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😶 「歯車の塔の探空士」プリプレイ この前のNサブさんの「歯車の塔の探空士」リプレイ(?)に触発された 自キャラ、レイス・サンズリバー目線のプリプレイ(SS?)になります https://character-sheets.appspot.com/skynauts2/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYuKDHuAMM ================================ これは・・・・・私が彼らの船に加わるまでの物語だ 私はレイス、『変わり者』のレイス 苦手な事は人との会話、得意な事は・・・・・わからない 私が生を受けた『サンズリバー家』は村の中でも『変わり者』の家系であったらしい らしい、というのは、物心がつくようになるまで、家の中こそが私にとっての世界だったからだ サンズリバー家はその昔、流れ着いたアキツシマ人のご先祖様から始まる家系だ その家系はアキツシマ文化を脈々と受け継ぎ続け、その異端なる技術を代々継承した 秋津刀だって打てるし、向こう側由来の絡繰人形だって直す事が出来る 高度な技術力を、その文化・財産とともに長い年月保ち続けた事は凄い事だ、と私は思う だから、幼い頃の私は何の疑問もなくその技術を学んだ、勉学に励んだ ソラクジラのヒゲでゼンマイを巻き、ほんの僅かな狂いもなく金物細工を仕立てた 父は私が優秀だと褒め称え、母もとても喜んでくれた ・・・・・・・でも、そんなものは村の中では何の意味もないものだった 村の中で重要なのは、作物の出来や他の村人との協調であった 集団作業を淀みなく遂行し、たくさんの作物を作り、村の集まりでは話の空気を掴む必要がある 共同体の中では皆の足並みをそろえる必要があり、異国の知識なんて全然必要ないし・・・・・むしろ邪魔なだけだ 『変わり者』の私は、村人たちにとって必要ではない、どうでもいい存在だった 故郷を出たのは、そんな閉塞感が嫌になったせいかもしれない 私は僅かばかりの私財をかき集め、逃れる様にヴィクトリアシティの中心部へやってきた 今の船長と出会ったのはちょうどそんな時だった 「おっかしいな~~、おい、ガラテア! 本当にこれでいいのか?」 「BADステータスを取得 『八咫烏号』の起動は困難と判断します」 「船長~、ボクが見るにこれはもう駄目なんじゃないの~?」 飛空艇が定着する『港』にその三人は居た ドレッドヘアーの中から茨を覗かせるフローレスの男性と、綺麗な女性の姿をしたコッペリア そして、女性らしい給仕服を着た女の子(後からリットラの女性だと聞かされた)だった 「起動困難って・・・・お前、それじゃあ、この船は動かねぇって事か!? おいおい、これから仕事を始めようっていうのにそれじゃあ困るぜ!」 「マズイね、これは」 三人は一隻の飛空艇を弄りながら困窮している様子だった 私はその飛空艇の形状を見てはっとした! 『八咫烏号』と呼ばれるその船の船体は『竹』で出来ていたからだ・・・・! 一般的にヴィクトリアシティで製造される船にはオーク材が使われる この塔では一般的ではない『竹』を使った船・・・・・つまり、アキツシマで製造された船だという事だ 「あ、あの!」 「あ?」 「なんでありますか?」 「うん?」 これまでの人生の中でこれ程までに勇気を出したことはない 見ず知らずの(これを言うと船長は怒るのだが)怖い顔をした男性に咄嗟に話しかけたのだ 「わ、わ、わわ、私なら・・・・私ならこの船を動かす事が出来ます!」 「へぇ! それじゃあ、試しにやってみてくれよ」 今から思い返してみると、船長の決断も豪胆だ 私の様な見ず知らずの不審者に大事な船を預けようなんて決断をその場でしたのだから 後々、この時のことを船長に聞いてみても、何故私を信用したのか、はっきりした答えはもらえていない さて、私はこの『八咫烏号』の機構を調べて仰天した アキツシマ製の駆動器に無理やりヴィクトリア製のロブスターエンジンを接続して動かしていたからだ 常識的に考えればいつ船体が爆発してもおかしくはないように思えるが、 これを接続した技師が常識外れに有能だったのだろう いくらかのパワーロスはあるものの、船として無理なく成立するように上手く機構を組み替えていたのだ しかし、接続部分のいくつかにガタが来ているようであり、エンジン停止の原因はそこにある、と分析した 作業は1時間程度で終了した 燃素を放り込まれた炉は正常に蒸気を吐き出し、船は不全なく動き始めたのだ 「おお! 凄いなお前! 『八咫烏号』が復活したぜ!」 「BADステータスの解除を確認 正常起動を観測したであります」 「へぇ~っ! やるじゃん!」 巨躯のフローレスからは賞賛の言葉とともに背中をバンバンと叩かれた 私は、えひっだとか、うぇへっだとか、笑いとも返事ともつかない奇妙な声を漏らす事しか出来なかった 「そうだ!俺達の船では今、旅に出るための船員を募集してるんだが、 お前も一緒に来ないか? それだけの腕があれば大活躍出来るぜ!」 「そ、そそそそ、そんな・・・・恐れ多い・・・ たまたま! たまたまですよ! たまたま、私の変な技術が役に立っただけで 私なんてそんな・・・・・ どうせ『変わり者』の日暮れ者ですし・・・・」 「何がたまたまだよ! お前のその技術、マジで天才的だと思うぜ 『天才』がこの船に乗ってくれりゃあ、心強いんだがなぁ!」 「え、えひゅっ、て、天才・・・・・?」 その時、私の中で何かが弾けるような音を聞いた 『天才』! そう、『天才』なのだ! その言葉を聞いたとき、私の世界は一変した! 私は『変わり者』なんかじゃあない・・・・『天才』だったのだ! 「そ、それじゃあ・・・・・お言葉に甘えて、仲間に入れてください・・・ 私はレイス、レイス・サンズリバー・・・・・アキツシマ技術の扱いについては任せてください・・・・・ 天才・・・・・ですから・・・・・」 これは・・・・・私が彼らの船に加わるまでの物語だ 私はレイス、『天才』のレイスだ 苦手な事は人との会話、得意な事は船の整備にアキツシマ文化の知識、その他色々 私は天才だから、得意な事は彼らとの旅の中でもっと増えていくだろう 『空』は広く、果ては無辺、この空のどこにも私を縛るものはないのだから
レスポンスはありません。
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