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😶 故郷は遠きに有りて思うもの そして哀しく歌うもの 母方のじいちゃんは太陽のような人だった 厳格で、優しく、聡く、人として心から尊敬出来る人だった、少なくとも自分から見てそうだった 小学校を卒業してガムシャラに農家をして、色んな仕事を兼務して町の為に尽くして、火消しもしていたっけ 天皇陛下から畳みたいなサイズの賞状となんかよく分からんギラギラの勲章みたいなのを貰ってくるレベルの人だった 素敵な書斎を持つ人だった いつもキッチリと首までボタンを留めて 穏やかな敬語で、対等な目を子供にも向ける 鷹のような人、鉄のような人 昭和と平成を生きながら、大正時代の人だった じいちゃんちには正月と盆に親戚が集まった 広い和室を開け放して、仕事、経済、政治、農業、芸術、歴史、その他の文化 酒を酌み交わしながら、じいちゃんを中心に大人達は話していて、いつも横で聞いていた でも子供だから大人の膝の上でウトウトして、寝たり、起きたりを繰り返していた 寝て、起きたらまだ話をしていて、また寝て、起きたら話をしていて 何時間もずっと、話をしていた 大人を疑うことも、大人が心に抱えるものも、何も知らなかった頃の記憶だ 多分、2歳か3歳くらいかな 小学生になったら、混ざってなかった気がする 何か、漫画か何かの影響で大人はつまらないと思い込んでた 愚かだなぁ本当に愚鈍だ、失ってからその貴重さに気付くんだ。いつもそこにあるものだと思って、価値に気付かずに自分から捨てる じいちゃんが死んだら、その集まりは次第に無くなった あの頃の感覚はもう得られなかった あんなにも幸せなものだったのに 昨晩、とあるセッションを見学した 自分は布団に包まりながらコタツに入って、酒と参考書を片手に、たまに疲れからウトウトしながら聞いていた。アフタトークに入るやいなや、すっかり眠ってしまった ほんの僅かに意識が浮上したら、まだ、彼らは話をしていた 内容は脳が働かなくて、よく分からないけど、とても楽しそうな声が遠くから囁くように響いていた あぁ、じいちゃんちだコレって思った あの感覚だコレって 信頼してる人たちが、尊敬してる人たちが、ほんの少しだけ私を気にかけながら、なにか話をしている。楽しそうに、遠くで 河岸に浮かぶ、仄かな灯籠を見つめるような こんな形で失ったものに触れることがあるんだ、戻ることがあるんだと思った 郷愁よりも遥か先に行ってしまった、じいちゃんちの片鱗がそこにはあった。自分の中に残っていた感覚が、こんな風に掘り起こされるなんて思わなかった 大人になりすぎて、当事者になりすぎて、見送って、遠ざけた子供の頃の自分とじいちゃんだ お還えり。 再び眠った。静かに涙が二つだけ落ちてって、あぁ、幸せだなぁと思った
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