【その他】HA23Bayside23ファントムサイドストーリー the crime peoples 悪党共

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登録日:2017/04/01 20:58最終更新日:2017/04/01 21:09

導入:エリカ・カルンスタイン

PC1:エリカ・カルンスタイン(保健室のおねぇさん) PL:さのまる

九龍市で開業医を開いている医者、エミリオ・ウォルターバーグとは幾多の死線を潜り抜けてきた

晴れ渡ったその日、エリカ・カルンスタインはオノゴロ島南スラム街、通称コンクリートの街に来ていた。普段は診療所をやっているが、久しぶりに休暇をとってよその地域に観光しようとここまで来ていたのである。事前にガイドブックで情報を掴んでいたとおり、コンクリートの廃材などで作られた荒々しい家がそこかしこに立ち並んでいる。
(初めから知ってはいたけど…随分適当なつくりの家が並んでるわね。住んでる人たち大丈夫かしら?)
地震でも来たらどうするのか?と言ってもここはオノゴロ、住民は異能持ちか人外、あるいは少々強力な一般人であって地震が来た位で死亡するような弾ではないのだが…
(さて、と。ガイドブックにのってるスクラップの御殿とか見に行かないと…うう、寒い。まだ4月に入ったばかりだけど冷える。それに職業の性でしょうか?患者が居ないと手が震えてきます)
彼女は患者が居ると助けずには居られない性格だった。過去の事や、他にも様々なことがあったためそういう性格となったのである。住んでる九龍で開業医を開いたのも、少しでも病気や怪我で苦しんでいる人々を助けるため。それが過去に対する償いでもあるからだ
ガイドブックを片手に歩きながら周辺を見渡す。どこも始めての場所なので分からないことだらけだが一ついえるのは人々は九龍市の住民ほど洗練された服装ではないが、ガラクタだらけのこの街で力強く生きていこう。とする意思を感じさせた
「観光しなくてはいけないのですが、なかなか難しいものですね…」
思わずそう呟く、初めて来た。と言うのもあるがガイドブックの情報は当たり障りの無いかかれ方をしているのと場所の説明などが分かりづらい少々不親切な作りとなっていたからだ
「まあ…色々移動していればその内分かるでしょう」
そう呟いて大通りらしき場所を移動していると
「あ!ねえちゃんだ!見ない顔だ!」
元気のいい男の子が目の前に来た。ちょうど小学生位の年齢であろうか?端から見たら少女と思われる様な容姿をしておりくりくりした目をしっかり見開いていた。衣服は補修されているが目立つような補修の仕方ではなく他の生地と違和感の無い補修の仕方をされていた
「おや、元気な子供は好きですよ?私は保健室のおねぇさんといいます」
敵対しているピアスト家の事がある以上迂闊に本名を名乗れない。名乗ったりして無関係な人々を巻き込むわけには行かない。子供なら尚更だ
「へー!珍しい名前!」
疑うそぶりも無く納得したようだ。子供はある意味で素直である。よく見ると腕を怪我しているではないか。赤くなっている
「怪我をしているではないですか、見せなさい」
こちらが背中のリュックから包帯などが入っている箱を出して治療しようとすると少年は申し訳なさそうに
「あ、いいのに…分かったよ」
と傷のある腕を見せた。見たところ深い傷ではないが大部分が赤くなっていた。走ってたら近くでこけたのだろうか?
「細菌は危険ですからね、少ししみるけど、我慢して」
手馴れた動きで治療を始めた。何のことは無い。いつも診療所でこれ位の事は良くやっている。施療位お手の物だ
「うっ…少ししみるかな…けど、何か安心できるような…」
少年の表情が和らいできた。初めは緊張していたがそういう事は全く心配ないと感じたようだ。その様子を見て少し意地悪そうにからかってみる
「では遊びますか?お医者さんごっこなどどうですか?」
にっこり相手の顔を見ながら笑う。突然の提案に動揺する少年
「えっ!そ…それは…」
大人の女性にいきなりそんな事を提案されたので明らかに動揺している。少しあせあせし始めた。耳が赤くなってるのが見える
「冗談ですよ。はい、終わりました。これで大丈夫です」
こんな時、エミリオ君なら何って言うでしょうね…などと想像しながら包帯を巻き終える所まで行くと母親の声が届いてきた。迎えのようだ
「ふむ、母親が迎えに来たようですよ。行きなさい、親を心配させてはいけません」
少年を母親のほうに送るとお母さん!と親のほうに走る。早速、ピシャリと一言
「どこにいってたんだい!あれだけ家から離れすぎるなと言っただろ!全く…」
ごめ~んと謝る少年、改めて母親がこちらのほうを振り返る
「腕の包帯を見たが治療してくれてたか、有難いことだ」
こちらに礼を言う。見たところ非常に気の強そうな姉御を感じさせる母親だった。着ている服は他の住人と同じく少々ボロが来ているが所々手の込んだ修繕が施されておりここの住人らしく使えるものは最後まで使おうと言う気迫が伝わってくる
「いえ、ほけんしつのおねぇさんですから当然です。それにしても」
周りを見渡す。改めて思うがどこもコンクリートと廃材で作られた建物が立ち並んでおり、九龍のそれと比べて洗練さには少々劣るがどの住民も負けてたまるか!スクラップだって修理して工夫すればどんなもんでも立派に使えるんだぜ!と言わんばかりの物品を駆使して立派に生活していた。ガラクタを再生させて作られた乗用自動車は見た目こそ古臭いが堂々と通常乗用車と同じくらいの速度で走っていたし、店の各地で再生品の展示市などがあり性能披露が行われており、街の人々の表情にも明日を生きていこう。と言う力強さを見て取れた。それは、現実世界で危険視され追い出された者や異能のため現実世界に居られなくなった者たちが持つ強靭な意思に他ならなかった
「ここはいい場所ですね。平穏で皆が笑顔で生活しています」
私の出身地では恐らく今もこうは無かっただろう…などと過去と照らし合わせて正直な感想を述べる。故郷はどうなっているのか…
「ああ、”ここいら”はな、コンクリートの王もそうだが譲原が治安を守っているので安定はしている。だが…」
母親の表情が一瞬険しくなる
「だが、とは少々気になりますね。お節介でしょうが話していただけませんか?」
厄介事の対処は今まで譲原の依頼でエミリオと共に対処していたので慣れている。それに、その厄介事のために犠牲者が出ているなら、私は医者。すぐにでも対処して助けなくては
「おまえ…本気か?」
母親が冗談抜きで問う。その視線は半端な覚悟ならやめておいたほうがいいと言う忠告を無言で行っているように見えた
「本気です。それに、私は保健室のおねぇさん。守秘義務は守ります」
こちらも強い意志をもった表情と口調で簡潔にそう伝える。すると相手もこちらの本気を悟ったのか、了承する
「分かった、話す。だがここだと長くなるし他に聞かれると分が悪い。あたしの家で話そう」
そのまま、家へと向かった

「ここ、コンクリートの街は複数のブロックに分かれててな。各ブロックごとによその他界からやってきた連中、日本系の異能住民、現地のマフィア共がそれぞれ互いの領分をもってお互いにゴタゴタを起こさないよう行動している」
母親がガイドブックの地図にそれぞれここはこの勢力のエリア、ここは別の勢力のエリアと説明をしながら続けた
「あたしらが住んでいるエリアは譲原の勢力圏で連中がしっかりガードしてるから比較的治安も安定している。だが北地区ってのが厄介な場所で現地のマフィア同士の抗争が後を絶たず先日もイカレポンチ共が派手におっぱじめやがった。譲原と神奈川県警の連中が止めに入ったから騒ぎは沈静化したが相当多くの犠牲者が出たらしい。現地の住民や何も知らずにあの地区の宿に泊まってた者、マフィア双方の連中が、だ。譲原と神奈川県警の連中も痛手をおったらしい」
母親の表情が一段と険しくなった。あいつら何時になったら居なくなるのか?そのような怒りを感じさせた
「それで、あたしらは用がないときはこのエリアから出ないようにして行動しているが…全く、ろくでもない連中だよ」
事情は大体把握した。用は北地区の連中が南スラム街全域にとって危険だと言うことか
「そういう性分と言うか、見逃した病気は後で大変なことになるから嫌なのですが。なるほど、北地区には争いの元、病原菌が居るのですね」
医者らしく軽く皮肉ってやった。何時の世も平穏を破壊しようとする者たちが居るものだ
「おいおい…病原菌って面白い例えだな…そうさ、あいつらはこの地帯一体の蛆虫さ。やりあおうってんならそれなりの覚悟か協力者が必要だ」
母親も若干その例えには感心したが、敵は相当な強敵だぞ。と念を押した。しかし私はこう返答した
「では、私は北地区に行くとしましょう。治療が必要な人がいるはずなので」
その返答を聞いた瞬間、母親と子供の表情が止まった
「お…おい、本気か?相手はマジでイカレポンチだぞ。お前協力者とかは居るのか?」
「嫌だ!ねえちゃん!死なないで!」
必死に止めようとする二人、気持ちは分かる。だが私は医者、このような状況を見ているだけは我慢できない。それに
「私は病原菌相手にはプロですから安心してください。協力者も探しますから安心を」
平凡とは縁が遠いならこの位恐れるほどでもない。今までも、これからも
「覚悟はあるってのは本当らしいな…分かった、行って来い!だが、死ぬなよ?」
激励する母親、対照的に少年は今にも泣き出しそうだった
「ねえちゃん…」
行かないで、と再度とめようとする少年を母親が叱り付ける
「泣くな!こいつの本気を…無駄にする気か!そんなこと行ってると飯は出さんぞ!」
泣きじゃくっている少年に近寄り優しく諭す
「大丈夫です。この世界の病気を無くすまでは死にませんので」
それを聞くと泣くのをやめこちらの方をしっかり見つめる少年
「後200年ほどは生きるつもりです。行ってきます」
母親たちを背に家の扉を出て北地区へと向かおうとすると後ろから応援する声が響いてきた
「気をつけてね!」
「あんたの勇気に乾杯!」
それを聞くとこれから危険な一仕事をしようとする自分の心の励みとなった

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