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😶 「彼方からの君に捧ぐ」後日談。 (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)冬の訪れを感じる冷たさが肌を刺す。 つい先日までの涼しさが嘘だったかのように寒さを運んでくる。 思わず首をすくめて、暖を逃さないかのように体をちぢ込めた。 もう暫くもすれば吐息が白く染まる程季節が深まるのだろうと想像して、首元のマフラーをそっとたぐってみる。 そういえば、あの世界にはこんな風に季節はあったのだろうか。 ふとそんな思いが脳をよぎった。 遠い、遠い、気が遠くなるほどのいつかの未来。 確約も確信もない、だけど、必ずありえた可能性の彼方。 白く残酷な安全の箱庭と、燃え立つような紅い空を思い出す。 ありえないほど遠くて近いその未来で人類が再生を果たすためと称して呼び出されたのは、残念ながら記憶に新しく、未だ鮮明に脳裏を彩っている。 まるで夢のような信じがたい体験だったけれど、それでも目覚めた時に耳にしたニュースが、あれは現実にある可能性だったんだと知らしめた。 コクーンポリス、セントラルドーム。 その単語を理解した時には、思わずその場所を目指して家を飛び出していた。 まだ着想段階の机上の空論のような話だったとしても、そこにあの人たちがいた未来の痕跡があるかもしれないと、夢じゃなかったんだと信じたかった。 だからあの場所で、あの夢のような世界で出会った三人と再会できたとき、「ああ、夢じゃなかったんだな」と複雑な感情が胸を渦巻いた。 あの世界で誰よりも傷ついていたであろう石谷さんは、誰よりも再会を喜んでくれた。 気丈、という言葉が似合う、凛とした女性だと思う。 どんな瞬間でも、自分の意志を貫いていた姿が、酷く印象的だった。 相変わらず谷口さんはどっしり構えていて、だけどやっぱりどこかそわそわとしていたように思う。 警察官だという彼は、俺たちの中でも冷静さを失わずに、ずっと支えてくれた人で。 自分だって不安だったろうに、どんな時もみんなを見守ってくれて、いくつもの場面で助けられた。 望月さんとは年齢も近かったし部活動も一緒だったから、何かと連絡を取っている。 あんなわけのわからない場所で笑顔を絶やさず、率先して進んでいた。 自分も辛さを知ってるから、と前向きに生きようとしていた姿が眩しかった。 誰もが必死に帰り道を模索して、誰かの為に命を賭した。 きっと誰が欠けても、こんな風に穏やかな日常に戻ることなんてできなかったんじゃないだろうか。 だからこそ、あの時のウィルの最期の顔が、忘れられなかった。 終わりかけた世界の中で緩やかに終末を享受しながらも、自分たちの運命を真正面から受け止めて生きようともがいていた人たちがいて。 かつての繁栄を拠り所として、壊れながらも自分の信じる正義のために世界を更新しようとしていた人がいた。 それは、交じり合うことがないどこまでも平行線の信念だった。 分かり合う、というには既に遅すぎて、理解ができても同意はできなかった。 所詮想像と現実は違っていて、あいつが望んだ世界を受け入れることは、俺には不可能だった。 「お前がそんなことを望んでるなんて、俺は思いたくない。」なんて、ただの理想論だ。 そんなのわかっていたけど青臭い願いを捨てきれない自分が、引き止めたいと言葉を吐いた。 ウィルはあの男の分身のようなものだと、石谷さんが言っていた。 でも、同じような存在だと言っていたセラは、その意志に反抗してまで俺たちのことを守ってくれたじゃないか。 だったら、あの最期の笑顔は。 こんなのはただの希望的観測でしかありえないと、目を伏せて否定する。 選択した俺に、あいつのことを思い出して懐かしむ権利はきっとないだろう。 この先も、苦い思いはしこりのように残って、いつか摩耗して消えていくのかもしれない。 それでも進むと約束した。 ランスが見たいと言っていたこの空が、限りなく遠いいつかの未来で、その鮮明な青さを失わないように。 ちっぽけな俺ができるちっぽけな可能性を、いつかに繋げられるように。 俺も、頑張るから。 なあ、ランス、スピア、セラ。 あんたたちは今、どうしているだろうか。 寒く、長く、耐えるような凍える季節が過ぎれば、やがては始まりの春が訪れるだろう。 もしも、あの未来に季節があったなら。 彼らの希望が芽吹く、そんな瞬間が、きっと。 腹が立つくらい青々と広がる蒼穹の彼方に、俺はこっそり願いを込めて、目を閉じた。 ◆◇◆◇◆ 「彼方からの君に捧ぐ」、九条嘉純の後日談でした。 本当に、本当に、とても素敵なシナリオでした。 何から語ればいいかわからないくらい、たくさんの思い出がありすぎて整理できないレベルの濃密な時間だったなと思います。 本当ね、推しKP流石推しKPといった感じで、シナリオ内のNPCとの対話や全体的な雰囲気などの強弱というか、切り替えが凄すぎてはわはわしておりました…! あと全体的にファンブラーが多い卓でしたね…?(白目) あいええなんでまじかそこで連続でふぁんぶるか??みたいなシーンが多くて終始笑いと困惑の絶えないセッションだったなあ。 それでも全員が上手く情報など取り漏らさないように役割分担をして、なんとかグッドエンディングで生還できてほっとしております。 最後の拳銃2連続クリティカルは本当にイケメンすぎました…ダイスの女神様空気読みすぎ…私のダメージには一切微笑んでくれなかったけど…。 とはいえ、高校生組の「あれれー?おかしいなー?」というくらい失敗する技能ダイスは今思い出してもよく生還できたな?と思わされるところですね?(主にうちの九条がポンコツだった!) 上記のとおり、非常に濃密なシナリオでしたので、最後の局面に差し掛かると当初考えていたより、九条嘉純という人間が誰かの為に戦ったり、人を想って言葉を投げかけられる人間味を持たせられて、セッションて凄いなあと感じています。 正直最近根明コミュ力カンスト系探索者が多かったからびっくりするほど動かしにくかった…。 にも関わらず皆さんが話しかけてくださったり何かと構ってくださる機会が多かったので、本当に心から感謝が尽きません。 NPCのみんなも好きだー!!って気持ちしかなかったです。 ランスやレスターさんが本当に滅茶苦茶かっこよくて、最後のシーンでのランスに思わず「かっこいい!」と叫んでしまって大変申し訳なかった…! できることならあの世界に残りたかったし、ウィルにも生きてて欲しかった…あとイキり厨二太郎なんて呼んでごめんね…。 朝から夕方までという長丁場にも関わらず、最後まで一緒に走り抜けてくださったライルさん、えるむさん、ニキさん、本当にありがとうございました! そして、この素敵なセッションをキーパリングしてくださった翔猫さんにも心からの感謝を申し上げます!! PS:戦闘技能フリーポイント、振れと言われたから日本刀に振ったので91の化物になりましたありがとうございます。
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