人の夢と書いて儚いと読む(バートルビィの夢)

kangetsu
kangetsuスレッド幕間[web全体で公開] 押されたいいね! 3
登録日:2021/10/10 01:51最終更新日:2021/10/10 01:51

バートルビィ・ロシード伯は、この年の宴で初めて会った、レディ・ベトニィに心を惹かれるようになった。
きっかけは、彼女も秘術を使うということだったが、話を続けるうちに彼女の人柄に惹かれるようになったのだった。

彼女がやたらと下々の衆のことを気遣うのは、バートルビィにとって快いものではなかった(貴族たるもの、そのような者共を気にする必要などないでしょう?)が、そういった欠点も含めて、話をしている時間はとても貴重なものだったのだ。
このまま隣の領主として付き合いを続け、ゆくゆくは、ひょっとしたらロシード家に迎え入れて……と夢見ることもあった。

しかし。
何という裏切りか! 彼女は、ベトニィ家の後継者などではなかった。
彼女は、皇家から派遣された、ロシード家の持つ領土を取り上げるために遣わされた工作員だったのだ!
たしかに、バートルビィによる領地経営はよろしくない点が多々見られた。
無頼者に徴税権を与えて周囲の領土を疲弊させることもあれば、湖に出るフェイを退治するために強大化したウーズを放ち周囲を不毛の地にもした。
男爵の1人は屋敷に住まうハグの呪いで蜘蛛男にされたとのことだ。
それに比べ、レディ・ベトニィの領土は、またたく間に市場、農場、その他設備も復旧し、また彼女らは周囲の貴族たちが抱える問題も次々と解決していった……。

悔しいが、その手腕には尊敬を覚えるし、そして彼女らのその行動が打算だけによるものではなく、本当に民衆を、隣人を助けるために行ったのだということに、純粋な驚きを抱いた。
残酷な裏切りには恨みも覚えた。しかし、それでもなお、バートルビィはレディ・ベトニィ、いやイネスの説く言葉がどうしようもなく彼の心を囚えていたのだった。

結局のところ、バートルビィは彼女に投降した。
彼女の依頼人であるユートロピア皇女に降伏する、という口実でメラット郡におけるロシード家の権益を手放した。
あるいは、自暴自棄だったのかも知れない。だが。さまざまな感情が頭の中で荒れ狂う中で、おそらくはこれが最良の結論だったのだ、とバートルビィは強く信じることにしたのだった。

#####
バートルビィさんの属性は、秩序にして悪。
ただ、悪だからといって周りにいる全員を憎んじたり軽んじたりするわけではなく、大切に思う人は大切に扱い、それ以外はぞんざいに扱う、という感じの偏愛な悪なNPCでロールプレイしようと思っていました。
ただ、PCたちの善政の影響が彼にも良い影響を及ぼし、彼は自分の行いを省みて反省などしているので、そのうちに秩序にして中立あたりに移行していくかもしれませんね……。
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kuro
2. kuro
2021/10/10 06:36
いつもながら良い幕間の話です。
最初の方はイネスが聞いたら照れてしまいそうですね。
ふむふむ、偏愛な悪なるほど。最初に交流の場を用意し、そしてこちらへ向いてくれてよかったです。
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セス
1. セス
2021/10/10 02:00
 どうも、セスです。

 本当に、
「この系の話は、
 参加しているプレイヤーさんたちの趣向」
に、
「大きく影響」
されますねw

 さすかに、
「肌色多目(走召糸色木亥火暴)」
は、
「いらないwww」
ですが、
「少しはエモい方が・・・」
とは、
「いつも感じてます」
です(色即是空 空即是色)


 本当に、
「参加者次第」
ですなぁwww
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