ナニー（ケダモノオペラ用キャラクターシート）

【ケダモノ名】ナニー
【ケダモノ種】エンギウサギ
【亜種】タガネズミ：巨大なドブネズミの姿をしている。現在の可能性を一つに綰ねず、見通すことができるという。
【権能】慈愛
【欲望】母性：自身(或いは疑似餌)を母とし、無償の愛を捧げ、慕う魂を求めている。
【疑似餌の姿】妙齢の母性溢れる優しそうな女性
【住処】巨木のうろ

《伝説》＂育むもの＂
かつてナニーは1人の少年を拾った。声変わりしかけている。懐くかどうかは解らないが、ナニーは彼の「母」となった。どうやら少年は顔の大きな痣を忌まれていたらしい。人に心を開くまいと一言も発さない。彼の生地から離れた村落、その森に近い小屋に住まい、二人は粛々と家族の生活を続けた。少年はよく働いた。まるで人に借りを作らんとするように。彼はあっという間に青年になり、いつ独り立ちしてもおかしくない若者になった。もうこれを手懐ける事はできぬだろう。ナニーが若者を手放そうと考えた頃。ある日、村を洪水が襲った。幸いにも二人の小屋は高台にあったが、村の子供達がいくらか取り残されたという。若者はその報せを聞くと、小屋を飛び出していった。翌朝大雨が止むと彼らは帰ってきた。若者は子供達を助けたものの、運悪く倒木に当たり脇腹を抉られたらしい。虫の息で病室に横たわる彼の元に、ナニーの疑似餌が呼び出された。ちらと目線だけこちらに向けると、彼は吐息のような言葉を吐いて、そのまま息を引き取った。若者は村の英雄と称えられ、村人たちによって碑が建てられた。彼の最期の言葉を捉えたのが、その鋭敏な聴覚だったのか、心を繋ぐ異能だったのかは分からない。しかしナニーは初めて彼の声を聞いた。
「今まで有難う、母さん」

《伝説》＂少年と絵＂(ネタバレ有)
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《オペラ》＂もうひとつの未来＂
効果:異なる可能性を現実にする
条件:このステージでもう試練が行われない。参加者全員に確認すること。
オペラ予言:ひとつの事実がこの瞬間、まったく異なるものに置き換わりました。この変化を認識できるのは、あなただけ。

《特技》 

①＂風切り耳＂
C ⚅ 長く伸びた耳は獲物の動きを逃さず捉える
特技予言：そんなこと聞かなければよかったと思いました
特技予言：耳を掴まれました

②＂無害の毛皮＂　　 
C ⚅ おいおい。あの愛らしい姿のいったいなにが恐ろしいっていうんだ？
特技予言：みくびられ、軽んじられました
特技予言：見た目と中身がまったく違うものでした

③＂首狩りの刃＂　
B ⚅⚅ エンギウサギの歯や角は獲物を鋭く切り裂く
特技予言：ひとつのものが、ふたつに引き裂かれました
特技予言：ヒビがはいり、折れてしまいました

④＂超心理能力＂　 
B ⚅⚅ 脳に眠る可能性。触れずに物体を動かし話さずに精神に働きかける
特技予言：痛いか、辛いか、切ないかで死んでしまいそうでした
特技予言：そのモノは、新たな可能性に目覚めました

⑤＂赤方偏移の瞳＂　
A ⚅⚅⚅ エンギウサギの瞳が赤く輝くとき極小の可能性が現実化する
特技予言：忘れてしまっても、なかったことにはなりません
特技予言：たぐいまれな不運が、あなたの守るべきモノを襲いました

脳を刺激する牙のせいか、ウロボロスの流れのせいか、ナニーは自分の出自を思い出せない。
だが多くの多重世界を見渡しても、自分が親と呼ばれるものを知る世界は無い。
恐らく、自分は何者かに産み落とされた存在では無いことをナニーは知っている。

しかし、光の主に創られた存在は皆、子を産み世代を渡り、種を繁栄させている。特に子が親を慕うその気持ちは無条件の愛と呼ばれ、それこそが最も価値ある魂の輝きと感じている。

そのため、ナニーは自分の疑似餌を、本来エンギウサギが産む若い姿よりも成長させ、妙齢の「優しい母親」の姿に作る。
孤児を狙うか、はたまた自身がケダモノとして力を振るい家族を奪って身寄りのない子供を作り、その子達に近づいて義母となるのだ。

やがて己(の疑似餌)を真の母として慕った時、ナニーは子供を眠りにつかせる。穏やかな夜、眠い目を擦る子供の枕元に腰掛け、優しい微笑みを浮かべて頭を撫でる。幸せな笑みを返して眠りに落ちた子供は、その魂を「優しい母」にすっかり委ねている。

ナニーがそれを頂いて、二度と覚めない眠りに落とすことは造作もない。

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