その頃の彼等3
小慶美(シャオ・チンメイ)演義・ターニングポイントでの登場人物達[web全体で公開] 2 | |
登録日:2021/03/27 21:59最終更新日:2021/03/27 21:59 |
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コメント一覧
100. くっきー | |
2022/08/27 01:29 |
白銀のリルドラケンはあいも変わらず開催される会議に嫌気が差していた というのも神の秤でアストラという一輪の花を見てからというもの、時間があれば彼女の元に通いたいと考えていたからだ (名家というが、なんということはない。四色が取り仕切り他の家は追随で終わる話だ…) 役者故顔には出さぬものの、既定路線の話題は心奪われた女神に遠く及ばない そう思っていたが会議の雲行きが怪しくなってきた 「全く困ったものだ。入植者が現れてからというもの犯罪率と貧困率が日増しに増加している」 「ええ♪ええ♫あまり良い傾向とは言えませんね♬」 「兵士にするには弱すぎ、農夫にするには多すぎる」 「………」 何時もであれば四色の意見は噛み合わないものだが、他所からの入植者問題には概ね同じ見解のようだ 入植者を連れてきている青だけが沈黙を貫いているが、反論がないことから察するに問題意識はあるのだろう 「王は不在とはいえ、ここは王都。整備された街に好き勝手居座られては溜ったものではない」 「開拓を手伝って頂けたり、市民権を買ってくれる方は兎も角、物乞のような方は…ちょっと♪」 「門の周りに障害物を作られたら邪魔でしかないんだよな」 「…言いたい事は分かるが、入国審査にも限界がある。有望な人材だけ見つけ出すのは不可能だ」 話は結局のところ、兵にも、開拓者にも、そして冒険者にすらなれない入植者が市民権を買うことができずスラムのような状態になっている事 正直な話、そこに予算を割くなら下級労働者の待遇改善に充てて貰ったほうが劇の観客になりうる。その日暮らしでは劇をみている余裕すらないだろう 「…ああ♬ちょうどいい方法があるじゃないですか♫」 「…話を聞こうか」 「あの娘…メディチとかいいましたっけ♪資金の貸付をやっていましたよね♫」 「無理矢理にでも装備を整えさせて、成功すればそれでよし、失敗すれば商会に引き渡す…そんな所か」 「ご明察♫」 「入植者が貸付を受けなかった場合は?」 「その時はそうだな。白く塗りつぶされる事になろう」 話し合いの末、黒の遠征でダブついた武具を入植者の装備購入という形で押し付けようというものになった 結局この案は通り、デウスデアのスラムは消滅することになる それがストレイドにどのような影響を与えるのか、此時は知る由もなかった
99. 小慶美(シャオ・チンメイ) | |
2022/08/27 19:33 |
ヴィルフリートが吸血鬼になった場合のIF設定をぽい(ノスフェラトゥと表記してるけど便宜上のものです) “果て無き復讐” ヴィルフリート (ノスフェラトゥ/男性/外見29歳) 「やり返さなければ……誰に? 何を? ……めんどくせぇ、全部壊せば済む話だよな」 “陽を忌む参謀”ヴィルフリート・ユーバシャールが寿命を迎えた後ノスフェラトゥとして再誕した姿です 内側にくすぶり続ける憎悪や復讐心にさいなまれていますが、再誕した際に一部の記憶が虫食いのように欠落したため、誰のことを憎んでいるのか、誰に復讐することを望んでいるのかが判然としておりません その結果、『全てを壊せばきっとこの復讐心も解消される』という結論に結び付けた彼は全てを壊すために行動を起こすようになりました 生前有していた戦軍師としての能力に加え、ノスフェラトゥとしての畏怖の視線は並の人々に危険視されています ちなみにノスフェラトゥとなったヴィルフリートが死亡したら、その時はアルヴとして転生されると思われます
97. くっきー | |
2022/08/25 23:36 |
「シュシュ、思うのですけど〜」 「うん、なんだい?」 「どうしてこれだけ本が溢れているのにどれもこれも不幸な結末に終わっているのでしょ〜か?」 ムルシエラゴの言葉に、この図書館の主は何を当たり前のことをと前置きして 「簡単だよ。例えばこの本に出てくる主人公はいつも不幸だけど、彼が幸せになったら彼は戦いを続けるだろうか?」 「えーっと、辞めるかもしれないです?」 「そう!剣を置いてしまうんだ」 我が意を得たりと立ち上がって熱弁する 「この世界は大神カオルルウプテがいうように剣を投げ入れた者の執拗な悪意が散りばめられている」 「争いを起こし、災いを振りまき、不幸の底に突き落とす事で剣をとり運命に抗うことを宿命づけるかのように」 「神ならばそれを運命変転とでも呼ぶのだろうか。実に興味深い」 くつくつと笑いながら実に面白そうに本を手に取る 「えっーと、それってつまりハッピーエンドはやってこないってことですか?」 彼女は手に持つ本に視線を落とす。ドレイクと人間の恋物語。その手は繋がれていて… 「そうではない。しかしそのハッピーエンドとやらは夢を見たとして得られるものではない。賽を振らずに得てはならない。まぁ、しかし…」 彼女はおもむろに懐から六面体を取り出し転がす 6と6で止まったその目はいつの間にか2つの赤い玉が浮かんでいる 「この世の法則はフィアの手の中にある」 本の二人の手は引き裂かれている。まるで最初からそうであったかのように 「結末より過程こそ楽しまねば。…それより次の本はまだかい?」 「えー、またですかぁ!?」 悪夢は終わる事を知らない… 〜〜〜 【異世界の理】強いわ・。・;
96. くっきー | |
2022/08/25 22:06 |
ある年の冬の日、がらんどうの室内で二人の影だけが伸びていた 一人は白髪の晩年に差し掛かった老人であり、もう一人はその老人の膝の上に座る銀髪紅眼の少年である 「ねぇ、おじいちゃん。お話してよ」 少年は英雄譚をねだるように祖父の顔を見る 「そうだな、誤った選択をした愚かな男の話でもしようか…」 少年の頭に手を起き、過去に想いを馳せるように老人は語り始めた 後継者になるはずの者が次々と不幸に見舞われた事 蛮族の血を引く忌み子を当主に指定した事 そのことが他の名家に露呈するのが時間の問題という状態になった事 淡々と語られる話は、しかして昨日の事のように淀みなく綴られていく 「それで、当主様はどうなったの?」 「もはや已む無しとなってな。追放の上、縁戚の娘を養子縁組してその子供が大人になるまで先代当主が代理を務めることにしたんじゃ」 吊るさなかったのは親族の情けか、家の面子か、そうしてサングラスの軍師は追い出された 「ケイオスラインに送り出したまでは良かった。じゃがな…」 声は窄んでゆく。後悔の念を滲ませて 「そんな折にな。ヴァニタスのデウスデア征服が宣言されたのじゃ」 激動の時代、有能な兄ほど知略を備えていない先代当主はその濁流を乗り切る事が出来なかった 足並みを揃える事が出来ず、結果としてデウスデアは陥落することになる 「…もしあやつを残していたら違う結末もあったのじゃろうか…」 「ノアベルトおじいちゃん…」 涙目の少年をあやしながら老人は立ち上がる 「さ、いこうか。家は無くなってしまったが命まで失ったわけではない。血は未だ絶えてはおらん。ユーバシャールはまた再興すればよい」 二人は建物を後にする。影はいつまでも長く尾を引いていた 〜〜〜 ヴィルフリートBADエンドルート『揺蕩う枯葉の如く』 ヴァニタスの登場でなにもかも変わる感じを表現したかった・。・ ケイオスラインに拠点を移したヴィルフリートですが、ノスの血が手に入らず幾百年後にはヴァンパイアになるという@。@
95. 小慶美(シャオ・チンメイ) | |
2022/08/25 10:34 |
一晩の内紛後のユーバシャール家は滅びを迎えてそうだし、ヴィルフリートの残りの生涯は誰かが作った漆喰で塗り塞がれた部屋で終わってそうと思ったと同時に 処刑を言い渡されなかったら朽ちた肉体から低確率吸血鬼化ルートがあるのかと思うととても切ない もし吸血鬼になったら某ブラッドパスの根源憎悪よろしく(本当に復讐すべきは誰なのかを思い出せないから)終わりのない復讐が始まってしまうのか果たして
93. くっきー | |
2022/08/24 19:23 |
続き 〜〜〜 (赤のビショップを3dへ) ムクリと起き上がるドレスの女性は黒きナイトメアと対峙するも、その声は他の方を向いていた 「時間は稼ぎましたよ。大婆様」 「ミーレスハウル!!ここにアレハンドロは居ないぞ!?どうなっている!?」 辺りは騒然としている 「何だこの騒ぎは!?市街地で剣を抜くとは何事だ!?」 暴れる私兵と抵抗する民間人。冒険者が後者に肩入れするのは必然であった 黒のコマは幾度と盤面を踊る。しかし赤のキングを捕捉するには至らない 「…時間切れですね。剣の陣営も黙っていないでしょう」 「負けたか。あの女狐の化けの皮を剥げるかとちょっとは期待したんだがなぁ」 「そ、そんな…」 盤面の駒が倒れる。黒のキングが前に押し出された (赤のクイーンを7dへ。チェックメイト) 陣地の幕から人が入ってくる。逃げ場などどこにもない。 「ゲームは終わりか?話は議会で聞くよ」 「アステュア卿!これは…違う!は、放してくれ!」 冒険者に軍師は引き渡される。止めるものはそこにはいない 「ノアベルトも大変だなぁ」 「他人事ではありませんよ。全く…」 その日を境に銀髪の軍師を見たものはいない… 〜〜〜 ヴィルフリートのBADエンドルート『一晩の内紛』 利権などは白と青に奪われる事に・。・ アレハンドロ相手に力押ししてもヒラヒラ躱されるだけなので政治の舞台で倒す必要があるが、それは相手の土俵でもある…
92. くっきー | |
2022/08/24 17:34 |
ある年の冬の日、沢山の黒の私兵を引き連れ、ヴィルフリートは盤面と向き合っていた。 「…時間ですね」 小さな当主は言葉を溢した。ヴィルフリートの進言で兵を起こしたが結果がどうなるかまでは読めていなかった 「行きます。黒のナイトを6cへ」 朱の当主アレハンドロの大捕物。罪状はキカートリークスとの内通 種族露呈…一歩間違えば自らの首が落ちる状況を前にしてザンメルンとエスケンデレイヤを説き伏せた彼は攻勢に出る 長距離狙撃。初動から仕留めに動く (赤のキングを2eへ) 「外した!?ちっ!身代わり人形だ!!突入しろ!」 奇襲は魔道具の前に防がれる。素早くリロードをするが獲物の姿はそこにはない 「黒のルークを3iへ」 簡単に倒せる相手だとは考えていない。追撃の手を打つ 「進撃しろ!裏切り者のアレハンドロを捕まえるのだ!」 黒の私兵を多数投入した。練度という点でアレハンドロの手勢に対抗できそうな戦力が居ないことも折り込み済みである (赤のポーンを4gへ) 「アレハンドロ様をお守りせよ!今までのご恩をお返しするのだ!命など惜しむな!!」 立ち向かって来たのは私兵などではない。執事が、メイドが、使用人が、庭師が、料理人が、次から次へとなだれ込んできた この300年親も祖父も曽祖父もそのまた先祖も全てアレハンドロに仕えてきた。家系を辿ればアレハンドロにたどり着くものもいる。染められた朱は忠義の形となって私兵を防ぐ 「ええい、どけぇ!」 地面が真紅に染まる。それでいて尚、立ちふさがる事をやめたりしない 「アンデットを投入すれば一発だと思うが?」 「市街地におけるアンデット使用は看過出来ません。倫理的問題の他に白と青に介入の口実を与えます」 「ああ、そうかい」 可能であろうとは思っていなかったのだろう、さして残念でもなさそうに答える 「黒のクイーンを3dへ。チェック」 銀髪の軍師の頬に汗が流れる。想定外の進行に僅かに手が震える 「馬車を見つけた!これで!」 エスケンデレイヤの当主自らの手で車輪を落とす。壊れた馬車が滑る様に流れ、中に乗っていた真っ赤なドレスの女性が投げ出された 〜〜〜 続く
91. くっきー | |
2022/08/22 23:00 |
パチパチと火の粉が弾ける音だけが響き渡る。 「出来たぞ」 キイチと呼ばれる女性は野菜と豆のスープを2つ準備するとうつむいた男に1つ差し出した。 高位のドレイクであろう男は、今は覇気のない顔をしている。 「…」 「その…冷めないうちに食えよな」 バウンサーとしての実入りはあまり良くない。対キカートリークスを国是にしているデウスデアにこのドレイクを連れて入るのは憚るものがあった。 「俺は…」 「ん?」 か細い声で語る男の言葉を待つ。 「俺は目標を見失ったんだ。倒すべき父を討たれ、就くべき地位を奪われ、住むべき家を…国を追われた」 「ん…」 「何をするべきなのか、何のために生きていけば良いのか分からん」 本心なのだろう。男の背中は小さく見える。 「う〜ん、難しい事は分かんねぇけどよ、兎に角毎日精一杯生きてたらやりたいことは見つかるんじゃないのか?」 「…」 キイチは星空を見上げながらドレイクに言葉を投げかける。 「あ、バウムクーヘンを焼くのは得意なんだ。金が溜まったら店を開きたいんだよ。もしさ…一生懸命生きてなんの目標も見つからなかったさ…その…一緒に店をやらないか?」 言ってて途中で恥ずかしくなったのか、はにかみながらキイチは返事を待つ。 「そう…だな。それも悪くないのかもしれない」 「おっ、じゃあ約束な!」 「ああ…」 ドレイクはスープを一口啜る。 「マズ!!!どうしてこんな簡単なスープがここまで不味くなるんだ!?」 「ひどっ!そこまで言わなくていいだろ!唐辛子とサトウキビにレモンをまるまる入れたくらいだぞ」 「…今日から飯は俺が作る」 ため息をつくドレイクの顔は明るくなっていた 〜〜〜 王の帰還編のキイチとゼクリス・。・ そのうちデウスデアにひっそりとバームクーヘン屋ができているやも