「道連れの探求者たち」

Ratatoskr
Ratatoskrスレッド平原の巣穴(RP部屋)[web全体で公開] 押されたいいね! 1
登録日:2023/08/22 05:12最終更新日:2023/09/04 00:31

本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作物です。
PCのRPを煮詰めるための演劇部屋です。

登場PC

『リーベライ』
ナイトメア/女性/22歳
世界を知りたくて旅をしている。

『ナックト』
ハイマン/男性/19歳
ある目的のために旅をしている。
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Ratatoskr
14. Ratatoskr
2023/08/28 17:04
「僕が旅をする理由、か。最初はこの世界に僕の存在を刻みこんでやろう、なんて思っていたかもしれない」

「でも今はあんまり気分ではなくてね。道連れとのんびり目線を合わせて、最後まで楽しく過ごせたら」

「それで幸せになれる気がしてる、なんてね」
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Ratatoskr
13. Ratatoskr
2023/08/28 13:18
「俺の名前はリーベライ。どこにでもいる人間だ」

「頭のそれ・・・ああ、角だぜ。別段おかしな事はないだろ。人間は多様性の生き物だ。角だって生える」

「まあ、俺の珍しい部分っていえば、そうだな、旅をしていることかな」

「それもありふれたものではあるけど、それでも俺は俺の旅をしているんだぜ」
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12. Ratatoskr
2023/08/27 14:59
「君の人生はこれからも続く。もしかしたら僕の人生の年数なんて、端数で数えられてしまうほど長く生きるかもしれない。でも僕には確信、いや期待かな。リーベライ、君はずっと変わらないで居てくれるんじゃないかと思えるんだ」

「そんな期待をされてもな。人は変わるよ、ナックト。仮にお前の言うとおりの年数を生きるとして、その間に別人になる可能性なんていくらでもある。現に俺の価値観は一度、生まれ変わったかのように変化しているぜ。たったの20年しか生きていないというのにだ」

「それでも僕は、君に期待をしてしまうんだよ」

「・・・・・・」

「きっと、僕の前ではいつもの君でいてくれるんだろうなって」
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Ratatoskr
11. Ratatoskr
2023/08/23 13:19
「さっきから、何を熱心に書いてるんだ?」

「ああ、これかい? これは、預言書さ」

「預言書ぉ? 予言なんて出来たのかよ」

「いいや、出来ない」

「嘘っぱちか」

「そう、嘘っぱち」

「そんなもん書いてどうするんだよ」

「もちろん、後世に残すのさ」

「残るのか?」

「さあね、どうかな。でもね、この前読んだ本に、古代文明の大予言師! って紹介されている人物がいたんだけど、それ、僕の前世の記憶では、ただの道化師だったんだ」

「それは、あれか」

「そう、きっと悪ふざけで本にしたためた彼の言葉を、誰かが予言なんて大層なものに仕立て上げたのさ」
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10. Ratatoskr
2023/08/23 22:25
 ある朝、リーベライが目を覚ましてテントを出ると、ナックトがおかしなことをやっていた。まるで鹿の角のような枝の二股の先端を両手でそれぞれ握り、1本の方の先端を地面に向けて持ちながら、両肘をわきわきと動かしている。傍目からみると気持ちの悪い動きだ。

「・・・・・・」

 リーベライはナックトの普段の奇行には慣れていたが、流石にこれに話しかけたくはなかった。ゆえに、しばらく黙って見守ることにした。

「よし、これで、ここか? いや、こっちかな。おぉ、これはすごいな」

 ナックトはぶつぶつと何かを呟きながら、うろうろと動き回っている。そしてしばらくしてピタリと動きを止めると、ここだ! と大声を出して枝を勢いよく地面に突き刺した。そして、ふぅ、と一息吐くと、そこでようやくリーベライに気がついたらしい。

「あ、おはようリーベライ」

「はい、おはよう。・・・・・・ところで、朝っぱらから何をやってるんだ?」

「ああ、これかい? これはね、ウォーター・ウォッチングさ」

「ウォーター・ウォッチング?」

「ああ、この間すれ違った旅の魔術師に教えてもらったんだ。何でも、捜し物を見つけ出す魔法らしい」

「へぇ、捜し物の魔法ねぇ。いったい、お前は何を探してたんだよ。くねくね気持ち悪い動きして」

「あ、もしかして見てたのかい? それなら声をかけてくれればいいのに」

「いや、あれに声をかけるのは人間にはまだ早い」

「ところで何を探してたか、聞きたい?」

「あぁ、気になるね」

「それはね――」

 とナックトは荷物から杖を取り出すと、枝を指していた地面に向けて槍の呪文を放った。魔力が地面を抉る。

「――冒険だよ」

 抉られた地面、そこにあったのは。
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Ratatoskr
9. Ratatoskr
2023/08/23 11:57
 とある昼下がり、街中を散策していた二人の耳に、軽快な音色と共に詩が聞こえてきた。

「これは、吟遊詩人がどこかで演奏でもしているのかな」

「暇だし、見に行ってみるか」

「いいね」

 音の発生源を辿り、とある通りに差し掛かったところで、人々が集まっている場所を見つけた。先ほどから聞こえてくる詩は、その中心から発せられているようだ。二人もその集まりに加わり、静かに詩を聞く。

「僕も楽器を弾いてみようかな」

「やめておけ」

「なんでさ?」

「それ以上やかましくなられたら、たまらないからな。蝋を耳に詰めて過ごすのはごめんだ」

「まったくひどいことを言うなぁ。きっと僕が奏でる音は、天上の調べだというのに」

「俺は人間並みの音で満足だよ」
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8. Ratatoskr
2023/08/26 21:50
「そういえば、みたかい?」

「なにを?」

「さっき、街道の側の木で、首を吊っていた人だよ」

「ああ、あれね。おかしなことをする奴もいるもんだよな」

「たしかにおかしかったよね。でもたぶん、あれは前の街で行方不明になったって騒がれていた魔術師だよ」

「あれが? 高名な魔術師様が首を吊ってたのか」

「うん。どうにも最近、妙な噂が流れててね。真に受けてしまったんだろう」

「妙な噂って?」

「なんでも、木の枝に9日間首を吊ると、大いなる力が手に入るそうだ」

「なんだ、それ」

「魔術の儀式には、奇想天外なものも多いけど、こればかりは僕もばかばかしいと思ったね」

「そうだな。もしもそんな簡単に力が手に入るんだったら、ゴブリンのへその匂いだって嗅いでやるぜ」
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7. Ratatoskr
2023/08/23 08:12
「旅人に知恵を求める幻獣がいると聞くね」

「ん、あぁ。スフィンクス、だったか?」

「そう、それ。リーベライは会ったことがある?」

「いいや。それらしいのが出るって噂が前にあったけど、あれはスフィンクスの噂を悪用した、ただの追い剥ぎだったな。質問に答えられなければ、衣服を脱げって。あん? ただの変態だったか」

「それはとても愉快な人だね、ぜひ僕もお目に掛かってみたい。その話も詳しく聞きたいけど、それは後日の楽しみにとっておこう」

「そんなに面白い話でもないけどな」

「ときにリーベライ。僕らはこれでも知恵を求めて旅をしている身だ。それなりの教養はあると自負している」

「まあ、そうだな」

「そこでだ、リーベライ。僕らでスフィンクスを探して、逆に問いかけをするというのはどうだい? 面白そうだろう?」
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6. Ratatoskr
2023/08/22 23:42
「リーベライ、リーベライ! 見たよ。僕は見たよ!」

 とても興奮した様子でナックトが待ち合わせ場所に現れた。

「はあ、どうしたんだ、そんなに興奮して」

「見たんだ! 僕は見たんだよ!」

「だから、何を。踊り子のぽろりでも見えたのか」

「違うよ、それよりも、もっともっといいものさ」

だんだんと興奮が落ち着いてきたのか、それでも目をギラつかせながらナックトは語る。

「僕は見たんだ。神の化身を」

「・・・・・・神の化身?」

「そう、神の化身、またの名前をセンティアン」

「んー、たしか、他の大陸で目撃情報があった、神像に魂が宿った種族だっけ?」

「ああ、神が危機を払うために、地上に使わす神の従者だ」

「まあこの大陸では目撃情報がないもんな。けど、お前があれだけ興奮するのは珍しい」

「リーベライ、分からないのかい?」

「ん、何が?」

「センティアンを見たということの意味をさ」

「・・・・・・この大陸で、神が介入しないといけない危機が起ころうとしている?」

「そう、それもあるけどね」

「それより重要なことがあるのか」

「ああ、彼らが現れたということは、だよ。この世界はいま、神の領域と近くなっているということなんだよ」

「――なるほど」

 リーベライはそれを聞くと、すぐに荷物から1枚の地図を取り出した。

「ここから一番近いポイントは、平原の流星跡地だな」

「どれくらいかかる?」

「馬を飛ばして、2日か。竜なら半日で着く」

「――リーベライ」

「ああ、分かってるよ。今回ばかりは、財布の紐を大解放だ」

「流石、それでこそ僕の道連れだ。そうこなくっちゃ」
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Ratatoskr
5. Ratatoskr
2023/08/22 15:25
 ふらりふらりと放浪の旅を続けるリーベライとナックト。
 穀倉地帯を歩いていた彼らの目に、黒煙が立ち上る村が見えていた。

「ねえ、リーベライ。あれはなんだと思う?」

「さあ、火事かなにかじゃないか」

「ふうん、でもさ、それにしては村の様子がおかしくない?」

 そうナックトが指し示す先には、”何か”から逃げ惑うようにしている村人たちの姿があった。

「そうだな。あれは・・・・・・もしかしたら蛮族に襲われてるのかもしれない」

「こんなに街に近い村が?」

「こんなに街に近い村でも、だ」

「そっかぁ。本当に世界は一度、蛮族に負けてしまったんだね。こうして旅をしていると、実感が沸いてくるよ」

「まあな、どこもかしこも蛮族だらけ。1匹いれば30匹いると思えってのが、冒険者の格言らしい」

「ところでさ、リーベライ?」

「なんだよ」

「助けにいかなくていいの?」

「・・・・・・旅の心得、そのいーち」

「面倒事にはかかわるな」

「そう、それだ」

「じゃあさ、旅の心得その4は?」

「路銀は大事に」

「いまの僕らの財布の中身は?」

「・・・・・・すかんぴん」

「それもこれも、君が物珍しいからと言って、余計な買い物をしすぎた――」

「よし、旅の心得、追加事項。恩は売れるときにうっておけ。行くぞ!」

「・・・・・・やれやれ、まったく」
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