フェンリルちゃん(新星界スターロード用キャラクターシート)
Jellbyが作成したTRPG「新星界スターロード」用のキャラクターシートです。
フェンリルちゃんの詳細
キャラクター情報 NPCでの使用は不可 | ||
TRPGの種別: | 新星界スターロード |
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キャラクター名: | フェンリルちゃん | |
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フェンリルは孤独だった。 フェンリルの周りで機械が勝手に動き出す。それは『電脳妖精』と呼ばれる者が使うことの出来る能力の一つだったが、フェンリルが住む世界……ヘルズガルドではそんなことはあり得ないというのが常識だったのだ。 人は自分の理解できないものを忌み嫌う。それが一人なら、ただの好き嫌いだが、それが集団となるとそれは排斥の理由となる。 そう。フェンリルはその世界で排斥されたのだ。自分の住む故郷、町、家……様々なところで…… だから、フェンリルは自分が排斥される原因となった機械……AIを憎んだ。AIさえなければ、自分は排斥されることもなく、きっと笑顔でいられたのだろうから…… あの日、あの少女に出会うまでは…… その少女はフェンリルま前に突然現れた。120mもある巨大な物体と共に…… フェンリルの世界には航空機と呼ばれるものが存在しない。その理由は、二つある。 一つ目は全宇宙で起こった文明の崩壊によって、航空機技術はロストテクノロジーとなったこと。 二つ目は、この惑星上で発生する揚力が著しく小さかったことだ。 文明崩壊前。揚力の小さいという問題は高度な航空技術の前では些細な問題だった。 揚力が小さいだけであれば、それを補うだけの技術が使えば済むだけの話だ。効率は悪くなるが、それだけの問題だった。 だが、文明の崩壊がそれを台無しにした。 惑星ヘルズガルドにおいて、文明が再構築されるにあたって、課題の大きい航空技術の優先度は非常に低かった。^その結果、航空技術はロストテクノロジーとなった。 生態系において鳥、昆虫、植物。そのどれもが、揚力が小さいという問題の前に無力だった。飛ぶことで採餌やや繁殖に有利だったそれらの生物が真っ先に絶滅した。 故に、それらの生物が存在すれば、発展へと繋がったかも知れない航空技術への道筋も途絶えた。 だから、ヘルズガルドでは、この世界に、飛翔するという概念はない。ましてや、極大な物体が空中に浮かぶなどというは決してない。 そういう発想さえもないのだ。 確かに、カタパルトによって、ある程度のものを打ち出すことは出来る。だが、全長120mもの巨大なものを打ち出すカタパルトなど存在しない。 存在したとしても、どれだけのエネルギーが必要だろう。そのエネルギーは位置エネルギーに変換され、すべて位置エネルギーへの変わった後、今度は重力に引かれて落下する。 最終的に地面に衝突した際、位置エネルギーはすべて衝撃となって地面に放出される。その衝撃で大きなクレーターが出来るだろう。 だが、その巨大な物体はわずかな衝撃を与えただけで地面に着地した。 大鯨 「チェミー様。非常事態とは言え、ここはレベル1のレッドゾーン*1内ですよ。良いんですか?」 チェミー 「うーん。良くはないと思うけど。仕方ないじゃないかな。それに、出来るだけ一目がないところを選んだから」 ふいに、巨大な物体の側面に割れ目が生じて、壁が倒れて来る。そこから階段のようにものが伸びて来て中から人と小さな生き物が話しながら降りてくる。 -------------------------------------------------------------------------------- フェンリル 「あなたたち、そこで何をしているの!!」 フェンリルはその怪しげな少女に向かって言った。相手は大人じゃない。だったら、自分一人で何とか出来るかも知れない。 そしたら、パパやママも私に優しくしてくれるかもしれない。 チェミー 「!!」 少女は慌てたように、立ち止まる。そばにいる小さな生き物はそのまま地面に落下した言った。 フェンリル 「その変なの、忠に浮いてなかった?」 チェミー 「変なのって、大鯨ちゃんのこと?」 フェンリル 「それに何かしゃべってた」 チェミー 「えっと、気のせいじゃないかな?」 そう言いながら、少女の目は少し泳いでいた。 -------------------------------------------------------------------------------- フェンリルが高圧な態度を取っても笑顔を崩さない。せいぜい、ちよっと困ったような表情を見せる程度だ。 いつのも自分はそんな態度を取れはしない。だから、一層高圧的な態度を取ることになった。 もし、少女がそんなフェンリルの態度に怯えたような表情を見てたなら、そこに自分自身を見つけた出来なかっただろう。 だが、少女はそんな表情はまったく見せなかった。何故なら、少女はフェンリルの取る態度の中に、優しさを見出したからだ。 -------------------------------------------------------------------------------- チェミー 「この船のこと、誰にも言わないって約束してくれると嬉しいな」 少女は見たこともないような笑顔でそう言った。いや違う、そんな笑顔を向けられたのは初めてだった。 そんな彼女の笑顔を見て、フェンリルは冷静さを取り戻した。 こんな大きなものが空を飛ぶと言って、信じてもらえるだろうかと。自分の持つ能力を否定する彼らにはただの戯言にしか聞こえないのではないか? フェンリル 「まっ、あんたがどうしてもって言うなら、黙っててあげてもいいわ」 フェンリルはそれを認めるのが嫌で、いつそんなことを言ってしまう。言って信じないから言わない理ではなく、少女が嘆願するからしかたなしに言わないであげるのだ。 チェミー 「うん。ありがとう」 そして、その後の少女の笑顔を見て絶句する。さっき以上の笑顔……それがまぎれもなく自分に向けられているのだ。 そして、思ってしまった。彼女の笑顔をいつまでも見ていられることが出来たら、どんなに幸せなことだろうと…… -------------------------------------------------------------------------------- チェミー 「ひっく……ひっく」 フェンリル 「べ、別にあんたが泣く必要はないわよ。これは私のことなんだから」 自分に向けられたのは、嘲笑や侮蔑といういった負の感情。 でも、彼女は自分に笑いかけてくれるばかりか、自分のために泣いてくれる。 そんな存在が、今までいただろうか?……あるいは、遠い昔。誰も彼女の能力に気づかなかったはるか昔。そんな感情向け去られたのかも、知れない。 でも、そんな記憶はフェンリルにはない。 -------------------------------------------------------------------------------- チェミー 「昔ね。地球っていう惑星に日本って国があったんだって。そこの言葉にこんなのがあったんだって。 『AIはね。愛が二つも持っているのよ』……意味は分からないけど、私はこの言葉好きなんだ」 -------------------------------------------------------------------------------- 大鯨 「チェミー様。レベル1の住民を連れ出すと、処罰の対象になります」 チェミー 「それは、そうなんだけど」 フェンリル 「……別にいいわよ。連れ出してくれなくても」 大鯨 「本人もこう言っていることですし」 チェミー 「……」 でも、チェミーにはフェンリルの心の声が聞こえたような気がした。『自分をここから連れ出してほしい。助けてほしい』と チェミー 「うん。じゃあ、口封じ」 フェンリル/大鯨 「「はい?」」 チェミー 「だって、そもそもレベル1の住民に接触したこと自体が賞罰の対象じゃない。だからね、その目撃者を拉致するの。これで問題解決」 大鯨 「そんなわけには……」 チェミー 「……法律っていうのは、みんなが幸せになるために存在するの。私はそう思っている」 大鯨 「チェミー様」 チェミー 「今、私がその法律を破ったら、誰が不幸になるの?」 大鯨 「チェミー様?」 チェミー 「そうしたら、フェンリルちゃんのパパやママが悲しむの?……フェンリルちゃんが不幸になる?」 大鯨 「……」 チェミー 「フェンリルちゃんは、ここには居場所がないの。……でも、逃げ出すことは出来ない。その手段を持っていないから」 フェンリル 「……」 チェミー 「でも、私なら、手を貸すことが出来る。逃げ出すのを助けることが出来るの」 チェミー 「そのためだったら、私は処罰を受ける覚悟は出来てる」 大鯨 「……チェミー様」 チェミー 「でも、私が手を貸すには一つだけ条件があるの」 チェミーはフェンリルを真正面から見つめて言う。 フェンリル 「な、なによ。条件って?」 チェミー 「フェンリルちゃんが、自分の意志でここから離れるって言ってくれないと、言葉にしてくれないと、私は手を貸せない」 フェンリル 「……」 チェミー 「……」 フェンリルはどう返そうか考え、チェミーはその答えを待つ。 答えなんて決まっている。二人ともそれは分かっている。これは確認の儀式。 フェンリル 「……ど、どうしてもっていうのなら、着いて行ってあげても良いわ」 だから、第三者が見ても全くなっていない意志表示だとしても、それはチェミーに取っては通用する。 チェミー 「うん。着いてきて欲しいな」 それが当事者の二人にしか通じないやり取りだとしても。 フェンリル 「し、しょうがないわね。そこまで言うのなら、着いて行って上げるわ」 それが不器用なフェンリルの精一杯の意志表示なのだから。 ---------- *1様々な理由で進入禁止になった宙域のこと。ヘルズガルド星系の場合は、前FTL文明まで退化したため、外部干渉を防ぐ意味で設定された |
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キャラクターID: 153886806452aciam13
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本作は、「山北篤、F.E.A.R.、ゲーム・フィールド」が権利を有する「新星界スターロード」の二次創作物です。