Keiさんの日記

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日記一覧

Kei
Kei日記
2024/02/22 20:28[web全体で公開]
😶 日常と戦いの温度差、あるいは願いの危うさのお話
ご機嫌よう。

今年初めから置きセで遊んでまいりましたステラナイツですが、やっと完結しましたの。幕間までは置きセ、変身キーワード以降はボイセでしたわ。

初めてのステラナイツですが、今回はPL二人でしたので、開始時点では誰が闇落ちするのかわからないエクリプスものとしまして、第一章終了時点で闇落ちしたい方を募集するという感じにしましたの。もちろん事前に誰がエクリプスになるのか分からないという告知はしましたわ。これが、わたくしの卓での冴えたやり方。

当然のことながら皆さま闇落ちする可能性を踏まえてキャラクターをご用意くださいまして。

まあね、わたくし自身もブリンガーとシースを一人ずつ担当して第一章を遊んだ結果、シースはブリンガーに救われてほしいし、ブリンガーは闇落ちしてほしい(お断りしておきますが、個人的にはとても気に入ったキャラクターでした)という気持ちになってしまい、自ら闇落ち候補に立候補することにもなり、PLの方々にもそれが見たいという反応を頂くことになりました。おかしいわね、最初はわたくし以外のパートナーの闇落ちが見たかったのに……こほん。

ともあれ、わたくし視点では、最初はちょっとぎくしゃくした関係から、一方は光を見つけ、一方は転落しながらも願いを手放さない温度差がとても楽しくて。PLの皆さまもノってくださいまして、皆さまほんとうに素敵な RP や演出をしていただいて、パートナーにブーケを投げたいと思うこともしばしばございました。やり残したと思うこともございますが、そういった展開になるのも TRPG の楽しいところですわ。

ステラバトルだけが異様にシステマチックで、温度差にびっくりしたりもしましたけれど、ステラナイツはいいゲームだなって思いましたし、どのパートナーにもしあわせになって欲しいって思ましたわ。ご一緒くださった皆さまありがとうございました。
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2024/02/22 01:45[web全体で公開]
😶 他の参加者の話に耳を傾けるゲームのお話
ご機嫌よう。

わたくしナラティブコミュを運営しているくらいですので、まあ一言くらいございます。

ナラティブあるいはストーリーゲームの特徴は、物語的な観点からすれば、参加者の語りが相互作用して、誰も事前には予期できなかったような物語になることです。多くのナラティブ/ストーリーゲームは特定のテーマ、特定の出来事だけを扱っています。その出来事を語るのに、シナリオで定められた出来事が起こりダイスで判定するだけで十分に多様な物語が生まれると思われるかもしれません。それは一面では真実でしょう。けれど、ナラティブ/ストーリーゲームにはそれ固有の仕掛けがあり、それはシナリオや判定とは違うものです。

ともあれ。

分かりやすく判定について話しましょうか。ナラティブ/ストーリーゲームと言っても、色々ございますのよ。
ここぞという判定に失敗しないためにリソース概念があるゲームもあります。例えば Fate Core / Accelerated / Condenced では、ここぞという判定に失敗しないためには事前に格好悪い失敗をたくさんしている必要があります。格好悪い失敗は PL 自身が宣言しますが、まあね、GM もそのように誘導します。それってそんなにうまくいきますか? 何かトラブルを起こしてください。
判定が失敗することが意図されているゲームもあります。例えば青灰のスカウトでは、最後の方のシーンの判定はまず失敗します(成功したとしても酷いことが起こります)。キャラクターは酷い目に遭い、大切なものを失い、否応なく成長せざるを得ません。
判定がないゲームもあります。モンセギュール1244には判定が一切ありませんが、ゲームが進むとキャラクターは辛い現実に向き合わなければならなくなります。なぜ教えに殉じて火刑に処されるのですか? けれどそれ以前に、そんなにこの教えを信じていたのでしょうか?
判定の結果そのものは物語には大きく影響しないゲームもあります。例えば Bluebeard’s Bride には判定がありますが、物語に作用するのは判定結果ではなく、PC がどのように感じ考えたかです。それでは、青髭を信頼しますか?
ここぞという場面そのものがないゲームもあります。マイクロスコープでは、語られたことは全て歴史の一ページであり、このゲームには自分の PC という概念すらありません。

まあちょっと極端な、というかここに挙げた例の幾つかは何かしら暗い物語を志向したゲームですが、いずれにせよ、酷いことが起こるとしても、それはそのプレイヤーが自ら語ったことです(語ることのできる範囲が指定されている場合もあります)。プレイヤー自らが語るからこそ、上に挙げたような暗い物語はゲームとして成立します。一方で、プレイヤーが何を語るかはその時にならないとわかりません。ですから、安全に関する注意が必要になります。まあね、参加者が何を言い出すかわからないのは、殊更にナラティブ/ストーリーゲームに限った話ではないですけれど。

こういった仕組みは「物語」のために存在していて、誤解を招くような表現をしますが、ゲームシステムが局所的な場面の解決ではなく物語を駆動することを意図してデザインされているのが、ナラティブ/ストーリーゲームの特徴だとも言えるでしょう。言い返せば、こういった仕組みは汎用的にはなりにくいので、特定のテーマや出来事を対象とするものになります。

いずれにせよ、自分が語りたいことを語りたいなら小説など書いてらしたらいいのであって、ナラティブ/ストーリーゲームは語りたいことを好きに語っていいゲームではありませんの。それよりも他の参加者の話に耳を傾けることの方がずっと大事ですし、そうしなければ、ゲームは成立しないのですわ。
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2024/02/21 00:37[web全体で公開]
😶 オンセンにおいてもっとも需要がなさそうなコミュニティを作ってみましたの
ご機嫌よう。

タイトルの通り、コミュニティを作ってみましたの。海外インディーズTRPGに興味がおありの方は、どしどしご参加くださいまし。
https://trpgsession.click/community-detail.php?i=commu170844186450
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2024/02/19 19:50[web全体で公開]
😶 神さまと仲良くなりましたの
ご機嫌よう。

ゆうこやを遊んでまいりましたわ。人々から忘れられ、力を失ってしまった神さまのお話で、神さまが力を取り戻すお手伝いをしましたの。

わたくしのキャラクターは人間のことがてんでわからない(おとな = 0)ので最初から別の神さまに頼ってみるという発想でしたが、他のPCは人間に頼ってみるという発想だったりして、他のPCとの見ている世界の違いみたいなものを感じましたし、描かれた関係性とかも素敵で、これからこの子たちがどうなっていくのかも楽しみですわ。

語り手の方も、PL のアイディアに寄り添ってくださって、その上でお話を綺麗に導いてくださって、とても素敵でしたの。ゆうこやは素敵なゲームですし、こんな素敵なゲームになったのも語り手の方をはじめご一緒くださった皆さまのおかげで、わたくしもこんな風にゲームが運営できたらいいなと思っておりますの。
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2024/02/16 20:28[web全体で公開]
😶 Alice is Missing の拡張が出ましたの
ご機嫌よう。

昨日は別のゲームのお話をしましたが、同時に手に入れていたもので本命はこちら、待ちに待った Alice is Missing の拡張サプリですの。アリミスはとても好きなゲームで、制作元のコミュニティで DTRPG に並んだという投稿を見て即ぽちでしたわ。

さて、アリミスは数日前に行方不明になった女子高生アリスの友人となって、彼女の身に何が起こったのかを解き明かすナラティブ系 TPRG です。PC は選択制、舞台の設定はセッションのはじめに行い、本編は現実の時間で90分間のリアルタイムチャットで遊びます。この90分を通じてアリスの身に何が起こったかだけでなく、それまで誰も知らなかった彼女の姿が浮かび上がってくる様子がそれはもうスリリングですの。

拡張サプリ Silent Falls では、PC として選択できるキャラクターが増えたほか(嬉しいことに、基本ルールでは固定だったファシリテーター用 PC も選べるようになりました)、舞台設定に関する選択肢も増え、更に、時間経過で配られる手掛かりも増えています。

こうした追加の要素によって、アリスをめぐる物語がどんな風に変わるのか興味津々、早速訳すのですわ!
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2024/02/16 01:51[web全体で公開]
😶 ついに連絡が取れなくなるまでの長くて短い時間のお話
ご機嫌よう。

以前から気になっていた Signal to Noise を入手しましたので軽くご紹介しますね。

Signal to Noise は、人類が星々の海へと歩み始めたごく初期を舞台に、一人が世代宇宙船に乗り込み、一人は地球に残ってメッセージのやり取りをする TRPG です。この二人はもともと親密な関係でしたが、二人の道は別れました。
ゲーム本編はメールのやり取りや置きセでの進行で、ゲームが進むにつれてイベントが起こり、メッセージは到達までどんどん時間が掛かるようになり、また劣化して読みにくくなっていきます。イベントの指示と時間経過の間で何が起こったかを想像してメッセージを書きますが、送信前に劣化加工します。劣化前のメッセージは相手には分かりません。イベントの決定にカードを使いますが、判定などは一切ありません。
ゲーム内の時間はゲーム終了までに最大で20年ほど経過し、最後にはメッセージを読み取ることができなくなって終了します。

残念ながらルールに記載の加工方法は英語にしか対応していないため、どうやったら日本語でうまく遊べそうかちょっと思案のしどころですが、エモそうじゃないかしら。というわけで、日本語メッセージを劣化させる式を考えておりますの。

※ Signal to Noise は英語 TRPG です。一部に日本語版書籍が出回っていますが、非ライセンスの海賊版ですのでご注意ください。
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2024/02/12 17:46[web全体で公開]
😶 いろいろ遊んでおりますの
ご機嫌よう。

はてさて、ソードワールドの続き、それについに始まりましたブルーシンガーなのですわ。加えて V:tM 5e のキャラクター作成なども。

ソードワールドは、(話の流れ的に)やっと憧れのマギテック技能を取りまして、まあシューター技能は持っていませんしガンなどの必要な装備も買っていませんけれど、次回も楽しみなのですわ。まあね、PLとしてはやっぱりソーサラーを取った方が良いというか、そもそもコンジャラーを伸ばした方が……という気持ちもなくはないのですが、今回は最適を求められる卓ではございませんし。

ブルーシンガーはまだまだ不慣れですし、互いに様子をお見合いしている感がありますし、勇者らしいことができるか不安ですけれど、これからどうなるか楽しみっ。

そして、V5 なのですけれど。V5 は初めてですが、WoD のキャラクター作成は楽しいですの。トレアドールで捕食者タイプはオシリスの美少年ですわ。敵が多くて闇が垣間見える感じを意識しておりますが、まだまだ調整中ですので、こちらも楽しみ〜。
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2024/02/09 21:51[web全体で公開]
😶 戦争の四季
春はマラガ。ようよう激しきファシストの砲火。街が落ちて、アルメリアへの道細く続きたる。
夏はワルシャワ。戦火の激しさはさらなり、大切なものを失いて、ただ一人二人ロストの頂点に立つもをかし。
秋はロンドン。灯火管制で暗くなりたるに、ルフトバッフェを撃ち落とすとて、RAF の三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて編隊のつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。
冬はモンセギュール。十字軍はいふべきにもあらず、信仰の厚きも、またさらでも攻城戦にて、城を守る騎士もいとつきづきし。十字軍の降伏を勧告する声も、寒空にはかなわずわろし。

注釈

春。La Desbandá 1937。スペイン内戦で戦火を逃れようとするマラガからアルメリアへの道のりを描く描く TRPG(未訳)。
夏。青灰のスカウト。第二次大戦中のポーランド、ワルシャワ蜂起に立ち上がった少年兵の青春と苦悩を描く TRPG。
秋。Blackout。第二次大戦中のロンドンで街を守る女性たちを描く TRPG(未訳)。
冬。モンセギュール1244。アルビジョア十字軍に攻められたカタリ派教徒たちが、なぜ最後に殉教を選んだのかを描く TRPG。
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2024/02/07 00:38[web全体で公開]
😶 灰色城はやっぱり真っ黒城でしたわ
ご機嫌よう。

灰色城綺譚「黒樹の城」遊んでまいりましたの。初めましての方もいらっしゃる中で、PC3が怖い演出をたくさんしてくださいまして、わたくし自身も「PC3が一番怖い」と思う前半〜中盤、その割に運命儀は思ったほど黒くもなく、これならハッピーエンドもあり得るのでは、と思うこともございました。
ですが。
最後、立て続けに真っ黒が出たのと、PLの方々もPLが思うハッピーエンドに向かう選択肢よりもキャラクターたちの行く先として面白い方を選んでくださって、やっぱりメリバかと思わせたところから、クライマックスは徐々に白の陣営が増える胸の熱い展開となりました。わたくしも、どうにかハッピーエンド寄りに導こうと、あれやこれやと誘導したのですわ。PLの方も乗ってくだり、一度は黒の方が優勢になった悪意の渦もだいぶ盛り返しまして、再びハッピーエンドへの希望……。

ダイスの目神様は非情でしたわ。

そんなわけで終わってみれば真っ黒城でしたの。本当に誰も幸せにならない終わり方、というか灰色城を遊んでいて初めて、明示的に犠牲になったキャラクターまで出てしまい。ですが、PL自身がそういう物語を紡ぐことで、灰色城はゲームとして成立しているのですし、いいゲームなのですわ。

すごい盛り上がりましたし、楽しかったですの。ご参加くださったPLの皆さまありがとうございましたっ。
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2024/02/05 23:01[web全体で公開]
😶 ラ・デスバンダ 1937(注意を要するテーマですので畳みます)
(▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)
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2024/02/04 21:07[web全体で公開]
😶 どうしてリジャイナ=ジェンゲ間をひたすら往復するのかというお話
ご機嫌よう

トラベラーというゲームで、先だってコメントしたことなのですが、わたくしがトラベラーで宇宙船経営をしなければならなくなったとしたら、まずはただひたすらにリジャイナ=ジェンゲの間を往復して通常の旅客と貨物を運びます。投機貿易はしませんしパトロン探しだのといったこともしません。パトロンからの依頼があったとしても受けません。そこでその理由をメモしておきますわ。先にお断りしておきますけれど、これはわたくし自身が好きでないタイプの「よくない」プレイですわよ。

まず投機貿易についてですが、投機貿易はどこかの星で何かを仕入れて、高く売れる市場(星)まで運んで売るというスタイルです。では、まあスタート地点は仮にリジャイナとしまして、リジャイナの貿易分類は「富裕」ですが(おかげで仕入れにより多くの支払いが必要になります)、ここでの産品はどこに運んだらより高く売れるでしょうか? 地図とデータを睨めっこすると、3パーセクほど離れたノービスに持っていけば良さそうですね(実際にどれほど高く売れるかは恐ろしいことにダイスで決まります)。では、ノービスでうまく商品を捌いて次の荷物を仕入れましょう。ノービスは「富裕・農業」ですが、この産物はどこで売れるかというと……3パーセク戻ってリジャイナで売るのが良さそうですね。つまり往復で6週間かかります。旅客もいるでしょうから、この区間でどれくらいの旅客が見込めるのかというと(ry
次にパトロンについてですが、いまやっているのは宇宙船経営ですし、余計な依頼などトラブルのもとに違いありませんので(実際例として関わりたくないことが色々と上げられています)、そのようなトラブルは最初から避けて通るのが筋でしょう。面倒ごとにならない普通の旅客と積荷でなんとかしたいですね。
もちろん、もう少し儲けられないかと思うこともあるでしょう。よし、では贈賄して価格を釣り上げるか、いやいっそ海賊行為を……。

繰り返しますがこれは冒険ではなく宇宙船経営ですわよ。

通常貿易だったら投機貿易と違って1パーセク離れた隣の星に持っていくだけですので、この区間の旅客・貨物さえ十分にあればいいことになります。船倉いっぱいの投機貿易品を3週間かけて運ぶのと通常の貨物を1週間で運ぶのとではどちらが良いでしょうか? というか十分な旅客と貨物があり安全かつ隣接している世界を行き来しているだけで済ませたいというモチベーションになります。

ではそんな都合のいい場所はあるかしら? ルール的には1パーセクで隣接している(ジャンプ2の船なら2パーセクでもいいのではと思われるかもしれませんが、それには余計な経費がかかるんですのよ)、宇宙港が整っていてゾーン指定がなくそこそこ以上に人口が多い星の組……それが幾つかあるのですわね。スピンワード・マーチですとこの辺りが候補になるかしら。
- リジャイナ=ジェンゲ=エクストーレイ
- ライラナー=ポロズロ
- モーラ=ジョコトル=フォーニス

つまらないですって? だったら宇宙船経営なんかさせないでいただきたいですわ。
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2024/02/03 01:28[web全体で公開]
😶 甘酸っぱい恋のお話
ご機嫌よう。

ゆうこやを遊んできたのですわ。わたくし自身は前世に置き忘れてきてしまった初々しく甘酸っぱいバレンタインのお話で、こんなに素敵な恋があったと驚くと同時にとてもあたたかい気持ちになりましたの。

ゆうこや素敵ってなりましたし、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ。
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2024/02/01 00:10[web全体で公開]
😶 灰色城楽しいですわ
ご機嫌よう。

久しぶりの灰色城でしたの。時間の関係で前半だけで、後半はまた別の日にびますし、初めての方もいらっしゃいましたが、皆さま囁きの公開の仕方がお上手で、予想外に怖くなって楽しいですわ。
まだまだ真っ黒城ではありませんが()、これからどうなるのかとワクワクですし、お話もいい感じに区切れていると思いますし、次回が楽しみ〜。

ご一緒くださったPLの皆さまありがとうございましたっ。
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2024/01/30 00:01[web全体で公開]
😶 お気持ちと卓の運営についてのメモ
ご機嫌よう。

人の気持ちというのは、なんというのかしら、マイナスの二次関数みたいな山型といったらいいのかしら、この滑らかな山の上にボールがあって、と思うのですわ。山の頂上にあるボールはその場に留まっていますが、力を加えるといずれ落ちてしまうし、放っておいたらどんどん加速してしまいます。転がり出して最初のうち、傾斜がなだらかなうちは、まだ少しの力で止めることもできるでしょう。けれど勢いがついてしまうと。
そんなわけで、いかに最初のうちに止めるかが大切だったりするかしら。
TRPG はコミュニケーションのゲーム、言い方を変えればお気持ちのゲームですので、安全かつ円滑な運営というのは、結局のところ山の頂上からボールを落とそうとする力との戦いかしら。
ゲームのこの部分についての技術や手法は日本ではあまり浸透していないように見受けられますけれど、いくつかのメソッドや手法があり、それらが共通認識になっていたらいいのにな、なんて思ったりもしますわね。
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2024/01/28 22:20[web全体で公開]
😶 トラベラーの歴史のお話
さて、前世から TRPG を嗜まれている方にとって、あの会社の現在が気になる会社の一つに、GDW があるのではないでしょうか? そこで、GDW はもう存在しないのですが、トラベラーと関わる会社のお話をしましょう。

前提として。トラベラーはほんとうにすごい、なんでもできるゲームです。このエントリをお読みの方の中には、D&D でなんでもやる、CoC でなんでもやるということに否定的な方もいらっしゃるでしょう。トラベラーは、そういった否定的意見が原理的に出ない TRPG です。初版の出版は D&D 初版から遅れること3年、1977年です。
そんなトラベラーを出版した GDW は、ストラテジー・ゲームの会社でした。全盛期には3週間おきに新作を発表していたとか。そんな GDW が1977年に突如として発表した TRPG が、トラベラーでした。ですが、GDW はこの後もストラテジー・ゲームをどんどん出版していきます。それこそ最後の瞬間まで。そうやって出版されたゲームの中には、トラベラーと設定を共有するものもあり、ワクワクと胸が躍るものだったのでしょうか。
けれど、資料がないので詳細は分かりませんが、1996 年に財政難で倒産したようです(トラベラーのデザイナーであり GDW の創設者であるマーク・ミラーはインタビューで違う理由を語っていますが。曰くやり切って燃え尽きたから……?)。
さて、トラベラーの権利はこの後複雑なことになります。GDW 時代にトラベラー、メガトラベラー、Traveller: the New Era と改版(とともに世界設定も時代を下る形で更新)されてきましたが、その後はというと。
まず本家として Marc Miller’s Traveller(T4)がありました。ここに出資したのは、後に「アウトローたちの誇り」を生み出すことになる Sweetpea Entertainment です。出版社は Imperium Games、GDW 亡き後にトラベラーのデザイナーのマーク・ミラーが起した会社ですが、T4は成功を収められませんでした。というか本家トラベラーのリアル路線追求はプレイヤー層にウケが良くありませんでした。Imperium Games も早々に消えます。
ところで、90年代に人気のあった TRPG に WoD があったことは先日書きましたが、まだ命脈を保っていた TRPG の中には GURPS がありました。そうして、GURPS Traveller が生まれます。そのほかにも ヒーローシステム版とか D20 版が作られたりとか迷走するのですが、トラベラーを取り巻く状況は厳しいものでした。これらを制作した会社は現在も存続しているようですが、もはやトラベラーには関わっていません。
おそらく転機は Mongoose 版でしょうか。リアル志向かつ破滅的になった宇宙を舞台にした本家をよそに(正式なライセンスによって)初期のシステムと世界設定を継承し評価されたようです。その Mongoose 版も、改版に伴うライセンスの改訂で荒れることになり、現在では Mongoose Traveller は2版と、初版をベースにした Cepheus Engine(ライセンス的には正当なものです)に分離しています。
余談ですが、この Mongoose Traveller を無許可で翻訳販売したサークルがあったようで、駿河屋さんなどで中古販売されているのを見かけますが、非ライセンスの海賊版ですのでご注意あそばせ(サークル自体は権利者に見つかってアカウントを消して逃げたようです)。
一方本家ラインの最新も改版されて Traveller 5(T5)となっています。こちらは Traveller の出版とライセンス管理のために作られた Far Future Enterprises という会社から。噂によると「宇宙船を宇宙港から出航させるだけで大変な騒ぎになる」ような面倒なゲームだとか?

さてそんなトラベラーの日本語版ですが、かつては HJ からトラベラーとメガ・トラベラーが、その後は雷鳴からクラシック・トラベラー(つまり初版)が出版されましたが、雷鳴は倒産したそうですし、今後も日本語版が出る見込みはなさそうですね。わたくしも日本語版しか知りませんが、いいゲームだと思いますけれど。
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Kei
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2024/01/28 20:35[web全体で公開]
😶 ホワイト・ウルフの歴史のお話
ご機嫌よう。

先だって D&D ひいては TRPG そのものを作ったとも言える会社 TSR のお話をしましたが、今回はホワイトウルフのお話をしましょう(勢いがついてしまいましたので)。

TSR の回で、90年代には D&D の売り上げが頭打ちになっていたこと、加えて業界を襲った MtG の波があったことを書きました。これは D&D だけでなく、当時の多くの会社にとっても同様でした。ですが、そんな中ひとり息巻いていた会社があります。それがホワイトウルフです。
ホワイトウルフはもともと Ars Magica を出版していた会社と、ゲーム雑誌を出版していた会社が合併して生まれ、Ars Magica のデザイナー、マーク・レインハーゲンのアイディアで作られた TRPG、Vampire: the Masquarade で成功を収めました。V:tM は TRPG に(さらに加えて LARP にも)大きな影響を与えただけでなく、90年代の TRPG 文化を牽引する大ヒット作として絶大な人気と影響を誇りました。シリーズはどんどん拡張され、World of Darkness という共通の世界観を持つ複数のタイトルが生み出されていきました。
そんな WoD ですが、2000年代に入ると Time of Judgement という一連のキャンペーンによって終焉を迎えます。終焉を迎えるというのは、このキャンペーンがそのものズバリ、WoD を終わらせるものだったのです。そして、新しいシリーズ、Chronicles of Darkness へとバトンは渡されることになります。
その一方で、当時のホイワイトウルフは、TRPG 以外のゲーム領域に目を向けていました。具体的には WoD Online という MMO RPG を立ち上げようとします。ですが、ホワイトウルフには MMO RPG を作るような資金も技術もありませんでした。そこで同社は、EVE Online を作っていた CCP Games との合併を選びます。プロジェクトの開始は注目を集めました。
ですが、難航する開発をはじめとするいくつもの問題が立ちはだかり、加えて EVE Online の拡張が優先され、WoD Online チームは繰り返し縮小とレイオフの対象となったばかりか、TRPG としての CofD の売り上げも目標に届かなかったため、ホワイトウルフ部門自体も度重なるレイオフに晒されると、CofD のディレクターは対抗として新会社 Onyx Path を立ち上げ、CofD 自体の開発は新会社に移管されます。
また一方で WoD 20th 版も出版にこぎつけ、旧来の WoD ファンから好評を持って迎え入れられましたが、「目が覚めるような十分な売り上げ」とはならず、CCP 配下でのホワイトウルフの命運はあと僅かでした。どんどんリソースは削られていき、ついには開発開始から8年の時を経て完成に程遠い WoD Online もキャンセルされ、WoD Online を含むホワイトウルフの資産も売却されることになります。
そこで名乗りを挙げたのが Paradox Interactive です。パラドゲーをご存知の方はホワイトウルフとの関連がないことに驚くでしょう。パラドが主に展開しているのは高難易度ストラテジー・ゲームばかり(HoI とか)の上、パラドが出版社として契約しているゲームもいわゆるシミュレーション・ゲーム(Cities Skylines とか)ばかり。WoD のようなゲームが入り込む余地はないように見えます。どうやら噂によると Paradox の役員に WoD が好きな方がいらっしゃったとか……?(噂です
ともあれ、資産一式が買い取られ Paradox の子会社として再出発することになりました。これまで CofD と書いてきていますが、正式に CofD となったのもこの時で、それまでは CofD も単に WoD もしくは新 WoD と呼ばれていて混乱の元でした。CofD(WoD 20th の一部も)は引き続き Onyx Path にライセンスされることになりました。
ともあれそうして、Paradox の下で生まれ変わったホワイトウルフは、晴れて V:tM 5e を出版します。
これが問題作でした。ネオナチへの(好意的と取れる)言及、小児性愛(とも取れる)描写、チェチェンでの性的少数派に対する加害を扱ったネタなどが含まれ、Paradox が謝罪、出版停止になりました。いわゆる「再発防止策の検討」の結果、現代は90年代ではないし、ホワイトウルフに任せていたらまたやらかすことが確認され、ホワイトウルフでの開発・出版は停止されることになりました。WoD 5e はライセンスされ、開発は Renegade に移管されました。
いまでもホワイトウルフという会社は Paradox 配下で存続し、WoD の企画チームのような業務を行なっています。

WoD も日本語版がありました(Revised、いわゆる3版)。アトリエサードが出していましたが、アトリエサードが出したかったのは V:tM だけだったんじゃないかしら、と思ったり。というのも、V:tM のコアルールだけあからさまに紙の質が良くって。あとアトリエサードの翻訳は読みにく……いえ、これはそもそも原書がポエムというか読みにくいのですけれど。
ともあれ WoD はいいゲームですし、こういうゲームを遊ぶ方がもっと増えたらいいのにな、と思ったりもしますわ。
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2024/01/28 18:34[web全体で公開]
😶 D&D を作った会社の歴史のお話
ご機嫌よう。

俄かに D&D 50周年で盛り上がっているようですので、今日は D&D を作った会社のお話でもしましょう。ただの面白くもない歴史のお話です。

多くの方がご存知の通り、もともと D&D はストラテジー・ゲームの延長線で一対一の騎士の戦いを再現するというアイディアから始まりました。こうして作り出されたのが Chainmail です。ここに当時大人気だった指輪物語の影響で魔法使いのような概念が加わり、モリアの坑道のような冒険ができるゲームとして、D&D は誕生しました。
いまとなっては信じ難いことですが、D&D は出版社を見つけることができず、出版のために TSR 社が設立されました。
余談ですが D&D 初版を最初に購入したのはグレック・スタッフォード(RQ の生みの親で Chaosium 創業者。D&D が出版社を見つけることができなかったように、RQ の前身となる White Bear and Red Moon も出版社が見つからなかったので、出版のため Chaosium が設立されました)で、発売前に空港で荷物として運ばれているところを「それ何」と話しかけた Chaosium のスタッフが、面白そうなゲームがあるとグレッグに電話(当時インターネットはありませんでした)した結果是が非でも一部購入することになったのだとか。
そんなこんなで誕生した D&D は大成功を収め、サポート雑誌が作られ(当時インターネットはありませんでした)、あんな場合やらこんな場合やら首ナイフやらの色々な問題に対して追加のルールやらデータやらエラッタやらがどんどん発表され……収拾がつかなくなりました。
そこで、可能な限り全部をきちんと整理した Advanced D&D と、余計な重いルールなどは排除してシンプルな方向を目指した入門版の Basic D&D(日本でいう CD&D)に整理されました。そうして、今度は AD&D の世界設定が百花繚乱の予想となりました。今に続くフォーゴットン・レルムズやドラゴンランスが産声をあげたのも AD&D ででした。また一方で、当初の目論見から外れ、CD&D が AD&D の入門となることはなく、AD&D と CD&D はどんどん別のゲームとして進化していくことになりました。
複数の異なるシステム、複数の異なる設定があることは、いい点ばかりではありませんでした。TSR は十分な売り上げがあった一方で、杜撰な経営と慢性的なコスト体質、加えて市場の飽和によって債務超過の寸前に追い込まれました。そうしてお定まりの経営陣の対立を経て、創業者で D&D の生みの親だったガイギャックスは会社を去りました。
この時 TSR を救ったのがロレイン・ウイリアムズです。もともとは TSR への出資を打診されていましたが、出資ではなく経営参画を選びました。最終的に元経営陣の内紛は会社の株を彼女に集中させることになり、大株主にもなりました。雑誌やコミックといったいわゆるメディアミックス戦略を成功させ、TSR は倒産を免れました。
けれど、悪評もあります。ロレインの興味はゲームではなく(ゲーム嫌いで有名でした)会社を高収益企業にすることでした。そのために製品はプレイテストすらせずに出荷されるようになりました。加えて、一族がライセンスを持つコミックとそれを原作としたゲームや小説を出版し、会社からライセンス料を吸い上げました(のちに原作者との間で訴訟になり、全ての権利を譲渡することになります)。
一部の方々には知られているでしょう、権利関係の様々な出来事もこの時期に起こりました。日本でいえば、鈴木土下座ェ門ですとか、ロードス島戦記が D&D から離れたのもこの影響だと言われています。
とにかく、ロレイン時代の最初のうちは順調に見えていましたが、水面下で進行していたことはそうではありませんでした。AD&D と CD&D が競合関係にあったばかりか、AD&D で展開されていた多数の設定も互いに競合関係にあり、売り上げを共食いすることになり、新しいマイナー設定はユーザーが手を出しにくい状況となっていきました。再び高コストが問題になります。
そうして90年代に入ると、業界を MtG の波が襲います。ご多分にも漏れず TSR もカードゲームに参入しようとして失敗し、さらには返品の山による負債が追い打ちをかけ、ついに資金繰りが行き詰まります。
こうして、会社は WotC の手に渡ることになりました。
WotC は TSR が抱えていた問題を分析し、多すぎる製品ラインを大整理しました。こうして、CD&D ライン全体と AD&D の多くの設定は終焉を迎えます。AD&D のコアシステム(Advanced が取れてただの D&D に戻りました)とフォーゴットン・レルムズは維持され、改版を重ねていくことになります。
その WotC も Hasblo に買収されますが、5e に至るまで D&D 自体の製品ラインは成功と言って差し支えないでしょう。場外では D&D Beyond の買収のほか、人種差別的問題のリーク、OGL1.1 の大炎上失敗(SRD は最終的に CC-BY-4.0 となりました)をはじめとするいくつかの失敗や Hasblo 収益化体制に対する批判もありますけれど。

CD&D は日本語版も発売されました(最後のセットとなる Immportals はついに訳されることはありませんでした)し、その後 AD&D への急激な方向転にユーザーが追従せずに、当初日本語版を出版していた親和はいつの間にか消えました。その後 CD&D ラインの新版であるルール・サイクロベディアがメディアワークスから(文庫ルルブしか売れないみたいな状況の中で無理やり文庫にして出版されました)、2002年には D&D 3eが HJ から出版されますが、WotC の世界戦略の変更(複数の国でライセンス違反があったことに端を発し翻訳ライセンスを管理する会社がなくなったのが原因です)により、いまでは日本語版も WotC からの出版になっています。

まあね、個人的に D&D には複雑な感情を持っておりますけれど、楽しいゲームですわよね。
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Kei
Kei日記
2024/01/21 18:02[web全体で公開]
😶 Noirlandia 遊んできましたの
ご機嫌よう。

悪徳と退廃にまみれた都市を舞台に殺人事件の真相を暴く、みたいなミステリ TRPG、Noirlandia を遊んできましたの。舞台となる街の様子は参加者で相談して決めますし、手がかりなどは判定と表で決め、それらがどのように真相に結びつくのかはナラティブに決まります。シナリオはありません。

今回の事件に挑む PC は(ダイスとカードで決まります)、
- ドヤ街に住む本当の自分を明かさない情報屋
- ダウンタウンの嘘をつけない役人
- 郊外で正義を貫くギャング

犠牲者はダウンタウンの実業家で、誰も傷つけたことがないのだとか(ダイスとカードで決まります)。

いくつかある表のうち、今回は「超常手がかり表」を使いましたが、遊園地のアトラクションから一大コズミック・ホラー(をネタにしたギャグ)になり、警官に殴りかかって指名手配されたりゾンビ肉を食べたり事件の真実どころか街に隠された真実を知ってしまったりと、後半ずっと笑っていましたわ。とても楽しいゲームでしたの(英語ですが割と平易に書かれているかと存じます)。

ちょっとオンセではプレイが面倒なのですが、今回は Google 図形描画を使って、いらすとや さんにもずいぶんお世話になりました。

こんなに笑いながら TRPG を遊んだのもわたくしの卓では久方ぶりで、いつもみたいな重苦しいものばかりでなく、こういった TRPG ももっと遊びたいなと思ったのですわ。

ご参加くださった皆さまありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2024/01/19 19:46[web全体で公開]
😶 猫になって遊ぶ TRPG のお話
ご機嫌よう。

にわかに猫づいておりますが、猫になる(なれる)TRPG といえば、ゆうこや、ウィッチクエスト、あるいはマウ連合王国などがございますわね。サンディおじさまのクトゥルフも幻夢境の猫をPCにできますし、探せば他にもあるかもしれません。

ところで、猫に九生あり、という諺をご存知でしょうか。

9 Lives to Valhalla という TRPG(未訳)がございます。さらっと説明を読んでみますと、概ね以下のようなことが書かれています。

デスメタル・ヴァイキング猫となって、暴力でヴァルハラを目指します。その過程で9回死にます。
9つの人生を賭けて殺戮の限りの尽くした猫は、ヴァルハラの酒宴に招かれます。最強猫を目指しましょう。
死ぬたびに輝かしい祝福を得ることができます。
どんな敵でも出すことができて、すごいウルトラ・バイオレンス。

ちょっと何を言っているのかよく分からないですが、楽しそうじゃないでしょうか。
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Kei
Kei日記
2024/01/18 21:05[web全体で公開]
😶 売らなくてもいい喧嘩のお話
ご機嫌よう

何があったかは存じませんけれど、喧嘩売り捨てでアカウトを消すというのが本当に良くないかと存じますの。刺さってしま人がいるだろうなと分かっていて書くのは分かりますわ。けれど、吐き捨てて投げ捨てるというのは、良識ある社会の一員としても褒められませんし、リスクのある行為です。

わたくしもね、読んだ方がカチンと来るようなエントリをたくさん書いているかと存じますけれど。

Thirsty Sword Lesbians(2022年のネビュラ賞ゲームライティング部門のウィナーです。未訳)のルールには冒頭にこんなことが書いてあります。

「ゲームの仕組みを使って相手のことを理解しようとすればいい」

わたくしからは以上ですわ。
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