仲上(なかがみ) 遼次(りょうじ)〈ロスト〉(クトゥルフ神話TRPG用キャラクターシート)

夜凪が作成したTRPG「クトゥルフ神話TRPG」用のキャラクターシートです。

本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION

仲上(なかがみ) 遼次(りょうじ)〈ロスト〉の詳細

キャラクターID: 164012149347yonagi479

キャラクター情報  NPCでの使用は不可
TRPGの種別: クトゥルフ神話TRPG
仲上(なかがみ) 遼次(りょうじ)〈ロスト〉

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キャラクター名: 仲上(なかがみ) 遼次(りょうじ)〈ロスト〉
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外部URL:
メモ:
〈特徴表〉
・寄せ餌

・年齢:23→56  EDU:17→20
 APP:8→6


〈不定の狂気〉
・血を見ると興奮する。残り1ヶ月。
詳細A:
《プロフィール》
【職業】 ホラー・オカルト作家(元キックボクサー) 【性別】 男性 【年齢】 56歳 
【出身】 宮賤市(きゅうせんし) 【学校・学位】  
【精神的な障害】  

【SAN値】 現在 / 最大
-28 / 99

【STR】 15 【APP】 6 【SAN】 65
【CON】 14 【SIZ】 14 【幸運】 65
【POW】 13 【INT】 14 【アイデア】 70
【DEX】 11 【EDU】 20 【知識】 100
【H P】 14 【M P】 13 【ダメージボーナス】 +1D4

【職業技能ポイント】 400
【個人的な興味による技能ポイント】 140

《戦闘技能》
☑回避     80% ☑武道:立ち技 75%
☐こぶし    50% ☑キック    80%
☐頭突き    10% ☐組み付き   25%
☐拳銃     20% ☐投擲     25%
☐マシンガン  15% ☐サブマシンガン 15%
☐ライフル   25% ☐ショットガン 30%

《探索技能》
☐目星     42% ☑聞き耳    80%
☑応急手当   70% ☐追跡     10%
☐隠れる    10% ☐忍び歩き   10%
☐隠す     15% ☐写真術    10%
☑図書館    70% ☐登攀     40%
☐鍵開け     1% ☑精神分析   21%

《行動技能》
☐水泳     25% ☐運転:    20%
☐電気修理   10% ☐操縦:     1%
☑跳躍     75% ☐ナビゲート  10%
☐機械修理   20% ☐製作:     5%
☐乗馬      5% ☐重機械操作   1%
☐変装      1% 

《交渉技能》
☐母国語    99% ☐信用     15%
☐説得     15% ☐言いくるめ   5%
☐値切り     5% ☑英語     36%

《知識技能》
☐歴史     20% ☐クトゥルフ神話  0%
☑オカルト   80% ☐コンピューター  1%
☐経理     10% ☐電子工学    1%
☐天文学     1% ☐物理学     1%
☐化学      1% ☐考古学     1%
☐心理学     5% ☐法律      5%
☐人類学     1% ☐生物学     1%
☐薬学      1% ☐地質学     1%
☐博物学    12% ☑芸術:執筆  80%
☐医学      5% 
詳細B:
{武器}
キック 1D6+DB タッチ 1回 -
組み付き 特殊 タッチ 1回 -
こぶし 1D3+DB タッチ 1回 -
頭突き 1D4+DB タッチ 1回 -


{所持品}



【現金】  【預金/借金】 

{パーソナルデータ}
【経歴】
 義眼で重度のヘビースモーカーのオカルト小説家。
 気付けば幽霊が見えていた。
 元キックボクサーらしく、身体を鍛えるのは今でも好き。
 50代後半にして認知症がかなり進行しているらしく幼い頃の思い出
どころか社会人として働いていた記憶も、両親や親友の存在すらも曖昧
で、ハッキリと思い出せるのはここ数年の記憶ぐらいしかない。
 どんなに自分の過去を考えても人生の大半を失くしたという不安が
消えず、酒と煙草で胃と肺を満たしている。
 過去を空想して自分がどういう人生を送ってきたのか考える事で
精神を安定させている。





【技能】

 左目が無いので視力は悪い。代わりに耳は良く聴こえる。
(目星)(聞き耳)
 
 義眼でありながら持ち前の感の良さと瞬発力で相手の技を避けつつ
(回避)
跳び膝蹴りや頭部狙いの蹴り等の大技を得意とした戦い方をしていた
と考えられる。
(跳躍)(キック)(武道:立ち技)
 傷の手当てもある程度は処置の方法が身体に染み付いているらしく
治療できる。打撲などの傷はテキパキと処置出来る。
(応急手当)
 英語がある程度読み聞き出来る事から海外への渡航経験があるか、又は英語が好きだったのかもしれない。
(英語)
 市内ではプロとして活躍していたが、試合中に左眼が義眼である事が
発覚し、その試合を最後に引退した。と考えている。
 
 自宅にオカルト系統の本が沢山あるので、そういった事象について
調べていた時期があるらしい。
 幽霊が見える事に関係があるのか、見えるから調べていたのか、
前後関係は不明。呪術的な本も集めていたらしい。
(図書館)(オカルト)

 書きかけの原稿用紙、たまにかかってくる担当を名乗る男からの
電話から推測するに、現在の自分は作家なのだろう。
 書こうとしていた内容はおそらくホラー小説だと思われる。
 本棚にあったオカルト系の雑誌は小説の参考資料用の可能性が
出てきた。

 催促の電話が鬱陶しいのと、唯一自分を知っている身近な人物との
繋がりを絶たちたくないという思いから小説を書く事にした。
(芸術:執筆)
 担当の苗字が鈴谷(すずたに)という事、数年前から自分の担当を
している事などが分かっている。

 空っぽままだと不安でおかしくなりそうなので自分の周辺にある物や
自分が無意識に行っている些細な仕草から過去を想像し空白を埋めて
いたら、自分の現在の精神状態まで他人事のように分析できるように
なっていた。
 自分だけでなく他人の仕草や言動から、相手の精神状態を何となく
察する事ができるが、元々自分の事を知る為に身に付いたので自分に
置き換えて分析しているので殆ど間違っている。
(精神分析)





【記憶にある出来事】

 広い庭のある和風建築の平屋に1人で住んでいる。
 家族にまつわるようなものは家に何も置いて無い。
 たまに幽霊のような何かが見える事がある。
 書斎に原稿用紙の束とペンが置いてあり、担当を名乗る男から連絡が
来た事で自分はオカルト作家だったと判明。
 しかし、本を出したのは1冊のみで、売れ行きも悪いらしい。
 自分を知っているらしい唯一の人物との繋がりを絶たないようにと
小説を書く事を決めたが、原稿用紙に向き合った時に全て白紙である
事実に気が付いた時は頭を抱えた。構想に使われたようなメモ書きも
見当たらなかったので一から書き始めなくてはいけない。

 家に使い込まれたサンドバッグが置いてあったり、蹴る動作が身体に
やけに馴染んでいるように感じて多少訝しんでいたのだが、約1年前、
普段煙草を買いに行っているコンビニで強盗に襲われた際、強盗が所持
していた刃物を咄嗟に避けて反射的に顎を蹴り上げて気絶させたのを
キッカケに、流石に一般人が動ける範囲を超えてただろうと家に帰り
普段行かない部屋の物置や棚の中などひと通り漁って調べた結果、
埃が積もったキックボクシングのメダルやトロフィー等が見つかった。
 何故家にサンドバッグがあったのか納得し過去の手掛かりになる物が
あった事に少し安心感を覚えた。

 最近の趣味はお酒と煙草を買うついでのランニングとサンドバッグを
相手にキックボクシングの技を練習する事。
 お金に関しては通帳の残高からしばらく仕事をしなくても問題なく
暮らせる程度には溜まっていたので酒と煙草を大量に買い込み消費
している。固形の食事はコンビニの弁当やおつまみなど。
 生活習慣が乱れているにも関わらず体力が落ちた様子はないのは
若い頃に鍛えていた名残からか、お酒などの重りを抱えて走ったり、
キックボクシングの訓練もどき意外にも功を奏しているらしい。

 何故か家に置いてある私物や義眼が赤系統の色で揃えられているのを
見て、自分は赤色が好きだったか、赤をイメージカラーにしていたと
考えている。
 自分は別に赤が好きな訳ではないが、過去の自分が赤を選んだ理由が
分かるまでは自分も赤を身に付けていようとなるべく赤い物を選んで
購入するようにしている。




















【心情】

 俺の目は昔から怖いものを映してきたらしい。

 昔つっても記憶が無ねぇからそう感じてるだけだ。
 記憶が無ぇなんて嘘みてぇな話だろ?
 でもな、マジなんだよ。ガキの頃どころか、ここ数年の記憶すら
あやふやってんだから困ったもんだよ。多分認知症の類いだろうな。
 最近の事しか覚えちゃねぇが、いきなり見えねぇもんが見えるように
なるっつうのもおかしな話だろ?
 だからこれは、持って生まれちまったもんなんだろうと考えた訳だ。

 記憶に関しては、無いもんはどうにもなんねぇよな。
 もう脳の老化が始まっちまったかと気付いて焦った頃には遅ぇんだな
って実感したね。
 失ったもんは戻って来ねぇって、そんな事とっくに知ってるもんだと
思ってたが、自分はまだ若けぇからとタカでも括っていやがったのか。
 人の人生の半分盗んで消えやがって。出来んなら若い頃の自分に一発
蹴り入れてやりてぇくらいだよ。
 つっても、喝を入れる為に若い頃を思い出そうとしたところで、
その面影すら残ってねぇってんだから、笑っちまうだろ?

 俺の手元に残ってんのは写真とメダルや賞状、白紙の原稿用紙と義眼
くらいのもんだ。
 自分を形作ってるもんがこんなんしかねぇだなんて泣けちまうよな。
 結局記憶があろうが無かろうが俺なんかの人生は空っぽなんだろう。
 あったところで虚しい人生だろうが、それでも無いと不安になんのが
人間なんだろうな。
 ふとした時にどうしようもねぇ程怖くなんだよ。自分は一体何なんだ
って。血の繋がった家族の事も、学生時代も、社会に出て経験した筈の
苦楽すら一切思い出せねぇまま、どうやって普通に生きれば良いんだよ
ってな。
 そういう恐怖ってのは厄介だぜ。幽霊なんかよりもずぅっとな。
 だから、いつから書いてんのかも分かんねぇ小説の原稿に向かいつつ
現実逃避のように想像してんだよ。
 俺っていう人物の過去を。



 過去を想像するにしたって、現実味ってのは必要だと。
 そんで、現在俺自身について分かっていることだが、

1.一人暮し。
  同居人はいねぇらしい。そこそこ広い庭のある、昔ながらの平屋に
  住んでたみてぇだが、俺が買ったもんなのか、両親から受け継いだ
  もんなのかも分かんねぇ。
  そもそも、両親と過ごした記憶もそれらしき人物の写真もねぇし
  生死すらあやふやだ。この家に仏像がねぇから生きてる可能性は
  考えてるが、連絡も一切ねぇ両親なんて、いねぇも同然だろ。

2.職はある。
  オカルト小説家らしいが本屋なんかを見て回った感想から言えば、
  あんま売れてるとは言えねぇな。
  だが、金に不自由はしないで済みそうだ。家の通帳にかなりの額の
  貯金が残っていた。理由は知らねぇが、この時ばかりは昔の俺に
  礼くらいはしてやっても良いかと思ったね。大方大会の賞金か何か
  だろうと目星を付けてるが、まさか犯罪に関わってはねぇよな……。

3.キックボクシングの選手だった。
  大会の賞金ってのはここから関連付けたもんだ。家に置いてある
  サンドバッグとメダルやトロフィーの数から、そこそこの実力は
  あったんだろうな。つっても割合で言えば銅が多いし、賞金の額が
  分かるようなもんも、それどころか取った日付が分かるようなもん
  すら見つかってねぇから不安はある。
  選手だった。っていうのも、メダルやトロフィーに埃が積もってた
  から最近は取ってねぇって事と、今の年齢を考えてのことだ。
  まぁ、選手だった時の記憶が無くともナイフ持ちの強盗相手に圧勝
  を決める程度の実力は身体に染み付いてるらしい。

4.右目が義眼。
  これは多分、生まれ付きのもんだと思ってる。事故かなんかで
  無くなったんなら入院した形跡やその名残か何かがある筈だと家中
  引っ掻き回した事があるが、見つからなかった。手元にあった
  写真に映った俺が全て義眼である事や、劣化した義眼がいくつか
  戸棚に仕舞ってあった事から考えても、ここ数年の事じゃねぇ。
  つっても義眼っつうのは2年で劣化するシロモンらしいし、
  写真もここ最近のもんしか見つからねぇんだから何の参考にも
  なりゃしねぇ。

5.幽霊が見える。
  これが一番訳が分かんねぇ。記憶がハッキリし始めた時から普通に
  見えてたし、記憶が曖昧な時期にも見えてたような気もすんだよ。
  見えたり見えなかったりするのもめんどくせぇな。まぁ、ずっと
  見えてんのも嫌だが。見てるとなんかムシャクシャすんだよなぁ。
  いつか思いっきり蹴り飛ばしてぇな。取り憑かれそうで怖えから
  まだやってねぇけど。
  霊感ってやつ?そういうのは大体生まれ付きのもんなんだろ。
  売られた小説もそういう系だし書き始めた頃には見えてんのか?


 重要そうなのはこんくらいか。後は……そうだな。

 何となく感じてるが、俺は赤色が好きだ。
 義眼も眼鏡も赤系統の色だし、今の俺自身も髪を染め直す時や物を
買う時なんかは何となく赤を選んじまう。

 それから少し英語が読めるな。
 海外への渡航経験でもあんのか?って思ったが、パスポートも
大きいキャリーケースも家にねぇから、多分行ってねぇな。
 俺の学生時代の努力の賜物か、オカルト系の記事を読み漁るのに
必要だったんだろ。割と霊とか都市伝説関係の知識は調べなくても
大体脳裏に浮かんでくる。
 そんな情報いらねぇから記憶を留めとけっての。
 そもそも記憶にある限りこの街から出た事ねぇし。
 特に出ようとも思わねぇけどよ。

 そうそう、俺はかなりの愛煙家だ。
 今も口元が寂しい時なんかは自然と手が出るが、元々家に灰皿と
ジッポライター、煙草が数箱置いてあったから、これは過去の俺の
仕業だろう。
 酒も好きだが、こっちは過去は関係ねぇな。家に酒瓶も缶も積んで
無かったし、今の俺が好きなだけだろう。
 直筆中や手が空いたときは無意識に煙草を咥えてる。最低でも一日
一箱は吸わねぇとやってらんねぇから週一でまとめ買いしてるが、
 それでも足んねぇ時があるから追加で買い足してる。
 お陰で外出は多いしトレーニング中は危なくて吸ってねぇから、
ずっと椅子に座りっぱなしで碌に外出も筋トレもしねぇような人間
よりかよっぽど健康だって自信はあるぜ。


 これらの事から導き出した俺の人生はこうだ。


 俺は右目を失った状態で産まれた。その醜い顔面を拒絶した母親は、
生後数日の俺と父を置いて蒸発。父親は男で一つで俺を育て上げた。
 家に両親に関係する品がねぇのは、多分そういう事なんだろう。

 物心付いた時から見えちゃいけねぇもんの存在を感じ取っていた俺は
父親にアレは何かと聞いては怖がり、さぞ困らせた事だろう。
 歳を取っていく中でそれが父親を困らせていると気付き、途中から
見えなくなった程を装った。勿論実際に見えなくなった訳じゃねぇ。
それらのせいで何かと事件に巻き込まれたりもした事だろう。あとは
そうだな。ガキの頃を覚えてるクラスの奴等に嫌味な事を言われたり
したんだろうな。学生時代に友人も出来ず、碌な思い出もなかった。

 そんな人生の中で、俺は得体の知れない奴への対抗策か、又は嫌味な
学友への復讐心からか、武道を習い始めた。蹴りが馴染むところを
みると、空手辺りが妥当だろう。
 そうして強さを手に入れた俺は、ある時キックボクシングを知る。
それで稼ぎたいと思う程に熱を持って、俺はジムの扉を叩いた。
 最初からプロに慣れるとは思わねぇから、多分誰かに弟子入りとか
したんだろう。師匠のイメージカラーは間違いなく赤だ。・・・待てよ?
最初っからキックボクシングを習ってた可能性も
あるな。
 まぁアレだ。ようはガキの頃に、武術の道を選ぶに至った何かが
あった訳だ。そして
血の滲むような努力を費やした俺は、若くして実力を発揮し、大会に
出て賞金を稼くまでに強くなった。天職だと思っていた筈だ。うん。
 俺のイメージカラーは師匠から受け継いだ赤だった事だろう。

 だが、人生はそう甘くはない。
 強さが認められ注目を浴びつつある中、俺は突然引退せざるを得なく
なった。
 ある試合中、そう。それは生涯のライバルとも言えるような奴との
試合中だった。
相手も意図した訳じゃないんだろう。右眼球のすぐ横辺りに、渾身の右
ストレートが入った。その日はよっぽど運が悪かったんだろうな。
 その時、義眼が飛び出しちまったんだよ。
 会場は一瞬の静寂の後、阿鼻叫喚と化した。テレビにはバッチリと
その瞬間が映り込み・・・生放送だったんだよ。
 俺が義眼を拾う中、観客は泣き叫んで逃げ出し、失神する奴も出た。
ライバルは呆然と立ち尽くし試合どころじゃなくなった。
 それが、俺の引退試合となった訳だ。義眼だと言ってなかった俺が
悪いんだ。各方面からお叱りを受け出禁になったのは受け入れられた。
 だが、一つ心残りがあるなら、生涯のライバルとの試合で決着を付け
られなかった事だろうな。
 そうして俺はキックボクシングの歴史から消されたのさ。

 俺は輝かしい居場所を失い、一人自宅に篭って自堕落に過ごした。
 大会で稼いだ金があるから生活には困りはしない。
 数年間、酒を浴び煙草で肺を満たしては眠る生活が続いた事だろう。
 ・・・父親?あー、俺の引退試合の数年前から難病を患っていたんだ。
 父親は病気のベッドの上で過ごす日々。辛い闘病生活の中、俺の
試合を観戦するのが唯一の楽しみだった。
 だが、病状は悪化する一方。少しでも苦しみを無くす為に薬を使って
眠ってもらう事しか出来なかった。それでも俺の試合がある時間だけは
眠らせないでくれと看護師に頼んでいたらしい。
 俺が試合を終えてスマホを見ると、必ず父からの連絡が入っていた。
 それが、俺の強さの原動力になっていたんだ。
 そうして迎えた、ライバルとの決勝試合。俺の義眼が吹っ飛び試合が
一時中断された。勿論放送も切れた事だろう。
 義眼である事を説明して会場を落ち着かせ、一旦控室に戻された俺は
救急車を待つ間、集まる人々の喧騒を聞きながらスマホの画面を開く。
 父からの連絡は無い。
 まぁ、仕方がないかと俺は一言『やっちまった』とだけ送った。
 心配すんなとか、俺は大丈夫だとか送らなかったのは、多少なりとも
俺も気が動転していたからだろう。なんでも良いから、父の言葉に
縋りたかったんだ。慰めでも、怒りの言葉でも良い。ただ、前を示して
くれるような言葉が欲しかった。
 病院に運ばれ一通り治療が終わった後だ。父が亡くなったと医者に
告げられたのは。
 医師が言うには、いつも通り俺の試合を見る為起きた父に、安静にと
声を掛けて部屋を出た。父は病室で一人、俺の試合を見ていたらしい。
 異常に気が付いたのは、しばらくして様子を見に来た看護師だ。
 父は、中継が切れ別の映像が流れるテレビの前で、ベッドに大量の
血を吐いて死んでいたらしい。見つけた時には手遅れだったそうだ。
 父が死んだのが、俺の義眼が吹っ飛んだ後か、その前だったのかは
分からなかった。確かなのは、俺の試合中に死んだという事だけだ。
 俺の試合を見たせいで父がショック死したのではないかという考えが
重くのし掛かる。酒や煙草に入り浸る原因の大半はこの罪悪感からだ。
 酒を浴びてるのは今の俺だって?・・・あれだよ。昔の俺も浴びてた
時期があったんだよ。けどやめたんだ。前を向く為にな。煙草?あれは
依存度高けぇから今までやめれなかったんだよ。

 そうして俺はオカルト作家への道を歩む事になる。
 理由?父親への執着に決まってるだろ。
 父親の言葉を聞く為にオカルト関係の本や資料を読み漁って知識を
増やした。でも、それだけじゃ足んねぇって気付いたんだよ。俺には
技術が無ぇ。もっと深く足を突っ込んでる奴等と知り合う為に、本を
出した。類は友を呼ぶって奴だよ。
 本を見て、俺に連絡を取ってくる奴等を待ってるんだ。本当に霊を
信じてる奴なら金を出して俺の本を買い、出版社経由で俺の求める
情報を持ってきてくれるだろうと考えてな。
 そうそう、本を出すに至るまでの経緯だが、これがまたーーん?
もう充分だ?まだ3分の2程度しか話し終えてねぇが・・・俺の最愛の
女性の話も、オカルト関係の超常現象に巻き込まれたせいで彼女を
失った話もまだなんだが・・・まあ良い。


 とまぁ、長くなったがこれが俺の考える「記憶から失われた過去」だ。
 どうだ。感動しただろ。
 あ?なんでわざわざこんな重たい過去にしたかって?
 決まってんだろ。その方が格好良いし、面白れぇからだよ。
 前提条件が昔を覚えてない。まぁ、老化が原因だとしてもだ。変な
もんは見えるし、護身術以上に戦える身体能力。
 極め付けに義眼だぜ?人生辛く無ねぇって方が
ありえねぇ。
 大なり小なり、昔の俺には何かしらの事件が起こってる筈だ。
 そんでこっちはただでさえ人生の大半失ってて生い先不安なんだよ。
 だったら過去ぐらい最っ高に格好付けて、俺はこんな人生を歩んで
来た。だからこの先何があっても平気だって思わせてくれたって良い
だろうが。それにな。
 過去を飾り立てて豪華にする程俺という人間がどういう奴だったか
を深くまで認識できる。
 重荷を背負わせ枷を付けることで、足掻いてでも生きようとする
理由が生まれる。
 今の喋り方も、煙草を咥えながら話すのも、赤い物を身に付ける
のも、過去の自分を想像して、イメージに近付けようとした結果の
産物なんだ。最高に格好良いイメージの俺を、この身体に映そうと
した結果が今の俺なんだよ。
 多分だけどな。きっとそういうことなんだ。
 こんくらいの過去を自分に持たせて、ようやくこれから先の世界を
考えられるようになるんだ。
 それに、こんだけ過去を練れば何も持たない自分にでも愛着が湧く
ってもんだ。

 自分の過去に何があって、その正体が何であってもな。
 


 







【実際】

 売れないオカルト小説家。
 若い頃にキックボクシングの選手だった時期があるが、あまり戦歴は
良くなく、なんとなく格好良いからという理由で始めて特に思い入れも
ないので早々に引退している。
 しばらくは会社勤めの社会人として地道に働いていたが、ある時急に
小説家になろうと思い立って会社を辞めた。
 オカルト系の話が好きだったのでホラー小説を書き、自費出版した。
 自宅近くの本屋と交渉して何冊か置いてもらったが売れ行きは悪く、
本屋に足を運ぶたびに売れ残りが置いてあるのを目にするのが苦痛に
感じ、自分で買い取った後自宅の庭で原本ごと全て燃やしている。

 幼い頃に見ていた戦隊ヒーローに憧れて赤色が好きになった。
 キックボクシングを始めたキッカケもヒーローみたいに強くなりたい
と思ったから。
 夢はいつしか自分の中から消えていたが、それでも困っている人は
ほっとけないという気持ちはなんとなく残っていた。

 義眼になったのは大学生の時。
 キックボクシングの練習試合中、右顔面に相手の渾身の左ストレート
が入り眼球破裂。そのまま片目を失明した。
 義眼の色は自分本来の目の色を選んだが、一個だけ、赤色の義眼を
所持している。
 一度も使った事は無いが、機会が有れば付けてみたいと思っていた。
 義眼の赤色はレッドスピネルの色合いに似ている。

 休日にホラー映画を観るのが趣味だった。
 実際に幽霊を見た事は無いが、非科学的な物には興味を持っていた。
 作家になろうと思ったのは、映画を観ながら自分もこういう物語を
書いてみたい。折角書くなら誰かに読んで欲しい。と思ったから。
 書いた小説の題名は『Fear』。
 主人公の男性がひとりかくれんぼの実況をする話。主人公の部屋で
起こる怪奇現象は、どういう訳か動画を見ている視聴者の人数に比例
して酷くなっていくらしい。
 主人公が動画を撮るのをやめようとパソコンの電源を落とした。
 そこで気がつく。この動画はーー。





【誕生日】
3月30日

【不動産】  【住所】

【家族&友人】

【狂気の症状】

【負傷】

【傷跡など】

【読んだクトゥルフ神話の魔導書】

【アーティファクト】

【学んだ呪術】

【遭遇した超自然の存在】

【探索者の履歴】
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