【ダブルクロス】first mission

海月くらげ
海月くらげトピックリプレイ 押されたいいね! 1
登録日:2018/03/23 03:05最終更新日:2018/03/23 03:11

本作は、「矢野俊策、ゲーム・フィールド」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作物です。

始まりというものは、いつだって唐突だ
無為に過ごすものにも、有意義に過ごすものにも
それは平等に、そして残酷にやってくる。

自らの力を忌む青年は、力を振るう。
はじめは自らのために、次は誰かのために。

ダブルクロス『first mission』

--それは、始まりの物語。


はじめに

ある平日の深夜
一人のGMがパソコンに向かいぽちぽちとキーを叩く。
これから始まるセッションのためだ。
プレイヤーのデータを確認し、敵のデータを調整。
……メモ帳に書かれているのは、たった一人分のPCのデータ。
そうーーたった一人である。
TRPGとは本来多人数で遊ぶ遊びである。
休日の昼間に5人くらいで顔を突き合わすのが基本だろう。
ーーだが、TRPGの遊び方はそれだけでない。
GMはそう考えていた。
一人、そうたった一人の相手だからこそ出来ることがある。
より深い描写を、より物語性の深いシナリオを。
活躍の場を一人に絞れば、また新しい境地が見えてくる。
何より、二人だったら手軽である。休日に予定をあわせるのは社会人にはなかなか難しいのだ。
そんなさまざまな思惑が絡まりーー

今、ここに一つのセッションが始まった。


……けして、このGMの友人が少ないわけではない。
わけじゃないんだからね!


キャラクター名
森魚圭介
player シャケ
シンドローム:モルフェウス
カヴァー:防衛隊員
ワークス:防衛隊員。
【肉体】:2 【感覚】7 【精神】1 【社会】2
《コンセントレイト》《サイコメトリー》《ハンドレッドガンズ》《カスタマイズ》《クリスタライズ》
初期ロイス
お世話になったラーメン屋
三面記事にしたテレビ屋 
春日恭二

opening

「--さて、君たちに集まってもらった理由だが。新たな部隊を創設することになったためだ」

ある昼下がりの一室。
黒髪の女性--佐藤巴(さとう ともえ)一尉の凛とした声が拡声器越しに響く。
彼女の前に立つのは、二百人ほどの防衛隊員。
年齢や経歴はみるからにバラバラで、右も左も分からぬ新兵の隣に、キャリア組である彼女を苦々しい目で見るたたき上げの一曹が立つような状況だった。

「近年、テロが大幅に増加したことは。君たちも知ってのとおりだろう。警察だけで対処しきれないことも」

一度言葉を切って、彼女は周囲を見回す。
それは、みなが知る事実であった。
ここ一年、増え続けるテロ行為。普通では考えられないような奇妙な事件。
それらが人々を脅かしていることも。
そのための部隊を創設する、という話なのだろう。
だが、彼らは一様に首を傾げる。

『なぜ、俺たちが選ばれたのか』

とても基準があるとは思えない、謎の多い人選。
そのような仕事は、空挺部隊のようなフィジカルエリートが行うことで、このような良く分からない基準で選ばれたものではないはずだ。

そんな考えは、直後に行われた彼女の行為で砕け散る。

「君たちは、『ある基準』をもって、この場所に集められている。新たなテロに対抗できる人員だーーそう」

何気のない言葉と同時に放たれた『何か』
人間のものとは思われない強烈なプレッシャーが全員を襲う。
世界を海底の光景で塗りつぶすような、視界が灰色に染まるほどの精神的圧迫。
歯を食いしばって立ちつづける隊員たち。
その合間に聞こえる、どさりと言う音。
彼女をいぶかしげに見ていた軍曹が倒れる音だった。
数秒の時間の後、プレッシャーが去った後、何人かの兵が気を失い無残な姿をさらしていた。

(……《ワーディング》)

彼女の放った力の名を心の中で呟きながら、防衛隊員の一人森魚圭介(もりうお けいすけ)は醒めた瞳で彼女のことを見つめていた。

GM:さて、オープニングフェイズです
森魚:いきましょう!登場のダイスは……10!ってこれをメモるんだよね。
GM:はい、侵蝕率のほうにお願いします。
森魚:……30に10を足してと。
GM:「驚いたか?このような超能力を使える者が世の中には存在するのだ。そして、君たちもその超能力者ーーオーヴァードとしての適正がある」軽く周囲を見回しながら、佐藤隊長は小さく周囲を見回す。
森魚:(うわーめんどくせえ)と見ておきますか。
GM:そんな森魚に「(そういう事いうなよ。わかるけどさ)」と隣の新兵が苦笑します。とりあえず名前は……田中君で良いか(笑)
森魚:タナカァ!

「ーー困惑するのも無理はない。自覚がないのは当たり前だ」

一旦話を切った隊長は、静かに頷く。
兵たちの間にあるのは、困惑と、戸惑い。
ーー当然の話だ。レネゲイドウィルスの力は一般には隠匿されている。オーヴァードに携わるものでなければ、知る者は僅かだ。
《ワーディング》の反応も、一般人のそれそのもの。
事実、この場にいるものでレネゲイドウィルスの事を正しく理解していたのは、森魚圭介と、佐藤一尉のみであった。

「信じ難い事実である事は理解している。だが事実だ。--これより君たちには訓練に向かってもらう。その力を使いこなすための訓練だ。訓練場は事前に通達したとおりだ。集合は一時間後! 解散!!」

声を張り上げる彼女にせきたてられるように、兵たちは移動を始める。
たとえ理解できない現実が起こったとしても、上官の命令は基本的に絶対。
それが、防衛隊という組織だった。

GM:というわけで場面は変わって移動中。さっきの新兵である田中君が話しかけてくるよ。「しっかし、超能力ってマジかよ……しかもその力を使ってるテロリストが大量にいて?それと日夜戦ってる?」
森魚:「そりゃ、そうだろ……でなきゃ、この世は世紀末だ……ってかお前、自分がオーヴァードだって知ってた?」
GM:「いや……全然自覚とかないんだけど。もしかして森魚は、元から?」レネゲイドの情報は徹底的に秘匿されています。森魚以外は基本的にさっき教えてもらった基本ルールブックくらいの知識しかないよ。
森魚:「そっかー。じゃあ面倒臭いわー……。俺、気付いたらなってたから付き合い長いし。まさかそういうウイルスだってのは知らなかったけど、気付いたら出来てたんだよ」
GM:「まじかー……もしかして防衛隊に入隊できたのってそれが理由?スカウトされたんだろ、確か」
森魚:「ああ。給料よかったんでな」

「まあ、俺よりくだらない理由じゃなくて良かったな」
森魚の話を聞きながら、田中は苦笑する。
「俺なんて、銃撃ちたいからだぜ?……あんま人に言うことじゃないけどさ」
給料と、銃が撃てるという非日常への期待。あとは、国を護れるというちょっとした誇り。
田中が防衛隊を志したのは、そんな理由だった。
「おいおい、くだらないなんてねえよ。わかるぜその気持ち」
同じく、給料が理由のスカウト組が苦笑する。
「お、そろそろ訓練場に着くな」
「だな。また後で」
彼らの前には、訓練場への扉があった。
ぎぃ、とドアの開く音。

ーーかくして、運命のドアは開かれた。



GM:さて、ここでシーンを切ります。シーンというのはひとつの単位で、これを切り替えることでゲームが進行していきます。視点変更なんかもシーンの切り替えで行いますな。
森魚:了解!……こんな感じでよかった?(ダブルクロスどころかTRPG初めて)
GM:はい。凄く良いと思います。……では他のプレイヤーもいないのでそのままミドルフェイズに入ります(苦笑)
森魚:ミドル?
GM:はい、オープニングフェイズ ミドルフェイズ クライマックスフェイズ エンディングフェイズとあってシナリオをこれに沿って進行させていくんです。本来なら他のキャラクターのオープニングがあるわけですね。
森魚:なるほど、起承転結ね!
GM:では次のシーンに入りましょう。

※ ※

middle 1
practice


訓練場と呼ばれた場所は明らかに通常とは異なる雰囲気を作り出していた。
人間には扱えないような、冗談としか思えない巨大なトレーニング器具
明らかに小さすぎる射撃の的には、さらに細かい目盛りが刻まれている。
用途の良くわからない機器がずらりと並び、中には人間がビームを出すとしか思えないような的まで置かれていた。

しかし、何よりもおかしいのは。
訓練場全体についている巨大な傷であった。
それは、巨大な爪痕であり、クレーターであり。バケモノのような何かが居た証であった。
「整列!」
ざわつく兵たちを戒めるように、佐藤隊長の声が響く。
「これから君たちにはそれぞれの適正をみるための簡単な試験を行ってもらう」
そして、これからその化け物になるのだと。彼女は暗に告げていた。

GM:「森魚!」さて、一番最初に呼ばれたのは森魚です。侵蝕率を上げてくださいな。
森魚:「はい!」侵蝕率のダイスは……6。
GM:「お前が最初の受験者だ。あそこにある、的を射抜いて見せろ。手段は問わない」
森魚:「(ちゃんと返事しとかねぇと後が面倒だからな……。つーか俺かよ……)」
GM:さて、君には何も渡されていない。つまり、エフェクトを使う練習です(笑)
森魚:じゃあ、ここで《ハンドレッドガンズ》の使用を宣言するのかな?
GM:ですです。見た目とか演出とか自由に出来ますけどどうします?
森魚:壁に手を当てて銃を生成!--侵蝕率3上昇。

「おい、銃がいきなり出てきたぞ!?」
「手品じゃないのか?」
周囲のざわつく声を聞きながら、森魚は壁から生成した銃を構える。
銃を作り出した手から伝わる、どこか身体になじまない異常な感覚。
「(手品だったらよかったんだけどなー……)」
子供時代から、付き合ってきた感覚。
レネゲイドに侵蝕される感触である。

GM:さて、このまま射撃の判定を行ってみましょう。〈射撃〉は【感覚】に類する技能なので【感覚】の数のダイスを振って下さい。
森魚:たしか、7だっけ。……ダイスは19
GM:はい、それに〈射撃〉技能の4レベルを足して
森魚:ふむふむ達成値、23!と。
GM:さて、23という値はプロでもなかなか難しい値です。森魚の弾丸はすさまじい勢いで的の真ん中を貫いていきました「……ふむ、こんな感じだ」と隊長が頷く。
森魚:「(よっしゃ、これで文句ねぇだろ)」
GM:「……ちなみに森魚」心の中でしゃべる森魚に隊長がささやく。
森魚:「はい」……?
GM:「残念な話だが、私の能力は心を読む力だ」
森魚:「(ギクッ!?)」
GM:「ふふ、良かったな。私が優しくて」
森魚:……ひええ。

「さあ、次!田中!」「は、はいっ!?」
それを皮切りに、訓練生たちが力を使い始める。
銃を構え、撃つだけではない。
獣に変身し、咆哮だけで遠くの的を破壊するもの、風で銃弾を曲げるもの。
それは、異常な光景であった。


森魚:初めて使う事で暴走する奴とか出そうですなぁー
GM:(ぎくっ)ーーさて、そんなさなか「……う、うわぁ!?」急に訓練生の一人が暴れ始める。さっき獣に変身してた……よし、伊藤誠君にしよう。
森魚:名前に悪意を感じるぞ(苦笑)「(――案の定!)」
GM:「いやだ、いやだ、いやだ!?お、おれは浮気なんてしてない!全部、あいつが悪いんだ……おれを……!?」めきめきと骨格がゆがみ、どんどん獣じみた姿になっていく。衝動によって前が見えていない感じですな。
森魚:「(してないって言ってる奴に限ってしてるんだよなぁー……)」

「うあああああ!女なんてみんな滅びればいいんだぁ!!」
「暴走か。すまない、少しどいていてくれ」
暴れまわる伊藤の隣に、一尉が立つ。
その手には、何も握られていない。
しかし。
「--止まれ」
「っ!!!」
彼女が声をかける。
それだけの行為でーーぴたりと伊藤の動きが止まる。
《ワーディング》は同じオーヴァードには通用しない。
ーー彼女本来の力、化学物質を操るシンドローム『ソラリス』の力である。
「……この力にはこのとおり、暴走の危険が伴う。トラウマが、危機が、そして他のオーヴァードによる影響がこの暴走を引き起こす」
全く動けなくなった彼を確認してからーー彼女は振り返る。
その目線の先に居るのは、訓練を受ける兵士たち。
「テロを企てていなくても、こうした散発的暴走が時折世間を騒がせーー市民に被害を及ぼしているのだ」
ごくり、兵士の一人がと唾を飲み込む音が、響いた。

GM:佐藤隊長は《抗いがたき言葉》《コンセントレイト》のコンボを使用し、伊藤を押さえつけます。シーンの間ありとあらゆる判定に5個のダイスペナルティが入るため、伊藤はダイスが振れなくなりました。
森魚:ぐえー……ソラリスのエフェクトか。
GM:攻撃力は低いのでトントンなんですけどね(苦笑)「さて、訓練は終わりだ」一通りの人員を確認してから、隊長が声をかける。

「君たちはメディカルチェックを受けてから解散だ今日はしっかりと休むといい」
訓練が終わり、解散していく人員。
周囲を見れば、エフェクトで出来た大穴や、傷が訓練場を満たしている。
すべて、今もたらされた被害によるものだ。
「--まじかよ」
その様子をみながら、田中は小さく呟いたのだった。


GM:さて、ここで舞台裏に入ります。ここで『ロイス』というものを結んでみますか。レコードシートに書いてありますよね。
森魚:支援効果ね!?
GM:いえ、もっと重要なポイントです。『ロイス』とはオーヴァードが人でいられる『絆』という唯一の力。具体的には、これがないと、ジャーム(バケモノ)になります。
森魚:うわぁ
GM:森魚は今ロイスを3つもってます。具体的には「上司」と「春日恭二」と「ラーメン屋」ですな。ここに追加で四つまで絆を持つことが出来ます。今のところだと田中君とか、佐藤一尉とか。伊藤誠君ですね。ほかのプレイヤーが居るならほかのプレイヤーキャラに結ぶことも出来ます。
森魚:んー、順当に行けばタナカァ。とりあえず結んだよー。
GM:感情はどうします?
森魚:■同情□無関心で!割とどうでもいいけど同じ部隊なんだし一応気を遣っておくか、という風で。
GM:了解です、次のシーンに参りますか。次のシーンはプレイヤーが登場できない『マスターシーン』となります。
森魚:はーい。


※ ※

scene2
first victim
Master scene

「……訓練疲れたな」
「うんうん、超能力とかな……まじかよって感じ」

GM:さて、このシーンでは訓練を終えた伊藤君がどかっと更衣室の椅子に腰掛けたところです。
森魚:登場しないから喋らない方がいいかな?
GM:いえ、キャラクターが登場してないだけなので、茶々入れたり質問したりは問題ありません。とはいえ、流石に答えられないことは答えられませんが(笑)
森魚:それは当たり前だな(苦笑)


「……お、おつかれー」
更衣室に一人残っていた伊藤は、部屋に入ってきた人物に手を上げてみせる。
訓練で暴走した影響でへとへとだった彼は、すぐに『その異常』に気づくことが無かった。
それが、彼の命運を決定した。

「おい、なんだよ」
 カチリ、という撃鉄の音。
「や、やめろぉ!?」
 近づく、影。
「く、くるな、来るな、バケモノッ!?」
 そして――銃声。
 哀れな犠牲者の悲鳴が、更衣室の中に響き渡る。
「う、が……うぁ……っ」
 数分後。
 そこには、一つの死体が残されるのみだった。

GM:さて、ここで描写を終わりシーンを切ります。
森魚:むむ、気になる……
GM:「マスターシーン」は基本的に事件の描写を行う感じですな。では、次のシーン。


※ ※ ※


一夜明けて

「おい、森魚、森魚!!」
「おおぅ……」

 朝の四時頃揺さぶられる感覚で森魚は目を覚ました、
 目の前に居るのは、同室の男性――田中だ。
 眠い目をこする彼の頭を起こしたのは。

「緊急事態だ。伊藤が殺された」
「はぁ!?」

 そんな、一言だった。



森魚:登場のダイスは6。ふぅ、低いぜ。……これってどっかでリセットかかるんだよね……?
GM:リセットは、セッション終了時……!これが、ダブルクロス……!
森魚:うあー……そうだった。
GM:最終的に100切ればいいから大丈夫大丈夫。では、描写を続けますね。「伊藤が殺された。今から集合だそうだ」
森魚:「伊藤って、あの!?」
GM:「ああ、学生時代二股かけて、女から逃げるように入隊した伊藤だ」
森魚:「改めて聞くと最低だなあの野郎!」
GM:ともかく、そんな最低な奴でも同僚は同僚。「とりあえず行くぞ」と田中が手を伸ばしてきます。
森魚:……仕方ない。行くか。


「……君たちはもう知っての通りだと思うが。緊急事態が発生した」

 最初に集められたのと同じ部屋。
 険しい表情をした佐藤隊長が、言葉を投げかける。
 その声は同じく鋭く、堅い。

「そう、隊員の一人。伊藤誠が殺された。……これは通常ではあり得ない事態だ」

GM:「オーヴァードは侵蝕率が100を超えることがない限り死ぬことはない」
森魚:メタいな隊長!?
GM:あ、侵蝕率は普通にこの世界にある概念(小説版ダブルクロス1巻参照)なので、大丈夫です(笑)

「たとえ、このような傷であったとしても」
「っ!?」

 彼女が取り出したのは、拳銃。黒く鈍く光るそれを自らのこめかみに当て――発射。
 銃声の直後、吹き飛んだはずの頭部がそこにあった。
 《リザレクト》それは、オーヴァード(人を超えてしまったもの)全てが持つ力だ。

「レネゲイドの力で自動的に治療されるからだ」

 緊張が走る隊員達の前で、彼女はその銃のグリップを強く握りしめていた。


GM:この通り、ダブルクロスにおいては、侵蝕率が100%を超えない限り死ぬことはありません。《リザレクト》でダイス一個振った分のHPで復活です
森魚:ふむふむ
GM:ただし、回復した分の侵蝕率は上がります。
森魚:でしょうねぇ……。それにしても体張るなぁ隊長……
GM:部下を打ち抜くわけには行かないですし。映像より体張ったほうが、納得してもらえますから。
森魚:まあねぇ……
GM:「つまり、犯人は。伊藤が《リザレクト》で復活しなくなるまで、何度も、何度も。殺傷を行ったことになる。そして我々はその犯人を捜さなければならない。UGNやストレンジャーズが関われば。また二次災害が発生するとも限らないからな」
森魚:「隊長、質問があります!」
GM:「……ふむ」(頷く)
森魚:「隊長の力ならば、既にご存じと思われますが。――この中に、犯人はいないのですか?」
GM:「それで分かれば、すでに私がケリをつけている」
森魚:「(ですよねー……)」
GM:「すまないが。ここに居る時点で全員の心は読ませてもらった」
森魚:「(そうですか)」心の中でも敬語を使うようになった!
GM:「(心の中くらい、普通にしゃべっていい。そちらのほうがラクだ)」と隊長の声が頭の中に。
森魚:「(ちょ!? この人、直接頭の中に……!?)」
GM:「……(ソラリスのエフェクトだ)」
森魚:「(あー……。了解っす)」ちょっと楽になった(笑)
GM:「では、解散。森魚圭介。お前は残るように」


 他の隊員を退出させた後、広い部屋の中で佐藤隊長と二人になる森魚。
 佐藤隊長は小さくため息をつき、彼が残った理由を説明し始める。

GM:「さて、ここで森魚に残ってもらったのは。お前が唯一。ここに来る以前から力を使いこなせていたからだ」
森魚:「あー、まあ、確かに経験はそこそこあるつもりですが」
GM:「レネゲイドの力は基本的に感情に左右される。レネゲイドのコントロールを覚えたばかりのひよっこには戦うことすら難しいだろう。暴走するのがオチだ。我々でやるしかないのだ」
森魚:「隊長。分かってるでしょうけど、俺、弱いですよ?」
GM:「私だって似たようなものだ」

 首を振る隊長。
 彼女のシンドロームは薬物を操るソラリス。
 戦いにはあまりむかないシンドロームである。

森魚:「……とりあえず。情報収集しますか」
GM:はい。というわけで情報収集が可能になります。
森魚:じゃあ、犯人の足取りについて調べる。【社会】2しか無いしコネも無いけど。……ダイス目6に〈情報:軍事〉1を足して7。……怖いけど財産ポイント使って9に補正して成功。
GM:了解です。君はお金を払って現場にたどり着く。人払いのためにお金を使った感じですな。
森魚:おお、らしいなぁ「コレ後で領収書切れますかね」
GM:「……掛け合っておこう。」(財産ポイントはシナリオ終了後に補填されます)


 そこにあったのは。酸鼻を極めるような死体だった。
 人間という肉を破壊し尽くしたような、銃弾の痕。肉塊となった元人間。
 しかし、森魚の目は別のものをとらえていた。

GM:まず、彼は銃でなんども撃たれています。それこそ、《リザレクト》が出来なくなるレベルまで。
森魚:「うわー……。滅多撃ちだなぁー……」
GM:しかし、それだけで死ぬとは思えない。なぜなら彼のシンドロームは生命力が売りのキュマイラだったからこの程度の銃弾なら佐藤隊長のように治せてしまう。
森魚:と、すると別の原因?
GM:おそらく。薬物などが投与されていたのでは無いか。という推論が出来ます。
森魚:「とはいえ、死因はコレじゃないですね。俺でも銃だけならコイツは消せないですし」
GM:「……ふむ」隊長は静かに頷く。――そして、君は現場から。何らかの薬物の反応を得ることが出来る。(「情報収集項目:謎の薬物について」が加わる)
森魚:あいさ!
GM:――ここでシーンを切ります。
森魚:あいさ!



※ ※ ※

流血連環

GM:さて、ここからはひたすら情報収集です。ほかのプレイヤーが居れば分担出来ますが、今回はソロプレイなので一人です。
森魚:はーい。……よし、登場のダイスは1。安定してる。
GM:さて、調べ終わった翌朝。君は隊長に呼び出される。「……また被害者が出た」
森魚:「うぇ!? またですか!?」
GM:「ああ、死に方は同じだ」銃で滅茶苦茶に撃たれている。という感じです。
森魚:「こんなハデにやるだなんて、随分自分の能力過信してんなー……」
GM:「オーヴァードになりたての人間はそういうものだ」
森魚:「……まあ、そうですね」
GM:「すでにジャームかも知れんがな」……さて、ここで隊長がエフェクトを使ってくれます
森魚:うぉ。
GM:《狂戦士》でダイス+4。クリティカル値-1。
森魚:じゃあ、支援ももらったので謎の薬物について。……達成値27!
GM:国家機密を暴けるレベル
森魚:ヤバいな狂ってる俺!
GM:では、情報をどうぞ。

 《狂戦士》の効果で研ぎ澄まされた感覚で、森魚は死体を調べ始める。
 モルフェウスの力は物質を作り出すだけでは無く、読み取ることにも使用することが出来る。
 ――薬物集中する彼の脳裏には、二つの薬物の反応が浮かんできていた。

GM:二種類の薬物反応。一つは「αトランス」。もう一つは「ソラリスのエフェクトによる致死性の毒」ということが分かります。
森魚:αトランス?
GM:FHがよく使っている薬物で、オーヴァードを意図的に暴走したり、一般人をオーヴァード、ひいてはジャームにする薬です。
森魚:おぉー……。厄介極まる……
GM:その薬物を、何らかの形で摂取したわけです。……そしてもう一種類の毒は。
森魚:ソラリスのオーヴァードにしか作れないもの。か。
GM:具体的にいうと《絶対の恐怖》とか《抗いがたき言葉》とか。
森魚:まあ、そう来るよね……。どうせ読まれてるだろうし、質問する。


「……何だ?」

 後ろでのぞき込んでいた隊長の方を向いて、森魚は一度深呼吸する。
 大丈夫だ。この推論が正しければ。大丈夫のはずだ。

「俺は心読めないんでアレなんですけど、考えてみたら隊長のアリバイって誰も分かんないよなー、って。唐突にですね?。ほら、刑事ドラマじゃ全員のをまず聞くじゃないですか

 一度に一気に思ったことを言い切る。
 思わぬ早口となったその言葉を聞いて、隊長は静かに目をつむって。答えた。

「……殺したのは私だ」 

森魚:「理由、聞いていいですか」
GM:「……全員ジャーム化していた。銃で撃たれたショック、αトランスによるもの。相互作用かどうかは分からない……ジャームになっていたのは。事実だ」
森魚:「……んー、正直、その言葉を信じろって言われても困るんですが」

 森魚は一旦言葉を切る。
 まだ推論自体は続いている。
 彼女が犯人で無いという理由であり、ここで口を開いた理由。

森魚:「テロリスト的な思想があるんなら、この時点で俺は殺されてますよね。お前は知り過ぎたって」
GM:「……そもそも、情報収集をつきあったりしない」
森魚:「ですよねー。俺一人にやらせたはずだ」
GM:「私がテロリストなら。森魚を最初に殺しに行くところだ」
森魚:「……でしょうねー。部隊で一番都合悪いもの、俺」

 犯人が隊長で無いという確証を得て、ため息をつく。

「私が殺したという事実を知られると、部隊に混乱が起こる。感情が揺れてジャーム発生の二次災害が発生しては。元も子もないからな」

 そんな森魚に、彼女は深々と頭を下げたのだった。

森魚:「いやまあ、しょうがないですよ」……といいつつ隊長にロイスを結ぶ。感服・脅威。この人すごいなー、って感じと、この人に今消えられたら困るなー、っていう感じで。
GM:では、ロイスを結んだところで次のシーンに行きましょう。



※ ※ ※

破綻


「おい、聞いたか?」
「んあ?」

 朝食の席。隣に座る田中の言葉に間抜けな返事で返す森魚。
 隊長と話しただけで、大分心に負担がかかっていたのだ。疲れるのも無理は無い。――何より、まだ犯人がいると言うことなのだ。
 しかし、そんな森魚の思考はすぐに打ち切られることとなった。

「……テロリストの死骸が見つかったらしい」
「うっそだろ!?」
「ああ、たしか名前は春日k……」

 そして、混乱する思考をさらに混乱させる言葉が、食堂に響く。

「おい、佐々木!死ぬんじゃない!生きろっ!」
「その傷じゃ無理だ!……どうなってんだよ……!?」

 3人目の犠牲者が。隊員から出ていた。
 事件はまだ――終わっていない。

「おいおい……。テロリスト死んだんじゃねぇのかよ……」

森魚:退場のダイスは4。ちょうど60。
GM:侵蝕率ボーナスがつきますね。……さて、食堂で呆然としていると。佐藤隊長が意味深に君の方を見て頷く。「後で森魚は私のところに来るように」

 通されたのは、隊長の部屋。
 殺風景だが、どこか暖かみを感じさせる色使いなのは彼女の趣味だろうか。

「……テロリストの死骸が発見された。死因は銃殺。私が手を下す事も無く。だ」
「それが誰かも分からないし、死んでるはずなのに何でまた、と。……田中も他の連中も、結構キてます。次は俺の番か、って」
「それとは別に……私の手を、また下すことになった」

 辛そうな顔で俯く隊長。
 最初に見たときの彼女にくらべて、その姿は。とても小さく見えた。

「とりあえず、テロリストの死骸を洗いましょう。話はそれからです」

 沈鬱な空気を誤魔化すように、森魚は声を上げた。
 今、出来ることは真実を知ることだけなのだから。

森魚:テロリストの死骸について調べる。隊長から《狂戦士》をもらって……ヒャッハー!
GM:「単に頭の働きが良くなる薬を使っているだけなのだが……」
森魚:ダイスは7つ。クリティカル9で……18!
GM:では、ちゃんと分かります。

「やっぱり、コイツがαトランスをばらまいていたエージェントみたいですね。指令書が出てきました」
「……そうか。この部隊は新設されたばかりのものだ。早めにつぶす。と言うことなのだろう」
「シンドロームは、エグザイル……ってことは、身体を液状化させて、隠れたりすることで飲料や食事にこのαトランスを紛れ込ませていたみたいですね」

 倒れたエージェントの死体を漁る二人。
 血にまみれながらの泥臭い作業。
 そして、彼らはエージェントが体内に隠そうとしていた指令書を発見する。

「――これは、『Ωトランス計画』?」
「もっと、ヤバそうなのが出てきちゃいましたね……」

 ページを捲る彼らの表情は。どこまでも険しいものだった。

GM:「無害な市民をオーヴァードの兵士にするためのプロジェクトのようだな。肉体をオーヴァードに変えた後、レネゲイドを効率よく扱える人造人格を植え付け。それを兵士とする」
森魚:「お手軽なこって……でも。これで確証がつきました。犯人がすり込まれた人格なら……隊長の能力が効かなくてもおかしくは無い」
GM:「……そうだな」
森魚:「しかし、何で資料残ってるんですかね。こいつを誰かが殺したなら、ちゃんと持っていくと思いません?」
GM:「体内に隠していた。ということは殺害した人間には発見できなかったのだろう」
森魚:「ああ、そういう……というか、この薬を何者かが投与された。という事ですよね」
GM:「そうだな……」沈鬱な表情をする隊長。
森魚:「何にせよ、感染源をみんなに言った方がいい気がします。今日の昼飯まで時間ないですし」
GM:「あ、ああ。そうだな。すまない、そこまで頭が回らなかった」
森魚:「しっかりしてくださいよ。俺だって朝飯に入ってたんじゃないかってビビってるんですから」
GM:「ああ……そうだな、久々に外食にでも行くとしよう。私のおごりだ」……ここで、シーンを切ります。
森魚:ふう……



GM:もう真相は見えてると思いますが、とりあえずロイス結んでおきます?伊藤君とか佐々木君に結んでおいても良いかと。
森魚:死体じゃん!!!
GM:いいんだ! 最後の侵蝕率ダウンに使えるし!
森魚:なら佐々木君で。エロ本貸してくれるって、言ってたじゃないか……!(ゲス)


※ ※ ※

Ccena


GM:では、次のシーン。隊長のおごりで全員焼肉です。
森魚:「ヒャッハー!(狂戦士ではない)」……登場のダイスは1。
GM:飯にαトランスが入ってたことは混乱を招くとして伏せられました。

「……しっかし、謎だよな」

 田中が肉をかじりながら小さくつぶやく。

「このタレの美味さか? 確かに謎だな」
「テロリストは死んだんだろ?なんでまた、被害者が……」
「塩胡椒も良いし、このカルビも旨いぞ!」
「むぐっ!? ……まあ、確かに旨い。焼き肉久しぶりだなあ……」 

 そんな田中の口に、森魚は焼き肉を突っ込む。
 今はそんな話をする気になれなかったのと――。

GM:――最後の情報収集項目、振りますか?
森魚:『田中について』……達成値は、18。
GM:田中のシンドロームは、モルフェウス/ノイマン。覚醒したばかりのこの部隊で、森魚を除いた場合。唯一銃をまっとうに使いこなせる男です。
森魚:……うわぁ。

 何故伊藤や佐々木は死んだ?
 彼らはオーヴァードだ。そう簡単にやられない。暴走するまで銃を撃つなど並大抵の事では無い。
 答えはたった一つ。
 銃の使い手もオーヴァードであった。ただそれだけの話だ。

GM:……そして、夜な夜などこかに出かけている姿が目撃されています。
森魚:……。そう。

「お前、夜な夜な何してんだよ。もしかして人に言えないようなゲームを……」
「ちっげえよ。俺はFPS派だ!」
「そう顔赤くしてると。ホントに聞こえるぞー?」
「っ、いや、まあ……隊長で想像したことはあるけど」
「それは、止めとけ。あの人最強に察し良いから死ぬぞ?鼻の下伸ばしたら頭撃ち抜かれるって」

 談笑しながら、森魚は隊長に呼びかける。
 心を読む能力者なのだ。心の中で叫ぶだけで良い。

「(田中、クロの可能性大です)」
「(……そうか。仕掛けるのであれば、誰もいない訓練場に誘導するが……)」
「(どうしますかねー。この場で拳銃ハジくのもいいですけど)」
「(それはまずい。ここは焼肉屋だ。一般人も居る。《ワーディング》を撃ったところで、流れ弾が当たらないとも限らん)」
「(言ってみただけです。――あ。一回全員酔い潰しましょう。先導要員に一人、無実の奴を残してください。隊長、出来ますよね?)
「(--そもそも酒に酔わない小早川以外だな)」
「(そいつに田中以外の全員を先導させて、俺と隊長で田中を確保。酔ってる最中に聞き出す。そんな感じでどうです)」
「(分かった)」

 彼女に相談すれば、後は早い。
 一人、また一人と酔いが回って眠りについたり、ろれつの回らない隊員が出てくる。
 数分も立たないうちに、重度の酔っ払い軍団が完成していた。

「おいおいどうしたお前らー。まだまだ若いなー!あ。俺も同い年だった」
「ふむ、お開きのようだな。小早川、先導頼む」
「うええ……俺《鋼の肉体》のエフェクト持ちだからこんな目にあうのか……」
「……よし」

 キュマイラ能力者である小早川に運ばれていくメンツを見ながら、森魚は田中に向かい合う。

「ほら、立てるか田中」
「ああ、ありがとう――森魚。それに隊長。こうして、人払いしてくれたってことは。そういうことなんですよね」
「……」

 その瞳は、驚くほど澄んでいた。

「お前がゲロ吐きそうなのはわかるぞ!」
「とぼけなくていい。俺のことは、俺が一番良くわかる。なんたって、ノイマン(天才になるシンドローム)だったからな。あれが夢じゃ無かったことくらい。本当は分かるんだ」
「……そっか」
「確かに。吐きそうなんだ。何度も、何度もさ。同僚を撃つ夢を見て。夢かって目が醒めてみたら」

 自嘲気味に、彼は笑う。
 
「そいつが死んでて。自分で作り出した絆(ロイス)が一個ずつついえてくのが分かって」
「……そう、か」

 ふらり、と立ち上がる田中。
 彼は、笑った顔のまま。泣いているように見えた。

「……なあ、森魚」
「何だ?」
「俺、だいぶ浅はかだったみたいだ。……銃を撃つのって、辛いんだな」
「……俺だって、出来れば撃ちたくねぇさ」

 かつて、銃を撃つために入隊すると行っていた彼は手のひらを見つめる。
 その手は細かく震えていた。

「そっか……けどさ、きっとこの役目は。お前にしか頼めない」
「……っ」
「俺をこんなにしたアイツは、ぶっ殺したけど。ぶっ壊れた俺はーーもう戻らない」

GM:ルール的には。ロイスの相手を全員殺してしまったが故にジャームになっています。もはや『Ωトランス』があろうと、なかろうと……彼は、壊れています。
森魚:ぐぬぬ……。

「……だからさ。俺を――殺してくれ――俺が、バケモノに、なりきる前に。薬のせいか、体が、勝手に抵抗するけど、さ……俺は、応援、して……る、から」

GM:――ここで、シーンを切ります。次がクライマックスフェイズです。


※ ※ ※


終焉 そして


 月に照らされた訓練場で、彼らは向かい合っていた。
 崩れゆく理性の中、それでも彼はここまでついてきてくれた。
 だが、もはやそれは限界だった。
 青く輝く月の光を受けて――手の中の銃が鈍くきらめく。

「――良い月だ」
「俺は、死んでもいいわ、なんて言わんぞ」
「あはは、俺だって願い下げだ」

森魚:登場のダイスは10。……ごふっ。
GM:「さあ、始めようか。殺しあいを」ここで、田中は狂気に満ちた《ワーディング》を使います。衝動判定をどうぞ。難易度は5。
森魚:成功!……侵蝕率は14も上がった……!ダイスがデレてくれない。
GM:では戦闘ラウンドに入りましょう。

行動値
15 森魚
10 田中
 7 隊長

森魚:よし、俺から行動。マイナーアクションで《ハンドレッドガンズ》。メジャーアクションで《コンセントレイト:モルフェウス》+《カスタマイズ》。達成値20!
GM:田中の回避は……19! 回避失敗。
森魚:じゃあ、ダメージは19点。結構痛い。

「……なかなかやるな」
「一発で終わらせてやるつもりだったんだがな」
 肩を貫かれながら笑う田中に、森魚はにやりと笑みを返す。
「……はは、けど。俺は……もっと強い」
 それが、彼のトリガーだったのだろう。
 田中は――その力を解放し始める。

GM:マイナーアクションで《アーマークリエイト》《ハンドレッド・ガンズ》《ダブルクリエイト》二丁の拳銃を作り出すと同時に、服を硬質化させる。
森魚:二丁拳銃!?
GM:そして《カスタマイズ》《マルチウェポン》《クリスタライズ》《フェイタルヒット》《コンセントレイト》で森魚に攻撃!達成値は17!
森魚:10で回避失敗。
GM:ではダメージ48点。装甲無視で。
森魚:痛ってぇ!!!即死じゃん! 俺はス○ランカーか!《リザレクト》!……って出目が10。これで98%。
GM:では最後に隊長が動いて《癒しの水》+《狂戦士》28点回復させつつ、次の判定のダイス+6個。さらにクリティカルー1
森魚:「(あー! もー! だから弱いって言ったじゃないですかー!)」
GM:「(《リザレクト》がある間は問題なかろう)」
森魚:「(ちくしょうこれだからコンテニューのある時代のゲーム脳はー!)」

GM:では次のターンに入ります。

森魚:待機。《リザレクト》して100を超えてから動きたい。
GM:じゃあ、田中が動く。

「――うおおおおっ!」
 言葉にならない叫び。
 意識は混濁としてはっきりとしない。それは『Ωトランス』によるものか、ジャームになった影響故か。
 ただ、ノイマンたる彼の射撃は――衰えることが無い。

GM:組み合わせは《カスタマイズ》《クリスタライズ》《コンセントレイト》《フェイタルヒット》《マルチウェポン》で同じ。達成値20!
森魚:達成値10。無理!「STGは苦手なんだよ俺ごへぁっ!?」《リザレクト》で2点回復してぴったり100!
GM:――では、ここからが本番ですね。
森魚:《コンセントレイト》《カスタマイズ》――《クリスタライズ》!達成値28!
GM:……駄目。ダメージ下さい。
森魚:49点!防御無視!
GM:《アーマークリエイト》の装甲が効かないのでまるっと喰らって……。HPは0。


「まだだ……この程度でバケモノは死なない。知ってるだろ?」
 全身を結晶にされ、砕かれながら。
 それでも、彼は――立ち上がる。
「……おんなじバケモノなんだから」
「ああクソ、知ってるよ!」

GM:さあ、ラストターンです。セットアップに隊長から《女王の降臨》+《狂戦士》で支援されます。
森魚:そして、俺の順からか。
GM:「……来いよ。なんとか、間に合いそうだからな。俺が、俺の心が死ぬ前に」
森魚:「バケモノ歴は、俺のが長いんだ。……ひよっこは、そんな悪い夢からさっさと覚めれ」――HP1でも、全力で攻撃する。……達成値69。
GM:田中は《カウンター》を使用して反撃を試みる!……達成値38!届かない!銃弾を見切ろうとする目をかいくぐって、森魚の銃弾が飛ぶ。
森魚:……ダメージ58点。装甲無視。
GM:57点分の、オーバーキルです。銃を抜いて反撃を試みる彼の心臓を、銃弾が貫く。その部分から結晶化して、彼の身体が崩れていく。
森魚:「……一瞬だったとはいえ、仲間だったろ。だから、もう苦しむなよ」
GM:「ああ……ありがとう」


「……なに、気に病まないでくれよ」

 彼は、笑った。

「俺が仲間だったのは。本当に、一瞬だけだったんだからさ」

 本当に、短い自分の人生を思い出しながら。

「……でも、うれしい、な。仲間を殺したような奴に……」

 結晶化していく、肉体。もう、指先すらも脆い結晶となっていく。

「こう、してみとって……くれる奴が、いる、なんて……」

 肺が、結晶になったのだろう。声が不明瞭になる。 

GM:「ぜい、たくだ……」
森魚:「……」
GM:「本当に……俺には、過ぎた死に様……だよ。だから……贅沢ついでに……頼まれてくれないか?」
森魚:「……何だ。Dドライブの中身消すなら任されてやる」

「俺が死んだ分、お前は、生きてくれないか……それだけで、俺は、まんーーぞく   だ」

 がしゃり……彼の体が崩れ落ちる。後に残されたのは、ひとかけらの結晶だけ。

「……ちくしょう。死ねなくなっちまったじゃねぇか」

 森魚の声が、静かな夜闇に溶けて消えた。
 ――月の美しい、夜だった。

GM:これで、クライマックスフェイズを終わります。


※ ※ ※

バックトラック


森魚:116%か……
GM:ここからロイスの数だけ10面ダイスを振って、その合算値だけ侵蝕率を下げることが出来ます。
森魚:ロイスは……「上司」「ラーメン屋」「春日」「田中」「佐々木」「佐藤隊長」あとは、「小早川」にしておこう。
GM:伊藤君は?
森魚:さて、ダイスは7個だな。47点下がって無事帰還。
GM:おめでとうございます。では――エンディングに行きましょう。


※ ※ ※


殺風景ながらも、どこか暖かみを感じさせる部屋。
その中心部で、書類をまとめている女性、佐藤隊長。
そして、彼女の前に、一人の男が立っていた。

GM:「……今回の件、ご苦労だった……正直、君がここまで頑張るとは思っていなかった。もっと、何事にも無感動な人間だとな」
森魚:「いや、本当に二回死んだんですから、逃げたさ山盛り特盛でしたよ……」
GM:「だが、君は逃げなかった。それで良いだろう?」
森魚:「……まあ、そういう事でいいです」

 男……森魚は、事件の終わった後。
 一人、隊長の部屋に呼ばれていた。

GM:「……森魚に、渡すものがある。取っておいてくれ」
森魚:「お?」

 渡されたのは、小さな結晶だった。
 透き通ったそれは、どこか脆い印象を与えさせる。

GM:「田中の遺品だ」
森魚:「……あの野郎」
GM:「田中には家族すら居なかったそうだ。遺骨すらのこっていない……彼が生きた証は、これしかない」
森魚:「……まーた、重いモン遺していきやがって」

 そう言って、森魚は手元の結晶を弄る。

森魚:「……ガキの頃からずっとこの力に付き合って、嫌われてきて」
GM:「……」
森魚:「どうしたもんか考えてましたが、まあ、ようやく使い道が分かったみたいです」
GM:「そうか。ならば――これからも、よろしく頼む。彼のためにも」
森魚:「死ぬの、超怖いし、死ぬほど嫌ですけど」
GM:「……ああ」
森魚:「やります。こっちこそ、よろしくお願いします」

 二人は、頭を下げる。
 こうして――初めての任務は終わりを告げた。

 これは、ある一人の男が覚悟を決めるための――物語。

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