Nサブさんの日記 「前回のゆうこや感想」

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2019/08/29 05:08[web全体で公開]
😶 前回のゆうこや感想
こないだ、ゆうやけこやけの自作シナリオ「貧乏神と夏休み」遊びました。
急遽PLさんが一人欠けてしまったので、締め切りまで24時間弱だけど誰か再応募されないかしらん、って思ってたけど来なかったので、狸の変化のアヤメさんと、鳥の変化のつつりさん、お二人にお付き合いいただきました。また日記とかで募集すればよかったんだけど面倒だった……。書くネタも尽きてたし。
改めてさんきゅー! 楽しかったでーす! 残り半分のクライマックスのところ残ってるので、後半はまた後日!
つつりさんは北国生まれなのですが、これは前回の僕が募集させていただいたシナリオが、真冬の北国が舞台だったからなんですね。
きちんと地元のPCを練ってくるPLさんの鑑。
ところが今回は夏の真夏の、暑さの我慢大会が舞台なものですから、すっかりばたんきゅーしてしまったと。
こーゆーのって、単発とかじゃ味わえない、乙な味ですよね。
じつにうまみな味だったので、ちょっとしたリプレイ作成。
実はリプレイ作成の許可はいただいてないので、ナイショだよ。

※
 諸君。命の……命の危機に瀕している。
 我々の前には、ばかでかい鍋いっぱいに真っ赤な色をした火鍋なる危険なシロモノが満たされている。
 もう八月も終わりとはいえ、夜でもまだまだ蒸し暑い日々である。
 暑いときにこそ、辛い物を食え、とはよく言われるが、これはこの世の辛さではない。
 しかも我々は分厚い半纏を着させられ、ご丁寧に食卓はフル稼働する炬燵だ。
 部屋の四隅には暖炉がごうごうとマグマのごとく熱を吹き出し、辺りを地獄色の毛並みをした黒猫が、あろうことか仕立てのよさそうな高級スーツをぴちっと着こなし、2本足でのしのしとうろつきながら、口からごうごうと火を吐いては我々が苦しむのを喜び勇んで舐め取っている。
 これではまるで妖怪だ。(部屋へ通され最初に見たときは、黒いスーツ姿のやや陰鬱な雰囲気をまとった青年だった。おそらく、あまりに辛い火鍋のせいで、心が自分を守ろうと、幻覚を見せているのだと思う――)
 貴君、いったい、何をそんなに苦しんでいるのだ。
 そう尋ねられる方もおられるだろう。まだ若いのに、そんな胃腸を酷使して、いったいなんとする、と――
 まったく理性的な問いだ。点数で言うなら満点に近い。
 だがあえて答えるなら、くそくらえ、だ!
 私はこの戦いに勝利し、彼女の笑顔を手に入れなければならないのだから!
 私の心から片時も離れたことのない、彼女の笑顔のためならば――
 ここで諦めて、なんなんとするか!
 このまま彼女に思いを打ち明けることなく、独りぼっちで明日死んでも悔いはない者がおるか!

「ほっほっ。どら、皆の衆、箸が止まっておるぞ」
 部屋の奥からは全ての諸悪の源の声がする。
 李白とかいう老人である。
 我々がこの命がけのデッド・レースでひぃひぃ悶えるのを目の肴にし、それを老後の楽しみにしているとんでもない悪党だ。彼にしてみれば、我々は精々が闘鶏のニワトリか……いや、子供たちがやる、虫に相撲を取らせるあれか。今日日虫かごのカブトムシだって冷たいゼリーを食えるだろうに。
 李白翁は風通しのよさそうな甚平に、片手には扇、片手にはスイカを構え、足元には氷水を湛えたタライまでこしらえて実に楽し気だ。くそう。
「うなぁお」
「……こなくそ。邪魔な猫ねぇ……!」
 黒猫がぎろりと睨みつけてくる。まるで不正は許さないぞと告げるかのようだ。
 隣を見ると、巡り合わせで道行を同行してきたアヤメという方が、まるで親の仇でも見るかのような目で黒猫を睨んでいる。さもありなん。こんな火炎地獄の真っただ中で心穏やかでいられる奴がいるものか。私はそろそろ頭がぼぅっとしてきた。
 きっとこれも幻覚なのだろうが、そのアヤメ女子、彼女の汗でぐっしょりと額に張り付いた髪の下から、まるで獣のような耳がにょっきりと覗いているのである。首を傾げれば、もこもことした半纏の裾からは、さらに丸々した尻尾まで。
 なんだか子供のころ、金曜日のロードショーでよく見た彩色に似ている。
 なんというか。
 そう、たぬきだ。
「人間程度なら騙せると思ってたのに……! と、とんだ誤算……!」
「……お目付け役、ってことかい……」
 小声で何事かを口走るアヤメに、今にも死にそうな声が合いの手をうった。
 声の方へ目をやる。つつり、という方が、寝そべっているはずだ。北国出身らしく、寒いのはいくら寒くても良いが、逆に暑いのはまるでダメらしいのだ。
 そこにいたのは白い小鳥である。
 耳があるとか尻尾が見えるとか、そんな生半可なものではなかった。幻覚も相当なところまできているようだ。
「くぅ……ううっ。アヤメ姐さん……私は、もうだめだっ」
「ちょ……ちょっと、つつり……あんた」
「最後の、術だから……あとは」
 ひゅうひゅうと、虫の息のような呼吸が繰り返される。いや、これは私の息の音か? いけない、先ほどから視界の隅を七色の吹き流しがちらついていて、頭が酷くぼぅっとしてくる……
「頼んだ……」
「……自分に使えばいいのに、格好つけちゃって」
 その時、どこからか、そよそよと微風を感じた。
 これこそ蜘蛛の糸か。
 酸素を求めて、水面にばっと飛び上がった時のように、急に新鮮な空気を吸って、頭がすーっと冴えるのがわかった。
「こ、これは……!」
 汗を吸いに吸った重たい半纏が、ぱりぱりと音を立てる。急に、ところどころ霜がついている。いや、急に冷えすぎだろう。
 ともあれ、改めて闘志がぐんぐんと湧いてきた。それは間違いなかった。
「あんた……つつりがここまでしたんだから、途中でギブアップなんて、言わせないからね?」
「応とも。元よりこんな途中で引き下がる気は毛頭ないっ」
「結構」
 目と目で頷き合い、我々は改めて、奥間に鎮座する、諸悪の根源をじっと見据えた――
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レスポンス

cod fish
cod fishNサブ
2019/08/30 11:13[web全体で公開]
> 日記:前回のゆうこや感想
わぁい!先輩も(意外と)カッコいいし、つつりさんも最後の術はこの上なく素晴らかったし、アヤメさんは私がRPするよりも姐御度が上がってる...いいリプレイだぁ...
イカ銀行
イカ銀行Nサブ
2019/08/29 20:56[web全体で公開]
> 日記:前回のゆうこや感想
このシーンは(珍しく)二人ともちゃんと変身しているので、
本人たちは変身しているつもりでも暑さで気が緩んで見えてしまった。
みないな状況だと平成狸合戦みがあって私は好きです。

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