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💀 怪談:誰かのライト (▼ ネタバレを含むコメントを読む。 ▼)今日も思いついた怪談を語らせていただきます。 1500字程度の簡単な内容です。 苦手な方はご注意を。 ちなみに、これからの話は全てフィクションです。 今日はこの会談を思いついた経緯を話しましょうか。 身近なアイテムが呪われているというのはよくある怖い話ですよね。 車や電話はもちろん、一昔前は『呪いのビデオ』『着信アリ』(携帯電話の怪談)なんかもあります。 これに関しては推測ですが、恐らく身近にある道具というものは多くの人が共感できるのでよく怪談の話題にあがるのです そういうことを考えるうちにある道具の怪談を聞いたことがないことに気が付いたのです。 その道具は使う機会はそうはありません。 しかし、怪談にはとてもよく出てきますし、知らない人がいないといえるほどありふれた道具です。 今日はそんな道具を題材にしたお話をします。 私は大学生の時、オカルトサークルに顔を出していました。 単純に好きだというのもありますが、創作の参考資料にするのにちょうどいい場所だったからです。 そのオカルトサークルで一度、肝試しをするという企画が立ち上がりました。 ルールは簡単。皆でいわくつきの廃墟に行って、一人ずつ探索しては適当なものを拾ってくるというものです。 これは面白そうだと思って私も参加しました。 私たちが向かった廃墟はコンクリートがむき出しのまま放置された田舎のショッピングモールでした。 周りに家がなくざわざわと木の揺れる音が不穏な予感がするのを覚えています。 私たちはライトを片手に一人一人廃墟の中に入っていきました。 廃墟に入った私はまず持ち帰るためのものを探しました。 最初にノルマを達成しておいて、心置きなく探索を楽しむためです。 そう時間がかかることなく、入り口付近にライトが落ちているのを見つけました。 そのライトは小ぎれいで、スイッチを入れれば少し暗いですが明かりが点くほどでした。 廃墟のものとしては少しオカルト色が物足りないですが、私はそれをバッグに詰めてまた歩き始めました。 その後も廃墟を歩き回っていたのですが、ちょっとした段差に足を取られて転びました。 幸い怪我は大きくありませんが、転んだ拍子に手に持っていたライトを地面にたたきつけてしまいました。 ライトは見事大破。 代わりの明かりが必要になった私は妙なことを思いつきました。 さっき入り口で拾ったライトを使えるんじゃないかと。 当時の私にはそれが素晴らしい名案のように思えて、よせばいいのに廃墟で拾ったライトを使い始めました。 うすぼんやりと照らされた廃墟は何処か寒々しく、いかにも出そうな雰囲気です。 周りを照らしていると今度は何かの影が映りました。 冷たい汗が背筋を伝うのを感じながらも、よく目を凝らすとそれは徐々にライトに照らし出されて行きます。 それは黒く大きな犬でした。 1m程のその犬は、だらしなく開いた口からよだれをしたたらせながら、獲物を見定めるかのように少しずつ少しずつ歩み寄ってくるのです。 私は一目散に駆け出しました。 犬から逃げられるわけもない、というような冷静な考えは脅威を目の前に吹き飛んでいたのです。 ただひたすらに両足を動かして、ライトが照らす心もとない道をかけていきます。 それでも逃げ切られなくて肩を掴まれました。 「おい、どこに行く気だ!? そっちに床はないぞ!?」 それは、私を誘ってくれた先輩の声でした。 振り返るとそこに犬はいなくて、先輩が鬼気迫る表情で肩で息をしていました。 もう一度前を見るとそこは床が抜けていて、3階下のフロアが窓から入った光に照らされていました。 あれほどしっかり握りしめていたライトもいつの間にかなくなっていました。 ぞっとした私は先輩に話してイベントを中止してもらいました。 あの時見た犬が私の恐怖が生んだものなのか、それとも拾ったライトが見せた物なのかはかわかりません。 ただ、いわくがある場所にあるもの手にするのはそれ相応の危険があるのだということが身に染みてよくわかりました。
レスポンスはありません。
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