ベンジャミン・バートランド（歯車の塔の探空士 冒険版用キャラクターシート）

「私は医者だ、見せてみたまえ」

中層の治安の悪い地域で
医者をしていたアンティーク。

治療費と薬代は最低限で
どんな相手でも診療することから
地域でも一目置かれる存在だった。

医は仁術として世のため人のために
安く診療していると誤解されがちだが
実際には病という現象への好奇心によるもの。

「人体実験だって？　これは治療だよ」

医者としての教育を受けたことはなく、
知識や技術ではなく直感と透視魔法で
診療と処方を行っていた。

比較的健康な患者からは
魔法を使うための血液を
注射器で抜き取るなどもしていた。

「薬代が払えないなら血をいただこうか」

そんな怪しい医者でも
ありがたがられていたことは事実で
貧民と脛に傷持つ者の救いだった。

しかし、幾人もの犯罪者を治療し
結果的に匿ったことで当局に睨まれ
診療所を畳むよう命じられる。

路頭に迷うことになった彼に
救いの手を差し伸べたのは
かつて命を救った犯罪組織の大物だった。

ほとぼりが冷めるまで旅でもしろと
船を新調してくれることになったのだ。


船長室には怪しげな生薬が
所狭しと並んでいる。

「浮遊生物由来の生薬は多い」

薬への知見は医学書での勉強ではなく
実際に使って確かめることで深めてきた。

病状と薬効の不思議な作用に魅せられ
探究心に素直に従ってきた彼にとって
空という新たな探求もまた興味深いものだ。

「隔絶環境で発生する病か、楽しみだ」