【その他】リプレイ「【怪談百物語】ゴミ袋(※物語部分のみ抽出)」

おおさか
おおさかトピックリプレイ 押されたいいね! 7
登録日:2019/05/03 10:49最終更新日:2019/05/03 10:49

このリプレイはセッションで実際に語られた物語の原本とPL達に改変された物語の2パターンを記載しています。逆にセッション中の雑談や指摘内容、キーワードの公開等は省いています。
なので、このセッションに参加していない人がこのリプレイを見たとして、次回同じセッションを行う際に参加はできない、ということはありません。
原本の方の頭には「(※原本)」、改変されている方の頭には「(※改変後)」とあります。改変後だけを確認したい方は「(※改変後)」をキーワードにジャンプしてください。
(※セッションの時間がキツキツだったのと、GMの負担がやばかったので、改変後の物語は原本より幾分か添削しております。)

(※原本)
◎私は特殊清掃員という仕事をやっております。特殊清掃員っていうのは、まぁ主に死体が出たお部屋の清掃、他にも普通の清掃員では掃除できないような仕事を担っているんですね
◎これは、ある部屋を掃除して起こりました怪奇事件でございます。
◎それは寒い風が吹きすさぶ2月のことでした。私がその日清掃することになった場所というのが、某所のマンションの205号室でした。
◎ガイシャは首吊り自殺。自殺原因は不明とありましたが、清掃員である私たちが知っても栓のない話、特に気にも留めず、そこのマンションのオーナーさんに導かれ、扉の鍵をいただき清掃を始めました。
◎部屋の匂いはいつもの如く酷いものでしたが、気にせず清掃に入ってました。
◎しかし、しばらくその部屋で掃除をしていると「カサカサ」という音が聞こえてきたんです。
◎音の聞こえる場所を見ると、そこには”髪の毛の塊”と見えるものがありまして、まぁおそらくガイシャのあれかなぁって思ったんですよ。
◎私は何故かこの時何も不思議に思わなかったんですよね。ガイシャの身元は既に警察で保護、その後”火葬された”はずなのに。そこに死体の一部があるはずなんてないのに。
◎話は戻りますとね、(嫌だなぁ、嫌だなぁ)と思いつつも、そこに近づいていったんですよ。
◎でね、気づきたくないことに気づいたのですが、もしやこの”髪の毛の塊”の下に”名前を行ってはいけないあの虫”がいるのではないかと思いましてね。
◎この仕事をして長くなりますし、”名前を行ってはいけないあの虫”も見かけることは少なくないのですが、未だに私は”名前を行ってはいけないあの虫”が苦手で苦手で…。本当のことを言えば触りたくも無いんですよね。
◎でも、そんなこと言ってたら仕事が片付かず、日が暮れるでしょう?だから、意を決してそれを掴んで、急いでゴミ袋に入れて入口をキツく結んだんですよ。
◎その日はそれ以外特におかしいことも起きず、無事仕事を終え、帰宅しました。
◎私の住んでいるところは、清掃を行ったマンションとは別のマンションの3階にある部屋で、妻と二人で暮らしています。
◎そして深夜のことです。ふとどこからかゴミ袋が風に飛ばされて地面を引きずってるかのような、そんな音が聞こえてきたんです。
◎むくっと起きて、どこから聞こえてくるんだろうと、眠気眼をこすりつつ音の在り処を耳で追おうとしたのですが、しばらくすると消えたんですね。
◎その時は特に気にも留めず再び就寝に着きました。しかし、それから一週間、ずっと同じ音が深夜に聞こえてくるようになったんですね。
◎でも、すぐに消えるもんだから、私はあまり気にしていなかったのですが…妻の方はどうやら、非常に気になってたようなんです。
◎聞こえ始めてから一週間経ったある日、その日も仕事を終えて家で寝ていると、突如扉がバタン!と開いた音が聞こえたんですね
◎ビックリして目を覚ますと、そこには傍から見ても分かるように怯えている妻の姿がありました。
◎「どうしたの?」と聞くと妻は「外に…外に不気味な物体が…」と言って震えているんですね。
◎その時気づきましたが、また例のゴミ袋が風に飛ばされて地面を引きずってるかのような音が聞こえてくることに気づいたんですよね。
◎でも言っちゃなんですが、私あまり霊的なものを信じる人間でないもので…だからこの仕事が長く続いてるし、そんなところに恐れない自分に惚れた妻と結婚できたのですが…まぁ、それは置いといて。
◎何はともかく、そういう人間なもんでしたから、妻が何かそれっぽいものをそう見間違えたのだと思い、なおかつ音の原因も気になったのもあって
◎「何かの見間違いなんじゃないか?僕もちょっと確認してくるよ」と言って、見に行ったんですね。妻には部屋を明るくして、暖房つけて戸締りをしっかりして待っててもらうようにしてました。
◎実際に外を出ると音もより明確に聞こえてきました。まだこの時の私は、(ん~、なんだかどっかで聞いたことのある音だなぁ)としか思ってなかったんですね。
◎で、音の在り処はどうやら階段の方から聞こえてくるようで、そちらに向かって足を運んだんですよ。
◎途中まで近づくと、その音がどんな音か脳がはっきり認識できたのと同時に、どこで聞いたのかも思い出しちゃったんですよね
◎「カサカサ」「カサカサ」途端にあの日の清掃のことを思いだしちゃって、もう反射的に鳥肌が立ってしまったんですよね。
◎でも逆に、”名前を行ってはいけないあの虫”だと思ったら、妻もその事実に少し安心するかなと思い、足を止めず見に行ったんですね。…本音は見たくなかったんですけど。
◎で、その音の在り処である階段のところまで来たんですね。どうやら、下の方から聞こえてくるようで、何も気にせず持ってきたスマホの光で照らして下の方を見たんですよ。
◎そこには質量を持った何かが入ってるゴミ袋がありましてね。透けて見える分だと、黒い何かが入ってるようでした。
◎それがですね。「カサカサ」と音を立てて階段を昇ってるんですよ。もう血の気が引いちゃって、ブルブル震えちゃって…それでも霊的なものをこれっぽちも信じないせいか、それをじっくり観察してしまったんですね。
◎すると、ゴミ袋の入口が少し開いて、中身が見えることが分かったんですね。
◎…どうやらそれは”髪の毛の塊”のようでした。それだけならまだ無理矢理にでもドッキリかな?とも思ったんですが、重要なのはそこではないんです。
◎その”髪の毛の塊”から顔が見えたんですよ。そして、それと目が合った…いや、多分あったんじゃないかなと思ってます。
◎というのもですね、それには目がなかったんですよ。目が本来ある場所に、ぽっかりと暗い闇が広がってたんですよ。
◎でもね、でもですね。本当に、本当に私が恐怖で震え上がったのは、そこじゃないんですよ。
◎その顔から見える口、そこから舌が見えてたんですが…そこには無数の”名前を行ってはいけないあの虫”がびっしりくっ付いていまして、そいつらがその塊を引きずって動いてたんですよ。
◎それは誰かを呪っていたのか、いや”名前を行ってはいけないあの虫”の方こそが意思を持っているのか、どちらにせよ、そいつは”明確に”こっちに向けてその人のものとは思えない顔を引きずってきてたんです
◎もう自分の声とは思えないような叫び声を上げてしまいましてね、もうそりゃあ全力で部屋に戻りました。
◎部屋で待ってた妻は察してたんでしょうね。もう二人で毛布にくるまり、ただただその「カサカサ」音が止むまでガタガタと震えておりました。
◎音が止み、それでも眠りにつこうとも思えず、私と妻は朝日が昇るまでずっと起き続けていました。寝たら最後、アレが自分の傍にいるんじゃないかと不安で、眠気なんて一切起きませんでした。
◎翌日、管理人の方に夜の悲鳴のお詫びと、バカバカしいながらもお祓いを頼みました。
◎断られたら自費でお祓いをしようと思ってたのですが、意外にも管理人の方はすぐにでも祓ってもらうよう、その手の方へと連絡してくれました。
◎あまりにもすんなりとお祓いを請け負ってくれたので理由を聞いたら、なんでもあの日私の悲鳴を聞いて、同じように外に出た住人の方もアレを見たらしく、皆一同に管理人の方に連絡していたようなのです。
◎数時間後にお寺の方がやって来てくださり、お祓いをしていってくださいました。それ以降はあの「カサカサ」音は聞きません。
◎しかし、今でも私は外で風に吹かれて「カサカサ」音を立てて転がっていくゴミ袋を見る度に背筋に悪寒が走ってしまうようになりました。

(※改変後)
◎私は特殊警備員という仕事をやっております。特殊警備員っていうのは、まぁ主にゴキブリが出たお部屋の警備、他にも普通の警備員では掃除できないような仕事を担っているんですね
◎これは、ある直売所を掃除して起こりました珍事件でございます。
◎それは寒い風が吹きすさぶ2月のことでした。私がその日警備することになった場所というのが、某所のネカフェの205号室でした。
◎ガイシャは猫アレルギーお祝い。お祝い原因は不明とありましたが、警備員である私たちが知っても栓のない話、特に気にも留めず、そこのネカフェのオーナーさんに導かれ、魔王城の鍵をいただき警備を始めました。
◎直売所の商品はその日は「消臭に気を使ったせんべい」でしたが、気にせず警備に入ってました。
◎しかし、しばらくその直売所で乳搾りをしていると「ランランルー」という音が聞こえてきたんです。
◎音の聞こえる場所を見ると、そこには”猫の毛の塊”と見えるものがありまして、まぁおそらくタマ(飼い猫)のあれかなぁって思ったんですよ。
◎私は何故かこの時何も不思議に思わったんですよね。タマ(飼い猫)の身元は既に農協で保護、その後”スカウトされた”はずなのに。そこにゴキブリの一部があるはずなんてないのに。
◎話は戻りますとね、「嫌だなぁ♪嫌だなぁ♪」と歌いつつも、そこにトラクターで突っ込んだんですよ。
◎でも私なーんも気づかなかったのでね、「もしやこの”猫の毛の塊”の下に”名前を行ってはいけないあの夜神月”がいるのではないか~♪」と歌いましてね。
◎この仕事をして長くなりますし、”名前を行ってはいけないあの夜神月”も見かけることは少なくないのですが、未だに私は”名前を行ってはいけないあの夜神月”が大ファンで大ファンで…。本当のことを言えば機会さえあれば超触りたいんですよね。
◎でも、そんなこと言ってたら仕事が片付かず、日が暮れるでしょう?だから、意を決してなんかそこらへんにあったゴミを掴んで、急いでゴミ袋に入れて入口をキツく結んだんですよ。
◎私の住んでいるところは、警備を行ったネカフェとは別のネカフェの33階にある直売所で、妹と二人で暮らしています。
◎そして深夜のことです。ふとどこからか漬物袋が風に飛ばされて地面を引きずってるかのような、そんな音が聞こえてきたんです。
◎むくっと起きて、どこから聞こえてくるんだろうと、眠気眼をこすりつつおならの在り処を耳で追おうとしたのですが、なんでおならの在り処を追おうとしたのか自分でも分からないのですが、しばらくすると見えたんですね。
◎その時は特に気にも留めず再び就寝に着きました。しかし、それから一週間、ずっと同じおならが深夜に聞こえてくるようになったんですね。でも、すぐに見えるもんだから、私はあまり気にしていったのですが…妹の方はどうやら、非常に気になってたようなんです。
◎聞こえ始めてから三年経ったある日、その日も仕事を終えて家で寝ていると、突如魔王城がバタン!と開いておならが聞こえたんですね
◎ビックリして目を覚ますと、そこには傍から見ても分かるように喜んでいる妹の姿がありました。「どうしたの?」と聞くと妹は「外に…外にピカピカな侘び石が…」と言ってよろこびで震えているんですね。
◎でも言っちゃなんですが、私あまり侘び石とかジンクスとか信じる人間でないもので…何はともかく、そういう人間なもんでしたから、「妹が何かそれっぽいものをそう見間違えたのだ~♪」と歌い、なおかつおならの原因も気になったのもあって
◎「何かの見間違いなんじゃないか?僕もちょっと確認してくるよ」と言って、見に行ったんですね。実際に外を出るとおならもより明確に聞こえてきました。まだこの時の私は、(ん~、なんだかどっかで聞いたことのあるおならだなぁ)としか思ってったんですね。
◎で、おならの音はどうやら馬小屋の方から聞こえてくるようで、そちらに向かって足を運んだんですよ。途中まで近づくと、そのおならがどんなおならか脳がはっきり認識できたのと同時に、「どこで聞いたあるかも~♪」歌い出しちゃったんですよね
◎「ランランルー♪」「ランランルー♪」途端にあの日の警備のことを歌いだしちゃって、もう反射的に気が立ってしまったんですよね。なんでこんな歌を歌ってるんだって
◎でも逆に、これは”名前を行ってはいけないあの夜神月”からのラブコールだと思ったら、妹もその事実に少し安心するかなと歌い、足を止めず見に行ったんですね。…本来ならおならをしてる人の姿なんて見たくなかったんですけど。
◎で、そのおならの音が聞こえる馬小屋のところまで来たんですね。どうやら、米櫃の中の方から聞こえてくるようで、何も気にせず持ってきた聖剣の光で照らして米櫃の中にある階段…なんで階段が米櫃の中にあるのか分からないのですが…その奥の方を見たんですよ。
◎そこには質量を持った聖杯が入ってる漬物袋がありましてね。透けて見える分だと、気の抜けたデザインの聖杯が入ってるようでした。それがですね。「ランランルー」とおならを立てて馬小屋の米櫃の中の馬小屋を昇ってるんですよ。自分で何を言ってるのか分からないんですが、もう血の気が引いちゃって、ブルブル震えちゃって…それでも物語に出てくる英霊的なものなんてこれっぽちも信じないせいか、それをじっくり観察してしまった
◎すると、漬物袋の入口が少し開いて、聖杯の中身が見えることが分かったんですね。…どうやらそれは”猫の毛の塊”のようでした。それだけならまだ無理矢理にでもドッキリかな?とも思ったんですが、重要なのはそこではないんです。
◎というのもですね、それには尻があったんですよ。尻が本来ある場所に、ぽっかりと暗い闇が広がってたんですよ。でもね、でもですね。本当に、本当に私が笑いで震え上がったのは、そこじゃないんですよ。
◎その尻から見える口、そこから舌が見えてたんですが…そこには独りの”名前を行ってはいけないあの夜神月”がしっとりくっ付いていまして、そいつがその塊を胴上げしながら動いてたんですよ。
◎その尻は誰かを祝っていたのか、いや”名前を行ってはいけないあの夜神月”の方こそが意思を持っているのか、どちらにせよ、そいつは”明確に”こっちに向けてその人のものとは思えない尻を胴上げしてきてたんです
◎もう自分の声とは思えないような叫び声を上げてしまいましてね、もうそりゃあ全力で直売所に戻りました。直売所で待ってた妹は察してたんでしょうね。もうどっかから湧いてきた七十二人で毛布にくるまり、ただただその「ランランルー」と空耳するおならが止むまでゲラゲラと笑いながら震えておりました。
◎おならが止み、それでも寝落ちしようとも思えず、私と妹は朝日が昇るまでずっと起き続けていました。寝たら最後、アレが自分の傍にいるんじゃないかとワクワクで、眠気なんて一切起きませんでした。
◎翌日、管理人の方に夜の悲鳴のお詫びと、バカバカしいながらもお祓いを頼みました。断られたら自費でお祓いをしようと思ってたのですが、意外にも管理人の方はすぐにでも祓ってもらうよう、駄女神様へと連絡してくれました。
◎あまりにもすんなりとお願いを請け負ってくれたので理由を聞いたら、なんでもあの日私の悲鳴を聞いて、同じように外に出た住人の方もアレを見たらしく、皆一同に管理人の方に連絡していたようなのです。
◎数時間後に駄女神様がやって来てくださり、あの尻にお願いをしていってくださいました。それ以降はあの「ランランルー」というおならは聞きません。しかし、今でも私は外でシャボン玉と共に「ランランルー」というおならを立てて転がっていく漬物袋を見る度に腹筋に笑いが走ってしまうようになりました。

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