かもらいふさんの日記 「ひさびさの純GM」

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かもらいふ日記
2019/05/18 23:30[web全体で公開]
😶 ひさびさの純GM
SW2.0/SW2.5コミュ 2周年記念イベントシナリオ「声なき吟遊詩人」終了!
当初予定の3時間増、合計9時間の長丁場となりましたが、参加者の皆様お疲れさまでした。
最近はリレーCPばかりで、自キャラを半NPCとして狂言回しとして使うスタイルに慣れていましたが、久々にそれが通じない純GMをやらせていただき、苦戦しつつも無事にシナリオを回しきることができました。

さて、以下は、シナリオやセッションにまつわる、感想やら思いついたことやらをつらつらと。

◆◆セッションあらすじ◆◆
プレイヤーたちは、”大舞台”マカジャハット王国の冒険者ギルド支部、『記憶の固執(メルティングクロック)』に登録して間もない冒険者。
彼らの初仕事の依頼人は、【声を出すと激痛が走る】という奇怪な症状に悩まされる吟遊詩人【フェデリーコ】。
曰く、近郊の【サルバドール村】というところに立ち寄った直後から、その症状が発生したらしい。

原因調査のため、【サルバドール村】に向かい、聞き込み調査をする冒険者たち。
その結果、冒険者たちは村のはずれの遺跡に住む【賢者の娘】あるいは【魔女】と呼ばれる少女が何か知っているのでは、と推測を得る。そして、遺跡に仕掛けられたトラップやリドルを潜り抜け、その少女に面会することに成功する。
その少女――名を【エレナ】という――は、髪はボサボサ、センスのかけら感じられない服、牛乳瓶の底のような眼鏡というダメガール。
当初【エレナ】は【フェデリーコ】のことも、彼を悩ませている症状についても、一切知らぬ存ぜぬを通していた。しかし、村で得た証言と彼女の証言の矛盾を突き、冒険者たちはついに、エレナに「自分が呪いをかけた」と認めさせる。

【フェデリーコ】が村を訪れていた際、【エレナ】は買い出しのために村を訪れていた。そして、偶然会った際に優しくしてもらったことがあった。そのとき【エレナ】は【フェデリーコ】に対して、「今まで感じたこともない感情」を抱いてしまった。
一方の【フェデリーコ】、彼は誰に対しても紳士的、かつ詩的な物言いで接するため、特に若い女性からは「口説かれた」と勘違いされトラブルになることが多い。
今回も、村娘たちの間で「口説かれた」「いや、本命は自分だ」といううわさ話が絶えず、その話は村娘たちから距離を置いている【エレナ】の耳にも入った。
その時、【エレナ】は今まで感じたこともない言い知れぬ感情に襲われ、気が付いたら異大陸に伝わる魔法を、父から譲り受けた特殊術式を用いて、【フェデリーコ】にかけていた。それは、破ると激痛を伴う”戒め”を対象に課す魔法。戒めは、「今後一切声を発するな」……。

冒険者たちの説得で、それは「初恋」と「嫉妬」であり、【フェデリーコ】に対して声を奪うという残酷な仕打ちをせずとも解消できる感情であることを理解した【エレナ】は、【フェデリーコ】にかけた魔法を解くための儀式を行うことに同意する。
……が、ここで問題が発生する。儀式には〈奈落のかけら〉が必要なのだが、その数が不足しているのだ。

いったんマカジャハットに戻った冒険者たちは、ギルドの職員から近場にある適切な脅威度の《奈落の魔域》を紹介してもらい、攻略に挑戦する。
そして、冒険者たちは仕掛けられた罠を潜り抜け、魔物の妨害を退け、《奈落の魔域》の攻略に成功。手に入れた〈奈落のかけら〉を使って儀式を完成させ、依頼を達成することができた。

【エレナ】は、冒険者たちの勧めで、亡父に買ってもらった(しかし、タンスに死蔵されていた)服を着て、マカジャハットで待つ【フェデリーコ】に直接謝罪することになった。
【フェデリーコ】は1回会っただけの、更にオシャレによって別人のように変貌した彼女のことを、すぐに見抜いた。外面の美醜ではなく、【エレナ】の内面にある凛とした聡明さが、彼に強い印象を残していたが故、と彼は語る。
【フェデリーコ】は【エレナ】の謝罪を笑顔で受け入れ、そして、言った。

「私はこれからハーヴェスに渡りますけれど、ひと段落ついたら、また【サルバドール村】にお邪魔しようと思います。ほかでもない、あなたに会うために」
「私の抱いているこの気持ちが、吟遊詩人としての性(さが)か、あるいはそれ以外の感情か、私にもわかりませんが……」
「……それを確かめるためにも、ぜひ、ふたりでたくさんお話ししましょう」

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とある芸術家は言った。 『恋はその始まりがいつも美しすぎる。だから結末が決して良くないのも無理はない。』と。

【エレナ】の恋の行方が、将来、その言葉通り"良くない結末"になるのかは誰にもわからない。しかし、少なくとも今は、"良くない結末"になりえたにも関わらず、祝福に値する恋の船出を迎えることができた。それが冒険者たちの尽力の賜物であることは、疑いようもない。


◆◆シナリオネタばらし◆◆
今回、イベントテーマとして「はじまり」が設定されており、今回のシナリオもそれに即し、大小いくつかの「はじめて」を盛り込んでいます。

まずはシナリオテーマ。これはわかりやすく「初恋」ですね。
『恋はその始まりがいつも美しすぎる。だから結末が決して良くないのも無理はない。』――芸術家【サルバドール・ダリ】が言ったとされる言葉をシナリオを基本テーマとしました。
ダリの言葉をテーマにしたため、シナリオに出てくる固有名詞のいくつかも、彼にゆかりの名前になっています。たとえば、日本語のギルド支部名は彼の作品のひとつから、英語名はそれに描かれた有名なモチーフから、といった具合ですね。(さらに言うと、マカジャハットが舞台なのも、芸術作品にちなんだギルド名が相応しい国だから、という理由)

ちなみに、シナリオ本文は、製作時間短縮のため、ログアウト冒険文庫「TRPG100のシナリオ」収録のシナリオのうち、「初恋」に合致するものを選んで、SW2.5(2.0)用にアレンジして使用しています。
アレンジ元は、武藤多栄子・作「恋する季節」。この場を借りて氏に多大なる感謝を。お話のドラマ性も、アレンジの自由度ともに高い、素晴らしいシナリオなので、機会があれば是非読んでみていただけば幸甚です。

さて、このシナリオ。アレンジ元の「恋する季節」からしてそうなのですが、「若い魔女が嫉妬に駆られて吟遊詩人にかけた呪いを解かせる」という筋は一本通しつつ、その方法や、目的外の事象(主に色恋沙汰の行方)、”魔女”の処遇など、PC(PL)の選択と行動に委ねられる部分が多いです。
マスタリングにおいてもアドリブ対応を強いられる部分が多いのですが、そういうシナリオは今回「初挑戦」でした。これもある意味「はじまり」ですね。
幸い、アレンジ元のシナリオにいくつか想定行動とそれに対する対応が列記されていたので、まったくの真っ白からやるよりはかなり負担軽減できましたが。
(余談:場の流れとは言え、まさか1人2役で煮え吟遊させられるとは思わなかったよ!楽しかったけど!!)


◆◆マスタリングよもやまばなし◆◆
ほかの「初挑戦」としては、「1回のセッションを、中間リザルトを挟む前後編とする」というスタイルがあります。
SW2.5ルルブ1のサンプルシナリオがそうなっているのですが、「前半は導入部分に軽めのボス戦入れて中間成長を挟む」「後半は純粋にダンジョン(orウィルダネス)アタック」という構造は、実際やってみると、特に初期作成ではかなりいい効果を発揮すると感じました。
初期作成ではやることがシンプルで分かりやすい反面、ビルドの特徴が出づらい。そこに1回成長を挟むと「Bテーブルのレベル先行」「サブ技能の充実」といった効果を得られ、しかもそれが早速試せる。それがとても良い。弱点としては、シナリオが長くなりやすいってことがあるので、そこは注意ですね。特に自分は戦闘の難易度を高めに設定して時間を浪費しやすいので、気を付けないと……。

あと、今回《奈落の魔域》の攻略を、サプリメント「ヴァイスシティ」掲載の「トランプの迷宮」ルールをアレンジして導入してみました。
山札分割はオンセンのシステム上やりにくいので、今回はGMの手札として5枚あらかじめ伏せて置いて、そこから選ばせる形式に。
感触としては、アレンジの調整の余地はまだありますが、全体としては予想通り、汎用性の高いランダムイベント処理ルールとして使えそう、といった感じ。もうちょっと煮詰めて、場数こなしていこうと思います。


◆◆さいごに◆◆
・・・と、まあ長くなりましたがこんな感じで大変楽しく遊ぶことができました。
最後になりましたが、PLのシリュウさん、KAJI_さん、みよかんさん、あるごんさん、ゴゼンさんにはこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。
皆さん非常に聡明で、もう少しかかると思ったリドルを軽々とクリアし、それでいてシナリオの進行や演出には非常に協力的。私が感じた楽しさは、間違いなく、皆さんのご協力あってのものです。本当にありがとうございました!
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