シナリオセット【ダブルクロス3rd】“Another day of sun”の内容

基本情報

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登録日:2021/05/29 23:32最終更新日:2021/09/13 18:49

本作は、「矢野俊策、F.E.A.R.、KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス The 3rd Edition」の二次創作物です。
タイトル: “Another day of sun”
TRPGシステム: ダブルクロス3rd
適正プレイ人数: 4人
適正レベル: なし

概要:
《戦闘難易度:低め》《秘匿ハンドアウトあり》 【トレーラー】  「平和な日常なんてあきらめた」こっちの世界に堕ちた人々はみんな揃ってそう口にする。それでも平和な日常を求めるのは人の悲しい性(さが)だろう。  あなたたちは平和な日常を送っている《ふり》をして日々を過ごしている。薄氷を踏むよりも容易く崩れる日常は、【竜峰スズカ】という少女の護衛依頼を契機にあっさりと壊れた。  今回襲い掛かってくるのはFHのようなわかりやすい存在ではない。本当の敵は他人への《疑念》と《過去》だ。  《裏切り》を恐れよ。ダブルクロス、それは 裏切りを示す言葉。 【レギュレーション】  必須:基本1,2、上級  使用可:そのほかすべてのサプリ(エネミー側はこれらのサプリデータを使用しておりません)  経験点:130+70+4(イージーエフェクト用)  使用不可《Dロイス:【賢者の石】》  おすすめ:《知覚》《噂話》《UGN》 ※全員に秘匿ハンドアウトあり。四人集まったのち、全員に個別で配布します。 ※継続PC使用不可。秘匿ハンドアウトがどれも強烈なので、配布後にPCを作成することを推奨します。 ※初期作成のため技能値(【白兵】や【調達】などの数値)の最大値は4まで(エネミーも同様に適用)。 ※データ上問題のない範囲ならばGM確認後に秘匿ハンドアウトにPCの秘密を追記することも可能。 ※参加申請する際は、希望するハンドアウトを複数選択し【1>2≧3=4】といった具合に優先順位をつけて申請してください。 ※卓ルールとして、【オートエフェクトによる範囲変更不可エフェクトの範囲拡大は適応しない】【アイテムの効果は重複しない】【Dロイスは最大6個まで】【[実験体][超血統]以外のDロイスの効果は重複しない(違うタイミングでの使用、《取得》する効果は可能とします。[対抗種][奇跡の血][機械化兵]などの効果が重複しないという意味です。)】 ※スマホ参加NGですが、ココフォリアにデータを詰め込み過ぎて処理が重くなる状況があったための処置です。スマホでもデータ処理が速い機種ならば問題なく参加可能とさせていただきます。 【ハンドアウト】 [PC1] UGNチルドレン 指定ロイス:竜峰スズカ カヴァー/ワークス:指定なし  あなたはUGNに所属している高校生だ。最近、同じくUGN所属で非戦闘員である【竜峰(たつみね)スズカ】から告白されて付き合い始めた。  FHとの戦闘もいくつかこなし、不安定な日常も《刺激的な》と言える程度まで慣れてきたところだ。そんなこんなでUGN内でのあなたの評判もなかなか上がってきたところに支部局長から直々に任務が下った。 【竜峰スズカ】を護衛し、UGNの内部の裏切り者から守り抜けと。 [PC2] UGNイリーガル 指定ロイス:???(秘匿ハンドアウトに記載) カヴァー/ワークス:指定なし  あなたは【竜峰スズカ】の家族だ。オーヴァードとなったばかりの【竜峰スズカ】を保護しUGNへ引き入れた時からそのまま疑似的な家族としてずっと生活している。  あなたも【竜峰スズカ】も天涯孤独の存在であり、【竜峰スズカ】が護衛対象になったと聞いて居ても立っても居られない状態だ。あなたは支部局長に無理を言って【竜峰スズカ】の護衛任務に加えさせてもらった。 [PC3] UGNエージェント 指定ロイス:???(秘匿ハンドアウトに記載) カヴァー/ワークス:指定なし  あなたは【竜峰スズカ】の護衛任務のために呼ばれた他支部の敏腕UGNエージェント(もしくはイリーガル)だ。今回の任務は単純な護衛任務であるにもかかわらず実力のあるエージェント二人を呼び寄せるという過剰対応に警戒心を抱いている。  あなたはPC4のエージェントよりもややUGNでのキャリアが長い。そして今回集まった面子がいずれも名うての新人であることに不安を抱いている。 [PC4] UGNエージェント 指定ロイス:???(秘匿ハンドアウトに記載) カヴァー/ワークス:指定なし  あなたは【竜峰スズカ】の護衛任務のために呼ばれた他支部の敏腕UGNエージェント(もしくはイリーガル)だ。今回の任務は単純な護衛任務であるにもかかわらず実力のあるエージェント二人を呼び寄せるという過剰対応に警戒心を抱いている。  PC3と比べるとキャリアは浅いが、《実力》と《世渡り》で頭角を現してきた実力派だ。
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目次・解説など及びシーン情報

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目次・解説など:

 ▼以下GM向け情報▼




















【PC1秘匿ハンドアウト】

 あなたはUGNの《処刑人》だ。UGNチルドレンの中でもエリートであり、敵味方問わずUGNに敵対するオーヴァードをすでに何人か殺害している。
 あなたは経験点25点分のエフェクトを公開せずに取得、成長させることができる。(すでに取得しているエフェクトの成長のみに使ってもよい)。
これで取得したエフェクトは《あなたがUGNの処刑人であることを公表した後》から使用可能(もしくは適用)となる。
 また今回、秘密裏に指令があなたのもとに下っている。《竜峰スズカの調査及び、必要に応じての抹殺》だ。竜峰スズカにはFHと通じている疑惑があるらしい。

あなたの今回の目標は【竜峰スズカを裏切らないこと】だ。

 以上の秘匿ハンドアウトは、《ミドル戦闘以降》に《竜峰スズカを殺’す必要がなくなった時》に公表できる。
 また、キャラシは表と裏二つを作成していただき、
表はオンセンに提出
裏はGMにのみ開示していただくようよろしくお願いします。






【PC2秘匿ハンドアウト】
 あなたは元FHのエージェントであり、そして【竜峰スズカ】の【複製体】である【もう一人の竜峰スズカ】を知っている。
 あなたは【竜峰スズカ・複製体】をUGNに隠匿しながら、【竜峰スズカ】と合わせて三人で共に暮らしている。

 あなたは世界で唯一竜峰スズカの過去を知る人間だ。
 竜峰スズカはかつて特殊な【賢者の石】に適合した被験者だった。【賢者の石】の研究は今でこそ考えられないがUGNとFHの合同研究が行われており、案の定その研究内容は過激でほとんどの研究成果が秘匿、廃棄された。(プロジェクト・アダムカドモン。上級p.78)
 竜峰スズカはその研究の【失敗作】にあたる。肉体は賢者の石を許容したが、本人の強い意志が賢者の石を拒絶し性能を封印してしまっていたのだ。
 UGNの研究者はそんな竜峰スズカの意思を尊重し彼女を研究被験者から除外したが、FH研究者が賢者の石に適合する肉体を欲して秘密裏に彼女の【複製体】を作成した。これは竜峰スズカを監禁し、「体内にある賢者の石を別のものに移さなければ君は永遠に追われ続ける」と脅して複製体作成に協力させたのだ。
 【賢者の石】は体外に取り出すと保有者は死亡してしまうため、《リザレクト》を利用した体外細胞分裂を行うことで【複製体】の中に【賢者の石】を移すことに成功した。その後目を覚ますことのない【竜峰スズカ・複製体】が【賢者の石】を代わりに引き受け、【竜峰スズカ】は自由の身になった。

 あなたはその後、目を覚まさない【賢者の石】を持った【複製体】の竜峰スズカの護衛兼世話役兼見張りとなっていたが、研究所の崩壊を契機にFHを離脱、身元を隠してUGNにイリーガルとして身を寄せることにした。

 その後、偶然にも路頭に迷っていた【竜峰スズカ・本体】を見つけて助けると、自宅にかくまっていた【竜峰スズカ・複製体】も目を覚ました。二人は助けてくれたあなたを慕って娘か妹のように接してくれるようになり、自然と家族のように生活するようになる。
(以降、二人はあなたのことを「お兄ちゃん」と呼称するが、この名称は自由に変更して構わない。ただし、セッション2日前には名称の変更を申請すること《シナリオ書き換えのため》)

【竜峰スズカ・本体】と【竜峰スズカ・複製体】はどうやら意識を共有しているようで、一日おきに交互に学校に通っても問題なく生活できているようだった。
 彼女たちふたりの見分け方は【竜峰スズカ・複製体】の方が目が若干暗い色合いで、なおかつ靴の先が黒くなっている。(これは微妙に差異のある画像なら何でもよい。自分はパソコンの画像編集にある[赤目修正]機能を利用して目や靴の赤っぽいキャラクターフリー素材を改変して作成しました)

 もしUGNやFHに狙われるとしたら【賢者の石】をもつ【複製体】の方だろう。だが、【竜峰スズカ・複製体】は【竜峰スズカ・本体】よりも若干戦闘が得意だ。さらに敵には二人の見分けがつかない以上、優先的に守るならば【本体】の方であるといえるだろう。

 また、【竜峰スズカ・本体】が[PC1]に告白して以降、【竜峰スズカ・複製体】の方は比較的裏で立ち回る機会が多くなった。もちろん[PC1]とデートに行く相手は基本【竜峰スズカ・本体】である。
 その恋愛感情の起伏が伝播しているのか、【竜峰スズカ・複製体】はあなたとの会話する機会を増やそうとしている様子が見受けられた。ただしこのところ、あなたにも言えない秘密が【竜峰スズカ・複製体】にはできたようだ。

 あなたは経験点20点分のエフェクトを公開せずに取得、成長させることができる。(すでに取得しているエフェクトの成長のみに使ってもよい)。この公開しないエフェクトは、あなたがかつて《FHエージェント》であったことを公開した後に使用可能となる。
 また、イージーエフェクトを経験点10点分公開せずに取得する。このイージーエフェクトは[文書偽造]や[擬態の仮面]、[セキュリティカット][ポケットディメンション]など、【竜峰スズカ】と【竜峰スズカ・複製体】の真実を隠避するためのエフェクトであることが望ましい。これら公開されていないイージーエフェクトを使用した演出では、最初の一度だけ判定なしで自動成功するものとする。

 またセッション中、素顔を隠した《???》というキャラクターが【竜峰スズカ】と密談するシーンがあるが、その《???》はあなた自身である。(セリフやシーンインは必要なく、常時無言でよい)

 追加情報として、あなたはFHエージェントの時代に、[PC4]もFHエージェントとして働いている姿を見たことがある。[PC4]とあなたとの接点はなく、[PC4]はあなたの存在を知らないようだ。

 あなたの指定ロイスは【竜峰スズカ・本体】、もしくは【竜峰スズカ・複製体】だ。キャラクターシートには【???】として記載すること。

 あなたの今回の目標は【二人の竜峰スズカの安全を守り抜くこと】だ。

 これらの秘匿ハンドアウトは、《ミドル戦闘以降》《二人の竜峰スズカの存在に気付かれた後》に公表できる。

また、キャラシは表と裏二つを作成していただき、
 表はオンセンに提出
 裏はGMにのみ開示していただくようよろしくお願いします。







【PC3秘匿ハンドアウト】
 あなたはUGNの【内部監査官】だ。UGNの裏切り者を見つけ出すこと、およびUGN内部の腐敗を発見することが職務だ。それゆえに[PC1]がUGNの裏切り者を殺’す業務に従事している【処刑人】であることを知っている。

 あなたは【竜峰スズカ】がFHとの接点があるという情報を取得し、[PC1]の【秘匿ハンドアウト】には竜峰スズカの調査、および必要に応じての抹殺が命じられていることもUGNへの召集前から知らされている。

 だが[PC1]と竜峰スズカは恋人関係だ。人と人のつながりが業務に支障をきたすのは必然といえる。ゆえにあなたは竜峰スズカがFHに寝返っていた場合、[PC1]もまたFHに寝返らないかの観察をする必要がある。もしくは[PC1]が竜峰スズカの抹殺を戸惑っていた場合の代理となる。

 あなたは経験点25点分のエフェクトを公開せずに取得、成長させることができる。(すでに取得しているエフェクトの成長のみに使ってもよい)。
これで取得したエフェクトは《あなたがUGNの【内部監査官】であることを公表した後》から使用可能(もしくは適用)となる。

また追加情報として、あなたは[PC2]が過去の人物データがすべて偽造であることを知っている。UGNに加入前の[PC2]の記録は何も残っていない。[PC2]の調査も行う必要があるだろう。

 あなたの指定ロイスは【UGN中枢評議会】もしくは【UGN戦闘部隊“ストライクハウンド”】だ。(キャラクターシートには【???】と記載すること)

 あなたの今回の目標は【UGNの裏切り者を発見し、抹消すること】である。

 これらの秘匿ハンドアウトは、《ミドル戦闘以降》《[PC1]の秘匿ハンドアウトが公表された後》に必要に応じて公表可能となる。

また、キャラシは表と裏二つを作成していただき、
表はオンセンに提出
裏はGMにのみ開示していただくようよろしくお願いします。






【PC4秘匿ハンドアウト】
 あなたは三重スパイだ。根本的なあなたの所属はレネゲイトビーイングの組織“ゼノス”である。
 あなたはレネゲイトビーイングであることを隠してFHに潜入し、その後さらにUGNへ潜入捜査員として潜り込んだ。その潜入捜査ではかつてUGNとFHの【賢者の石】の合同研究(プロジェクト・アダムカドモン。上級p.78)の内部調査を行っていた。その時、【賢者の石】の被験者の一人に【竜峰スズカ】がいたことをあなたは知っている。

 あなたはヒューマンズネイバー、オリジン:〇〇をそれぞれ公開せず無料取得し、経験点35点分のレネゲイトビーイング専用エフェクトを取得、及び成長させることができる。(ワークスがレネゲイトビーイングである必要はない)。これらの秘匿エフェクトは宣言すればいつでも使用できる。(もしワークスを最初からレネゲイドビーイングとした場合は経験点:35点分のみとなる。オリジン:〇〇を二重で無料取得することはできない)

 あなたはプロジェクト・アダムカドモンの崩壊後も二つの組織をまたいだスパイ活動をしており、大量の内部情報をゼノスへ報告していた。しかし最近ゼノスに対して敵対的なFHのセルが【竜峰スズカ】の隠し持つ【賢者の石】を強奪しようと画策していることを知る。

その敵対しているFHセルはUGNへの潜入捜査を主としている諜報部門だ。ゼノスのリーダー “プランナー”都築京香は別に【賢者の石】を欲しているわけではないが、その敵対的なFHセルを弱体化させる絶好の機会だと判断しており、【竜峰スズカ】をゼノスのオーヴァード保護地域“隠れ里”で保護し、UGNで潜入捜査をしているFHセルメンバーを殲滅してUGNへの潜入捜査を行う諜報部門としての地位を独占的なものにしようと考えている。

 あなたの今回の目標は三つだ。
・【竜峰スズカと身体的接触をして、確実に賢者の石を保有しているかを確認する】(頭に手を乗せる、背中を軽くたたくなどでよい。保有の有無はその後GMから個別メッセージで知らされる)。
・【賢者の石を保有している竜峰スズカをゼノスのオーヴァード保護地域に保護する】。
・【UGNに潜むFHメンバーを殲滅する】だ。

 またあなたが疑念を持たれた時、もしくは竜峰スズカをゼノスの保護地域への誘導をする場合など、やむを得ず秘匿ハンドアウトを公開する場合、以下の偽のハンドアウトを代わりに公開できる。


“プランナー”都築京香の手作り偽ハンドアウト

▼  ▼  ▼  ▼
 あなたはかつてFHへ潜入していたUGNの捜査官だった。その事実を知っているUGNの支部局長は死去しており、あなたのかつての成果はもはや記録でしか残っていない。そのあなたの活動記録もFHとの【賢者の石】の合同研究(プロジェクト・アダムカドモン。上級p.78)というUGNの汚点である内容なので隠匿されている。
 その時、【賢者の石】の被験者であった【竜峰スズカ】の姿を見ていた。

 あなたはその潜入捜査の時にできた伝手でレネゲイトビーイングの組織“ゼノス”のリーダー “プランナー”都築京香と良好な関係を築けており、逃亡者を助けるためにゼノスのオーヴァード保護地域 “隠れ里”への道案内を行える“船頭”の地位を与えられている。

 【竜峰スズカ】がUGNの裏切り者に襲撃される未来を想定してあなたに“船頭”の地位を与えたのならば、“プランナー”の計画立案能力は流石なものだ。裏切り者が頻発するUGNよりもそこは圧倒的に安全だろう。

 あなたの今回の目標は【UGNに裏切り者がいることを確認】し【竜峰スズカをゼノスのオーヴァード保護地域“隠れ里”で保護】することだ。
▲  ▲  ▲  ▲

この偽ハンドアウトはいつ公表しても構わない。
 しかし、この偽ハンドアウトにはあなたがレネゲイトビーイングであり、レネゲイトビーイング専用エフェクトを記載せず取得してよいことが一切書かれていない点に注意すること。

 あなたの本来の秘匿ハンドアウトはエンディング導入時に公表できるものとする。

 あなたの指定ロイスは“プランナー”都築京香だ(キャラクターシートには【???】として記載すること)

 また、キャラシは表と裏二つを作成していただき、
 表はオンセンに提出
 裏はGMにのみ開示していただくようよろしくお願いします。






【GM向け情報】
 もとはPVPも可能なように設定したシナリオでしたが、PCが一人エネミー側に回ると難易度が尋常じゃないくらい跳ね上がったのでルール上撤廃しました。







【オープニング】

 “Another day of sun”   明日は明日の陽が昇る。
 あなたたちの過去は過ぎ去った。明日は小さな一歩を踏みだして、昨日より少しマシな過去が積み重なるだろう。

 あなたのこれまでの歩みは変わらない。あなたのこれから歩く道もきっと変わることはないだろう。
 きっと我々にできることは、小さな“正しさ”を求めることだけなのだから。

 太陽は今日もゆっくりと降りてゆく
 “Another day of sun”
 明日昇る太陽は、きっと今日とは違う太陽だ。





【シーン1】:遊園地からの帰り道(PC1)

  あなたは竜峰スズカと遊園地にデートに来ていた。
 一日フリーパスを購入し、メリーゴーラウンドに乗り、ゴーカートではしゃぎ、ホットドックを食べ、観覧車で二人して頬を赤らめた。
 時間は午後5時。一日フリーパスを存分に使い切って遊園地を満喫した、そろそろ帰宅する時間だ。
 冷たい秋風の流れる帰り道。竜峰スズカはあなたの方を向いて笑顔で語りかけた。


 竜峰スズカ : 「今日は本当にありがとうね[PC1]君! すっっっごく楽しかったよ!」

 竜峰スズカ : 「こんな幸せな日ってあるんだね~。レネゲイドウイルスに感染してからこんな普通に楽しめる日は二度とこないと思ってたから、私もうはしゃいじゃったよ!」

 竜峰スズカ : 「私、あなたに告白して本当に良かった! 私には戦う力がほとんどないからね、あなたがいてくれるおかげで安心して遊びにも出かけられるんだもの」

 竜峰スズカ : 「へへへ、なんだかナイトに守られているお姫様の気分! そのうち必ず、私もあなたに釣り合うような素敵なお姫様になって見せるからね!」

 竜峰スズカ : 「それじゃあまたね[PC1]君! ……また遊ぼうねっ!」
 (竜峰スズカシーンアウト)



 駆け戻り :  すると、帰っていったはずの竜峰スズカがなぜか駆け寄るようにあなたのもとに走ってくる。
 彼女はあなたから少し離れたところで立ち止まると、なぜか先ほどまでの幸せそうな笑顔を崩し、ひどく悲しく不安そうな顔になってあなたに向かって言った。



 竜峰スズカ(複製体)(実際はこの複製体の部分は表示しない。本体と分けるため空白を一文字分入力するなどして差別化しておこう) : 「絶対、絶対私のこと守ってあげてね! 私も、がんばるからね!」

 退場 :  竜峰スズカはそうあなたに向けて叫ぶと、すぐに踵を返して走り去った。
 その背中はまるで何かに怯えるかのようで、遊園地での楽しい思い出はすべて塗りつぶされてしまったかのような焦燥感が滲んでいた。
(竜峰スズカ(複製体)シーンアウト)





【シーン2】:???との密談 (マスターシーン)
 物静かで寒々しい屋内で、[???]は待っていた。
 エフェクトの効果によって封鎖された廃ビルの中だ。社会的空白地帯と化したその空間は、密談をするには最上級の空間となるだろう。
 そんな現実世界のダークウェブとも言える空間に、静かに悲し気な顔の竜峰スズカが入室した。

 竜峰スズカ (複製体): 「おまたせ。まだだれにも気づかれていないよ。……でも、もう長くはもたないと思う。まだ私の秘密には気付かれていないみたいだけれど、UGNは私を疑っている。……今日、遊園地で監視されてた。遠くの屋上からごっついカメラみたいな機械で、おそらく“私”をスキャンしてたんだと思う。運がいいことに隠しきれたみたいだけど、トリックにはすぐに気付かれる」

 ??? : 「――――――!」

 竜峰スズカ : 「うん、大丈夫。まだ深刻なことにはなってないと思う。でも、だれが味方になってくれるのかもわからないって感じ。もしかしたら[ケン]くんも敵に回っちゃうかも。もう、全部話してしまいたいくらいだけど……」

 ??? : 「――――!?」

 竜峰スズカ : 「大丈夫、わかってる。弱気なことを言ってごめん。もう逃げれる場所なんてないもんね。もし気付かれたら最後まで戦うしかない。……UGNと」

 そう竜峰スズカは語ると振り返り建物から出て行った。
 【???】はそんな竜峰スズカの背中を静かに見つめていた。





【シーン3】:UGN作戦会議室(PC2、PC3、PC4) :  シーンイン:[PC3][PC4]

 あなたたち二人(PC3、PC4)はUGNの作戦会議室へ呼び出された。
 二人は顔を合わせるのが初めてだが、互いにUGNでは名の知れたエージェントである。
 武闘派で知られるこの地区の支部局長が、わざわざ指名でよその敏腕のエージェント二人を派遣要請するという異常事態に緊張を隠し切れない。

 予定より早い時間のため会議室の中にいるのは[PC3]と[PC4]のみだ。
 あなたたちは少し早く自己紹介を始めた。

(PC3とPC4の自己紹介のロールを挟む。ロール終了後、支部局長が入室する)

  支部局長入室 :  突然、ノックもなしに会議室の扉が開いた。
「む、もう来ていたか。待たせてしまったようで申し訳ない」
 強面で初老の男性はそう表情も変えずに言う。

 常日頃から紛争地のキャンプような雰囲気で仕事をするこの男は、この地域の支部局長だ。その細められた目は床に転がる埃ですら警戒するかのように緊張感が途切れない。
 そんな目であなたたち二人を常に視界に入れながら、支部局長はゆっくりと奥の席に腰かけた。
「私がこの地区の支部局長。グレーゴル・J・ザムザだ。今回は――」
 その瞬間だった。支部局長の口上を遮り、閉まりかけた扉をはじくようにして[PC2]が乱入してきた。


(PC2:シーンイン)


 グレーゴル支部局長「ふむ、君はたしか、竜峰スズカくんと一緒に生活している……。なんとなく要件は察することができるが、どうしたのかね?」

 グレーゴル支部局長「いいだろう、本来ボディガードの任務に近親者を配置するのはご法度だが、君の実力は私も知っている。今回は特例として認めよう。それではブリーフィングを開始する」

 グレーゴル支部局長「今回依頼したいのは知っての通り【竜峰スズカ】という少女の護衛だ。無論、ただの護衛任務ではない。はっきり言おう、この支部局内に《裏切り者》がいる。敵にこちらの情報は筒抜け、対してこちらは敵の戦力はもちろん、どんな戦術を使ってくるかもわからない」

 グレーゴル支部局長「申し訳ないが私が用意できた事前情報はここまでだ。我々もFHへスパイを送り込んでいたのだが、すべてのスパイが発覚して皆殺しにされてしまった。彼らが私に対して送ってきた最後の情報が《UGNに裏切り者がいる》ことと、《竜峰スズカが【賢者の石】所有者であり、FHが彼女の誘拐計画を企てている》という二つだ」

 グレーゴル支部局長「だが不自然なことに、竜峰スズカはここの職員でもあるのだが【賢者の石】を所持していない。秘密裏に検査したが確実だ。つまりこれはFH側が流した偽装情報の可能性がある。……わかりやすく言えば竜峰スズカの護衛任務を通じて我々のエージェントを罠にはめるつもりなのだろう。それゆえに君たち二人を招集させてもらった。すでに我々は情報戦において完敗している、これ以上の情報は現地調達してくれ」

 グレーゴル「また、今回は竜峰スズカの護衛に[PC1]という人物を我々の方でも配備する予定だ。この地区のエージェントであり、竜峰スズカとも仲が良い。実力もコードネームを知れば問題ないと判断できるはずだ。この地区の地理と情報については彼から聞くといい。現在、少々離れた場所で休暇を取っていたようだから合流は遅れるだろう。しかし作戦に影響は少ないはずだ」

 グレーゴル「君たちの今回の任務は、罠があると理解したうえで実力をもって正面から罠を打ち破ることだ。……過剰戦力によるゴリ押しだとも。好きなだけ暴れてこい。これにてブリーフィングを終了する。」

 支部局長退室 :  そう言うと支部局長は会議室から退室していった。
 (グレーゴル支部局長シーンアウト)



 やるべきことは分かった。しかし、まさかの護衛対象との合流方法すら指示がない。護衛自体は勝手にやれということだろう。
 この点からこの支部局長はすでに竜峰スズカを重要な護衛対象ではないと判断を下していると感じられた。
 竜峰スズカは死んでも構わない職員、もしくは竜峰スズカ自体が《裏切り者》であることも考慮されているといってもよい。
 会議室のスクリーンには市内の地図が表示されており、竜峰スズカを示す点滅は中心部のカフェにいることを指し示している。
 互いに軽く交流し、【竜峰スズカ】と合流せよ。





【シーン4】:街中のカフェで顔合わせ(PC2、PC3、PC4) :  シーンイン:[PC2][PC3][PC4]

 あなたたちは合流地点であるカフェテリアに向かった。
 混雑時でなくとも市内で人気のカフェはやはり人気だった。
 
 あなたたち三人は運悪くテーブルを確保できず、飲み物と昼食を注文することはできるが護衛には不便なので落ち着くには場所を移す必要があるだろう。
 しかしどうやら合流するはずだった[PC1]は遅れてきている。
 あなたたちは[PC1]がいない状態で顔を合わせ、自己紹介や護衛計画、そしてこの後どこに場所を移動するかを考えなくてはならない。

 だがその前にカフェの店内から竜峰スズカが顔を出し、あなたたちの姿を見て驚いていた。



 竜峰スズカ : 「あれっ、お兄ちゃん!? どうしてこんなところにいるの? 今日は仕事の日じゃなかったっけ?」(ここに登場するのは本体の方である)

 竜峰スズカ:「うっわぁ~、なんかみんな聞いたことある有名なコードネームしてるんだけど。私の護衛なんかに大ごと過ぎない? 戦争でも起こす気?」(これが護衛であると伝えた場合)

  竜峰スズカ : 「うっわぁ~、なんかみんな聞いたことある有名なコードネームしてるんだけど。なんか大ごと過ぎない? 戦争でも起こす気?」(PCの自己紹介が終わった後)

 [PC4]に対して「え~、なんかこの人思ったより慣れ慣れし~。なんだかスケベそうな顔してるし、助けてお兄ちゃ~ん!」([PC4]が秘匿の【賢者の石の所有】を調べようと不自然に触れようとした場合)



 (ある程度自己紹介終了後)警察官登場 : あなた方がそうして話し合っていると、突然、警察官からナンパされた。

 警察官 : 「はーい、チミ達ちょっと不審(ヒマ)? ちょっとそこで職質していかない? あんま時間は取らせないからさ~」

 警察官 : 「いやいや、女の子を三人で囲んでナンパ? いやでも、その不審そうな荷物なに? 最近《狂信者》が【楽器ケース】に【ライフル】とか【ショットガン】とか持ち歩いているケースがおおくてさ~。ちょっと持ち物検査とかもしたいんだよね。あ、【フィリピン爆竹】とか持ち歩いていたら没収だからね?」

 警察官 : 「はいはい、警官さんに見つかった時点で逃げられないからね。逃げたら公務執行妨害に格上げだから。それにおじさんクリエイティブな捜査に定評があるんだよ? 逃げたら冤罪でっち上げて捜査線はっちゃうから覚悟してね? もう応援の警官隊いっぱい呼んじゃうから、後悔することになるよ!」

 警察官をうまくいなしてこの場を立ち去れ! : 妙にしつこい警察官だ。“お持ち帰り”されちゃう前に、何とかしてこの場を切り抜けろ!

(PC間で相談させて対処させる。この【警察官】はよほどのことがあってもPC達の職質をあきらめない。[ワーディング]なり物理的手段などで解決策をPCが実行しようとした時、話を進める)





  “聞き耳” :  あなたは突然、自分の経験からか直感が働いたことに気付いた。
 難易度:7 【知覚】で判定を行う。
 《聞き耳》に相当するイージーエフェクトを所持している場合、達成値に+3点する。



 (判定成功した場合)
  襲撃 : 【知覚】に成功したあなたは気付いた。

 周辺の裏路地から聞こえる軍用靴の足音。偽装トラックの中から聞こえる銃のコッキング音。そして店の屋上から小さな鏡でこちらの姿を覗いている存在。
 警察官は偽装だ。いや、この警察官を中心にワーディングを展開しようとしている。周囲はすでに囲まれつつあるが、まだ包囲から脱出することは可能だ。
 こんな人込みあふれた場所で銃撃戦などもってのほかである。せめて少しでも広い場所に移動する必要があるだろう。
 《即座に行動に移し、この場から移動しろ!》


 警察官 : 「おい、チミ達! ちょっと待っ……!」 

 警察官 : 「ああもうっ! これだからUGNの二つ名持ちを騙すのは嫌だったのに! プランBに変更、追撃戦に移行して!」@変身解除(警察官の立ち絵をエグザイルらしいものに変更する)

 (全員シーンアウト)





【シーン5】:呼び止められたPC1(PC1) :  シーンイン:[PC1]

 あなたは支部局長からの指令を受けて歩いてカフェに向かっていた。カフェまでそれほど時間のかからないはずだった。
 だが突然、カフェにいるはずの【竜峰スズカ】が裏通りから飛び出すように現れた。
 そして不思議なことに、小柄な彼女には不釣り合いな大型拳銃を片手に握っている。

 竜峰スズカ (複製体): 「[PC1]くん!? どうしてここに!? いや、今はそれどころじゃぁ……! またね!」

 走り去る竜峰スズカ :  竜峰スズカはそのまま違う裏通りに走り抜けていき姿を消した。あなたがギリギリで追いついた時にはマンホールの蓋が閉まる瞬間だった。

 その時だった。あなたの携帯端末から着信音が響く。

 グレーゴル・J・ザムザ : 着信:支部局長「緊急事態だ。護衛チームと【竜峰スズカ】が襲撃を受けている。お前のいる位置から近い街の中心部で迎撃する予定だ。急げば間に合う。大至急現場に急行してくれ」
 (この電話は襲撃を受けている他PCに行わせてもよい)



 [PC1]選択肢 :  あなたはすぐに行動に移せば謎の戦闘員トループとの戦闘参加に間に合うだろう。
 もしくは竜峰スズカを追いかけ、マンホールをのぞき込むくらいならば一ラウンド遅れる程度で済むはずだ。
 あなたはどちらかを選ばなければならない。
・《すぐに【竜峰スズカ】が襲われている現場に向かう》
・《マンホールに入っていった謎の【竜峰スズカ】を追う》

(上の選択肢を選んだ場合PC1はシーンアウトしてミドル戦闘へ。この場合、このシーンの竜峰スズカの会話はマスターシーンとしてPC1不在で行う。PC1との会話部分はカットして進行すること。下の選択肢はこのまま進行させる)





 地下道と竜峰スズカ :  あなたは竜峰スズカを追いかけてマンホールの蓋を開けた。
 そこはかつて防空壕であり、今は地下配電線の整備道、兼地下鉄建造時の物資運搬用通路である。広くて寒々しく人気のない地下道だ。
 あなたは視線を左右にさまよわせると、すぐに竜峰スズカが離れた場所に立っているのを見つけることができた。
 なにやら女性と会話している。
 あなたはその女性にどこか見覚えがあった。

 【情報:UGNで判定 難易度:5】



 情報判定:成功 :  あなたは竜峰スズカと会話している人物に見覚えがあった。
 彼女は悪名高いこの地区の前支部局長、
  “コンドーム付き”近藤睦月だ。
 (この名前は変更推奨。作者がダブルクロス初心者の頃に作ったPCキャラクターを再利用したキャラクターです)

 コンドーム支部局長の名称で知られる彼女は過激思想で知られており、町を火の海にしようとしたFHを討伐するために町を火の海にして、死んでしまった市民は【複製体】に置き換えて、町の半分を破壊した後はモルフェウスの砂でずさんな建築での修復を断行した。
 しかもそれは一度や二度ではない。FHが現れるたびに毎回だ。
 しかし愛用の“軍用ヘリ(上級p.66)”を乗りこなし、高い行動値から【ブレインハック】をばらまく彼女を止めることができる者は長らく支部にはいなかった。

 現在の支部局長 “ワン・マン・アーミー” グレーゴル・J・ザムザが彼女を蹴落とすことに成功するまでは。

 “軍用ヘリ”を没収されて戦闘力を大幅に落とした彼女はその後行方知れずとなったが、FH以上の危険人物として最近指名手配されたはずだった。
 そんなコンドーム支部局長が竜峰スズカと話し合っている。




 近藤睦月(コンドーム付き) : 「来てくれてありがとう。ここの地下道をすすめばUGNの真下よ。私はあの愛用の“戦闘ヘリ”を取り返せれば十分。持ってきてくれたんでしょう? UGN兵器庫のアクセスコード」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「あなたはあとUGNの自爆装置を起動して騒ぎを起こしてくれればお仕事終了。私は大空に飛び立ち、あなたはだれにも秘密をバラされない。お互いウィンウィンな関係になれるわ」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「あなたもUGNの端くれなら見ていなさい。ようやく私が、まだUGNに忠誠を誓っていると証明できる日が来たのだから。あの裏切り者の支部局長気取りを殺して役職を取り戻したら、そうね、まずは春日のラーメン屋をハチの巣にして、私が秘密裏に情報を集めてたFH関連施設も全部ナパームで消滅させて、あとは燃え盛る街を眺めながらダージリンでも……」




 空虚に響く銃声 :  竜峰スズカがコンドーム前支部局長の心臓を大型拳銃で打ち抜いた。
 前支部局長は派手に血しぶきをまき散らし、その場でへたり込むように膝をつく。

 近藤睦月(コンドーム付き) :「えっ…………?」@死

 近藤睦月(コンドーム付き) :「な、なぜ…………!?」

 (竜峰スズカがコンドームに(銃で)穴をあけるシーンとなるので、やっぱり名前変更推奨)



 竜峰スズカ : 「ごめんなさい。でもさすがにあなたを世に解き放つのは許されないと思ったから。わたしにはこうすることしか思いつかなかった。……でも死ぬ前に教えて、UGNはなぜ私を追うの!? 私の持っているものなんて、UGNにはたいして必要ないじゃない!?」

 近藤睦月(コンドーム付き) :「……もうロイスもないわね。年貢の納め時かしら。……もし秘密を知りたいなら急いだほうがいい。そうね、このカードキーをあげるわ。UGNのバックドアのパスコードよ。設計者も施工者も殺して【複製体】にしてるから私しか知らないマスターキー。これさえあればUGNの秘密も全部丸裸よ?」@笑顔

 竜峰スズカ : 「えっ!? なぜそんなものをわたしに?」

 近藤睦月(コンドーム付き) :「あなたは私の仕事を引き継がなくてはならない。私のやり残した仕事を、あなたが知ることになるから。……きちんと“あなた個人”が、その責任を背負わなくてはだめ。そっちでこそこそ覗き見ているあなたの彼氏さんの力を借りたりせずにね……。ぐふっ…………!?」

 竜峰スズカ : 「えっ!? [PC1]くん!? 追ってきてたの!?」@驚き



 驚く竜峰スズカ :  竜峰スズカはあなたの姿を見つけて驚いた。大型拳銃を胸元まで引き、わずかに後退る。

 竜峰スズカ : 「[PC1]くん……! ご、ごめん! 私は行かないといけない。大丈夫、何があっても私はあなたは裏切らないから! だからお願い! ついてこないで!」




 進退の選択 :  竜峰スズカは走ってその場を立ち去っていく。
 あなたは直感的にこの竜峰スズカは信じて任せてもいいと感じられた。戦闘は得意ではないはずの竜峰スズカだったが、今はまるで他UGNエージェントと背中合わせで共闘した時のような、信頼できる〈実力〉らしきものをわずかに感じられた。
 むろん感じられた〈実力〉もあなたほど高いものではない。あなたはそんな竜峰スズカのことをどう考え、竜峰スズカのためにどんな行動を移すか、決めなくてはならない。

・《「信じて任せてみよう」と考え、謎の集団に襲われている方の“竜峰スズカ”を助けに行く》
・《「どうにも信じきれない」と考え、走り去っていく“竜峰スズカ”を追いかける》





 (上の選択肢を選んだ場合)
 竜峰スズカ : 「……! ありがとう[PC1]君!」
 (竜峰スズカ(複製体)シーンアウト、PC1はミドル戦闘に一ターン遅れて参戦する)


 (下の選択肢を選んだ場合)
 正体不明の妨害: あなたは竜峰スズカの後を追いかけようとした。しかし、すぐにその後姿を見失ってしまった。
 周囲に不気味な笑い声が響く。どんな分かれ道を選ぼうとも必ず入り口のマンホールの戻ってきてしまうようだった。今から追いかけても竜峰スズカに追いつくのは不可能だろう。それどころか、この地下道を探索することも不可能なようだった。
 (この段階でミドル戦闘に向かった場合、これも一ターン遅れただけで済むことを伝えること。また、竜峰スズカは完全に見失い、追いかけることはできない。GMはこれ以上追いかけようとすることは非常にリスクの高いことをPCに伝える。なお、それでも無理に追いかけようとした場合、PC1は死んだふりをしていたコンドーム前支部局長と一対一のミドル戦闘となる)



 近藤睦月「まったく、余計なことをしないで。死んだふりが無駄になるじゃない! ……それじゃあ死んでもらうわね?」



 [エネミー]コンドーム前支部局長 HP:27 行動値:17 浸食率:100% 
 シンドローム:オルクス、ハヌマーン、エグザイル
 【肉体】2【感覚】4【精神】3【社会】3

 取得エフェクト【先手必勝】2【ブレインハック】1【空間歪曲射撃】2【要の陣形】2【未知なる陣形】1【コンセントレイト:オルクス】2

《マイナー》戦闘移動:22メートル

6dx7+4 《メジャー》【ブレインハック】【空間歪曲射撃】【コンセントレイト】 [ボルトアクションライフル] 攻撃力:8 ・ガード値-5 ・命中した場合[憎悪]付与(シーン1回)、対象:PC1 

[戦闘行動]最初のみマイナー移動で距離をとる。二ラウンド目以降はボルトアクションライフルの[マイナー消費で達成値+5]の効果を使用する。エンゲージされた場合、全力移動:44メートルで離脱する。PC1が近接型だった場合引き撃ちされるだけで無限に死’ねるので注意すること。PCが引き撃ちされることを察した場合、メジャー消費でこの戦闘から逃走できることを示唆してもよい(なお[憎悪]状態では逃走できない)。




 コンドーム前支部局長撃破: 「……っく! やっぱり私にはあの[戦闘ヘリ]が無いとっ! いいわ、ここは引いてあげる。でも……、いえ、やっぱり何も教えてあげない。うふふふ……」【蘇生復活・瞬間退場】



 トンネル爆破: コンドーム前支部局長が天井を撃つと事前に設置されていたであろう爆弾が爆発した。
 崩れるがれきがあなたの行く手を遮る。トンネルの天井は崩れ、追いかけることはできそうもない。その先に逃げたであろう竜峰スズカももう追いかけることは不可能だろう。
 あなたはこれ以上の探索をあきらめ、襲撃を受けている竜峰スズカの方へ向かうことにした。
(PC1シーンアウト)








[メイン] シーン6:ミドル戦闘 :  シーンイン:[PC2][PC3][PC4]

 あなたたちは町の広場でワーディングを展開した。場所は広大で暴れるには最適だった。
 少し遅れてワーディングに入り込んでくる戦闘員たちは距離をとってあなたたちに銃を構える

 しかし予定通りの作戦決行ができなかったためか、戦闘員たちの統率に目に見えて遅延が感じられた。
(【知覚】判定成功ボーナス:現在シーンに登場しているトループの行動値がすべて0になる)





《ミドル戦闘:開始》
 エンゲージは四つ。中央にPC用の大きなエンゲージ一つ、上、左下、右下に取り囲むようにエネミーのエンゲージを配置する。
 上のエンゲージに[偽警察官]。左下のエンゲージに[戦闘員トループ1、2]。右下のエンゲージに[戦闘員トループ3、4、5]を配置する。

 ・(PCに先制高火力シーン攻撃アタッカーがいた場合[スピードスターサイレン型など])上のエンゲージに[戦闘員トループ1]を移動させる。シーン攻撃が飛んできた場合、メジャー消費で[偽警察官]をカバーリングさせる。
 ・(シーン攻撃PCが二人以上いた場合)エンゲージ配置はそのままで、[偽警察官]が【守護者の巨壁】を使用するようになる





 [エネミー]偽警察官 HP:49(PCたちの性能が高い場合、HP69) 行動値:5 浸食率:100% 
 シンドローム:エグザイル
 【肉体】4【感覚】2【精神】1【社会】2

 取得エフェクト【異形の刻印】4(もしくは8)【細胞浸食】3【異形の祭典】2【自動触手】4【がらんどうの肉体】1【崩れずの群れ】1【命のカーテン】5【守護者の巨壁】1(ミドル戦闘ではトループに対してカバーリングを使用しない)

《マイナー》行動しない

4dx+4 《メジャー》【細胞浸食】【異形の祭典】対象:四体 命中した場合、【重圧】【邪毒(ランク:4)】付与 起点エフェクトがないのでダメージなし

《リアクション》ガード:【自動触手】【がらんどうの肉体】装甲値:5 ガード値:4 ダメージ軽減:-4D点(一ラウンド一回)
【自動触手】ダメージ15点

(敗北時) 偽警察官 : 「こんなところで死んでなんていられない!? 私は撤収させてもらうからね!」【瞬間退場】(なおこの偽警察官は変身解除後に女性の立ち絵を使用していたため、警察官変装時とは大きく口調が変わっている)




 [エネミー]戦闘員トループ HP:19 行動値:11(知覚判定に成功していた場合、0に変更する) 浸食率:55% 
 シンドローム:エンジェルハイロゥ、モルフェウス
 【肉体】1【感覚】5【精神】1【社会】1
(解説: サブマシンガンを所持した戦闘兵トループ。所属不明の特殊部隊。【複製体】を利用した雑兵のようで、発声機能すらついておらず死’ねば溶解して死体も残らない)

 取得エフェクト【小さな塵】2【コンセントレイト:エンジェルハイロゥ】2
 使用武器:サブマシンガン 攻撃力:6 射程:20メートル 同エンゲージ攻撃不可

 《マイナー》戦闘移動16メートル(もしくは5メートル)移動はPCがサブマシンガンの射程外に逃げた時のみ行う。

5dx8 《メジャー》【小さな塵】【コンセントレイト:エンジェルハイロゥ】攻撃力:10 射程:20、メートル

《リアクション》:ガード 装甲値5 ガード値2 (回避の場合【イベイジョン】達成値6)



 ・(PC1が一ラウンド遅れる選択をした場合)一ラウンド目のクリンナッププロセスでPC1が登場する。開始時は自由なエンゲージからスタートさせて良い。

 ・また、同じく一ラウンド目にのクリンナップ時に、右下のエンゲージに追加で[エネミー]戦闘員トループを三体追加する。これはEロイス[さらなる絶望]三つ分として扱う。

 ・さらに二ラウンド目のクリンナップ時に、今度は左下のエンゲージに追加で[エネミー]戦闘員トループを三体追加する。これはEロイス[さらなる絶望]三つ分として扱う。

 ・二ラウンド目開始時(もしくは状況を見て三ラウンド目に)、この戦闘の特殊ルールとして、上、左下、右下のエンゲージのいずれかにエネミーが存在しない場合、メジャー消費で逃走できる。という説明を行うこと。(必要と感じたら、エネミー全員撃破ボーナスがあることを伝えてもよい)






[メイン] シーン7:ミドル戦闘終了 :  シーンイン:[PC1][PC2][PC3][PC4]

 あなたたちは謎の戦闘兵集団を蹴散らした。その数は10や20ではきかないだろう。
 しかしその敵は時間を追うごとに数も質も増してきている。その勢いが止む様子はまるでなく、むしろこれからが本番だと言わんばかりに湧いてきている。

 まともに付き合っていられないと逃走を始めたあなたたちのもとに、支部局長からの着信があった。



 グレーゴル・J・ザムザ : 着信:支部局長「今すぐ支部まで帰還してこい。敵の戦力が想定以上だ。今回の件は防衛設備の整った支部局内で対処することにする。帰還ルートの構築は各自の判断に任せる。……それと帰還するまでの間、報告書の文面は考えてきておくように」

 (PC1がミドル戦闘に参加していなかった場合、この段階で合流させること)


  UGN二階西側通路 :  あなたたちはUGNの支部局内まで特に問題なく帰還できた。所詮相手は有象無象の戦闘員である、多少の障害など戦闘慣れしたあなたたちの前ではハリボテにも等しい。

 あなたたちはUGNの施設に駆け込み、エントランスをぬけて見通しのいい二階に上がると、外にはグレーゴル支部局長とこの支部所属のエージェントの姿を見つけた。


 グレーゴル・J・ザムザ : 「到着したか……。ここは一時的に封鎖するから施設の中に入れ。あとは私が対処する」

 グレーゴル・J・ザムザ : 【火の檻】 現在のエンゲージを炎で囲み《封鎖》状態とする

 “パーティースターター” : 【虚空の陥穽】【アニマルテイマー】【棘の戒め】【拡散する世界】 ・シーン全体の敵エネミーを自分のいるエンゲージに移動させる。
 
 グレーゴル・J・ザムザ : 【災厄の炎】【結合粉砕】【氷炎の乱舞】【コンセントレイト】相手は死ぬ





 戦闘終了 :  支部局長の作り出した炎に戦闘員が面白いように吸い込まれていく。
 シーン内に登場したエネミーは一人残さず燃やし尽くされた。追加の増援はもうなくなったようだ。
 支部局長は支部を封鎖していた【火の檻】を解除して、あなたたちの元までゆっくりと歩いてくる。




 グレーゴル・J・ザムザ : 「さて、護衛任務ご苦労だった。あの軍勢の情報はこちらで分析する。……一つ確認したいのだが、竜峰スズカくん、きみは本当に【賢者の石】を所持していないのか?」

 竜峰スズカ : 「あ、はい! なんでこんな事態になっているのか私もさっぱいで……」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「わかった。しかし【賢者の石】を所持していないのならあの集団の目的が謎だな。君たちには護衛任務と並行して、【賢者の石】の所在の調査を命じる。……今日はこの施設内に宿泊するといい。ここならば防衛に困ることはないだろう。調べ物も地下図書館の利用を許可する」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「もしまた敵が襲ってきたとしても先ほど見せた戦術で今一度撃退する予定だ。ここの所属に【帰還の声】を習得しているエージェントがいるからな。また襲撃があったとしても、私がひとまとめに燃やしてやろう」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「宿泊するときはエントランスのソファーの利用するといい。宿泊期間は最長三泊四日とし、その期間内での問題解決を図るように。その期間内で解決できなければわたしの支部の方で反攻作戦を立案し、実行するものとする。各自、事務職員からブランケットを受け取ることを忘れるな。以上だ」




 UGNエントランス :  あなたたちは安全を確保できてひとまずエントランスに降りる。
 するとすでに三人掛けのソファーベットが人数分設置されており、事務員さんがブランケットをたたんで整えているところだった。

 あなたたちはエントランスに集まり、今後について話し合う。



 (ある程度PC達の相談が終わったと判断した時)
 駆け寄るUGN支部構成員 :  あなたたちがそんな話をしていると、先ほど外で支部局長と共に戦っていたエージェントが大きなトランクを持って駆け寄ってきた。

 “パーティースターター” : 「こんにちはー! それじゃあこれ、支部局長から! 医療用トランクだよ! あ、支部局長からっていうのは内緒ね! 本当はエージェントに物資渡すのは暗黙の了解で禁止なんだけど、あの支部局長ああ見えて面倒見いいから、怪我している部下を見てられないんだって! それじゃあ気を付けてね!」

 アイテム取得:医療トランク :  あなたたちは医療トランク(基本2、p,193)を取得した。《対象一名、シーン一回、2D10点回復、複数回使用可能》




 (さらにミドル戦闘でエネミーを全員撃破していた場合)
 “パーティースターター”:「あっと! 忘れてた! 支部局長からもう一つ言われていたんだった! 『今回の戦闘は見事だった。成果報酬として武器庫から一人一つ備品を持ち出していい』だってさ! うらやまし~!」

 《ミドル戦闘全員撃破ボーナス》:以下のアイテムから一人一つまで選択して取得する。
・両手剣:攻撃力10点 命中-3 ガード値+3 この武器を装備している間、他の武器は装備できない。
・アサルトライフル:攻撃力9点 命中-1 射程100メートル 同エンゲージ攻撃不可
・インターセプトアーマー:装甲値5点 行動-1
・応急手当キット:使い捨て。HPを2d10点回復する




(回復処理が終わった場合、情報収集のため図書館に移動する。また、購入判定を行っていない場合などは、一人三回分までの購入判定をこの場でまとめて行ってもよい。これはシナリオ中の購入判定をすべてまとめて行うことで時間短縮を目的としたものである)

 UGN地下図書館 :  ここはUGN地下図書館。正式名称は資料室、別名では禁書庫とも呼ばれている。
 UGNの組織内において閲覧禁止となっている資料も置かれている施設なので、【賢者の石】に関係している情報も見つかるだろう。

 情報:UGNクーデター : 技能《UGN》 難易度:8

 情報:支部局長 : 技能《UGN》《噂話》 難易度:8

 情報:プロジェクト・アダムカドモン :  技能《裏社会》《UGN》 難易度:10

 情報:竜峰スズカ :  技能《噂話》《ウェブ》 難易度:12(なお、必要に応じてこの情報収集などはPC2の秘匿ハンドアウト効果[初回のみイージーエフェクトによる演出の自動成功]を利用して妨害可能であると伝えてもよい)



  情報:プロジェクト・アダムカドモン:現在では考えられない、UGNとFHによるレネゲイトウィルスの共同研究である。その内容は非’人道的な人体実験も含まれており、その全容を知るものは少ない。最後は実験体の暴走により研究所は消滅している。その実験には【賢者の石】も含まれていたが、当然行方不明となっており詳細は分からない。しかし【賢者の石】保有者の逃亡には“協力者”がいたことが確実視されている。【賢者の石】保有者は、皆いずれも意識を持たないよう常時睡眠薬物を投与されていたのだから。



 情報:竜峰スズカ:UGNの一般構成員であり、オーヴァードであるものの戦闘に耐えうるエフェクトを所持していないため通常職員として活動している。その日常はオーヴァードとしても平和で一般的なものであるが、少々気になる噂も流れている。曰く“怖がりなわりに一人で夜中に歩いている姿を見たことがある”とか“テレポートしてるんじゃないかってくらい行動範囲が広い”といった内容だ。だがその中でも特に気になる噂がある。“竜峰スズカのドッペルゲンガーを見たことがある”という噂だ。



 情報:UGNクーデター:UGNの権威の失墜に拍車をかけた事件。十年以上かけて信頼を築き上げたUGN幹部“ロード・オブ・アビス”長瀬明が引き起こしたクーデター。薬王寺結希率いるエージェントによって鎮圧されたが、UGN内部に潜む大量の工作員の存在が明るみになり各支部の統率が緩んだ。その事件で発覚しなかった工作員もまだ多数いることが予想されるため、組織には疑心暗鬼が蔓延する結果となった。なお、現在いるこの支部はクーデター時、場所が遠いこともあってか裏切り者を一人も出していない。



 情報:支部局長:現在の支部局長、“ワン・マン・アーミー”グレーゴル・J・ザムザはかなり部下からの信頼が厚い。前支部局長“コンドーム付き”近藤睦月があまりにも外道であったこともあるが、現在は職員の待遇が大幅に向上し、死亡率が大幅に下落していることが要因に挙げられる。しかし厳格な秘密主義者でもあり、信頼のおけるエージェントにしか作戦の全容を教えないという警戒心の高さが指摘されているようだ。どうやら噂ではUGNの裏切り者を一斉に摘発しようと大規模な計画を練っているらしい。



 (全員が一回ずつ情報判定を行うことをトリガーとし、さらに以下の情報[対決]判定を提示する)

 情報:PC1:技能《噂話》《UGN》
 情報:PC2:技能《噂話》《裏社会》
 情報:PC3:技能《噂話》《UGN》
 情報:PC4:技能《噂話》《ウェブ》

 (これはPC間での達成値を競う[対決]による判定となる。PCが誰かのPCを指定し、指名された防衛側となったPCが行う情報判定の達成値を難易度とし、対決に成功した場合、そのPCの以下の情報を開示する)
 (この時、それぞれ別の技能を選択してもよい)
 (また、この時エフェクトを利用した場合、浸食率は上昇せず、使用回数に数えないものとする)
 (この情報収集のために登場判定は必要ない。また、抜けていない上記の通常の情報判定が残っていた場合、対決による情報判定のPCを選ばず、通常の情報収集判定をもう一度行ってもよい)


 情報:PC1 : 彼に関しての情報を調べていくと、彼の活動記録の動画映像が発見することができた。それはファイル名こそ[PC1]のものだが、映っているオーヴァードはとても同一人物とは思えないほど凄惨なものだ。その戦闘映像で映っている相手はいずれもUGNのエージェントである。そんなUGNのエージェントを彼は何人も殺していた。……そしてまだ作成途中のファイル名には【竜峰スズカ】の名前がある。彼の作戦の次の標的は【竜峰スズカ】のようだ。……これ以上の情報はファイルに記載されていない。


 情報:PC2 :  調べれば調べるほど、彼についての情報が不審なほどに偽装されていることにあなたは気が付けた。少なくとも[デジタル]的なアプローチでは一切の過去を暴くことはできないだろう。政府の社会保障データベースからダークウェブのブラックアーカイブ、UGNのシークレットデータにいたるまですべてが抹消から改竄が施されていた。その情報隠ぺいの入念さは過剰なほどといえる。最終的にあなたたちが得た唯一の情報は、彼の過去について正確にデータベースで調べたい場合は、【霧谷雄吾】級の権限が必要である、ということだけだった。



 情報:PC3 :  彼についてい調べていくと、彼がUGN内で比較的嫌われていることがわかる。隠れて他人の情報を探ることが多く、場合によってはプライベートの情報も収集することもあるらしい。キャリアが長く上層部とのパイプも太いので表立って批判するものはいないが、彼を嫌うものは目に見えて存在していた。しかし中には彼を正義の味方であると考える層もいる。行動に極秘が多いが、ゆえに彼を嫌うのは後ろ暗い秘密を持つものばかりだ。霧谷雄吾からの信頼が厚いことも含めて、真面目な職員にとっては嫌いな上司を追い払う虫よけ的な扱いをされているらしい。



 情報:PC4:  UGN内で最近頭角を現してきたエージェントであり、任務に好き嫌いなく請け負ってくれていることから上層部からの評価も高い。不審な点が不審なほど見当たらない優等生だ。極秘任務も請け負うことも多いため過去が調べにくいが、可能な範囲で調べた限りでは違和感のある行動はとっていない。しかし一つだけ気になる彼に対する人物評価が見つかった。「時々あいつは信じられないくらい深い情報を知っている。こないだはFHのマイナーなメンバーの名前もシンドロームもすべて知っていた。前線に出るより情報屋を始めた方が儲かるんじゃないか?」











[情報] 着信 :  あなたたちの調べ物の最中、[PC2]の携帯端末に着信があった。
 [PC2]はその着信を確認すると電話を取るために席を立って離れた。
(全員シーンアウト)
(大体ここらへんで二時間半くらいの時間経過が目安)








  邂逅 :  数分後、UGN地下駐車場。
 薄暗く肌寒い空気が沈殿する広大な空間で、周囲をきょろきょろと確認しながら【竜峰スズカ】が迷った子犬のようにうろついている。
 すると【???】が柱の陰から現れ、【竜峰スズカ】に声をかけた。
(ここに登場する竜峰スズカは[複製体]の方である)

 竜峰スズカ (複製体): 「あっ! よかった、合流できた……。ここの地下やばかったよ! あっちもこっちも爆薬だらけ! 古いのから新しいのまでまちまちだったけど、迷路みたいな空間に一定間隔でつながってて……」

 ??? : 「――――!?」

 竜峰スズカ(複製体) : 「うん、ごめんなさい。でも私たちの秘密をバラそうっていう前支部局長は倒したから、もう襲撃はなくなると思う。それに、その人からここの地下の極秘施設のマスターキーをもらったんだ。調べてみたらここの地下がものすごい広い迷宮でね、食糧庫も武器庫も一つや二つじゃなかった。この地下迷宮に隠れれば、きっとずぅっと隠れて生活していられるんじゃないかな? ……どうかな、わたしと一緒に、ここで暮らさない?」

 竜峰スズカ(複製体) : 「……あれ? そのもらったカードキーが、なんだか熱くなっ……。あっつぅぅっ!?」

 カードキーの罠:エフェクト効果消失 :  前支部局長からもらったカードキーが勢いよく破裂した。
 ジャミング効果のあるレネゲイトウィルスの波動が地下空間いっぱいに広がり、隠し扉を含めたロック設備をすべて破壊していく。

 そしてその拡散したジャミング・ウィルスはこの空間を隔離していたエフェクトの効果すらもすべて打ち消してしまった。




 【全PC、このシーンに乱入可能】(ただし【???】の正体である[PC2]は強制登場)



 竜峰スズカ(複製体) : 「う、うそ!? [PC1]くん!? あ、や、やば……、え、えっと、わたしそこの竜峰スズカさんの、えっと、叔母です!」

 竜峰スズカ : 「いや! その言い訳無理があるから! さすがにもう言い訳はきかないよね。うすうす気づかれてたみたいだし、もう全部話しちゃう? お兄ちゃん?」



(【???】の正体が[PC2]であったことを明かすようにPC2のプレイヤーに促す。また、この段階でPC2の秘匿ハンドアウトの公開条件である[二人の竜峰スズカの存在に気付かれる]ことが達成されたことをさりげなく示唆すること。またPC2の秘匿が公開されたことにより、PC1の秘匿公開条件である[竜峰スズカを殺’す必要がなくなった時]が達成されたこともそれとなく促すこと(具体的に明言しなくともよい。PC2の秘匿が公開された時点でこれで竜峰スズカがFHのスパイである疑念が晴れました。と伝えれば自然とPC1も公開しようとなる。公開しようとしない場合はクライマックスの土壇場まで演出を引っ張りたい可能性があるので尊重すること。ただし秘匿公開するタイミングを逃して焦って公開する可能性もあることは伝えてもよい)。あとはPC1が秘匿公開した段階でPC3も秘匿公開することとなり、PC2の秘匿にPC4に対する疑惑的な情報があることからPC4も“プランナーの手作り偽ハンドアウト”を公開する流れとなる)




(おそらくこの段階で確実にPC4は竜峰スズカ(複製体)に握手なり肩パンなりしてくると思われるので、竜峰スズカ(複製体)は【賢者の石】を所有していることを伝えること)
(これ以降、二人の竜峰スズカを竜峰スズカ(本体)と竜峰スズカ(複製体)と名前を分けて差別化させること)


 竜峰スズカ(複製体) : 「うっわ、嘘だよね。あのカードキーのジャミングすごいやばいやつだ。核爆弾のEMP攻撃を疑似的に再現したやつだよ。多分いまごろ地上では、パソコンも車も全部止まって、飛行機とかも墜落してると思う。マスターキーっていうのは納得だけど、やっぱりあの前支部局長あたまおかしい」

 竜峰スズカ(本体) : 「幸い今の支部局長はまともだから今頃街中の救助と修復に奔走してると思う。なんだか最近、いろんなところの有能そうなエージェントを調べてリスト作ってたみたいだし、こういう時にすぐ呼べるよう連絡先も調べてた。ってゆーか手伝わされた。なんか毎日交代してるはずなのにフーちゃんより私の方が雑用任される確率高い気がするんだけどー?」

 竜峰スズカ(複製体) : 「それはお姉ちゃんの気のせいだから。そんなことより、今のうち地下を調べなくちゃ。たぶん今は地上はわちゃわちゃしてて誰もこっちに来ないと思うし」




 バグったパスロック :  秘密の地下通路へのパスコード入力機器が先ほどのカードキーの爆発で破壊され、入力不要で扉のロックが解除されている。
 ほぼすべてのロック装置は破壊されているだろう。それはどんな地下深くでも関係ない、ここから先はデジタルという文明はないものとして考えてよいはずだ。



 UGN隠し通路 :  隠し扉を抜けて薄暗い階段を降りると、そこは地下トンネルに通じていた。
 UGNの地下に施設があること自体はどこもおかしいことではないが、この空間はUGNの歴史よりも古い地下道だ。UGNの歴史と共に増改築を繰り返し、その秘匿情報は受け継がれることなく、支部局長が死んで変わるたびに謎の空間扱いされる場所。まさに迷宮だ。



 竜峰スズカ(複製体) : 「この地下施設、極秘扱いされてて書類が残らないから、支部局長が入れ替わるたびに探索とマッピングが必要なんだって。グレーゴル支部局長もここにエージェントを送ってたらしいよ。歴代支部局長の遺産で隠し財産とか秘密武器庫が見つかることがあれば、失敗した生物兵器とか、自我のなくなった【ブラックドック】が転がってたりして、リアルダンジョンって感じのかなりの危険地帯なんだって。だけど、絶対に何かがここにある。少なくとも、お姉ちゃんたちを襲った【戦闘員トループ】は、ここから湧いて出てたみたいだから」



 人体培養プラント施設 :  さらに奥に進むと冷凍庫のように寒々しい施設があった。そこは人体を繁殖させる実験プラントだ。しかし設備は最新鋭とは言い難く、出来上がる人体も粗製乱造といったところだろう。
 しかし、それでも最近使用された形跡があった。

 竜峰スズカ(本体) : 「ビンゴ! 私達を襲ってきたあの戦闘員はここで作られたみたいだね!」

 竜峰スズカ(複製体) : 「これ、多分コンドーム前支部局長が作った設備だね。なにかとあの人【複製体】を利用したディストピアを作ろうとしてたから。……でも、最近作った形跡があるけど、どうやって作業員とか原料とか集めたんだろう? あの人指名手配されててこの設備を動かせるリソースなんて用意できるはずないし。しかもグレーゴル支部局長もここには探索に来てたはずなんだけどな……?」

(ここを探索したいとなった場合、この設備は破壊であることを伝えること(判定は必要ない)。破壊しても特にその後の展開は変わることはないが、そこは伝えなくともよい)




(さらに奥に進む)
 地下兵器保管庫 :  地下深くなり、空気は冷たく重々しく変わってくる。

 緊急脱出用の戦闘機が狭い地下道に押し込められ、整備用の工具がいくつか地面に転がっていた。
 地下兵器庫の壁には[No.11]と書かれており、他にも同様の兵器庫があると思われるがどうも道中には見つけられなかった。
 また兵器庫とは名ばかりで武器や火薬の類はすべて持ち出されているようだった。

 壁に掛けられた古い作戦計画書を見る限り、戦闘機の正面にある重厚なゲートを開けば地上までの近道になるようだが、どうやら緊急時専用のようでUGNの駐車場を下から爆破して滑走路を開通させる使い捨て仕様のようだ。

 その設備は古く埃が積もっていたが、その埃を潰すかのような無数の足跡が道しるべを描いて奥へと続いていた。

(探索したいとなった場合、奥にコンドーム前支部局長が愛用していた“戦闘ヘリ”があることを伝えること。この“戦闘ヘリ”はユニークアイテムであるため所有者であるコンドーム前支部局長しか使用できず、武装である“チェーンガン”も取り外せない。破壊したいとなった場合はDロイス【神格】など専用の効果を使用しなければならないことを伝えること。なお、マジで【神格】を持ってこられる可能性は想定していない)





 (さらに奥に進む)
 地下作戦司令室 :  さらに奥まで進むと半開きになった重厚な鉄扉の向こうに作戦司令室のような場所があった。
 かなり古めかしい設備でコンピューターは磁気テープ式だ。性能はスーパーファミコンレベルだが、アポロ11号のコンピューターも初代ファミコン程度だったことを考えれば過去の時代の最新鋭設備だったのだろう。
 しかし不思議なことに、そんな古い設備に埃一つ積もっていない。まるで誰かが最近になって整備し直したかのようだった。基礎的な仕組みに真空管が使用されていたため、カードキーのEMP爆風による故障を免れていた。コンソール自体は問題なく稼働している。

 竜峰スズカ(本体) : 「ここきれいだね? 最近来た形跡があるみたいだけど、もしかしてグレーゴル支部局長? コンドーム支部局長なら掃除なんてしないし。でも、こんなとこ整備して何の役に立つんだろう?」

 (PC達がここを調べたいとなった場合、このコンピューターはこの支部の自爆装置を管理するものであることを伝える。また破壊やプログラム改変をしたいとなった場合、シンプル過ぎる構造故に別に破壊しても自爆装置本体を直接いじることで自爆可能であることも伝えること。もし必要とあれば通電を切ったりプログラムに少し触れただけでも起爆する感度3000倍の敏感自爆装置であることも伝えてもよい)




 巨大自爆装置 : シーンイン:[PC1][PC2][PC3][PC4]

 奥の扉を開くと体育館のような広い空間があった。目の痛くなるようなぼやけた緑色の光が広がり、どことなく有毒な雰囲気を感じさせる。
 ここは緊急事態用の自爆装置を安置する場所。それもこの真上のUGNの支部をすべて吹き飛ばせるような、家庭用の自爆装置の一万倍は威力のある代物が整備されていた。
 ここが地下の最奥にある空間である。見慣れない機材も多く運ばれており、もし調べるとしたらこの場所に何かあるのだと直感的に感じられた。
 複雑な仕組みではないのでコンソール自体は一つしかない。だれがここを調べようか?

 (PCたちが調べたくないとなった場合、硬い自爆装置の上蓋を取るにはそれ以外方法がないと伝えること。それとなく【社会】が一番高い人、とつぶやくと自然とPCの【社会】の高いやつが犠牲になってくれる)


 (装置に触れる)
 自爆装置起動 :  けたたましいアナウンスが鳴り響く。
「自爆装置が起動しました。爆発まであと5……4……3……2……1……」

 (五秒以内にやりたいことが無いかを聞いてもよい)



 嘘でした : 「ただいまのアナウンスはジョークです。コンドーム支部局長のプログラミングにより、この部屋に初めて入場した職員には必ず先ほどのアナウンスを流す規定となっております。 なお、この命令は解除できません」

 竜峰スズカ(複製体) : 「死んじゃえ! コンドーム! ……いや、私が撃ち殺したんだったっけ」



 探索結果 :  一時間ほど探索した結果。ここら辺に置かれている見たこともない機材は、すべて爆発の威力をあげるためのものだったことがわかった。
 単純に火薬を増やしているわけではない。レネゲイトウイルスを利用した破壊力増強、つまりは【解放の雷】を放てるブラックドックの心臓や、【狂戦士】薬液を生成できるソラリスの内蔵が自爆装置につながれている。
 マッドサイエンティストが芸術と呼びたくなるほどの魔改造が、この古めかしい自爆装置には施されていた。





 ラストバトル :  あなたたちが自爆装置の魔改造について調べていると、背後の出入り口が閉じられた。
 そこに立っていたのはグレーゴル支部局長だ。彼は苦々しい様子で君たちを見つめている。


 グレーゴル・J・ザムザ : 「お前たちがここにまできてしまうとは想定外だ。だが、悪いことばかりではなかったようだな。やはり【賢者の石】はお前が持っていたのだな、竜峰スズカ。ご苦労。その【賢者の石】さえあればついにこの【弐式自爆装置】が完成する」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「ここの起爆するジョークのアナウンスは上の施設でも館内放送で流れるようにしてある。優秀なお前たちは泳がせておけば【賢者の石】を見つけてくれると思っていたからな。あとはどう【賢者の石】を奪うかだったが、みずから袋小路に迷い込むとは優秀過ぎるのも考え物だ。こうなったからにはお前たちが取れる選択肢は二つ。私の思想に同調するか、この場で死ぬかだ。……最も、【賢者の石】の持ち主はどうあがいても死ぬがな」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「ここについて教えてやろう。この古めかしい自爆装置は特別な代物だ。かつて《セカンド》と呼ばれていた時代に製造された《C値の下限値が1》だった頃の遺物だ」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「あと【賢者の石】さえ手に入れれば、この【弐式自爆装置】のC値は1となり、その破壊力は無限大に。未来永劫消えることのない火柱が宇宙を突き抜けて伸びることになる。その爆発に巻き込まれて生き延びられるオーヴァードは存在しないだろう。……あの霧谷雄吾だろうとな」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「だが今回の標的はUGNの優秀なエージェントだ。UGNはすでにガタガタだ。その土台を支えるエージェントを消し去れば、頭も腰も重いUGNという組織は自然と衰退する。逆に土台さえあればUGNは頭をすり替えただけで何度でもよみがえるのだ」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「もう私の正体は想像がつくだろう? かつてのUGNクーデターで死に損なったFHのメンバー……。いや、セルごと消滅しているから私には帰る場所もない、ただの裏切り者の思想犯だ。……このまま支部局長としてUGNに帰属しようとも考えたこともあったが、淡い希望だったよ。腐り過ぎているんだ、すべてがな」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「貴様たちもわかっているはずだ! 隠ぺいのためにすり替えられ続ける市民たちの記憶! UGNチルドレン育成施設では戦闘を前提とした訓練と思想教育が施され、守ることを断念した大人たちがふんぞり返っている組織構造を! そのくせエージェントの自衛の為の武器すら携帯させず、そのかわりの潤沢な予算で【メイド服】なんぞ開発する組織があっていいのか……! ……俺は認めん! こんなクソ組織が、世界を守るガーディアンを名乗ることを!」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「お前たちに汚い世界は残せない。この自爆装置にあと必要なのは【賢者の石】ともう一つ、【生きた自爆する意思のあるオーヴァード】、……私がこの自爆装置の最後のパーツだ。私は今のUGNの土台を支えるエージェントたちを巻き込んで自爆する。UGNが組織として体裁を保てなくなった後、FHなり、新たな組織を立ち上げるなりして自由に生きてほしい。すでに【コードウェル博士】にこの計画は伝えてあるし、FHに身を寄せなくともここの地下には【歴代支部局長の遺産】として潤沢な資金と武器が隠されている」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「竜峰スズカを……、いや、【賢者の石】をこちらへ渡せ。つらい汚れ仕事をするのは、今日この日の私が最後となる」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「そうか、それは残念だ……。いいだろう、ならば見せてやろう! 敵を殺し、味方を殺し、どんな戦場でもたった一人生き残ってきた“ワン・マン・アーミー”の実力を!」


(さらに三体のエネミーを登場させる)
 “パワー・オブ・ラブ” : 「最後を飾るパーティにはわたしも混ぜてもらうよグレーゴル! UGNにキレてるのはあんただけじゃないんだからさ!」

 “グッド・ネイバー” : 「はぁ~。やっぱり最後は戦闘か。たまには私の変装の技能だけで終わる任務があってもいいと思うんだよね~」(このキャラクターはミドル戦闘に登場した“偽警察官”である)

 “パーティースターター” : 「ははは、こうして戦うことになるなんていやだね~! UGNのみんなは好きだよ。でもね、どうしても許せないことはやっぱりあるんだよ。〈この世界はやっぱりクソ!〉もうほんと、この一言に尽きるね!」

 グレーゴル・J・ザムザ : 「……お前たち、来るなと命じたはずだが……。いいだろう、私の戦いに遅れずついてこい! いくぞ!」グレーゴル支部局長がそう叫ぶと周囲の高台からこの地区のエージェントがエンゲージ入りした。



 クライマックス戦闘 :  衝動判定 難易度:8(【意思】で判定。失敗時《暴走》デバフ付与)  
 浸食率増加+2d10

 現れたエージェントたちは完全にグレーゴル支部局長の思想の同調者のようだ。あなたたちに油断のない攻撃の意思を見せている。

 もはや戦いは避けられない。戦闘開始だ。



(特に竜峰スズカ(本体)との雰囲気が険悪でなかった場合の追加イベント)
 竜峰スズカ(本体) : 「[ケン]くん、わたしも、わたしも戦うよ! 守られるばかりじゃない! わたしは、あなたの隣に立ちたいから!」《竜峰スズカノーダメージボーナス》【死神の書】(上級p.69)(このシーン中、グレーゴル支部局長が受けるダメージ+10点)



(さらに竜峰スズカ(複製体)との雰囲気が険悪ではなかった場合の追加イベント)
 “グッド・ネイバー” : 「いくらあなたたちが強くても勝ち目はないからね。私たちは“歴代支部局長の遺産”を得て強化されているんだから! スクランブル・プラパレーション “パワーアシストアーマー”! これ、一度でいいから着てみたかったんだよね!」

 竜峰スズカ(複製体) : 「……見えた! 隙あり!」《竜峰スズカ(複製体)【信用】選択肢ボーナス》【崩壊の一点】【プレディクション】(“パワーアシストアーマー”破壊、必中、装着前のためダメージなし)

 “グッド・ネイバー” : 「う、うそでしょ! カバーリング型の私から装甲奪うとか、あなたちょっと外道過ぎない!?」

 竜峰スズカ(複製体) : 「ごめんなさい、わたしたちが手伝えるのは正直ここまで。どう考えてもハイレベルなこの戦闘にはついていけないと思う。死なないでね、お兄ちゃん! ……ほらお姉ちゃん! 早く隠れるよ!」
(二人の竜峰スズカ、シーンアウト)






【クライマックス戦闘開始】

 ・エンゲージはミドル戦闘と同じく、中央にPC用の大きなエンゲージ。上、左下、右下にエンゲージが一つずつ。エンゲージ間の距離は五メートル。上のエンゲージにグレーゴル支部局長、左下に“パーティースターター”、右下に“グッドネイバー”と“パワー・オブ・ラブ”を配置する。




 [エネミー]【グレーゴル・J・ザムザ】 HP:373 行動値:9 浸食率:120% 
 シンドローム:サラマンダー
 【肉体】4【感覚】2【精神】5【社会】2

 取得エフェクト:【生命増強】10【生命増強Ⅱ】2【加速する刻】1 【厄災の炎】7【氷炎の乱舞】7【結合粉砕】5 【先陣の火】2【火の檻】1【氷の回廊】1【コンセントレイト:サラマンダー】2
 ユニークアイテム:【完全熱光学迷彩(防具:エンゲージしている状態でも隠密になることができる)】


《マイナー》【氷の回廊】【火の檻】飛行状態で戦闘移動、エンゲージを封鎖状態にする。([封鎖]状態は【イオノクラフト】のような飛行状態なら離脱できる。【ハンティングスタイル】などでは離脱するのに【肉体】での対決に勝利する必要がある。なお、【火の檻】の見た目的に【精神】での対決でも良いものとしている)

 《メジャー》15dx7+4 【災厄の炎】【氷炎の乱舞】【結合粉砕】【コンセントレイト】 攻撃力:42 装甲無視 射程:至近 範囲(選択)

 

[戦闘行動]
 《セットアップ》でグレーゴル支部局長が【先陣の火(行動値+15)】を使用。さらに“パワー・オブ・ラブ”が【女王の降臨】【狂戦士(次のダイス+10個、C値-1を付与)】をグレーゴル支部局長に対して使用する。

《イニシアチブ》ではグレーゴル支部局長が【加速する刻】を使用する。しかし最初の行動は【氷の回廊】【火の檻】を使用しプレイヤーのエンゲージを封鎖するだけであり、メジャーを消費して説得するため攻撃を行わない。
 セリフ:グレーゴル・J・ザムザ : (メジャー消費して説得)「……これが最後のチャンスだ。お前たちに勝ち目はない。私の意思を継ぎ、UGNを見限れ。このクソみたいな世界の、新しい灯となれ」

 ・(断られた時)
 「そうか、意思は固いようだな。……未練がましいことを尋ねて悪かった。……総員! こいつらを皆殺しにするぞ!」
(【加速する刻】のメインプロセス終了。イニシアチブを挟んで、もう一度行動する。マイナーは使用しない)

 グレーゴル・J・ザムザ : 25dx6+4 「死ぬがよい!」《メジャー》【災厄の炎】【氷炎の乱舞】【結合粉砕】【コンセントレイト】 攻撃力:42 装甲無視 射程:至近 範囲(選択)(【狂戦士】バフ計算済み)


 ・(ダメージを受けた場合)
 グレーゴル・J・ザムザ:「っく! ……小癪な!」


 ・(味方のエージェントが三体とも倒されてしまった場合)
 グレーゴル・J・ザムザ:「……くっ!? 俺はまた、一人なのか!? ただ一人、生き残るのか!? ……いいや、させん! お前たちの命も背負う! 今日ですべての悲劇を終わらせるのだ!」《エージェント三名撃破ボーナス。グレーゴル支部局長のHP100点減少(HP0点以下にはならない)》
 (よく豆腐メンタルと揶揄されたギミックですので、状況を見て発動しないことも)


 ・(二ラウンド目の《イニシアチブ》で【加速する刻】を使ったときは、マイナーで【火の檻】だけを使用しメジャーでは[隠密]を行う)
 セリフ:グレーゴル・J・ザムザ : 「いいだろう、ならば見せてやろう! 戦場の火の檻の中で起こった、UGN・FHともどもを皆殺しにした私の戦い方を!」《イニシアチブ》【加速する刻】《マイナー》【火の檻】《メジャー》【隠密】(防具:【完全熱光学迷彩】の効果でエンゲージ中でも【隠密】可能)@第二形態

 ・([隠密]状態になった場合、次のメインプロセスでは待機を選択する)
 ・(自分の卓では[隠密]による対象を取られない効果は[プレイヤーの受けている不利な効果]であるものとみなし、ロイスを切ることで通常通り攻撃可能とすることができる、としておりました)

 (【隠密】が解除された場合)
  グレーゴル・J・ザムザ : 「……っち、まさか見抜くものがいるとはな。お前たちを侮っていたか」






 [エネミー]【“パーティースターター”】 HP:37 行動値:9 浸食率:100% 
 シンドローム:バロール、オルクス
 【肉体】1【感覚】2【精神】5【社会】3

 取得エフェクト【虚空の陥穽】2【アニマルテイマー】3【棘の縛め】2【要の陣形】3【未知なる陣形】1【完全なる世界】3【拡散する世界】1【コンセントレイト:オルクス】2

《マイナー》戦闘移動:14メートル(中央のエンゲージに移動)

17dx7+4 《メジャー》【虚空の陥穽】2【アニマルテイマー】3【棘の縛め】2【要の陣形】2【未知なる陣形】1【完全なる世界】3【コンセントレイト:オルクス】2 攻撃力:14 射程:視界 対象:5体 ・命中した場合、硬直を付与、対象を自分のエンゲージに引き寄せる。

 《リアクション》ガード 装甲値:7 ガード値:4


 [戦闘行動] マイナーでグレーゴル支部局長のいる中央のエンゲージに移動し、メジャーでの攻撃でシーン5体分のPCを全部中央へ引き寄せる。

 (死亡時) 
 “パーティースターター” : 「ありゃ、目が……。死ぬ前って本当に目が見えなくなるんだね。知りたくなかったよ、そんなこと。…………私ね、FHの施設から、助けられたんだ。……[PC3]さん、あなたが潰した、施設から……。会ったことは、なかったけど、あなたが、憧れだったんだよね。……私も、人生がんばったんだよ……。褒めて、ほしいな~、なんて……、あはは…………は、は……」@死






 [エネミー]【“パワー・オブ・ラブ”】 HP:26 行動値:6 浸食率:100% 
 シンドローム:ソラリス
 【肉体】1【感覚】1【精神】4【社会】6

取得エフェクト【癒しの水】2【トランキリティ】3【さらなる力】1【狂戦士】4【女王の降臨】1【帰還の声】1【コンセントレイト:ソラリス】2

《セットアップ》【女王の降臨】【狂戦士】・ダイス+10個、C値-1。対象:グレーゴル支部局長

《マイナー》戦闘移動を行わない

11dx7+4 《メジャー》【癒しの水】【さらなる力】【狂戦士】【コンセントレイト】 ・対象のHP3d10+4点分回復、難易度:20以上で対象を未行動に変更する。ダイス+10個、C値-1。対象:グレーゴル支部局長

《リアクション》ガード 装甲値:5 ガード値:3

[戦闘行動]
 《セットアップ》“パワー・オブ・ラブ” : 《セットアップ》「さあ、生きるか死ぬかの戦いさ! 気張っていきな!」【女王の降臨】【狂戦士】ダイス+10個 C値-1 対象:グレーゴル支部局長

11dx7+4 《メジャー》「本番いくよグレーゴル! 気張っていきな!」【癒しの水】【さらなる力】【狂戦士】【コンセントレイト】 ・対象のHP3d10+4点分回復、難易度:20以上で対象を未行動に変更する。ダイス+10個、C値-1。対象:グレーゴル支部局長


 (自身が未行動の状態で“グッドネイバー”が二回目の攻撃を受けた場合、もしくは“グッドネイバー”が一回の攻撃で撃破される場合は、メジャーを消費して“グッドネイバー”をカバーリングする)
  “パワー・オブ・ラブ” : 「っは……! 誰かを守って死ぬなんて……。私には贅沢な死に方だねぇ…………。……グレーゴル、先に、地獄で……、亡霊たちと…………、待って、る……から、……な…………」@死

 (それ以外の撃破時)
「っち……。あたしも焼きが回ったかねぇ。……死に方くらい、選びたかったよ……」@死





 [エネミー]【“グッドネイバー”】(偽警察官とほぼ同じ) HP:49(PCたちの性能が高い場合、HP69) 行動値:5 浸食率:100% 
 シンドローム:エグザイル
 【肉体】4【感覚】2【精神】1【社会】2

 取得エフェクト【異形の刻印】4(もしくは8)【細胞浸食】3【異形の祭典】2【自動触手】4【がらんどうの肉体】1【崩れずの群れ】1【命のカーテン】5【守護者の巨壁】1(ミドル戦闘ではトループに対してカバーリングを使用しない)

《マイナー》行動しない

4dx+4 《メジャー》【細胞浸食】【異形の祭典】対象:四体 命中した場合、【重圧】【邪毒(ランク:4)】付与 起点エフェクトがないのでダメージなし

《リアクション》ガード:【自動触手】【がらんどうの肉体】装甲値:5 ガード値:4 ダメージ軽減:-4D点(一ラウンド一回)

【自動触手】ダメージ15点

 《カバーリング》【崩れずの群れ】【命のカーテン】【自動触手】【スプリングシールド】【がらんどうの肉体】装甲値:0 ガード値:4 ダメージ軽減:-4D点


[戦闘行動]
 (シーン攻撃が一ラウンド目に二回使用できるPCグループの場合、【守護者の巨壁】を使用する。ミドル戦闘で【守護者の巨壁】を使用していた場合、【帰還の声】を利用して回復する)
 “パワー・オブ・ラブ”「コンボ行くよ! 構えな!」【帰還の声】対象:“グッドネイバー”
 “グッドネイバー”「ありがとう! ラブさん!」【守護者の巨壁】使用回数回復


 (カバーリングを行うのは一ラウンドに一回のみ、対象は“パワー・オブ・ラブ”のみ。二回目以降の攻撃、もしくは一撃で撃破されそうな場合、“パワー・オブ・ラブ”がメジャーを消費して逆に“グッドネイバー”をカバーリングする)
 “グッド・ネイバー” : 「う、うそでしょ? ラブさん、私をかばって死ぬなんてっ……! 逆なのに……! 逆じゃないといけないのにっ……!」

 (撃破時)
 “グッド・ネイバー” 「あ、だめだこれ。体からどんどん痛みがなくなってる。死ぬんだね、私。…………いろんな人に変装してきたけど、本当の私を知っている人って、何人いたかな? ……どうしよう、怖いよ……。たった一人は、寂しいよ。だれか私を……、私のことを……、わた、し、を……」@死









(グレーゴル支部局長敗北時、戦闘強制終了)
 グレーゴル・J・ザムザ : 「……体が、動かん。思ったよりも年を取り過ぎたか。…………殺’せ。革命家気取りは最後には殺されるべきだ。私もそうしてきた。お前たちもそうするべきだ。……お前たちの次の世代も、その次の世代も、永遠と、な」@変身解除



(誰が[とどめを刺す]を宣言するかPCに尋ねる。とどめを刺す、刺さないにかかわらず、その行動が行われようとした直前、シーンに突然登場した【コンドーム前支部局長】が[とどめを刺す]を宣言する)


 近藤睦月(コンドーム付き) : 【宣言】:《とどめを刺す》 (銃撃による宣言。ほかのエネミーもこの宣言でとどめを刺されたものとする【未知なる陣形】使用)





 グレーゴル支部局長の死 :  大口径の銃声が響き渡り、銃弾がグレーゴル支部局長の命を刈り取った。
 隣接した兵器庫の扉から銃を構えたコンドーム前支部局長の姿が見えた。その背後には、愛用の“戦闘ヘリ”の姿も見えた。

 緊急事態用の滑走路もすでに解放され、外から寒々しい風が流れてくる。



 グレーゴル・J・ザムザ : 「が、……っ! ば、ばか、な…………」@死

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「みんな、ご苦労様。予想通りUGNのキーロックは全部破壊、【複製体】ちゃんはしっかりとグレーゴルと敵対して注目を集めてくれたし、しかも予想外なことに【裏切り者】カミングアウトからの支部局長殺害まで……。もう最高!」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「おかげで“戦闘ヘリ”も地下兵器庫の“歴代支部局長の遺産”も全部詰め込めたし、逃走するときに懸念だった“パーティースターター”も殺害済み。これでわたしは無数の【複製体】を製造し、潤沢な武器で武装させることができる」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「わたしはUGN支部局長としてすべての“悪”を処罰できる力を手に入れた! FHも、ゼノスも、UGNの臆病者も、すべて私が粛清してくれる! すべてはUGNによる世界統一のため! だれもが気付かずに【複製体】にすり替わる、“死”と“自由”から解放された理想世界を作り出すのよ!」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「じゃあねみんな! あなたたちは好きに死’ねばいいわ! 世界を変えるのは、このわたしよ!」 

(笑い声をあげながらコンドーム前支部局長は【瞬間退場】によって戦闘ヘリと共に地下の緊急脱出滑走路から離脱する。PC達はその戦闘ヘリが地上に飛び出す瞬間を見ることとなる)



 UGNエージェント非常招集 :  コンドーム前支部局長が滑走路から地上へ飛び出した瞬間、弾丸が“戦闘ヘリ”のタービンを一基破壊した。

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「えっ……!?」@驚き

 他支部のUGNエージェントたちによる待ち伏せだ。
 グレーゴル支部局長が今回の自爆に巻き込むつもりだった、“UGNの土台を支えるエージェントたち”が滑走路出口で待ち伏せしていたのだ。



(エージェント名などはGMの過去PCを利用するなどしてもよい。数も自由である)
  “グロック・ナック・ザ・バーバリアン” : 「なるほど、グレーゴルから珍しく緊急招集があったかと思えば、そういうことか。総員! あの戦闘ヘリを囲んで殲滅しろ!」

  “カサブランカ” : 「あらあら~、コンドーム支部局長? 今度こそ逃がさないわよ~?」

 “コート・オブ・アイロン” : 「グレーゴル支部局長には頭が上がりませんね。あのしぶといコンドームをこんな罠にはめるとは。やはり強靭な指揮系統こそUGNの強みといえますね」

 “スティッキー・スティンガー” : 「しかしながらこれはドリームチームだな。さっき支部で見かけた奴らを含めれば、私達だけで小さな国の一つくらい落とせるんじゃないか? UGNの屋台骨がこんなに集合するなんてそうそうないぞ?」

 “トキシック・ディザスター” : 「知ったことじゃないわ。どうせまたすぐみんな元の支部にもどるんだから。今はせいぜいパーティを楽しみましょ?」

 “ハーメルン” : 「そうですよ! と、いうわけで、わたしは応援しますよ~! はいみんな頑張って~!」

 “ファースト・ロットナンバー” : 「……過剰火力を確認。通常作戦規定にのっとり全力を出します、が、……私いります?」

 “月下美人” : 「はいはい、無駄口叩かない。相手は“春日”級のゴキブリなんだから。元素の一つも残さず消し飛ばすからね!」

 近藤睦月(コンドーム付き) : 「あああああっ! 爆発、爆発、するっ!? 滅びる!? 私がっ、ああああああああ!?」


 決着 :  コンドーム前支部局長は圧倒的戦力差の前に爆発四散。肉片も残さず徹底的に滅殺された。
 悪は滅びた。
 あなたたちの前に、UGNの根幹を支えるエージェントたちが歩み寄ってくる。




 “グロック・ナック・ザ・バーバリアン” : 「任務ご苦労だった。君たちがコンドーム前支部局長を追い立ててくれたのだな。グレーゴルに指名手配犯討伐の報告をしたいのだが、どこにいるか知らないか? 私たちに市内の治安維持を指示した後、姿を消してしまったんだ。このUGNの駐車場に緊急招集コールがあったから集まったが、これもコンドーム前支部局長を罠にはめるためのものだったのならあいつも近くにいるんだろう? もし近くにいるのなら討伐報告ついでにあいつの秘密主義にも一言文句を言いたいのだが……」



 嘘か、真実か :  UGNには報告が必要だ。事件の顛末を報告する必要がある。
 だが、すべての事件は解決した。グレーゴル支部局長の裏切りを報告せず、彼の名誉を守っても今後悪影響は一切ないだろう。

・【グレーゴル支部局長の裏切りを詳細に報告する】

・【グレーゴル支部局長の裏切りを報告せず、彼の名誉を守る(それもこれも全部、コンドームってやつの仕業だったんだ!)】


(裏切りを詳細に報告した場合)
 “グロック・ナック・ザ・バーバリアン”:「裏切った? あいつが!? …………そうか、だが……、正直ここはそういう界隈だからな。だれもが世界に不満を持ち、誰かの幸せな未来のために自分の人生を犠牲にする。やさしい人間から真っ先に裏切っていくんだ、本当に地獄だよ、ここは」


(裏切りを報告せず、嘘をついた場合)
 “グロック・ナック・ザ・バーバリアン” : 「……そうか、戦死したか。あいつは本当にやさしい男だったからな。むしろここまで長生きできたことに感心するよ。……だが、きっと後悔はないだろうな。ようやく泣きながらたった一人で戦場から帰還しないで済んだようだ。お前たちの命を守り通すことができて、きっと今頃地獄で胸を張っているだろうよ」




 “グロック・ナック・ザ・バーバリアン” : 「今回の件の報告はお前たちに任せる。グレーゴルの死んだ今、奴の手柄はお前たちが受け取るべきだ。あいつはやさしいからな、いつも自分の手柄より部下の手柄を喜んでいた。お前たちの出世が最高の手向けになるだろう。地獄に落ちた男にも、花の一つでも添えてやれ」



 エンディング:【バックトラック】
 使用Eロイス : 【さらなる絶望】×6(ミドル戦闘時)
 (UG使用卓ではないのでリバースハンドアウトではなく秘匿ハンドアウトとなっているが、これはリバースハンドアウトとして扱って経験点に含めてもよい)

 基本経験点15点+浸食率経験点0~5点+Eロイス6点




 エンディング:誰もいない支部局長室 :  事後処理が終わり、大集結したエージェントたちも帰還した後、あなたたちは支部局長室に集まった。

 グレーゴル支部局長のパソコンには確かにFHへの情報漏洩が行われていた記録が残っている。

 しかし、その情報は部分的に隠されていたり一部偽造されていたりと、UGNとFHの間で戦闘が少なくなるように綿密に調整された内容だった。
 
 そんな情報データの中に、あなたたちは気になる一文を見つけた。
「UGNとFHとのスパイ戦争の間に世代交代が起こっている。私のスパイとしての影響力も低下し、すでに把握しきれないスパイがUGNの中に大量に入り込んでいるようだ。UGNの求心力低下も著しい。私にまだ力があるうちに作り替えなければならない。新しい者たちの世界を守るために。若いオーヴァードたちの死なない未来のために」

 あなたたちはこの文章に続いてリストを見つけた。そのリストにはあなたたちの名前もあり、いずれも《スパイ疑惑あり(未確定)》と記されている。

 そのスパイリストの名簿は膨大であり、UGNが組織としてもはや安全な場所はないことを物語っていた。

 そのスパイリストの中には【賢者の石】を狙うFHセルの存在もある。


 あなたたちは【賢者の石】を保有しない【竜峰スズカ(本体)】に関しては、まだガセネタであったと情報を拡散させることで襲撃の本気度を下げることができる。だが、【賢者の石】を実際に保有する【竜峰スズカ(複製体)】の方はもはや町を歩くことすら危険が伴うことになるだろう。

 あなたたちは二人の【竜峰スズカ】をどうスパイから守るか、話し合わなければならない。





 (PC1が竜峰スズカ(本体)と町に残った場合のエンディング。町に残らず、PC2、竜峰スズカ(複製体)と共に“隠れ里”に向かった場合は、PC2のエンディングにPC1の名前を追記する)

 [PC1]アフター :  あなたは【竜峰スズカ(本体)】と共に街中を歩いていた。
 FHからの襲撃は思った以上に少ない。

 デマであったとの拡散が思ったより効果を発揮したのか、戦闘員として名声の高まったあなたを敵に回してまで情報収集しようというエージェントは少ないようだ。

【竜峰スズカ(本体)】は今日も笑顔だ。
 さあ、今日はどこへ遊びに行こうか。


 竜峰スズカ(本体) : 「フリスビーしよう、フリスビー! ねっ! ねっ! さっきあそこのおもちゃ屋さんで売ってたよ! ……あっ! そうだ! 今日の夜のお祭りは楽しみにしててね! とっても可愛い浴衣買ったから、君を一撃で悩殺しちゃうんだからね!

 竜峰スズカ(本体) : 「これからもいつまでも一緒にいてね、[PC1]くん! 私たちはもう、離れ離れになったりしないからね!」







 [PC2]アフター:《隠れ里》での休暇 :  あなたたちは“ゼノス”が運営するオーヴァード保護地域“隠れ里”で平和な日常を過ごしていた。

 “隠れ里”での生活は思った以上に快適だった。地方都市程度の町があり、大きな公園に、宿泊施設もそろっている。
 もともと観光地だった場所を空間的に切り離したようで、温泉に娯楽施設に運動場も溢れるほど運営されていた。

 “プランナー”都築京香の首が回らなくなるような緊急事態に陥らない限りは、第三次世界大戦が起こってもここだけは無事だろうという安心感がある。

 さて、自由に街を散策し、今日も平和を謳歌しよう。



 竜峰スズカ(複製体) : 「はぁ~、平和だねぇ~。ありえないくらい平和。もう毎日がエブリディって感じ。お兄ちゃんと一緒に町で買い物して、ボーリングして、温泉で卓球して、こうして並んで公園を歩く。……最高だねお兄ちゃん。これからもずっと一緒にいてね♪」

 竜峰スズカ(複製体) : 「うん、行こう行こう。私はいつでも一緒だからね。ずっと一緒に行こうね!お兄ちゃん♪」








 [PC3]アフター:UGNへの報告と変わらぬキャリア :  あなたは今回の一件を霧谷雄吾に報告した。

 完ぺきな仕事に定評のあるあなたは査定にプラスが加算されたことを直感的に感じられた。

 と、同時に霧谷さんの机の上にある書類の山から一枚抜き取られてあなたに依頼されるという未来も予想できた。

 あなたにしかできない依頼も多い。あなたもまた、UGNを支える屋台骨の一人である。さて、どうやら明日も忙しくなるようだ。




 霧谷雄吾 : 「今回の件、お疲れさまでした。いつもながら完ぺきな仕事ぶりです。……ですが、今回の一件の余波で依頼したい仕事が十倍に増えました。急ぎの仕事もあり休暇申請は許可できません。本当に申し訳ありません」

 霧谷雄吾 : 「申し訳ありません私もこれから毎日72時間労働の36連勤が確定しました。今回の件は私が責任をもって収束させることにしますのでこちらはご安心ください。……仕事量が多いのはいつものことなのでお気になさらず。それより心配なのは現場に出るあなたのことです。一番最初に死ぬのは現場なのですから。少なくとも私が戦っている書類たちは殺意こそあっても敵愾心はありませんので」

 霧谷雄吾 : 「今回の支部再興の仕事と並行してになりますが、今から有給消化して二時間の仮眠をとった後、君のサポートに回ろうかと思います。あなたはすぐにでも移動して現地の司令官からブリーフィングを受けてください。……今回もきつい仕事になります。お願いできますか?」

 霧谷雄吾:「感謝します。それではよろしくお願いします」


 (なお、PCの要望によってはテレーズ・ブルムも登場できる)
 テレーズ・ブルム:「今回の一件、ご苦労様でした。……しかし、有能な人材だったグレーゴル支部局長の死は末端ほど影響が大きかったようです。彼が墓場まで持って行った情報は多すぎて支部局長の引き継ぎが成り立ちませんでした。あの支部は今後、情報のない過酷な環境からの再スタートを切ることになるでしょう。幸い、霧谷さんが責任をもって支部の再構築をしてくれるらしいですが……」

 テレーズ・ブルム:「どうしてUGNという組織は、有能で善良なオーヴァードから消えてしまうのでしょうか? あなたはそうならないでくださいね。もうこれ以上の人的損失は許容できないですから。……と、言いたいところですが、あなたにしかできない危険な仕事が溜まっています。私の頭でよければいくらでも下げますので、この依頼の消化もよろしくお願いします」

 テレーズ・ブルム:「……汚職している支部局長です。詳しくは書面で」

 テレーズ・ブルム:「霧谷さんのために【触媒】七つ持ちオーヴァードの秘書を用意しました。【加速する刻Ⅰ・Ⅱ】と合わせて毎日240時間労働まで可能になるので、がんばってくださいね
(⋈◍>◡<◍)。✧♡」









 [PC4]アフター:都築京香への任務達成報告 :  月のない夜、人気のない街中であなたは“プランナー”都築京香へ今回の結果を報告した。

 都築京香は微笑み、街角の暗闇の中から姿を現す。今回の結末に満足しているようだ。ワーディングではない何らかの力でこの空間は隔絶され、車通りのなくなった車道の真ん中で都築京香はあなたに感謝の言葉を述べた。

 都築京香 : 「ご苦労様。これでUGNでの古いスパイは消滅。UGNでの隠密活動の最大手は私たち“ゼノス”になった。私達が保護した【賢者の石】の所有者も最悪の事態になったときの切り札になる。……もっとも、そんな最悪は起こり得ないけど」

 都築京香 : 「ありがとう[PC4のコードネーム]。あなたの働きには感心するわ。完ぺきな“三重スパイ(トリプルクロス)”。UGNもFHもあなたの存在に気付かず情報を抜かれているんだから笑い話もいいところ。あなたのおかげで、私の“プラン”がいつも成立しているということに気付きもしない」



 (ここで[情報]【PC4秘匿ハンドアウト】がすべて公開可能になる)
 

 

 都築京香 : 「さて、それじゃあもう一仕事お願いしちゃおうかしら?」

 都築京香 : 「助かるわ。ろくでもない事件が多すぎて。これからもお願いね[PC4]さん。ふふ……」

 都築京香 : 「ふふ、つぎはあなたが楽しめるようプランを組んであげるわ。いつものお礼に、ね」

 都築京香 : 「それじゃあ。はい、これ」次の作戦メモを手渡す









  “Another day of sun”シナリオクリア :  THANK YOU FOR PLAYING!


シーンNo. 種別/発言者 コマンド/説明
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