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😶 TRPGの中のジェンダー twitterでフォロワーさんが悩んでいました。 「マギカロギアで、心と体の性別が一致しないPCが使う分身召喚はどう扱うべきか?」 分身召喚は、使用者が男性ならば「乙女」を、女性ならば「騎士」を召喚する魔法です。 使用者の性別が不定ということであればダイスで決定するよう 公式からアナウンスされているのですが、今回の事例では不定ではありません。 もちろん、実際の裁定はGMごとに異なってくるとはいえ、 考えて結論に至るための根拠は持っておきたいところです。 まずは、マギカロギアのルール(2巻209p)を確認してみましょう。 分身召喚は「サモンアニマ/アニムス」と呼ばれていますが、これが手がかりです。 アニマ、アニムスとは精神分析のユングが用いた用語で、 「男性の無意識人格の女性的な側面」をアニマ、 「女性の無意識人格の男性的な側面」をアニムスと呼びます。 また、分身召喚の説明には「自分の中にある異性像」と記されており、 専ら精神的な問題として描写されていることがうかがえます。 以上のことから私は、 分身召喚が参照するのは性自認(心の性別)であると フォロワーさんに回答しました。 このように、TRPGの現場では、ジェンダーを参照すべき局面がしばしば現れますが、 ルール等でも素朴な記述しかされておらず、難しい判断を迫られることがあります。 これは私たちの生きる社会の多様性に関わる問題でもありますが、そこまで深刻に考えないとしても、 TRPGのキャラクターは複雑なジェンダーを抱えていることがよくあるので、 実用的な問題として、考え方の手がかりを持っておくことは有用です。 ジェンダーは多岐にわたり、文献によってもまとめ方が異なることがあるのですが、 LGBT法連合会の資料(http://lgbtetc.jp/pdf/about_lgbt.pdf)では、 身体の性、性表現、性自認、性指向の4次元に分類しています。 身体の性……身体的特徴により判断される性別 性表現……見た目の女らしさ・男らしさ 性自認……自分自身の性別を何と感じるか 性指向……どんな相手に恋愛感情を抱くか ルール上でジェンダーを参照すべきとき、判断に迷うことがあったら、 そのルールが上記のどの次元を参照しているのかを考えていくとよいでしょう。 もう一つ事例を見てみましょう。 ゆうやけこやけの狐の能力「こあくま」を取り上げます。 データ面はさておき、この能力の説明には、 「異性を惑わせる不思議な魅力」と書かれています。 「惑わせる」とあることから、性指向の問題であると捉えることができますが、 これは使用者(狐)自身ではなく、相手の性指向であることに注意が必要です。 そしてこの能力は、印象判定の効果を上げるものであるため、 使用者(狐)から相手への印象がどうであったかが問題になります。 印象判定に至るまでのロールプレイングも影響してきますが、 多くの場合は、使用者(狐)の性表現(どの性別に見えるか)が大きな割合を占めるでしょう。 まとめると、次のようになります。 「使用者(狐)の性表現(どの性別に見えるか)が、相手の性指向(どの性別に惹かれるか)と一致したとき、「こあくま」は効果を発揮する」 セッション中にジェンダーで迷うことがあったら参考にしてください。
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