは絶対に行わない 本名は九塔賀幸那(くとうがゆきな)。 ・ステータス STR10 CON13 POW11 DEX16 APP15 SIZ8 INT17 EDU18 HP11 MP11 SAN0 拳銃55 武道55 拳70 盾80 回避30 ハンドガン 1d10 6発 マガジン1つ ライオットシールド 耐久力30 ・新庄 大成 警視庁からの出向で来た巡査部長。7、3分でメガネが光る、23歳の美男子ステータス制作の必要なし。柳班の新入りとして活動する。非常に物静かで、何やら秘密を持っていそうな雰囲気がある。 ・柳 正彦 PC達の班のリーダー。九頭龍市警部。49歳。ステータス製作の必要なし。長年の勤務から、司令官的人間としてPC達のバックアップや行動指示に専念することになる。 ・高天原 黄太郎 本名松坂俊。黄衣教団のトップ。禿げ上がった頭の中年男性。ステータス制作の必要なし。逮捕後に、警察内部の内通者の存在を白状する。 {登場神話生物} ・バイアクヘーまたはビヤーキー 蜂と翼竜を掛け合わせたような外見の神話生物。ハスターを信仰する黄衣教団が呼び出す。九頭龍市警の黄衣教団アジト突入作戦にあたり、戦力として投入された。 ・ダゴン 九塔賀屋敷への道中にて探索者を襲う巨大な神話生物。クトゥルフ系の宗教組織において重要な役割を持つとされている。かつて、別個体をインスマウスの子が召喚した。 ・ティンダロスの猟犬 不自然な時間移動を行う人間を襲う、不浄の怪物。黒幕に使役され、探索者に襲いかかる。黒幕の魔術によって耐久力が倍に増えているが、同時に物理攻撃が通用するようになっている。 <導入モノローグ> 「結果は過程を正当化しない。過程は結果を保護するものではない」 <シーン1>11月11月 柳班の部屋。探索者たちは一同に集まり、リーダーの柳警部の言葉に耳を傾ける。この場では全員知り合いという扱いだが、必要なら自己紹介シーンを作ること。 柳「いいか、これから行うのは黄衣教団への強制捜査だ!激しい抵抗が予想される。各自武器を持って、しっかり生き延びろ!」 雪菜「質問です、警部!この操作における我々の役割は何ですか?」 柳「ずばり、機動隊の援護だな。機動隊が主力となって連中のアジトを制圧するが、万が一返り討ちにあったときのために退路を確保する」 雪菜「なるほど…」 柳「質問がなければ、とっとと出てくれ。今回は俺と、新入りの新庄がバックアップに回る。頼んだぞ」 新庄が、冷たい目で柳班を見回し、告げる。 「神話生物及びそれを使役する人間は、確認次第積極的な排除を…警視庁でも推奨されている方針です。皆さん、吉報をお待ちしています」 ここで探索者は、新庄に対して心理学を振ることができる。成功すれば、新庄は自分たちに秘密を隠していると感じる。クリティカルの場合、雪菜を警戒するようなそぶりを感じる。 運転技能を持った探索者の運転するバン。黄衣教団のアジトへ向け、封鎖された道路を走る。 雪菜「ワクワクしますね、これ!」 運転者は運転技能で振る。 成功すれば問題なく現場に到着する。 失敗すれば、幸運を振る。幸運に成功すれば何も起きず、失敗すれば黄衣教団の車両に攻撃を受ける。 ファンブルの場合、強制的に攻撃を受ける。 {戦闘開始} 2台の黄衣教団のトラックと戦闘。飛び道具を持たない探索者は攻撃ができない。回避判定は運転手の運転技能で行う。 敵ステータス HP20 装甲1 拳銃 成功値45 ダメージ1d10 弾数無限 運転 成功値30 運転に成功するか、トラックを破壊した場合、その後現場に到着する。 場所は九頭龍市東の漁港近くの小さなビルと倉庫。磯風が鼻につく。 すでに戦闘は始まっており、倉庫の方から銃声と爆発音がひっきりなしに轟く。 新庄「皆さん着きましたか?裏口に回って待機してください」 探索者は新庄の指示に従い、小さなビルの裏口にて、バンを降りて待つ。 ここで探索者は聞き耳か幸運を振る。どちらかに成功した場合、裏口からドタドタという音と、何かが羽ばたくような音を耳にする。 裏口のドアを破って現れたのは、醜い容姿と羽を持つバイアクヘーであった。 {SANチェック} ・バイアクヘーを目撃したことによるSANチェック。対象はPC 成功で1 失敗で1D6の消費 {戦闘開始} 二匹のバイアクヘーと戦闘。 先述の聞き耳or幸運ロールに全員が失敗した場合、それぞれのバイアクヘーは雪菜以外の探索者に先制攻撃を行える。先制攻撃を終えた場合、通常の戦闘が開始される。 戦闘終了後、破壊されたドアの向こうに、怯えた男が現れる。 探索者はアイデアもしくは知識を振る。成功すれば、ハその男が黄衣教団のトップ高天原黄太郎だとわかる。 高天原「た…助けてくれ!もう抵抗しない、本当だ!」 雪菜「…あ〜、はいはい。じゃあ動かないでくださいね。逮捕します」 高天原「一昨年に、変な女にそそのかされて教団を作り始めたんだ。頼む、殺さないでくれ!」 雪菜「…錯乱していますね。さっさと機動隊と合流して刑務所に送り込んでしまいましょう」 ここで探索者は、雪菜と高天原のどちらかに心理学を振ることができる。 雪菜に対して成功すれば、雪菜は高天原をよく知っている様子だとわかる。クリティカルなら、それに加えて焦りを感じられる。 高天原に対して成功すれば、彼は錯乱などしていないとわかる。クリティカルなら、嘘を言っている様子はないと確信できる。 シーン2へ (医学、もしくは応急手当を持つPCは、この間に同技能を二回使用できる) (武器の弾や耐久力はこの間に回復できる) <シーン2>11月13日 柳班の部屋。探索者が部屋に入ると、雪菜が先にいた。 探索者が入ってから数分後、新庄が入ってくる。 新庄「先日はお疲れ様でした。おかげで、高天原 黄太郎…本名松坂俊容疑者を逃さずに済みました。機動隊の方も被害ゼロ、最高の結果だと思われます」 雪菜「は〜い、質問いいですかー新庄さん」 新庄「…なんでしょうか、佐藤さん」 雪菜「私達はあの時機動隊の退路を確保する手はずだったんですけど、それは結局どうなったんですか〜?」 新庄は黙っている 雪菜「本当は高天原を捕まえたかったんじゃあないですかね〜?」 新庄「…高天原が君たちの持ち場に現れたのは単なる偶然だ。それ以上でも以下でもない」 雪菜と新庄はお互いをじっと見つめる。すると、新庄は柳警部からの電話を受け、高天原の尋問に向かった。 新庄がいなくなった後、雪菜が探索者に小声で聞く。 雪菜「彼、怪しくないですか?このタイミングで九頭龍市警に配属って絶対に何かありますよ!」 興奮した様子の雪菜 雪菜「警察の中に、過激派教団に情報を流す裏切り者がいるって噂、知ってますか!?新庄さんがそうかもしれません…」 雪菜は新庄のデスクを指差して、探索者に提案する。 雪菜「皆さん、新庄さんの机調べてください。私、直接本人の様子を伺ってみます。それじゃ!」 そう言って、雪菜は部屋から出て行ってしまう。 {探索開始} ・机の上 綺麗に整頓されており、綺麗に磨かれている。三角形の時計がある。 図書館に成功すれば、イエローサインのマークをプリントしたA4用紙が出てくる。 ・上段の引き出し 文房具と小物がいくつか入っている。 目星に成功すれば、イエローサインのバッジが出てくる。 ・中段の引き出し 弁当箱や携帯電話といった私物が入っている。 黄衣教団の勧誘チラシが束になって入っている。 ・下段の引き出し 警棒や無線機、ダイヤル錠付きケースに入ったニューナンブとその弾丸20発が入っている。ニューナンブの箱の隣には別の小箱がある。 鍵開けに成功すれば、イエローサインのペンダントが出てくる。 ・新庄のロッカー 人間の背丈と同じくらいのサイズの、細長い金属ロッカー。コートや帽子が入っている。 開けてすぐ、イエローサインの物品ががびっしりと入っているのがわかる。 探索を終えると、新庄と一緒に柳警部が部屋に入ってくる。 柳「雪菜はいるか!?くそ、どこに行った…」 新庄「…それは?みなさん、どうして私のデスクを漁ってるんで…」 その時、新庄のデスクの上の三角形の置時計から、強烈な腐臭が発せられた。 置時計の頂点、鋭角の部分が歪み、そこから煙が発生し、おぞましい顔の怪物が姿を出す。 {SANチェック} ・ティンダロスの猟犬を目撃したことによるSANチェック。対象はPC 成功で1d3 失敗で1D20の消費 ティンダロスは無造作に前足で攻撃を行う。意識がはっきりしている探索者は回避を行えるが、そうでない場合や回避に失敗した場合は、1d6+1のダメージとPOT2d6の毒ダメージを負う。 新庄が前脚の直撃を受け、部屋の隅の方へ吹っ飛ばされ、気を失う。 ティンダロスは、出現した時から逆再生のように引っ込んで消えた。 柳「みんな、生きてるか!?新庄、おい新庄!」 3時間後、警察病院。 ベッドに横たわる新庄と、柳と、探索者が、病室に一同に会していた。 医学技能、もしくは応急手当技能を持つ探索者は、その怪我が治るのに数ヶ月はかかるとわかる。 柳「すっかり説明が遅れたな。高天原黄太郎の証言から、雪菜は警察内部の獅子身中の虫だと判明した。高天原は退職後、インターネット上で雪菜にそそのかされて、過激派教団を作り上げたらしい」 新庄「ネット上で教えられた儀式を実行して、それが効果を表し、インスマウスの子が壊滅して以降進行する相手を失った一般人の心を掴んだようです」 柳「新庄は内通者を見つけるためにこっちへ派遣されて来たんだが、雪菜もそれを見越してたようだな…もう連絡もつかねえ」 新庄「九頭龍市警内部にスパイがいて、それが黄衣教団と関係を持っていたことは警視庁は掴んでいました。それで、教団のトップの高天原を尋問すれば、スパイを見つけられると考えたのです。しかし彼女を逃した上、嫌がらせに私のデスクにイエローサインを置きまくって…」 激痛に呻く新庄。お手上げと言わんばかりに両手をあげる柳。 柳は探索者の方を向き、再び話し始める。 柳「俺は今日付で警視に昇進した。それと同時に、捜査一課全体の指揮をとることになる。今後の活動は、雪菜の逮捕だ。あいつが何を目的とし、どう行動するにせよ、野放しにしておくわけにはいかない」 そして、探索者の方を向き、真剣な形相で言う。 柳「お前らの力も必要になる。頼りにしているぞ」 シーン3へ移る (医学、もしくは応急手当、もしくは精神分析を持つPCは、この間に同技能を二回使用できる) (武器の弾や耐久力はこの間に回復できる) (毒は消える) <シーン3>11月15日 柳警視による捜査一課の新体制が発足してすぐ、佐藤雪菜の捜索が行われた。 既に九頭龍市外周の他の市町村がくまなく探していたが、発見できなかった。このことから、雪菜は未だ九頭龍市のどこかにいる可能性が高いとされている。 探索者一行も、準備を終え、九頭龍市南の九塔賀山へ捜査に向かうこととなった。 柳「皆、ちょっと聞いてくれ」 出発しようとする探索者達を、柳警視が引き止める。 柳「調べで分かったんだが、雪菜の本名は九塔賀幸那(くとうが ゆきな)らしい。…インスマウスの子に加担していた、前市長の娘だ。ヒトガタ事件より少し前にウチに配属されてて、新庄曰くスパイ活動はこの頃からやってるらしい」 柳警視は神妙な面持ちで続ける。 柳「で、インスマウスの子が壊滅して以降も捕まっておらず、九頭龍鬼事件の少し前に、事件の首謀者の蓮田家に出入りしてた情報がある。俺達が知ってる顔の裏に、奴は不気味な正体を隠してやがったんだ」 柳警視は救急箱を押し付けてくる。探索者が受け取ると、話を続ける。 柳「備品だ、持ってけ。九塔賀山は元々九塔賀家の資産で、屋敷もある。恐らく潜伏するならそこだろう。他の班は他の場所を探させてるが、雪菜を見つけたら連絡してくれ。機動隊を送ってケリをつける…つっても、見付けたら激しい抵抗を食らうだろうがな…この前のくっせえバケモノみたいな、な…」 柳警視はさらに大きな包みを探索者達に渡す。 柳「飯と飲みもん。俺の奢りだ。食って、勝ってこい。そんで生きて帰ってくるんだ。いいな?」 救急箱と弁当セットを入手。 九頭龍市警察署を出て、南へ向かい、車を走らせること1時間。田舎町を通り過ぎ、探索者達の車は川の上の橋を通ろうとしていた。 車が橋の半ばを通ろうとしたその時、強烈な衝撃が車内を襲う。 運転技能を持つ探索者は、同技能を振る。失敗すれば、車はバランスを崩して横転し、探索者は全員1d6のダメージを食らう。 成功ならダメージはなし。クリティカルなら次のSANチェックはスキップされる。ファンブルならダメージは倍。 車の中の探索者達が見たものは、鱗に覆われた、巨大な半魚人であった。 {SANチェック} ・ダゴンを目撃したことによるSANチェック。対象はPC 成功で1 失敗で1D10の消費 {戦闘開始} ダゴン一体と戦闘。 勝利後、探索者達は引き続き九塔賀屋敷を目指す。この間、弁当や救急箱、回復系技能を使用しても良い。 目星に成功すれば、橋に立て札があることがわかる。書いてある内容は以下の通り。 「召喚魔法の実験の成果です。どうか可愛がってあげてください 皆さんの元同僚より」 山奥へ入ると、探索者達は横に広い大きな建物を目にする。正面の大きなドアは開いており、中に入ることが可能のようだ。 目星に成功すれば、立て札を見つけられる。内容は以下の通り 「まっすぐ進んでください。お待ちしています」 中に入ると、大きな玄関フロアと、いくつかのドアがある。空いているのは正面のドアのみで、それ以外は鍵開けに成功しても開けられない。 正面ドアをくぐると、真っ暗な空間が広がっている。 暗がりの向こうから雪菜がゆっくりと歩いて出てきた。 雪菜「お待ちしてました、皆さん!少しお時間を頂いてもよろしいですか?一人語りをしたいので…」 そう言うと、雪菜の表情が一変する。精神分析か心理学を持つ探索者は、雪菜の精神はもう「手遅れ」だと直感できる。 雪菜「私の生まれは、この屋敷でした。九頭竜市には当時からインスマウスの子が存在して、母はその信者でした。彼らの後押しで、父は市長になりました。今は父母ともに檻の中ですが…私が警察官になったのは、インスマウスの子のために働くよう父に言われたからです。つまり、内通ですね。強制捜査の情報を流したりとか、警察の立場から教団の密告者を見付けたりとか、色々しました。ヒトガタ事件でも、山元家のお父さんの密告計画を教団に教えたり…でも、結局インスマウスの子は無くなってしまいました。それで自首することもできないで、警察に在籍したまま教団の後片付けをしてたら…こんなものを見付けたんですよ」 雪菜は、片手に持っていた分厚い本を掲げる。 目星に成功すれば、その本のタイトルが「ネクロノミコン」と書いてあるのがわかる 雪菜「ネクロノミコン、知りませんか?その界隈では結構有名なんですよ?これは世界で唯一の、和訳版です。呪文の内容は穴だらけも良いところですが…インスマウスの子はこれを使って色々な魔術をやってたんです。最初はこの呪文は本物か疑ってました。それで、蓮田家に試させて、黄衣教団にも試させて、本物だと確信したんです…」 雪菜「ここまできた皆さんなら、私の目的を知りたがっているでしょう。焦らす必要もないのでさっさと教えてしまいます。私は、この九頭龍市を守るために動いています。言動が矛盾しているように思えますが、本当です。インスマウスの子が滅んでからずっと、その為だけに生きてきたのですから…皆さんはもう既にご存知ですよね?数多の神話生物を。あの様な怪物が跋扈するこの宇宙で、インスマウスの子や黄衣教団が進行する神々とやらを、宗教的妄想と切り捨てることはできません。狂気の神々は、人類を脅かす強大な存在として私達の世界に潜んでいる可能性があるのです。しかし、それらに抗う存在もまた、ネクロノミコンには記されている」 雪菜はネクロノミコンを持っていない方の手を上に掲げた。すると、部屋の天井から陽の光が入ってきた。天井にかかっていたカーテンが開かれ、透明の天蓋が外の風景を映す。 すると、部屋全体が太陽光に照らされ、その全貌があらわになった。100平方メートルを超す広さの部屋いっぱいには、常人には理解しがたい文様の、冒涜的な筆致で綴られた巨大な魔法陣がびっしりと描かれていたのである。 {SANチェック} 冒涜的な巨大魔法陣を見たことによるSANチェック。 成功で1。失敗で1d3。 雪菜「驚きましたか?これは、邪神を退ける存在を、この場所に封印するための儀式に必要なものです。ネクロノミコンにはエルダーゴッドと記されていましたが…最終的には、それを召喚し、ここに封印し、邪神が九頭龍市に現れた際に封印を解き、戦わせる…と言うのが理想です。しかし、私だけではその儀式を遂行するのは不可能です」 雪菜はネクロノミコンを片手で開き、もう片方の手で魔法陣を撫でた。すると、魔法陣の中心に、円形の穴が空いた。穴の向こうは、太陽光に照らされているにも関わらず真っ暗で、延々と続く暗黒しか見えない。 雪菜「そこで、元同僚のよしみに、同じく九頭龍市を愛した人間として、皆さんに手伝ってもらいたいのです。突然のお願いですみません。儀式の完成と遂行には、強靭な精神を燃料のように消費しないといけません。それは私だけでは足りないのです。皆さんのような強い心の持ち主がいてくれれば、必ず儀式は成功します。お願いします、私に力を貸してください。共に九頭龍市を守ってください!お願いします…お願いします…!」 {SANチェック} 雪菜の口から聞かされた冒涜的な真実によるSANチェック。 成功で0。失敗で1d3。 {雪菜からの提案} ・PLは雪菜からの提案に、賛成するか反対するか、その場ではっきりと決める必要がある。 ・この時、探索者全体で意見を同一化する必要はない。 賛同した探索者に対して、雪菜は感謝の意を述べる 雪菜「ありがとうございます。皆さんのような人達と一緒にこの街を守る礎になれることを、心から嬉しく思います」 反対した探索者に対して、雪菜は残念そうに告げる。 雪菜「そうですか…わかりました。だったら、こちらもその意思を尊重し、そちらに対して全力で挑ませていただきます!安心してください、あなたの遺体は、決して無駄には扱いません」 {戦闘開始} 雪菜とティンダロスの猟犬と戦闘。 ・この時、雪菜のHPは魔法によって倍にすること ・ティンダロスの猟犬は、雪菜の従属魔法によって弱体化しており、HPが倍になる代わりに、攻撃が本来の半分のダメージで通るようになる。また、不死身ではない ・雪菜の提案に賛同した探索者は、雪菜側になって戦い、反対派を倒すのが勝利条件となる ・探索者全員が雪菜の提案に賛同した場合、この戦闘は発生しない。 雪菜のHPが3以下になった瞬間、イベントが発生。 雪菜はふらふらと、魔法陣の中心の穴に吸い込まれるように歩いていく。 雪菜「お父さん。お母さん。私は…私、は…」 そして、そのまま落ち、奈落の向こうに消えていった。 <分岐> 『ED1・守護者達』 探索者が全員雪菜の提案を受け入れるか、賛成派が反対派を全滅させた場合。 突然、青い空がバカっと開き、何百メートルもの大きさの穴が空いた。開いた穴の向こうには暗黒の宇宙空間が広がり、そこから何かがゆっくりと顔を覗かせた。 その存在は穴からこちらへとゆっくり落ちてくる。 無数の触手、毒々しい色の体、数百メートルもある山のように大きな身体、黄金色の目はぎょろぎょろと動く。 {SANチェック} 冒涜的な姿のエルダーゴッドを目撃したことによるSANチェック。 成功で1d10。失敗で1d100。 無線機から柳警視の怒鳴る声が聞こえる。 柳「おい、どうした!何があった!?あれはなんだ?!応答しろ、おい!返事をしろ!!」 だが、探索者はそれに返答をすることはできない。彼らの精神はすでにその肉体を離れ、魔法陣の中心の穴に吸い込まれていったのだから。 もはや、探索者達は儀式の成否を知ることはできない。果たして召喚されたエルダーゴッドはあの魔法陣に封印されたのか、そしておぞましい邪神から九頭龍市を守ってくれるのか。探索者達が知ることはない。 だが、確かなことが一つある。それは、この結末が、そしてこの結末に至るまでの全てが、一人の女の執念によってもたらされた結果であるということである。 『ED2・抗う者達』 雪菜の提案を拒否した探索者が、立ちはだかる相手を全て倒した場合 雪菜は奈落の向こうへ消え、ティンダロスは粘液と化して死亡した。 雪菜が死んだことにより、彼女が描いた魔法陣もその効能を失い、ふっと消え去る。 その場には、雪菜が遺したネクロノミコンのみが残っていた。 アイテム ネクロノミコン和訳版を入手 それから数十分後、探索者は応援の刑事達に囲まれ、現在に至るまでの報告をさせられていた。 あらかた話し終わった後、彼らに二人の刑事が声をかける。 柳「よお、お疲れさん。よくやった!よくやったな、本当に…」 新庄「事情は理解しました、お疲れ様です。警視庁、いや世界中の警察官があなた方を高く評価することでしょう」 二人は、事件を収束させた探索者達に心からの賞賛を浴びせた。 しかし、柳警視は表情を一変させる。 柳「雪菜は…アイツはバカなことをしたな…」 新庄「彼女もまた、九頭龍市を守ろうとしていた。我々とはやり方とは違うだけでしたが…」 柳「新庄…?」 新庄「しかし、結果は過程を正当化しない。過程は結果を保護するものではない。彼女の行動は、間違いなく多くの人々に多大なる不利益を被らせた。それ以上でも、以下でもないです」 新庄はため息をひとつ吐き、探索者が持っていたネクロノミコンを指差した。 新庄「それを危険物として、金庫の奥底にしまってしまうのは非常に簡単です。しかし、九塔賀幸那が提唱した懸念は無視できない。その魔術書の内容は、世界中の警察組織や政府に共有されるべきだ」 柳「おまっ、何言ってんだ!?それは過激派宗教組織が神話生物を召喚したりするために使ってた本だろ!」 新庄「逆に言えば、神話生物に関する情報がたっぷり詰まっているということになります。このネクロノミコンで、多くの人間が邪神や神話生物に対抗できる世の中にしたい」 柳「…皮肉なもんだな。雪菜は色んな人を酷い目にあわせてきた。だが、アイツの死後に…こんな形で沢山の人を救うことができるかもしれないなんて」 立ち尽くす柳班の面々。屋敷の窓の向こうには、青空と陽の光に照らされる九頭龍市があった。 以上でシナリオは終了。 {アイテム} ・救急箱 プラスチック製の箱に様々な医療器具が入った救急箱。九頭龍市警察署の備品。 使用時、医療・応急手当の回復量が3増える。使用回数に制限はない ・弁当セット 柳警視がポケットマネーで宅配させた出来合いの弁当。プラスチック製の重箱に少し多めで人数分入っている。非常に美味。さらに、1リットルボトルの緑茶と紙コップも付いている。 使用時探索者全員のSAN値を1d3+1回復させ、使用後は消滅する。ただし、落ち着いた状況でなければ使用できない。 ・ネクロノミコン和訳版 雪菜が所持していた魔術書。その界隈では非常に有名な本の、唯一の和訳版であるそうだ。 取得時に探索者が読むことはできない。 【クリア報酬】 ED1 探索者が漏れなくキャラロストするため、存在しない ED2 ・SAN値1d10+1の回復 ・運転技能に+1d6から1引いた数を足す ・任意の戦闘技能の技能値を3上昇させる ・【アーティファクト】『見出した答え』効果:使用時、1度だけダメージボーナスを倍にし、銃器の技能値を+20する。使用後、消滅する。
シーンNo. | 種別/発言者 | コマンド/説明 |
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シーンは設定されていません。 |
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本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。 Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc. Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc. PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION