使用世界観設定:幻想異世界ファンタジー・ブルームーン 登場人物 ジャック(PL:さのまる):エアリアル村自警団の腕利きレンジャー、何故かは知らないが蒼い月をみると涙を流す グレゴリー(PL:エミリオ):村の鍛冶師、本名プレーナイト・グレゴリー。別名不寝番のグレゴリー、依頼された品は確実に仕上げるのと時々変な代物を作ることで有名 ダニエル爺さん(NPC):村の古老、偏屈物だがかつて名うての冒険者として活躍していた事、並びに各地の文献に通じている為村一番の知識番として頼りにされている 後進の育成には興味は無いようだ 村長(NPC):村の村長、先代から村長の座を受け継いで50年、初老だがその判断力と理解力でもって村を治めている ガイスト(NPC):グレゴリーにクレームをつけに来たチンピラ、しかしあっけなく倒される 本編 エアリアル村、人口50人近くの小さな村。毎年春の季節になるとグラジオラスや各種の植物が咲き誇る湖があり毎年国王にグラジオラスを加工して作った献上品を届ける事で有名なこの村に異変が起こった。この地域では現れないはずの翼竜ワイバーンが湖に降り立ったのである。それに呼応するかのように周辺に魔物も現れ始めた。村の自警団は必死に応戦していたので何とか村は壊滅はしなかったが植物を用いた献上品が作れる所では無くなってしまった。事態を重く見た村長はその日、村一番の腕前を持つ猟師ジャックを家に呼び出した… 村長:「ジャックよ。今日お前をここに呼び出したのは他でも無い。お主に北の湖に住み着いた翼竜を退治してもらいたい」 まだ昼間だというのにどこか張り詰めた空気、無理も無い。今年国王陛下に献上する品がまだ用意できてないというのだ。献上品のグラジオラスと各種植物で作ったポプリはこの国随一の名物、城の連中もさぞかし楽しみにしていることだろう。それが時期が来ても届かない、とあれば… ジャック:「村に自警団が居るだろ。いくら翼竜が強力とは言っても村の若い衆が大規模な討伐隊を結成してかかれば何とか倒せるだろうに…」 その一言を聞いて村長は表情を変えず続ける 村長:「翼竜の羽ばたきは突風を発生させ力無き者を一瞬で吹き飛ばす。手練の者ならば岩陰に隠れるなど対処法を知り尽くしているだろうがあいにく村の自警団は普通の魔物や賊を倒せる程度の能力じゃ。いくら徒党を組んだとしても一瞬で壊滅させられるじゃろう」 村長の表情は相変わらず硬いままだ 村長:「それに自警団を全員討伐に向かわせると村を守るものが居なくなる。その間に賊が襲撃に来れば…どうなるか分かるじゃろう?そこで…じゃ、レンジャーとしてそれなりの修行を積んだお主に今回の翼竜討伐をお願いしたい。他の者達では先ほど言ったとおり手も足もでんだろう。凶暴なグリズリーの類を罠と弓を駆使して倒した事もあるならばそれほどの技量はあるはず、どうだ?礼の方もしっかり考えておこう」 俺の事を信頼しているようだ・・・・他に誰も頼る者が居ない。自警団連中は村の付近の魔物や賊を退ける事で精一杯、ならば ジャック:「分かったよ、引き受けてやる。日ごろから世話になってるからな」 やれやれ、と肩をすくめて俺は村長のほうを向いた。有り難いと感謝された、まんざらでもない。早速、必要な準備を済ませると村長の家を後にした ジャック:「討伐を引き受けたはいいがまずは情報収集だな…誰か敵さんのこととかについて詳しい人物は…」 村の隅々を歩いて話を聞いてみる。当然普通の村人がその様な情報を知ってるはずも無く誰に聞いても俺はそんなのそんなのしらねぇよ。私は分からないわ。だった ジャック:「知ってるわけ無いか…こうなったら最後の手段だ。あの偏屈者の爺さんに聞いてみよう」 村の古老で若い頃村一番の冒険者として名を馳せたダニエル爺さんなら何か知ってるだろう ダニエル爺さんの家に向かう道中だった。左の家から何かの物体がものすごい勢いで飛んできた!これは不味い、とっさに地に伏せて物体をかわす。何とかかわせた。顔を上げてよく見ると業物のブロードソードだった ジャック「おいおい…勘弁してくれよ。何だって白昼堂々こんな事に」 服についた泥をはたきながら悪態をついていると柄の悪い大声と反論する見知った声がした。少し様子を見に行こう。業物が飛んできた家に入る。どうやら鍛冶屋だったようだ。周辺に焼きごてらしきものや冷却用の水などがある ジャック:「(とすると…またあいつか)」 そう、左の家の家主は知り合いのグレゴリー、プレーナイト・グレゴリー、不寝番のグレゴリーと呼ばれる地霊族の鍛治士だ。仕事に関しては真面目でどの様な依頼でもしっかりした代物を作る。たまに妙なものを作る癖があるのと、どんな相手であろうと依頼を受けるためチンピラまがいのクレーマーに目をつけられる事が玉に瑕なのだが、最も極悪非道な連中ならこの限りではない…のだが 話は戻って目の前のクレーマーは必死で自分の主張をがなりたてている。グレゴリーの前に彼が作った業物を突き出しながら ???:「グレゴリーさんよ!お前さんが作った金属細工、宝石が曇ってるんだがどうしてくれるんだ?」 遠目から例の細工物を確認するとしっかり細部まで作りこまれた妖精をかたどった細工物だという事が分かる。何処からどう見ても手を抜いて作った代物とは思えない。例の宝石のほうを覗き込むと宝石はしっかりと光を反射して光っている。何が曇っているというのか? グレゴリー:「おいおい…俺っちはお前さんの言われたとおりしっかりした代物を作ったんだがな?それに普通の宝石はいくら丁寧に磨き上げて加工したとしても蒼い月の鉱石並みの見事な光沢なんざ出ないぜ?物理的に不可能だっての」 こんなしょうもない事で苦情を付けに着たのか?流石に知り合い相手に理不尽な要求をつけて強請りたかりを行おうとしているのでは我慢なら無い。俺は間に入って止めに入る ジャック:「まあ。待ってくれ、話は聞かせていただいた。二人とも穏やかに行こうぜ?短気は損気だ」 グレゴリーは俺に気づいたらしく久しぶりだな!ジャック、と挨拶をおくったが直後のクレーマーのおかげで空気は更に重くなった ガイスト:「何だ?てめぇは!?このガイスト様にたてつこうってのか!?」 俺に詰め寄って凄もうとした、手にはナックルをはめている。こいつ…話が通じないのか? だがこの様子を見て本気になった奴が居た。グレゴリーがついに理不尽なクレーマーに啖呵を切ったのである グレゴリー:「俺っちの代物にケチつけるのは結構だが流石に知り合いにまで詰め寄られてはな…外に出ろい」 二人の対決が始まるや否や、瞬く間に村全体に対決の話が届きわたり鍛治屋の前は人々でごった返した。無論俺もそこにいた ジャック:「はあ…面倒な事になっちまったな…」 討伐で情報収集していたはずがクレーマーが起こした騒動に巻き込まれるとは、ひとまず勝負の行く末を見守る事にする。村の知り合いが声をかけてきたがこう返答した ジャック:「あいつはそう簡単にやられるような奴じゃない。チンピラまがいのクレーマー何ぞ一瞬で片付けるさ。ただ命の危険があるようなら勝負に割ってはいるがな」 そう言って村の酒場で買ったエールを一杯あおり勝負の行く末を見守る事にしたのだ 先手をうったのはガイストの奴だった。手にしたナイフでグレゴリーに飛び掛る ガイスト:「しゃらくせぇ!とっとと終わりにしてやる!」 容赦なく襲い掛かるナイフ!そのまま勝負は決まるかに見えた。が グレゴリー:「鍛治屋を甘く見るなっての!」 軽やかな動きでかわしたかと思うとクレーマー相手に回し蹴りをお見舞いする。胴体に炸裂。そのまま数m飛ばされていった。ぐわ~そんな馬鹿な~!と言う叫び声がむなしくこだました 余りにもあっけない結果に村人一同は呆然としていたがやがて各々の役目を思い出して全員自分の持ち場に戻っていった。グレゴリーも自分の工房に戻っていく グレゴリー:「ざっとこんなもんよ。毎回毎回クレーマーが多くてね。と言うか、真昼間からエールたあ。お前もよく飲むな」 ジャック:「ああ、このエール安いわりに結構美味くてな。お疲れさん。鍛治屋が廃業になったら警備隊に入れるな。ははは」 顔色一つ変えず素面の表情でグレゴリーを賞賛する。それを聞くとグレゴリーは勘弁してくれと言う表情で グレゴリー:「俺っちはそんな堅苦しいところはごめんだね…って、お前探索の用意何ざしてどうしたんだ?さてはまた村長に頼まれ事されたんだろ?自警団関係者はつらいな」 と自慢のハンマーの手入れをしている ジャック:「村の人には世話になってるからな。嫌でやってるわけじゃない」 飲み干したエールのビンを道具袋の中に入れて再び情報収集に戻ろうとした グレゴリー:「で、今回の依頼は?」 情報収集に戻ろうとした俺をグレゴリーが呼び止める ジャック:「北の湖の翼竜討伐に向かう。名産品の材料が取れなくなって村の人たちが困ってるとの事だ」 それを聞いて流石に相手が相手なので一人で行かせる訳には行かないと決めたのか?。いくら堅苦しいのは勘弁といってもこれから強敵を相手にしにいくならをほっとくわけには行かないと悟ったのだろう。グレゴリーが協力を申し出る グレゴリー:「それなら知り合いを危険な目にあわせるわけには行かないな。協力するぜ。さっさと翼竜を追い払おう」 ジャック:「おお、ありがてぇ」 仲間が増えれば百人力、これから戦う大物相手に有利にはなるだろう グレゴリー:「昔からのよしみだ。行こうぜ!何時までもこの状況を野放しにしておくわけには行かないしな!」 そのまま、俺たちは工房を出発した 俺たちは街の古老ダニエル爺さんの家に向かう事にした。爺さんの家は村から数m離れており小高い丘の上に立っていた。村の人々は頑固者で少々付き合いにくい所があるが、彼の様々な知識、この辺りに関する伝承や地理、更には魔物に関する知識など多くの面でご教授いただく事が多くある意味村長より影響力が大きい人物として村では扱われていた。村から離れた場所に住居を構えているのも、人が多い所だと集中して文献に当たる事ができない。と言う理由からだそうだ さて、爺さんの家の前に俺たちがたどり着いた。グレゴリーが先に扉を叩いて挨拶する グレゴリー「こんちわー!鍛治屋のグレゴリーです、知り合いのジャックと共に来ました。お邪魔していいですか~?」 そうすると扉の奥から厳しい声が聞こえてきた ダニエル:「入れ。鍵はかかっとらん」 古い木製の扉を開けて中に入る。床はぎしぎしと音を立て年代物の家と言うことを想像させた やがて爺さんの部屋にたどり着く。本棚には何の書籍か分からない難しい本で敷き詰められており、机には水晶球などが置かれている 爺さんは俺たちの方を鋭い視線で見据えるとまるでこちらの考えを見透かすような口調で言った ダニエル:「お前達か…大方あやつに頼まれて翼竜退治と言った所じゃろう…全く、自警団で解決しようと思わんのか」 その鋭い眼光は全てを見通す光が宿っているように見えた ジャック:「全くその通りなんだが、相手は翼竜だからな。自警団には無い知識をご教授いただこうと思ってね」 眼光に物怖じ一つせずお願いする。俺も自警団の一員、少々の事ではびくともしない様に努めている。でないとこの仕事はやってられない。大してグレゴリーは少々緊張した面持ちだった ダニエル:「ふむ、翼竜ときたか。山で生息しづらくなったかあるいは…良かろう。教えてやろう。翼竜は翼で巻き起こす竜巻が非常に強力じゃ。竜巻がきたらすぐ物陰に隠れてやり過ごせ、それと一部位極端に弱いところがある。抵抗を止めたいならそこを狙え」 さすがは爺さん、村の知識番は伊達ではない。俺は爺さんの言ってることをメモする グレゴリー:「なるほどな…ドラゴンの類は材料調達で鉱山に行ったとき偶然小型のと遭遇したっきりであの時必死に応戦してたからな…参考になる」 グレゴリーも爺さんの話をメモしている。メモが終わった俺は道具袋の貴重品を入れる場所に大事にしまう ジャック:「分かった。これで対策は大丈夫だ。これなら2人でもいける」 その様子をみると爺さんは俺たちを激励する ダニエル:「うむ、くじけず頑張るがよい」 俺たちは礼を告げると早速目的地に向かって移動を開始した。元気よく出発していくのを後ろに爺さんは一人物思いにふけっていた ダニエル:(あの仲間意識が強く生活圏もしっかり守る翼竜がたった一人で、しかもこの地方のような辺鄙な場所にやってくるとは到底考えられん…これは、何かがあるのか、よし、ワシも後をつけよう) 真相を知る必要がある。老いたとはいえますます盛んなその体に言う事を聞かせて彼もまた後を追ったのである ・後編に続く
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登場人物
ジャック(PL:さのまる):エアリアル村自警団の腕利きレンジャー、何故かは知らないが蒼い月をみると涙を流す
グレゴリー(PL:エミリオ):村の鍛冶師、本名プレーナイト・グレゴリー。別名不寝番のグレゴリー、依頼された品は確実に仕上げるのと時々変な代物を作ることで有名
ダニエル爺さん(NPC):村の古老、偏屈物だがかつて名うての冒険者として活躍していた事、並びに各地の文献に通じている為村一番の知識番として頼りにされている
後進の育成には興味は無いようだ
村長(NPC):村の村長、先代から村長の座を受け継いで50年、初老だがその判断力と理解力でもって村を治めている
ガイスト(NPC):グレゴリーにクレームをつけに来たチンピラ、しかしあっけなく倒される
本編
エアリアル村、人口50人近くの小さな村。毎年春の季節になるとグラジオラスや各種の植物が咲き誇る湖があり毎年国王にグラジオラスを加工して作った献上品を届ける事で有名なこの村に異変が起こった。この地域では現れないはずの翼竜ワイバーンが湖に降り立ったのである。それに呼応するかのように周辺に魔物も現れ始めた。村の自警団は必死に応戦していたので何とか村は壊滅はしなかったが植物を用いた献上品が作れる所では無くなってしまった。事態を重く見た村長はその日、村一番の腕前を持つ猟師ジャックを家に呼び出した…
村長:「ジャックよ。今日お前をここに呼び出したのは他でも無い。お主に北の湖に住み着いた翼竜を退治してもらいたい」
まだ昼間だというのにどこか張り詰めた空気、無理も無い。今年国王陛下に献上する品がまだ用意できてないというのだ。献上品のグラジオラスと各種植物で作ったポプリはこの国随一の名物、城の連中もさぞかし楽しみにしていることだろう。それが時期が来ても届かない、とあれば…
ジャック:「村に自警団が居るだろ。いくら翼竜が強力とは言っても村の若い衆が大規模な討伐隊を結成してかかれば何とか倒せるだろうに…」
その一言を聞いて村長は表情を変えず続ける
村長:「翼竜の羽ばたきは突風を発生させ力無き者を一瞬で吹き飛ばす。手練の者ならば岩陰に隠れるなど対処法を知り尽くしているだろうがあいにく村の自警団は普通の魔物や賊を倒せる程度の能力じゃ。いくら徒党を組んだとしても一瞬で壊滅させられるじゃろう」
村長の表情は相変わらず硬いままだ
村長:「それに自警団を全員討伐に向かわせると村を守るものが居なくなる。その間に賊が襲撃に来れば…どうなるか分かるじゃろう?そこで…じゃ、レンジャーとしてそれなりの修行を積んだお主に今回の翼竜討伐をお願いしたい。他の者達では先ほど言ったとおり手も足もでんだろう。凶暴なグリズリーの類を罠と弓を駆使して倒した事もあるならばそれほどの技量はあるはず、どうだ?礼の方もしっかり考えておこう」
俺の事を信頼しているようだ・・・・他に誰も頼る者が居ない。自警団連中は村の付近の魔物や賊を退ける事で精一杯、ならば
ジャック:「分かったよ、引き受けてやる。日ごろから世話になってるからな」
やれやれ、と肩をすくめて俺は村長のほうを向いた。有り難いと感謝された、まんざらでもない。早速、必要な準備を済ませると村長の家を後にした
ジャック:「討伐を引き受けたはいいがまずは情報収集だな…誰か敵さんのこととかについて詳しい人物は…」
村の隅々を歩いて話を聞いてみる。当然普通の村人がその様な情報を知ってるはずも無く誰に聞いても俺はそんなのそんなのしらねぇよ。私は分からないわ。だった
ジャック:「知ってるわけ無いか…こうなったら最後の手段だ。あの偏屈者の爺さんに聞いてみよう」
村の古老で若い頃村一番の冒険者として名を馳せたダニエル爺さんなら何か知ってるだろう
ダニエル爺さんの家に向かう道中だった。左の家から何かの物体がものすごい勢いで飛んできた!これは不味い、とっさに地に伏せて物体をかわす。何とかかわせた。顔を上げてよく見ると業物のブロードソードだった
ジャック「おいおい…勘弁してくれよ。何だって白昼堂々こんな事に」
服についた泥をはたきながら悪態をついていると柄の悪い大声と反論する見知った声がした。少し様子を見に行こう。業物が飛んできた家に入る。どうやら鍛冶屋だったようだ。周辺に焼きごてらしきものや冷却用の水などがある
ジャック:「(とすると…またあいつか)」
そう、左の家の家主は知り合いのグレゴリー、プレーナイト・グレゴリー、不寝番のグレゴリーと呼ばれる地霊族の鍛治士だ。仕事に関しては真面目でどの様な依頼でもしっかりした代物を作る。たまに妙なものを作る癖があるのと、どんな相手であろうと依頼を受けるためチンピラまがいのクレーマーに目をつけられる事が玉に瑕なのだが、最も極悪非道な連中ならこの限りではない…のだが
話は戻って目の前のクレーマーは必死で自分の主張をがなりたてている。グレゴリーの前に彼が作った業物を突き出しながら
???:「グレゴリーさんよ!お前さんが作った金属細工、宝石が曇ってるんだがどうしてくれるんだ?」
遠目から例の細工物を確認するとしっかり細部まで作りこまれた妖精をかたどった細工物だという事が分かる。何処からどう見ても手を抜いて作った代物とは思えない。例の宝石のほうを覗き込むと宝石はしっかりと光を反射して光っている。何が曇っているというのか?
グレゴリー:「おいおい…俺っちはお前さんの言われたとおりしっかりした代物を作ったんだがな?それに普通の宝石はいくら丁寧に磨き上げて加工したとしても蒼い月の鉱石並みの見事な光沢なんざ出ないぜ?物理的に不可能だっての」
こんなしょうもない事で苦情を付けに着たのか?流石に知り合い相手に理不尽な要求をつけて強請りたかりを行おうとしているのでは我慢なら無い。俺は間に入って止めに入る
ジャック:「まあ。待ってくれ、話は聞かせていただいた。二人とも穏やかに行こうぜ?短気は損気だ」
グレゴリーは俺に気づいたらしく久しぶりだな!ジャック、と挨拶をおくったが直後のクレーマーのおかげで空気は更に重くなった
ガイスト:「何だ?てめぇは!?このガイスト様にたてつこうってのか!?」
俺に詰め寄って凄もうとした、手にはナックルをはめている。こいつ…話が通じないのか?
だがこの様子を見て本気になった奴が居た。グレゴリーがついに理不尽なクレーマーに啖呵を切ったのである
グレゴリー:「俺っちの代物にケチつけるのは結構だが流石に知り合いにまで詰め寄られてはな…外に出ろい」
二人の対決が始まるや否や、瞬く間に村全体に対決の話が届きわたり鍛治屋の前は人々でごった返した。無論俺もそこにいた
ジャック:「はあ…面倒な事になっちまったな…」
討伐で情報収集していたはずがクレーマーが起こした騒動に巻き込まれるとは、ひとまず勝負の行く末を見守る事にする。村の知り合いが声をかけてきたがこう返答した
ジャック:「あいつはそう簡単にやられるような奴じゃない。チンピラまがいのクレーマー何ぞ一瞬で片付けるさ。ただ命の危険があるようなら勝負に割ってはいるがな」
そう言って村の酒場で買ったエールを一杯あおり勝負の行く末を見守る事にしたのだ
先手をうったのはガイストの奴だった。手にしたナイフでグレゴリーに飛び掛る
ガイスト:「しゃらくせぇ!とっとと終わりにしてやる!」
容赦なく襲い掛かるナイフ!そのまま勝負は決まるかに見えた。が
グレゴリー:「鍛治屋を甘く見るなっての!」
軽やかな動きでかわしたかと思うとクレーマー相手に回し蹴りをお見舞いする。胴体に炸裂。そのまま数m飛ばされていった。ぐわ~そんな馬鹿な~!と言う叫び声がむなしくこだました
余りにもあっけない結果に村人一同は呆然としていたがやがて各々の役目を思い出して全員自分の持ち場に戻っていった。グレゴリーも自分の工房に戻っていく
グレゴリー:「ざっとこんなもんよ。毎回毎回クレーマーが多くてね。と言うか、真昼間からエールたあ。お前もよく飲むな」
ジャック:「ああ、このエール安いわりに結構美味くてな。お疲れさん。鍛治屋が廃業になったら警備隊に入れるな。ははは」
顔色一つ変えず素面の表情でグレゴリーを賞賛する。それを聞くとグレゴリーは勘弁してくれと言う表情で
グレゴリー:「俺っちはそんな堅苦しいところはごめんだね…って、お前探索の用意何ざしてどうしたんだ?さてはまた村長に頼まれ事されたんだろ?自警団関係者はつらいな」
と自慢のハンマーの手入れをしている
ジャック:「村の人には世話になってるからな。嫌でやってるわけじゃない」
飲み干したエールのビンを道具袋の中に入れて再び情報収集に戻ろうとした
グレゴリー:「で、今回の依頼は?」
情報収集に戻ろうとした俺をグレゴリーが呼び止める
ジャック:「北の湖の翼竜討伐に向かう。名産品の材料が取れなくなって村の人たちが困ってるとの事だ」
それを聞いて流石に相手が相手なので一人で行かせる訳には行かないと決めたのか?。いくら堅苦しいのは勘弁といってもこれから強敵を相手にしにいくならをほっとくわけには行かないと悟ったのだろう。グレゴリーが協力を申し出る
グレゴリー:「それなら知り合いを危険な目にあわせるわけには行かないな。協力するぜ。さっさと翼竜を追い払おう」
ジャック:「おお、ありがてぇ」
仲間が増えれば百人力、これから戦う大物相手に有利にはなるだろう
グレゴリー:「昔からのよしみだ。行こうぜ!何時までもこの状況を野放しにしておくわけには行かないしな!」
そのまま、俺たちは工房を出発した
俺たちは街の古老ダニエル爺さんの家に向かう事にした。爺さんの家は村から数m離れており小高い丘の上に立っていた。村の人々は頑固者で少々付き合いにくい所があるが、彼の様々な知識、この辺りに関する伝承や地理、更には魔物に関する知識など多くの面でご教授いただく事が多くある意味村長より影響力が大きい人物として村では扱われていた。村から離れた場所に住居を構えているのも、人が多い所だと集中して文献に当たる事ができない。と言う理由からだそうだ
さて、爺さんの家の前に俺たちがたどり着いた。グレゴリーが先に扉を叩いて挨拶する
グレゴリー「こんちわー!鍛治屋のグレゴリーです、知り合いのジャックと共に来ました。お邪魔していいですか~?」
そうすると扉の奥から厳しい声が聞こえてきた
ダニエル:「入れ。鍵はかかっとらん」
古い木製の扉を開けて中に入る。床はぎしぎしと音を立て年代物の家と言うことを想像させた
やがて爺さんの部屋にたどり着く。本棚には何の書籍か分からない難しい本で敷き詰められており、机には水晶球などが置かれている
爺さんは俺たちの方を鋭い視線で見据えるとまるでこちらの考えを見透かすような口調で言った
ダニエル:「お前達か…大方あやつに頼まれて翼竜退治と言った所じゃろう…全く、自警団で解決しようと思わんのか」
その鋭い眼光は全てを見通す光が宿っているように見えた
ジャック:「全くその通りなんだが、相手は翼竜だからな。自警団には無い知識をご教授いただこうと思ってね」
眼光に物怖じ一つせずお願いする。俺も自警団の一員、少々の事ではびくともしない様に努めている。でないとこの仕事はやってられない。大してグレゴリーは少々緊張した面持ちだった
ダニエル:「ふむ、翼竜ときたか。山で生息しづらくなったかあるいは…良かろう。教えてやろう。翼竜は翼で巻き起こす竜巻が非常に強力じゃ。竜巻がきたらすぐ物陰に隠れてやり過ごせ、それと一部位極端に弱いところがある。抵抗を止めたいならそこを狙え」
さすがは爺さん、村の知識番は伊達ではない。俺は爺さんの言ってることをメモする
グレゴリー:「なるほどな…ドラゴンの類は材料調達で鉱山に行ったとき偶然小型のと遭遇したっきりであの時必死に応戦してたからな…参考になる」
グレゴリーも爺さんの話をメモしている。メモが終わった俺は道具袋の貴重品を入れる場所に大事にしまう
ジャック:「分かった。これで対策は大丈夫だ。これなら2人でもいける」
その様子をみると爺さんは俺たちを激励する
ダニエル:「うむ、くじけず頑張るがよい」
俺たちは礼を告げると早速目的地に向かって移動を開始した。元気よく出発していくのを後ろに爺さんは一人物思いにふけっていた
ダニエル:(あの仲間意識が強く生活圏もしっかり守る翼竜がたった一人で、しかもこの地方のような辺鄙な場所にやってくるとは到底考えられん…これは、何かがあるのか、よし、ワシも後をつけよう)
真相を知る必要がある。老いたとはいえますます盛んなその体に言う事を聞かせて彼もまた後を追ったのである
・後編に続く