Keiさんの日記 「Wise Women と Girl Underground を訳しましたの」

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Kei
Kei日記
2021/12/26 00:56[web全体で公開]
😶 Wise Women と Girl Underground を訳しましたの
ご機嫌よう。

タイトルの通り、二作品ほど自分で遊べる程度に訳しましたので、ご紹介します。

Wise Women は産業革命前の東欧的な世界を舞台に、魔女ということを隠しながら生きる女性を描くゲームです。魔女は社会にうまく馴染んで(もちろん魔女であることは隠して)疑われることなく生活しているかもしれませんし、社会にうまく溶け込めずに、どうにか疑いの目を逸らしながら生活しているかもしれません。こういったことを描くために、社会的地位というステータスがあるのですが、下がると上げるのが大変な感じになっているでしょうか。
それでは魔女は社会にとって害を成すのかというと、そうでもありません。魔女は蒐集した植物の力を使って魔法を行いますが(これらの植物の力は実際の伝承や当時の書物をベースにしています)、それは社会を守るものの場合もありますし、誰かを傷つけるものもあります。ここで大切なのは、たとえ社会を守る魔法であっても、社会はそのようには見ないという点です。ですので、社会を守るために魔法を使ったのに、疑われ、人々と疎遠になり、やがて害をなす魔法に手を染めるということもあり得ます。
また、魔女が女性や性的少数者の助けになる、というような形でジェンダーをテーマにすることができます(というか、こちらがゲームのテーマかしら)。たとえば、産業革命前の保守的な社会では女性に権利などなく、中絶などもってのほかかもしれません。魔女の元を訪れることで安全に望まない子を産まないことができるとしたら、それは救いになるでしょう。あるいは古典的な男女の概念しか認められていない中で生きるLGBTQ+の人々が魔女の庇護を求めるかもしれません。それでも、そうやって助けた人々も、やがて社会の側から魔女を糾弾するかもしれません。というような葛藤も描くことができます。
あとは、ポーランドの伝承に登場する魔物や妖怪が紹介されていて、なかなか興味深いです。
システム自体はPbtAベースで、遊んだことがある方にはお馴染みの分かりやすいものですが、お馴染みのプレイブックやムーブがないというのが特徴的です。

次に。

Girl Underground は、不思議の国のアリス風な世界を舞台に、社会から押し付けられる「女性らしさ」という規範を打ち破って自分らしさを見つけるというゲームです。わたくしは、このタイトルは女性性をテーマに据えている割にプレイしやすそうという印象を受けました。
というのも、社会が押し付けてくる規範、たとえば「女性は笑顔を絶やしてはならない」「女性は自分のことよりも他人を優先しなければならない」といったものですが、それを最初にいくつか選び、シーンと結びつけて演出した上で、「そんなのは間違ってる」「わたしは○○と主張する」と宣言することがゲームの目的になっています。
シーンと結びつけるのが難しそうだったり、どんなシーンが良いか迷う場合もあるかもしれませんが、十分に遊べそうなシーンの例が、NPCや何を描くことができるかといった記述と共に12個紹介されていて、これらをつなぎ合わせるだけでも十分にセッションになりそうです。もちろん不思議の国ですから、夢渡りのような感じで進めるのが良いでしょう。
こちらもシステムはPbtAですが、主人公の少女は全員で持ち回り、加えて、各プレイヤーは彼女をサポートする不思議な生き物(しゃべる動物や人形、かつて少女と同じようにこの世界にやってきて元の世界に帰らないことを選んだ子どもなど)を演じるという一人二役が特徴かしら。彼/彼女たちは、少女を助けるようにデザインされていますし、演じ方のヒントなども書かれていて、お話が進むようになっています。
あと、わたくしが気に入ったのは、回想のルールです。少女は規範を打ち破る信念を胸に、少女を脅かす規範の権化たる存在(いわゆるラスボス)を倒して元の世界に帰るのですが、後からこの経験を振り返って語ります。その日の夜にママに話すのかもしれませんし、大人になってジェンダーについて語るのかもしれませんし、おばあちゃんになって孫に語るのかも、どんな形なのかプレイヤーにお任せで、いわゆる感想会の機能の一部がプレイの一部に取り込まれています。

それと。

どちらのタイトルも、PCは死なないし、死ぬような危険を演出してはならないことが明示されています(一見そう見えることを制限するものではありませんが)。もちろんPbtAらしく、判定の失敗が「失敗ではない」ことなどもキチンと書かれています。

最後に、これは個人的には重要ですが、どちらも短く、割と平易な英語で書かれていて、スッと読むことができました。
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