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😆 【sw2.5】今夜の”フクロウ魔神の魔域”の導入 冒険者ギルドの奥にある、ギルドマスターの部屋に通されるのは初めてだった。 (そろそろ、ドーデンからは姿をくらまそうと思っていたけどな) ギルドマスターからの直々の依頼。好奇心が勝ってしまった。 貴族の後継争いを避けるため、身を隠そうと冒険者になったのだが。 ここ最近は「割とこの仕事に向いているのかな?」と思うことが多い。 (有名になっても、困るんだけどな、はは・・・) 「失礼します」 扉を開けると、正面の壁にはドーデン地方の地図が一面に描かれていた。 壁自体に描かれてるのだろうか、そしてその地図のあちこちにメモが貼られていたり、直接インクで文字が書かれている。 部屋の中央には円形のテーブル。 すでに4人座っている。 「遅いわよ(もぐもぐ)」 入り口に背を向けて座っているツインテールの少女が、振り向きざまにクロスボウを向けてきた。 「わ!?」 ん? クロスボウに、矢は、ない。 「おいおい、脅かすなよ」 右側の席の女性が、呆れたように少女をたしなめる。 鍛え上げられた褐色の肌に、グリーンの瞳、髪は銀髪。 「私の隣が空いてます、こちらへ」 左側の席にも女性。耳のあたりに盾神イーヴのシンボル。イヤリング?聖印だろうか。 (今回、男は俺一人か) 「よく来たね、術士ハリド」 正面には温厚に笑う老人。紺色のローブにオレンジ色の花の刺繍。 フレジア森林国の冒険者ギルドのマスター、”百色を使う”ダーダム。 石化の呪いが暴走した森林を、3日3晩かけて様々な妖精とともに元の森林に戻した話は、ドーデン地方の吟遊詩人は好んでよく歌う。 「仕事の話を早速させて貰うよ」 依頼はよくある話だった。国内に発生した奈落の魔域「シャロウ・アビス」の殲滅。 キングスレイとフリジアを繋ぐ線路沿いで魔域が発見されたらしい。 目撃者の車掌が言うには、「2階建ての建物を全て覆ってしまうほどの、黒い球体」 「2階建て?具体的ね?(もぐもぐ)」 クロスボウを拭きながら、少女は言う。 それにしても、ずっと焼き菓子を食っている・・・。 「その魔域の発生地点に、立派なお屋敷があるのだよ。しかも他国のエルフ貴族の別荘でね」 「ああ、そのあたり。ありましたよね・・・・。アデル・ザザール子爵・・・ですか?」 「術士殿は、ご存知だね」 この国の木材や果実、工芸品の輸出に深く関わっている。 他の国の経済にも関わっているあたり、商売が好きそうな貴族だな、くらいにしか思っていなかったが。 「車掌の目撃情報だけしかなくて申し訳ないんだが、調査隊を派遣する間も惜しくてね。 君たちには早急に魔域の調査・殲滅をお願いしたい」 提示された報酬は銀貨7000枚。脅威度が低くても、問題ないそうだ。 脅威度が高く、手に負えないと判断した場合でも調査比として銀貨2000枚は貰えると。 「気前のいいこった、しかもやることがシンプルで助かる。俺はもちろん引き受ける」 腕組みをしながら、褐色の女性は不敵に微笑んだ。 「助かるな、カイニス。速やかに解決する事が、今回は重要でね」と、ダーダム。 他国の子爵自らが武装・討伐隊を結成してフリジア国内に入り込む事で、国の守備隊が緊張するのを恐れたのだろう。 子爵が動く前に、国に属さない冒険者が魔域を発見・討伐すれば問題ない。 「別荘の管理人は、この国の人間でね。先にフェリアにコンタクトを取ってもらった」 「管理人の方も協力的でした。屋敷の見取り図と、鍵も預からせて頂けました。屋敷自体に万が一被害 が出ても問題ないそうです」 フェリアと呼ばれたのは、イーヴのシンボルのイヤリングをした女性だった。 ダーダムと俺たちを交互に見ながら話す。 立ち振る舞いからして、以前は神殿か軍隊か、組織に属していたのかもしれない。 「報酬も情報も十分ね。私はもちろん引き受けるわよ。斥候は任せてね♪」 クロスボウを大事そうに抱えて、少女はフィオラと名乗った。 ブルライト地方で、名を上げている冒険者の一人ではないか? 「君が?あの”一撃の朱”の・・・」 「知っててくれた?嬉しい!!よろしくね、術士殿!!」 自分が依頼の返答をする前に、どうやら仲間になってしまったらしい。 握手をする自分とフィオラを見ながら、フェリアはにっこり微笑み、カイニスはダーダムに笑った。 「勝ったも同然だな♪」
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