東郷 響(クトゥルフ神話TRPG用キャラクターシート)
L4zzが作成したTRPG「クトゥルフ神話TRPG」用のキャラクターシートです。
本作は、「サンディ・ピーターセン」「リン・ウィリス」「中山てい子」「坂本雅之」「KADOKAWA」が権利を有する「クトゥルフ神話TRPG」の二次創作物です。
(C)サンディ・ピーターセン/リン・ウィリス/中山てい子/坂本雅之/KADOKAWA
東郷 響の詳細
キャラクターID: 162383716261L4zz
キャラクター情報 NPCでの使用可(連絡自由) |
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TRPGの種別: |
クトゥルフ神話TRPG |
いいね! 0 |
キャラクター名: |
東郷 響 |
♥: |
12 / 26012 |
♥: |
17 / 17 |
外部URL: |
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メモ: |
奇妙な幸運
天気予報士 |
詳細A: |
《プロフィール》
【職業】 軍兵士 【性別】 女 【年齢】 20
【出身】 瀬戸内地方 【学校・学位】 国民学校高等科2年
【精神的な障害】
【SAN値】 現在 / 最大
85 / 99
【STR】 51210 【APP】 17 【SAN】 85
【CON】 52014 【SIZ】 9 【幸運】 85
【POW】 17 【INT】 15 【アイデア】 75
【DEX】 3013 【EDU】 14 【知識】 70
【H P】 26012 【M P】 17 【ダメージボーナス】 +3200D6
【職業技能ポイント】 280
【個人的な興味による技能ポイント】 150
《戦闘技能》
☐回避 99% ☐マーシャルアーツ 1%
☐こぶし 50% ☐キック 25%
☐頭突き 10% ☐組み付き 25%
☐拳銃 20% ☐投擲 25%
☐マシンガン 35% ☐サブマシンガン 15%
☐ライフル 25% ☐ショットガン 30%
☑日本刀 65% ☐騎士の連撃:初 50%
《探索技能》
☐目星 48% ☑聞き耳 70%
☑応急手当 60% ☐追跡 10%
☐隠れる 10% ☑忍び歩き 13%
☑隠す 20% ☐写真術 10%
☑図書館 60% ☐登攀 40%
☐鍵開け 1% ☐精神分析 1%
《行動技能》
☐水泳 25% ☐運転: 20%
☐電気修理 10% ☑操縦:艦艇 60%
☐跳躍 25% ☐ナビゲート 10%
☑機械修理 60% ☐製作: 5%
☐乗馬 5% ☑重機械操作 40%
☐変装 1%
《交渉技能》
☐母国語 70% ☐信用 15%
☐説得 15% ☐言いくるめ 5%
☐値切り 5% ☑ロシア語 30%
☑英語 10% ☑中国語 10%
☑フランス語 10%
《知識技能》
☐歴史 20% ☐クトゥルフ神話 0%
☐オカルト 5% ☐コンピューター 1%
☐経理 10% ☐電子工学 1%
☑天文学 40% ☐物理学 1%
☐化学 1% ☐考古学 1%
☐心理学 5% ☐法律 5%
☐人類学 1% ☐生物学 1%
☐薬学 1% ☐地質学 1%
☐博物学 10% ☑芸術:口風琴(ハーモニカ) 60%
☐医学 5%
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詳細B: |
{武器}
キック 1D6+DB タッチ 1回 -
組み付き 特殊 タッチ 1回 -
こぶし 1D3+DB タッチ 1回 -
頭突き 1D4+DB タッチ 1回 -
{所持品}
【現金】 【預金/借金】
{パーソナルデータ}
【収入】 【個人資産】
【不動産】 【住所】
【家族&友人】
【狂気の症状】
【負傷】
【傷跡など】
【読んだクトゥルフ神話の魔導書】
【アーティファクト】
AF:疑似ソウルジェム
人間、もしくは人を越えたナニカである(PC名)が「魔法少女」として戦うために作られたモノ。彼/彼女はこれを使うことで、「願いの力」を一時的に行使することが出来る。破壊、消滅は不可能。所有者が念じると手元に最も近い空間に表れる。
このAFは所有者の意思で自由に発動、解除することが出来る。
発動時、自身の身体が「魔法少女」のものへと変質し、以下の能力を得る。
・「結界」の内部で自身が肉体的もしくは精神的死亡状態にある場合、元の世界に帰還出来る。
・自身の体が欠損した場合、MPを消費することでその部位を再生することが出来る。部位毎の消費MPは以下の通り。
・頭部:10MP
・四肢:1つ3MP
・内臓:1つ5MP
・全身骨折;5MP
・完全再生:30MP
この能力によって部位を再生しても、HPは回復しない。
これらの部位の欠損もしくは損傷によって死亡した場合、この能力によって再生し、受けたダメージを無効化することが出来る。
・このAFには武器(AF含む)を3つまで登録することが出来る。登録及び解除は魔法少女養成施設でのみ可能。登録されている武器は、魔法少女になっている間「願いの力」を帯びる。
現在登録武器:
・専用武器を展開することが出来る。
専用武器:
・変身できる。(現在はまだ不可能。)
願いの力:1
【学んだ呪術】
【遭遇した超自然の存在】
【探索者の履歴】
魔法少女養成施設(KP:コンソメさん)1 1
日本刀+20
魔法少女養成施設(KP:コンソメさん)2 2
日本刀+20
・刺青-身体強化 Promise’s charm
魔法少女養成施設(KP:コンソメさん)3 3
目星+13
『絶望の騎士』
魔法少女養成施設(KP:コンソメさん)4 4
騎士の連撃:初+20
魔法少女養成施設(KP:コンソメさん)5 5
騎士の連撃:初+20
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詳細C: |
(▼ ネタバレを含む内容を開く ▼) ヒュ~ゥ…ヒュ~ゥ…
磯笛の音が聞こえる。
海の見える崖へと走ると、陽の光を受けて燦々と輝く水面に、幾つかの船が浮いている。
「海女さんたち、今日も熱心だな。」
自分もいつかそうなるのだろうか。この小さな漁村で、旦那を見つけて一生を終えるのか。
「お~い、露助~!なんしよん~?」
見ると遠くから呼ぶ声がする。見ると黒い学ランをピシッと着こなした学生どもが徒党を組んでいる。
そういえば今日は高等科の開学日だったか。遠目でよく見えないが、あれは武ちゃんと信ちゃんだろう。
「なんちゃやない!」
取り敢えず叫び返して、そちらの方に寄っていく。
とりとめのない会話をしながら、帰路に就く彼らの話を手持ち無沙汰に聴いていた。
すると、空から何やら音がする。
ブーン…
見ると、どの型かは分からないが、戦闘機が飛んでいた。付近の海軍基地からだろうか。
「みとん!かっこええのう!」
二人も気づいたようで、彼らはそれに手を振っている。
私も武ちゃんと信ちゃんと、一緒になって手を振った。操縦士が見えてるのかは分からないが、午後のキラキラっとした陽射しに紛れて、その機体は直ぐに見えなった。
「それにしても、一体全体戦争はどうこけるんかの。」
「なんゆうとん、天皇陛下の御威光でたちまちにに八紘を平定せしむよんよ」
「ほんなんええなあ…」
…
時は1939年。現行の歴史とは少しだけ違い、産業革命と先の大戦で、女性の社会進出がもう少しだけ進んだ、どこかの世界の日本。
これは、彼女の、わずかながらの記録である。
…
生まれた時から、人とは少し違った。
白い髪をした、彫りの深い顔立ちをした父親は、異郷の言葉で、よく私に昔話をしてくれた。
私は、同じく白い髪をいじりながら、よく理解もせずにそんな話を聴いていた。
「そうだ、その時私は、マダガスカルという所にいたんだ。これがまた暑くて暑くてかなわなくってね。」
「あの時はまだ私も若かったけど、ロジェストヴェンスキー提督が本国との通信をするたびに怒鳴り散らかしてたのは覚えているとも。彼は一刻も早く艦隊を日本に向かわせたかったんだ。」
「結局、何か月もあとになって私たちは予定された航路を辿って、ウラジオストクに急いだんだ。けどね、そこで私たちを待っていたのは連合艦隊だった。結果私たちの艦隊は大敗北を喫してしまったよ。」
そんな話を聞きながらも、父親の表情は至って温和だった。
「…父さんは、悔しくなかったの?」
「…正直、そこまでなかったよ。長い長い船旅と劣悪な環境で、もう何のために戦ってるのか分からなかった。それに、私たちは誇り高い海軍に負けたんだ。」
「誇り…?」
「私たちは確かに負けたが、日本軍は私たちにとても良く接してくれた。一時期松山にいたが、捕虜の私たちの待遇のほうがここの軍人よりよかったと思ったほどだ。陸軍もどうやら同じだったらしい。彼らは口々に乃木将軍をたたえていた。私たちが東郷大将をそう呼ぶのと同じように。」
「東郷…」
「あぁ、彼は連合艦隊の当時の指揮官で、とても立派な人格者だった。私たちの苗字も、彼にあやかったものだよ。」
そう語る父親の姿に、私は、何かを見た。
思えば、それは偶像とも言える、現実味のない何かだ。
それは、後々の教育を経て、明確な形を持つことになる。
つまり「天皇陛下万歳」であり、「皇国ノ興廃コノ一戦ニアリ」であり、乃木将軍の殉死であり、名もなき兵士たちの行進する姿であり、そしてそれは、いずれ愛国心とも呼ばれる、今はまだ小さな、憧れであった。
「私も、もし兵隊になったら、そんな風になれるかな。」
そう問いかけると、父親は苦笑した。
「可愛い私の娘、それは荒唐無稽というものだ。女の子が兵隊になるなんてとんでもないよ。君は良い旦那を見つけて、ちゃんとした生活を送り、いつか君の子供にもこのような話をしてあげるべきだ。」
「そうかな。でも、もしかしたら、頑張ればなれるかもしれないよ。」
「ふふ、まだまだ夢見がちなお年頃のようだ。ほら、お母さんの所に行きなさい、お嬢さん。」
「はーい。」
そして、私は黒い髪の女性の懐へと潜り込む。
何を話してるのかねぇ、お前さんたちは。と、露語が分からない彼女は、ただ優し気に微笑んで私を抱きかかえた。
…
私が生まれ育ったのは小さな漁村だ。
父親は露西亜人、母は日本人だ。
父は昔、露海軍だった。そして日露戦争を経て日本の捕虜となり、そして終戦後も終ぞ故国へ戻らなかった。
母親とは、松山の収容所で知り合ったそうだ。当時は看護婦だった。
どうも本来は露西亜に送還されるはずのところを、二人で駆け落ちて、この漁村まで逃げてきたらしい。
しかし、当時の人々からすれば、つい先ほどまで戦争していた国の人だ、快く迎えるはずもなく、爪弾きのような扱いであった。
父は都会に出稼ぎに行って、ほぼ帰ってこないため、大多数の時間は、私は母と二人で暮らしていた。
不幸中の幸いは、私自身髪が白く、近所の子供に露助とあだ名されはしたものの、それは差別とも呼べない区別程度でしかなかったということか。
中でも、お隣さんの武ちゃんと信ちゃんとは交流も厚く、二人のお陰もあって、子供たちの間ではそこまで非難を受けることはなかった。
しかし、村人からの奇異の目線は、子供だとしてもどことなく分かるものであり、純粋にただ遊び惚ける年頃を過ぎたころには、疎外というものは肌でひしひしと感じ取れるようになった。
そして、国民学校の初等科、確か3年の頃だったろうか、父親が死んだ。
働いていた工場の事故らしい。
幸いにも賠償金は渡されたが、直ぐに後を追うように母も病死してしまった。
あっけもなく、天涯孤独になった私は、村役場で奉公する代わりに、そこの職員の一人に面倒を見てもらっていた。
…
「松本さん、持ってきました。」
洗い終わった彼の洗面盆を渡すと、彼はしかめっ面で難癖をつける。
彼は松本さん。本名は英明。私が面倒をみてもらっている、老けた男性だ。
「なんだこれは、洗い残しがあるじゃないか。」
そういう彼の目線を追うと、確かにそこにはブラシが行き届いてなかったのか、少し曇っている箇所があった。
他がピカピカなのが相まって、尚更、まるで羊の群れの中に一匹いる狼のように、その曇りは目立っていた。
「すいま…」
謝罪の言葉を言う前に脳天に衝撃が走る。鉄拳…とまでは行かないが、どうやら軽くごつかれたらしい。
「…おっとすまん、つい手が出ちまった。癖でな。」
顔を上げると、どうやら本当にわざとではないらしく、ばつの悪そうな顔で頬をボリボリとかいていた。
「昔は俺も軍人でな、よく上官にこうやられたもんだ。」
「軍人だったんですか。」
「おうとも。東京のもんでなぁ、ここみたいな田舎は方言も重いしよう馴染めん。」
その言葉に、私は急に、彼が身近な存在に思えてきた。
彼もまた、この村では異端だったのだ。私ほどではないにしろ。
そういえば、あまり彼が誰かと一緒にいるところは見たことない。
そんな親近感を持った私は、これまでためらっていた彼との交流を行うことにしてみた。
「…軍人って、どんなものなんですか?」
「ん?気になるのか、嬢ちゃん。」
「お父さまも、海軍だったので…」
「おぉ、そういえばそうだったな。俺は陸軍だから面識はないが、恐らくは日露戦争でやりあった仲だろう。よーし、そこに座れ。今日はお前も休学日だろうし、話してやろう。」
そうして暑い夏の日差しの中、時折井戸に水を汲みに行きながら、私は彼の言葉に耳を傾けた。
…
「…というわけで、そこで全軍突撃!といって、みんなで一斉に向かうわけだ。」
「…要塞からババババって機関銃が撃たれてのう、あの時ばかりは助からんと思っておった。」
「そこから盛大に打ち上げてな、みんな酒とつまみを持ち寄っておった。あの時ばかりは無礼講だったよ…」
熱烈に話す彼の話を、私は聞き入っていた。
見栄を張っているのか、はたまた本当にそう思っているのか、彼の話す軍の生活はどこか愉快で華やかで、そして、なんとも楽しそうであった。
「…なんか、随分と楽しそうですね。死ぬのは怖くないんですか?」
思わず、そう聞いてしまった。言葉を口に出してから、しくったと思った。
「…お前、こんな言葉をしってるか。」
思ったような罵声か、もしくは鉄拳制裁は飛んでこなかった。
「身を鴻毛の軽きにおく、という言葉だ。」
「意味なら、もちろん理解しておりますが。」
「そういうことだ。死ぬのを恐れて軍人は務まらん。肝要の戦闘中、全員が配置についた時、それは各々が各々の命の手綱を握っているのだ。」
やけに真剣そうな表情で彼はそう言った。
まるで私に何かを諭すように。
「命の…手綱…」
気がつくと、日はそろそろ落ちようとしており、空には月が薄っすらとかかっている。
「もうすぐで十五夜か。」
松本さんはそう言った。言われてみればそうだ。
「もうそのような時期ですね。」
適当に返答しながら、井戸水をコップ一杯くんで飲み込む。
「お前さんは、月見はしたことはあるかい。」
いつのまにか、徳利を持ち寄って、松本さんは空を見上げていた。
「はい、お母さまが生きてた頃は。」
父はそのような習慣はなかったが、母はそれでも毎年団子を作っていた。
そして、ふとそう言われれば、そういえばもう二年もたったのかと、子供ながらに時の流れの早きことを自覚する。
「俺は、もう三十余年も、よく見てないなぁ。」
そう呟く松本さんの顔は、どこか懐かし気で、それでいて寥々としていた。
「月がお嫌いなのですか?」
「いや、そうじゃない。ただ、思い出すんだ。」
そう、彼はぽつぽつと、先ほどの熱弁が噓のように、蕭蕭と語り始める。
「当時、俺は旅順におった。お前さんも教科書で習っただろう。」
「旅順攻囲戦ですか。」
「そうだ。当時、俺は第七師団におったんだがのう。ある日、203高地を攻むると言われたんだ。」
「…」
それは、先の戦争で最も惨烈な戦いの一つであることは、子供でも知っていた。
「お国のために、天皇陛下のためにと言って、突撃する時に怖くはなかった。靖国で会おうぞとみなで約束していた。」
「しかしな、俺は一回目の総攻撃で足をやられちまった。そして坂を転げ落ちて軍医に拾われた。」
大きく徳利を傾け、中身がもうないのを確認して、彼はそれを無造作にわきにどける。
「そして、俺は後ろでぬくぬくと生きながらえてしまった。皆との約束も果たせず、おめおめとなぁ。」
そう言った彼は、酔ったのか、はたまた月にでも当てられたのか、さめざめと涙を流していた。
その時ばかりは、普段大柄な彼が、随分と小さく見えたものだ。
暫くして、彼はまた言葉を紡ぐ。
「自刃も考えたが、折角拾った命だ、帰ってお国に役立てろと、そう大将に言われてのう。」
「仕方もあるまいて、二人あそこに埋めた大将殿に諭されては聞かにゃならん。結局そこから三十何年、生き恥さらす人生だった。」
その時、つい口をついて出た言葉は、結局彼はどうとらえたのだろうか。
「そのようなことはありません、松本さんは立派だと思いますよ。」
一体何が立派なのか、それは分からないが、子供ながらに、彼は立派な人だと思ったものだ。
「…そうかい。そりゃ、よかった。」
そう言い、彼はそろそろ寝るぞと、部屋へと戻っていった。
徳利をしまいながら、私は、彼が言っていたことをも、心の内にしまっていた。
その日から数日、中秋の名月を待たずして、眠るように松本さんは亡くなられてしまった。
昭和16年秋、日中戦争の真っただ中にして、新たな戦の幕開ける前夜の出来事であった。
松本さんが残した遺品は、整理する気にもなれず、未だに家に置いている。
…
さて、その翌年、いよいよ太平洋戦争が開戦して、もう一年経った。
「どうしたものか…」
「あそこの家も一人息子だろうに、何とも惨いことを…」
如何に愛国教育を施そうとも、やはり、母親と謂ふものは、どうしても我が子が可愛いものなのだろう。
私はというと、松本さんが亡くなってから、彼の家を継ぐものもいないので、そこに住まわせてもらっていた。
まだ父の死んだ時の賠償金が残っていたため、あと数年程度は食い繋げるものの、一体全体これからどう身を振るのか。
”高等科の授業も、ご厚意で立ち聞きさせてもらってるが、卒業はできないしなぁ…”
結局どうすればいいのかは、それは、未だにわからぬものだった。
そうこう近所の井戸端会議を聞きながら、井戸水を汲んでいると、近くに誰かが寄ってきた。
「おう、響さん。どうも」
はて、そこを見ると、やけに神妙な顔をした武ちゃんであった。
彼の本名は坂口武雄、私と同年代の、14歳の少年だ。
「どうも、武雄さん。」
昔のように露助などと呼んできたガキ大将も、もう随分と立派になったものだ。
かく言う私も、もう安易に彼を武ちゃんなど呼べないのだが。
「どうかなされたんですか。そう畏まってしまって。」
さて、それにしても今日はやけにギクシャクしていると思い、彼にわざとらしく、まじめぶって尋ねてみた。
ただの冗談のつもりであったが、しかしどうやら本当に煩わしいことでもあったらしく、彼の表情は硬いままだった。
「これを見てくれ。」
と、彼はそう言って、ポケットの中から、号外を取り出す。
”海軍特別年少兵”
そう書かれた見出しがある。
「これは?」
「海軍が新たに出した制度だ。14歳から従軍できる。今、各町村に通達されたところだろう。」
そういう彼の表情から、私は幾分か何かを察せた。
「武ちゃん、まさか行くつもり?」
思わず口調が乱れる。
無理もない、彼は決して死地に赴く必要のない人間だ。
彼の家はそれなりに裕福であり、彼自身も学業は優秀だ。既に江田島に行く打算もあったはずだ。
「確かに、それはそうだが…仮に俺が行かねば、他に行かんといけん奴らが出る。」
「だとしても、何も武ちゃんが行かなくとも…」
彼は首を横に振った。
「俺は三男坊だ。確かに大事にされてきた自覚はあるが…」
そう言って、彼はどこかを見る。
視線の先には、遠くで手を振っている信ちゃんの姿があった。
「あいつは、家の長男だ。確かに俺の家は金持ちだし、俺が進学すれば、行かなくて済むだろうが…」
そういう彼の真意は、別に言葉はいらずとも、悟れるものだ。
「だから、響さん。俺は行くことにするよ。」
そういうと、彼は「新聞はやるよ、俺は読み終わったから。」と言って、信ちゃんの方へとかけていった。
手元に残された新聞を見ながら、その日、私は家から出なかった。
…
「あんたが特年兵…?なんの冗談だい。」
「女性が従軍できないとは一言も書いてないですよ。その規定は昭和14年にかわっています。」
私は、村役場で村長と話し込んでいた。
「我々の村から出した兵が女だと言われれば申し開きが…」
「しかし、武雄さんは前途有望だし、信彦さんも家の棟梁としてまだまだこれからじゃないですか、私は根無し草、いつ死んでもよろしい身です。」
「むう…」
彼らにとっても、悪い話ではない。私のような、言わば村の異端を差し出せば、有望な若者二人を残せるのだ。
後からならば、言い訳もいくらでもきくだろう。
「分かった、皆のものと話し合ってみよう。」
そこからはとんとん拍子だった。学校に掛け合ってもらい、卒業証書を融通してもらった私は、そのまま、恐らくはかなり少ない、もしかしたら初の女としての海軍従軍が決定した。
私も私で、完全に感情が先行して、ふわふわとした心情のまま、全てが進んでいった。
それが崩れたのは、ある日、武ちゃんが家に訪ねてきた時だった。
「お前、何やってるんだ!響!」
出会い頭胸倉をつかまれ、まるで取って食われるような剣幕の彼の目頭には、涙が浮かんでいた。
「…」
返す言葉も思い浮かばなかった。実際、彼のことを愚弄していると取られてもおかしくはない行動だったろう。
「…もう決まったことですから。」
そう目をそらしながら言うしかなかった。
結局、彼は無言で帰ってしまい、最後にあったのは、出発の日であった。
…
そして、一週間程度の期間を開けて、私は、荷物をまとめ、駅に向かおうとしていた。
初めは、きっと一人孤独に征く道になるのだろうかと思ったが、駅までつくと、意外と、村の皆々様が勢揃いしている。
みな、手に一面の旭日旗の小端を持って、それを振っている。
「皆さん…お見送り感謝します。」
頭を下げると、中の何人かは目をそらし、何人かはこらえきれずに涙を流していた。
その時は驚いたものだ。私は、彼らの中ではそこまで重いものだったのかと。
今思えば、華奢な女が大荷物を背負って死にに行くと言うのだ、例え見ず知らずの赤の他人であろうと、情もわくのだろう。
そうして、列車を待つ途中、何人かの人が私に話しかけてきた。
「お前さん、これまですまなかったよ。」
そう、武ちゃんと信ちゃんのお母さんを含んだ数人の大人が、そう言った。
「村に住まわせてもらったお陰で響は生きてこれたのです、恩返しですよ。」
事実、私にはそこまでの悲壮感もなかったし、何なら多少の高揚感すら感じていた。
お国のため、天皇陛下のため、そして故郷の人々のために、戦争に行くのだと。
そして、そうこうしているうちに、列車が泊まり、私はそれに乗り込む。
ふと、武ちゃんや信ちゃんは来なかったなと、そんな考えが頭をよぎった。
今日は学校がある日だ、それに、喧嘩別れになってしまったようなものだ、しょうがないかと、嘆息したとたん、耳をつんざくような金切り声が、汽笛と同時に耳に入った。
「響ちゃん!頑張れよーーー!」
駅に続く坂道を、転げ落ちるように叫ぶ信ちゃんと、武ちゃん、そしてそれ以外にも子供たちの姿が、そこにはあった。
授業を抜けてきたのだろうか、全員学ラン姿のままだった。
思わず涙があふれてくる。段々と離れていく彼らに向かって大きく手を振ろうとしたその瞬間―
「死ぬなよーーー!響ちゃんーーーー!!!」
武ちゃんの一際大きな声が、耳に届いた。
その時にして、ようやっと、私は一体何をこれからしに行くのかを、頭が理解した、そんな気がした。
「身を鴻毛の軽きに置け。」
松本さんの言葉が脳裏に浮かぶ。
そう、私は、その時、まさに自分は今死にに行くのだと、漸く気が付いたのだ。
ヒュ~ゥ…ヒュ~ゥ…と
磯笛の音は、村が見えなくなってからも、ずーっと、開け放った窓から聞こえてきた。
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Promise’s charm
「約束」の力を持った少女の姿を模したストラップ。MPを貯蓄する能力を持っている。
自由に使えるMPを貯めることが出来る。
身に付けていると所有者の余剰回復分のMPを自動で貯蓄するため、一日毎に最大MP-(最大MP-現在MP)分のMPが貯まっていく。
最大MP100。
原則セッションを跨ぐと全開する。
『絶望の騎士』
「正義」の魔法少女より譲渡された祝福。彼女の力そのものとでも言うべきものであり、それは弱者を守る騎士の誇りに他ならない。しかし、誇りは疾うに折れ、守るべきものすらも自ら手に掛けた。騎士は今絶望の名を冠し、その力は振るわれるべき場所もなくあり続ける。これはあるべき意味を失った騎士の力が、あなたへと託された証。誇りも守るものもあるかは分からないが、まだ生きる理由を見出せるかもしれないあなたへの、全てを失った騎士からの手向けであろう。
/
自身のDEX+5000000、ソード及びそれに類する技能に+500の補正を受け、1ラウンドに受け流しを行える回数が無限になる。また、任意でDEXの補正を1/100にすることで、それと同等の値の補正をSTR、CON、POWに受けることが出来る。切り替えには1分程の時間が必要。
『絶望の騎士』の力と技を習得することが可能になる。
夢幻の口風琴
枝葉の刻印が彫られている、金属製のハーモニカ。その装飾はシンプルながら美しく、奏でる際には僅かに緑色の輝きを放つ。
刀、軍服と同時に装備される。また、この装備に限り単体でも運用可能。
/
芸術:口風琴(ハーモニカ)で使用可能。
特に指定がない場合、心地よい子守唄のような音が響く。この音を聞きながら眠った場合、悪夢に悩まされることがなく、基本的に良い夢を見ることになる。
また、下記の曲を指定して演奏出来る。
『夢幻』
聴くものを夢の世界へと誘う。
自身以外でこの曲を聴いた者は、抵抗の意思がない限り眠る。また、抵抗の意思がある場合にはPOW×5の判定に成功する必要がある。
『森の夢』
木漏れ日を思わせる暖かな演奏。
この曲を聴くもののHPを1ラウンド毎に10点回復する。
『疾走』
とてもテンポの早い、この楽器で奏でるには少々難しい曲。
この曲を演奏する場合、技能値を-20して判定する。
この曲を聴くものの移動値+10、DEX+30。
『人殺し』
苛烈で、悍ましく、そして何よりも悲しく響きわたる曲。
この曲を演奏する場合、自身はラウンド毎にPOW×5の判定に成功する必要がある。失敗した場合、1d10+5ラウンドの間、治療不可能な殺人衝動にかられる。
この曲を聴いた自身以外の人間は、1ラウンド毎に1d5%死に近づく。この際に極度の不快感を覚える。
・改造型帝国軍服:不撓不屈ノ兵
幾多の死線を乗り越え、使い古された軍服を、アラガミの力を持った少女の力によって修繕・改造したもの。一見した限りでは通常の品と大きな違いはないが、戦闘状態に入ると中から火の粉が溢れ出し、装備者を包み込む。
刀と同時に装備される。
/
・所有者の物理/魔術装甲+5000。
・所有者に対する炎/熱ダメージは完全に無効化される。
・所有者のHPが0以下になるダメージを受けた場合、POW×5の判定を行える。成功した場合HPが3残り、また気絶しない。この効果は1セッション中に何度でも使用可能だが、セッション中2回目以降の判定で失敗した場合、身体を完全に焼き尽くされて死亡し、セッションから離脱する。
・所有者は「舞い」を行うことが出来る。可能なものは以下の2種類。
「神討ちの舞い」
舞い散る火の粉を1点に集めて巨大な炎を作り出し、舞いの動きに合わせてそれが敵を焼き尽くす。
技能:POW×5
射程:半径50m以内の任意対象
ダメージ:POW+DEX
この炎は神格を持つ対象に対して特攻を持つ。
「豊穣の舞い」
舞い散る火の粉が蛍火のようなものに変わり、それが自他を癒す。
戦闘中に使用する場合、3ラウンド必要となる。
この舞いは使用する度に5000のMPを消費する。
半径50m以内の任意の対象の耐久力を200d1000回復する。また、状態異常や四肢の欠損を治療出来る(KP裁量)。
・所有者が殺意を持って「人間」を攻撃する場合、対象のPOWが自身以下であれば、その初撃は必ず命中する。自身以上であっても、リアクション判定が-30される。
改造型帝国軍刀:守ル可キモノノ為
5MP消費することで展開することができ、展開後自動的に装備される。いつでも解除は可能。
鞘に収めた状態では普通の軍刀のように見えるが、抜き身の刃が鳶色になっており、一見木刀のように見える。それは守るために敵を斬り続け、血脂によって錆びた刀が、再度彼女の力となるために生まれ変わった姿。もう一度戦うならば、きっと役立ってくれるだろう。
技能:刀
射程:タッチ
ダメージ:50d10+db
貫通可
特殊効果:
・持久戦(弱):
展開している間、自身の応急手当が『治療』という技能に変化する。成功率は応急手当と同値であり、扱いも同じであるが、回復量が5倍になり、また毒やその他のデバフに対して治療が行えるようになる。
・遺された者へ(弱):
この武器によって自害した場合、自身は即死し、戦闘に参加している味方一人のHPを全快させることが出来る。ただし、その戦闘中如何なる方法でも復活は不可能。
・人殺し:
この武器によって『人間』を攻撃した場合、その対象が1以上のダメージを受けたならば即死する。これは科学/神秘双方の防御手段を明確に持たない限り防御できない。また、この効果によって即死させた場合、その対象のHPと同じだけ自身のHPを回復する。
・自立思考システム:
高度な知性に目覚めた機械生命体の思考システムを搭載しており、より効率的な動きのサポート可能となっている。また、自動操縦も可能。
どちらの効果も任意でon/offは可能。
1:起動している間、この武器は技能値の半分以下の値で貫通するようになり、また刀技能に対する-補正を40%まで無効化する。
2:起動している間、サポート以外にも自動的に刀が動き、所有者が反応不可能な攻撃、必中攻撃などに対しての受け流しが行われるようになる。受け流しには所有者の受け流しもしくは行動回数が用いられる。この際の技能値は95%として扱い、また発動する度に所有者はSTR×5の判定を行う。失敗した場合刀の動きに対応出来ず、刀を落としてしまう。また、この機能は攻撃にも用いる事ができ、その場合の刀技能は95%として扱う。
・刺青-身体強化
足裏の目立たない場所に刻まれている刺青。滝を昇りゆく鯉の姿を描いたものであり、小さいながらも迫力ある作品に仕上がっている。
これはただの刺青ではなく、それは墨を入れた部位を基点として、その生物的特性を遺伝子レベルで書き換えることにより、特殊な能力を付与する技術である。
特徴としては、生体施術とは異なり、刺青を入れた部位以外にも効果を及ぼせること。そして、自身の意思によってその力を制御すること、早い話がon/offの切り替えが可能なこと。これによって、「刺青」の技術は生体施術より優れた身体改造の手段として普及するかに思われたが、刺青師に必要とされる技術が困難なものであったため、マイナーな身体改造の枠にとどまった。
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任意のタイミングで起動/停止可能。
起動している間、自身のSTR+1200、CON+2000、DEX+3000、移動値+50
騎士の連撃:初
初期値:10%
絶望の騎士が用いる技の中でも、最も基本的なもの。目にもとまらぬ速度の刺突を一瞬のうちに繰り返す。
一瞬で複数箇所に攻撃を加えるため、回避や剣での受け流しの難易度が異常に高い。
ソード技能に成功した際に、同時にこの技能を振ることができる。成功した場合、その攻撃の攻撃回数を1d6倍する。この攻撃は1回の判定で回避もしくは受け流しが可能だが、その成功率は回避であれば-(1d6で出た値×10)され、受け流しであればその倍の値だけ-される。 |
マクロ: |
マクロ名|実行コマンド SANチェック|1d100<=#SAN SANチェック 応急手当|1d100<=#応急手当 応急手当 医学|1d100<=#医学 医学 回復量|1d3 回復量 精神分析|1d100<=#精神分析 精神分析 聞き耳|1d100<=#聞き耳 聞き耳 鍵開け|1d100<=#鍵開け 鍵開け 図書館|1d100<=#図書館 図書館 目星|1d100<=#目星 目星 言いくるめ|1d100<=#言いくるめ 言いくるめ オカルト|1d100<=#オカルト オカルト クトゥルフ神話|1d100<=#クトゥルフ神話 クトゥルフ神話 回避|1d100<=#回避 回避 マーシャルアーツ|1d100<=#マーシャルアーツ マーシャルアーツ |
チャットパレット: |
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