EP5かけがえのない思い出

mist
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登録日:2023/07/05 08:08最終更新日:2023/07/05 08:08

「鉄槍まみれ亭」での生活も残すところ一週間あまり。

思えばいろいろな事があったが、長いようであっという間の半年間だった。

こっちのギルドメンバーとも仲良くなれた。とはいえ、もう会うことも無いのかもしれないが…

そんな物思いにふけっていると、ナツから声をかけられる。

海に行きたい……という話だった。なんでも、良さそうな砂浜と洞窟があるという。そして水生生物をじっくり観察したいらしい。

残りの1週間はゆっくり過ごしても、特に問題はないだろう。

一緒に話を聞いていたアモルとセーイも伴って4人で海へ行くこととなった。

キングスフォールの海は綺麗…という程の海ではないが、到着した砂浜は海が透き通って見える……とても綺麗な海だ。

アタシもそれほど海を見た経験は無い。やはり雄大な海を見ると圧倒される。

砂浜には少し歩くと磯もある…丁度引き潮のようなので、ナツが見たがっていた水生生物を探してみると確かにたくさんいる。

しかし、昼飯にしようと思って捕まえようとするとすばしっこくて全然捕まらない。

そんな中セーイは実に見事なエビを捕まえるが……デカすぎやしないか?

そしてナツも捕まえられず、アモルに至ってはヒトデを捕まえている……せめて食べられそうなやつを捕まえてくれ……

セーイの捕まえたエビはあまりにデカく、大人4人で食べても腹が満たされる量だ(エルビレアサイズ)

ナツの浜焼き、そしてセーイの即席カルパッチョ…どちらもとても美味しい。アタシが作ったらこうはいかない。塩を振って丸焼きするだけになってしまう。

昼飯の途中でナツが海水浴をしないのか?と聞いてくるが、水着なんて持ち合わせがない…ハードレザーを着ていれば泳げないことも無いが…アタシ以外は皆ラフな格好をしている。鎧を着ているのはアタシだけだ。

するとそこでアモルがそこの店で水着を取り扱っているので買ってこよう…と提案してくる。

砂浜の高台に、一軒の家が建っている。そこがどうやら少々充実した海の家になっているようだ。寝泊まりができて、食事も風呂も用意があり少々の雑貨も取り扱っている。

水着も確かに用意がある。しかし…サイズが合うものがほとんどない。
デザインの選びようもない……選べるのはこの三角ビキニしかないようだ。

余り肌を露出するのは得意ではないが…まぁ泳ぐだけなら、鎧を着ているよりはマシだ。

そして泳いだ……4人で泳ぎを競ったりしてみたが……まぁこんなものだろう。特に面白さはない。無論、ひんやりとした海水の冷たさは心地よいが……

少し海から上がって休んでいると、何かを放られる。ゴムボールだ。
なるほど…面白い!

砂浜には2本の柱に渡されたネットが貼られているところがある。ここで遊ぼう…という話らしい。

最初はナツと組んだ。ナツが相手のボールを拾ってくれるおかげでアタシは攻撃に集中できる。セーイのブロックが堅かったが、なんとか勝つことができた。

そして二戦目はセーイと組む。やはりセーイは巧い…そして改めて感じるのはナツの補助が的確だった…という事だ。ボールを拾うのにやっとになるが、もうすでにアモルが飽きてしまっているようだ…全くやる気を感じられない…結局アタシは2戦2勝で終わった。

ひとしきり遊んで休憩していた時に、ふと思い出す。ナツが言っていた洞窟というのが気になっていた。

磯の先にあるというので足を運ぶ。洞窟の中に入っていくとだんだんと満ち潮になってきているようだった。

しかし、洞窟の光景はとても素晴らしかった。最初にみた砂浜も感動したが、洞窟は天井から光が差し込み海水が青く天井を照り返していてとても幻想的な雰囲気だった。

そうこうしている内に、足首ほどしかなかった水位が膝上まで上がってきている。これはまずい…ということで早々に引き上げる事に。

しかし、洞窟を出たところで事件は起こった。

海面から現れた魔物に襲われてしまったのだ。今はまずい。防具も武器もろくに持っていない。

だが、こんな時の為にアタシはインスタントウェポンを習得し、そして今もアルケミーキットを携帯している。

素早く魔物に接近したセーイとナツに後れを取ったがセーイとナツにインスタントウェポンで武器を用意する。

魔物はタコのように柔軟な体を持ち、とても長い触腕を備えている。
後ろでサポートをしてくれていたアモルにまで到達する長い触腕だ。そしてその長い触腕で捕らえられてしまう。

1分を超える戦闘のすえ、何とか魔物は倒すことが出来た……魔物に体をまさぐられるのはもう2度と御免だ。

その夜は海の家に一泊し、翌日「鉄槍まみれ亭」への帰路につく。

「鉄槍まみれ亭」に帰ってからは疲れを癒し、お世話になった仲間や受付嬢のライミィに別れを告げ、キングスフォールにやってきたときに乗ってきた船「貨客船グレートハーヴェス」へ乗船してハーヴェスへと戻る。帰りの船も船の護衛に着くこととなるが、帰りは行きと違い暇な航海だった。

ハーヴェスへと戻ると、アタシは出向が終わったことで「センチネル級」となった。

ようやく冒険者として一流の実力として認められたのだろう。
しかし、自分自身の実力はとても一流と呼べるものではない……そんな気がしてならない。
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